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審決分類 審判    B65C
管理番号 1041550
審判番号 審判1996-40035  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-08-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 1996-10-23 
確定日 1997-07-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第3025839号実用新案「試験管貼着供給装置」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.経緯及び考案の要旨
本件実用新案登録は、平成6年4月28日出願の特許出願、特願平6-114087号の一部を、平成7年6月16日に分割出願し、さらにこれを平成5年改正法付則第5条第1項の規定により実用新案登録出願に変更し、平成8年4月10日に登録されたものである。
本件登録実用新案の要旨は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認められる。
「試験管の周面にラベルを接合するラベル貼着装置を備え、核ラベル貼着装置を収納する装架ケースの対向する両側板の一方に搬入開口を、他方に搬出開口を対向状に夫々形成すると共に、搬入開口から搬出開口に渡って移送コンベヤを設け、前記ラベル貼着装置によりラベルを貼着された試験管を移送コンベヤ上に供給するようにしてなる試験管ラベル自動貼着器を、搬入開口と搬出開口を相互に一致させて複数台密接状に併設することにより、各試験管ラベル自動貼着器の移送コンベヤを直線上に連続させて、該移送コンベヤ群により並設方向に沿った送材通路を構成するようにしたことを特徴とする試験管貼着供給装置。」
なお、考案の詳細な説明の記載からみて、本件登録実用新案は、被験者毎に、内容の異なる試験に供するための複数個の試験管を複数台の試験管ラベル自動貼着器を並設して供給する試験管貼着供給装置に係るものである。そして、種類又は試験内容の異なる毎に異なる試験管ラベル自動貼着器を用いて、これを搬入開口と、搬出開口とを一致させて夫々隣接して試験管貼着供給装置を構成し、これにより各移送コンベヤが直線上に連続した送材通路を構成し、種類又は試験内容の異なる複数の試験管を順次移送して最端部の貼着器の移送コンベヤの端部から取り出すものである。このことを考慮すると、上記の試験管ラベル自動貼着器は、種類又は試験内容の異なる毎に個別に用いられる試験管ラベル自動貼着器を意味しているものと認められる。
2.本無効審判請求の理由
2-1証拠方法
(1)甲第1号証の1
株式会社テクノメディカ製採血管準備システムBC・ROBO-530が平成5年9月16日?18日に開催された日本臨床検査自動化学会第25回大会に出展されていた事実を示すための同大会の出展目録。
(2)甲第1号証の2
同大会で株式会社テクノメディカが頒布した同準備システムBC・ROBO-530のカタログ。
(3)甲第1号証の3
株式会社テクノメディカが同準備システムBC・ROBO-530に関する論文を発表した平成5年6月1日発行の日本臨床検査自動化学会会誌VOL.18(3)の第193頁?第196頁。
(4)甲第1号証の4
同準備システムBC・ROBO-530の構造を説明するための写真、参考図及び説明書。
(5)甲第1号証の5
申第1号証の1、2及び3に示されている同準備システムBC・ROBO-530の構造が甲第1号証の4の図面及び説明書と相違しない旨を証明するための証明書。
(6)甲第1号証の6
甲第1号証の1ないし3に示された同準備システムBC・ROBO-530における採血管ラベル自動貼付器と同型の採血管ラベル自動貼付器を実際に2台並設した状態を示す写真及び参考図。
(7)甲第1号証の7
甲第1号証の1ないし3に示された同準備システムBC・ROBO-530における採血管ラベル自動貼付器と同型の採血管ラベル自動貼付器を実際に2台並設して作動させた時の動作状態を録画したビデオテープ。
(8)甲第2号証
実願昭50-31304号(実開昭51-112670号)の明細書。
(9)甲第3号証
特開昭54-123484号公報。
(10)甲第4号証
特開平4-18226号公報。
(11)甲第5号証の1
オリンパス社製自動分析装置AU5200が平成3年9月5日?7日に開催された日本臨床検査自動化学会第23回大会に出展されていた事実を示す同大会の出展目録。
(12)甲第5号証の2
同大会の記録集を掲載した日本臨床検査自動化学会会誌1992VOL.17(3)第225頁?第228頁。
(13)甲第5号証の3
同会誌におけるオリンパス社製自動分析装置AU5200の広告が掲載された頁。
(14)甲第5号証の4
オリンパス社製自動分析装置AU5200のカタログ。
(15)甲第5号証の5
オリンパス社製自動分析装置AU5200の構造を示す写真。
(16)甲第6号証の1
アロカ株式会社製検体前処理自動分注装置APS-2020が平成3年9月5日?7日に開催された日本臨床検査自動化学会第23回大会に出展されていた事実を示す同大会の出展目録。
(17)甲第6号証の2
同大会の記録集を掲載した日本臨床検査自動化学会会誌1992VOL.17(3)第214頁?第216頁。
(18)甲第6号証の3
同会誌におけるアロカ株式会社製検体前処理自動分注装置APS-2020の広告が掲載された頁。
(19)甲第6号証の4
平成4年4月に作成されたアロカ株式会社製検体前処理自動分注装置APS-2020のカタログ。
(20)甲第6号証の5
アロカ株式会社製検体前処理自動分注装置APS-2020の構造を示す参考図。
2-2無効理由の趣旨
これに対して、請求人は、概略次のとおり主張している。
