• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01F
管理番号 1041533
審判番号 審判1999-18333  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-11-12 
確定日 2001-05-21 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 57437号「表面実装型ノイズフィルターケース及び表面実装型ノイズフィルター」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 4月21日出願公開、実開平 7- 22524]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 (出願の経緯・発明の要旨)
本願は、平成5年9月28日の出願であって、その考案の要旨は、平成9年9月22日付、平成11年8月6日付及び平成12年12月28日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲1及び2に記載されたとおりの「表面実装型ノイズフィルターケース及び表面実装型ノイズフィルター」と認められるところ、請求項1記載の考案(以下、第1考案という。)は以下のとおりである。
「絶縁材料からなり、中央部に、トロイダル状磁心に巻線を施したコイルを装着するための凹部を設けた四角形状の基台の両側端部に、複数個の端子を植設し、該端子の植設部から前記凹部に通じる溝を設けた表面実装型ノイズフィルターケースにおいて、前記端子は、帯状金属薄板からなり、基台へ植設されている部分及び電線をからげる部分が樋状で、断面が略U字形に形成され、樋状に形成された部分以外の部分がL字状に形成されたことを特徴とする表面実装型ノイズフィルターケース。」
(引用例)
当審における拒絶理由において引用された実願平3-7666号(実開平4-96813号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、図3と共に以下の点が記載されている。
「【従来の技術】
従来の表面実装用トランスとしては図3に示すように構成されたものがある。図3は従来のトランスを示す斜視図である。同図において、1はトロイダルコイル、2はこのトロイダルコイル1を搭載するための端子板である。前記トロイダルコイル1はトロイダルコアに巻線を施して形成され、端子板2上に接着されている。端子板2は合成樹脂をモールド成形して形成されており、上部にはトロイダルコイル1が接着される凹部3と、この凹部3の内側と外側とを連通する側部開口部4とが設けられ、下部には、プリント基板(図示せず)に実装される表面実装用端子5が一体的に設けられている。前記表面実装用端子5は端子板2の側面から側方へ向けて突出され、突出端部は下側に遍在されている。なお、表面実装用端子5の配設位置は、前記側部開口部4の丁度下側となる位置に設定されている。そして、この表面実装用端子5に、前記トロイダルコイル1の巻線の端末がからげて接続されている。」(第3頁段落【0002】)
さらに、端子板2を四角形状にすること及び端子板の両側端部に植設する表面実装用端子5が複数個であることは図3から明らかである。
してみると、上記引用例1には、「合成樹脂からなり、中央部に、トロイダルコアに巻線を施したトロイダルコイルを装着するための凹部を設けた四角形状の端子板の両側端部に、複数個の電線をからげる部分を有する表面実装用端子を植設し、該端子の植設部から前記凹部に通じる側部開口部を設けた表面実装型トランス」が記載されているものと認められる。
同様に当審で引用された実願昭62-18095号(実開昭63-127108号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、第1図及び第2図と共に以下の点が記載されている。
「電子部品の小型化が急速に進み、高周波コイル等の電子部品は・・・・この種の電子部品は回路基板の導体パターンに端子が直接面接続される。」(第1頁第14行?17行)、「ベース部10に埋没され、その側面から突出している板状金属片の端子の露呈部11は、先端が回路基板の導体パターンに接続できるように下方に屈曲させて加工してあり、先端13が点線で示す仮想の導体パターン14に接続する。
上下に最も曲げ応力の加わり易い露呈部11の水平部15には、露呈部11の延長する方向に細長い突部16を形成してある。突部16には水平部15の横断面図である第2図に示すように、円筒の半分を横にした形状であり、両端を塞がれた状態で水平部15のほぼ全長にわたって形成してある。
この突部16の長さや幅、形状は、要求される露呈部11の強度により変化させ得る。例えば、突部16は端子のベース部10の内部、さらに先端13まで延在させたり、露呈部11の複数個所に独立して存在してもよい。横断面の形状は、U形に限定する必要はないが、小さな金属片をプレスで加工する場合はU形が最も加工し易い。」(第3頁第6行?第4頁第4行)、「このような本考案の端子形状は、露呈部に曲げ応力が加わっても、突部の存在により単に平板であるよりも物理的強度ははるかに向上し、電子部品の小型化に寄与することができる。」(第5頁第13行?16行)
さらに、板状金属片の端子の露呈部11の細長い突部が形成された水平部15以外の部分がL字状に形成されていることは第1図から明らかである。
してみると、上記引用例2には、「板状金属片の端子は、ベース部へ埋設されている部分及び水平部に横断面U字形状の細長い突部が形成され、それ以外の部分がL字状に形成された表面実装型の電子部品。」が記載されている。
(対比)
次に、本願第1考案と上記引用例1記載の考案とを対比すると、引用例1記載の考案の端子板は本願第1考案の基台に、引用例1記載の端子板に表面実装用端子を取り付けたものは本願第1考案のケースに相当するから、本願第1考案と引用例1記載の考案とは「絶縁材料からなり、中央部に、トロイダル状磁心に巻線を施したコイルを装着するための凹部を設けた四角形状の基台の両側端部に、複数個の電線をからげる部分を有する端子を植設し、該端子の植設部から前記凹部に通じる溝を設けた表面実装型のトロイダル状磁心に巻線を施したコイルを装着するケース」である点で一致し
相違点1:トロイダル状磁心に巻線を施したコイルを装着するためのケースが、本願第1考案ではノイズフィルターに用いられているのに対して、引用例1記載の考案ではトランスに用いられている点、
相違点2:本願第1考案では、端子は、帯状金属薄板からなり、基台へ植設されている部分及び電線をからげる部分が樋状で、断面が略U字形に形成され、樋状に形成された部分以外の部分がL字状に形成されているのに対して、引用例1記載の考案にはそのような記載がない点で相違する。
(検討)
そこで、上記相違点について以下検討する。
相違点1:上記ケースをノイズフィルター用とするのか、またはトランス用とするのかは、当業者が使用目的により適宜選択して決めるものであり、この点に格別な意味は認められない。
相違点2:表面実装型の電子部品の端子の物理的強度を向上するために、板状金属片の端子は、ベース部へ埋設されている部分及び水平部に横断面U字形状の細長い突部が形成され、それ以外の部分がL字状に形成された点が、引用例2に記載されている。引用例1記載の考案の表面実装型のトロイダル状磁心に巻線を施したコイルを装着するケースも引用例2の表面実装型の電子部品のケースの一種であるから、引用例2と同様の課題が存在することは明らかであり、そのために、引用例1記載の考案の端子に引用例2と同じ対策を講じることは困難性を有することなくなし得ることにすぎない。
(むすび)
本願第1考案は、上記引用例1及び引用例2に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案をすることできたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。そうである以上、本願は拒絶されるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-02-26 
結審通知日 2001-03-09 
審決日 2001-03-21 
出願番号 実願平5-57437 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (H01F)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 田中 貞嗣  
特許庁審判長 張谷 雅人
特許庁審判官 岡 和久
浅野 清
考案の名称 表面実装型ノイズフィルターケース及び表面実装型ノイズフィルター  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