(1)本件登録実用新案と甲第1号証の1ないし3に示された採血管準備システムBC・ROBO-530とを比較すると、本件登録実用新案の試験管ラベル自動貼着器は、甲第1号証の1ないし3に示された採血管準備システムBC・ROBO-530の採血管ラベル自動貼着器と本質的に同じ構成であり、甲第1号証の1ないし3に示された採血管準備システムBC・ROBO-530は、採血管ラベル自動貼着器を複数台密接状に併設しているのではなく、移送手段を有する他の装置(供給装置及び回収装置)を密接状に並設して、各装置のコンベアを直線上に連続させて並設方向に沿った送材通路を構成している点のみが相違している。即ち、同じ種類の装置を複数台並設するか、移送手段は備えているが種類の異なる装置を複数台複数台並設するかという点のみが相違している。
(2)そこで、同種の装置を複数台並設することの着想容易性について検討するに、甲第2号証には、パチンコ遊具店における遊技機及び自動玉貸機を所要台数配設の島の内部にコンベアー機構を収装し、各自動玉貸機に投入された硬貨をコンベアー上に落下させることによって一個の硬貨収納箱内に導くように構成した硬貨一括収納装置が記載されており、甲第3号証には、列をなすかごから卵を受け取るための収集コンベヤ手段を備えた卵収集装置が記載されており、甲第4号証には、単一の集荷コンベヤに対して、複数のリザーブタンクと切出し装置を装備した物品の荷揃え装置が記載されている。
(3)本件登録実用新案は、複数個のラベル貼りされた試験管(内容が異なるか否かは特に問題にならない)を供給するために複数の試験管ラベル自動貼着器を単に並設したものに相当するから、各試験管ラベル自動貼着器でラベル貼りされた試験管を外付けのコンベヤで一度に回収することは、甲第2号証?甲第4号証からみてきわめて容易に着想し得たことである。
(4)次に、両端が搬入口及び搬出口として機能するコンベヤを備えたユニット装置を密接状に並設することの着想、容易性についてみるに、甲第5号証及び甲第6号証には、端から端まで延び、その両端が搬入口及び搬出口として機能するコンベヤをユニット化した装置を複数台並設して、各装置の移送コンベヤを直線上に連続させて装置の並設方向に沿った送材通路を構成することが示されており、同じ医療機器の技術分野において普通に用いられている技術事項である。
(5)また、甲第1号証の1ないし3に示された準備システムBC・ROBO-530における採血管ラベル自動貼着器が複数台並設し得た構成であるか否かについて甲第1号証の6及び甲第1号証の7を示す。
(6)以上検討したところがら、甲第1号証の準備システムBC・ROBO-530の回収装置及び/又は供給装置に代えて同じ採血管ラベル自動貼着器を並設することは、甲第2号証ないし甲第6号証に示された公知技術からきわめて容易に想到し得たものであるといえる。
(7)よって、本件登録実用新案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、本件実用新案登録は同法第37条第2項に規定する無効事由を免れないものである。
3.当審の判断
甲第1号証の1ないし3に係る株式会社テクノメディカ製採血管準備システムBC・ROBO-530は、ラベル発行、貼着部を備え、ラベルを貼着した採血管をベルトラインにより搬送されてきた収納ラックに収納し、引き続いて同ベルトラインにより収納ラックを次々に送り出すものである。このシステムは単独で8種の採血管に対応可能なものであり、10本立てのラックに患者一人分を収納できるものである。
それ故、このシステムは、本来的に採血管ラベル自動貼着器を複数台密接状に並設することにより、各採血管ラベル自動貼着器の移送コンベヤを直線上に連続させて、移送コンベヤ群により並設方向に沿った送材通路を構成する必要性のないものである。
一方、本件登録実用新案は、被験者毎に内容の異なる臨床試験等の試験に供するための複数の採血管を必要とする事態に対応するために、試験管の周面にラベルを接合するラベル貼着装置を備えた試験管ラベル自動貼着器を複数並設することを前提として、それらの試験管ラベル自動貼着器から繰り出される試験管を一箇所に収集するために、従来の外付けのコンベヤを改良したものである。
この点に関して、請求人は、本件登録実用新案の試験管ラベル自動貼着器は、甲第1号証の1ないし3に示された採血管準備システムBC・ROBO-530の採血管ラベル自動貼着器と本質的に同じ構成であり、複数個のラベル貼りされた試験管(内容が異なるか否かは特に問題にならない)を供給するために複数の試験管ラベル自動貼着器を単に並設したものに相当すると主張している。
しかしながら、上記採血管準備システムBC・ROBO-530の採血管ラベル自動貼着器は、1の被験者用の複数の試験管にそれぞれ異なるラベルを貼着して複数の試験管を用意するために複数台並設する必要がある試験管ラベル貼着器に相当するものではないから、本件登録実用新案の試験管ラベル貼着器と本質的に同じ構成とはいえないものである。
なお、請求人は、甲第1号証の1ないし3に示された準備システムBC・ROBO-530における採血管ラベル自動貼着器が複数台並設し得た構成であるか否かについて甲第1号証の6及び甲第1号証の7を示しているが、これは、採血管ラベル自動貼着装置を単に2台並設してみたというにとどまり、一人分の採血管を用意するために複数台を並設することの必然性はない。
それ故、甲第1号証の7が、甲第1号証の1ないし3に示された同準備システムBC・ROBO-530における採血管ラベル自動貼着器と同型の採血管ラベル自動貼着器を実際に2台並設して作動させた時の動作状態を録画したビデオテープである以上、この内容を特に検証する必要性も認められない。
したがって、甲第1号証の1ないし3に示された同準備システムBC・ROBO-530における採血管ラベル自動貼着器が、本件登録実用新案の前提となる被験者毎に内容の異なる試験に供する複数の採血管を供給するためには複数の採血管ラベル自動貼着器を並設する必要があるところの各採血管ラベル自動貼着器に相当しない以上、複数の装置なりボックスから落下する物品を収集コンベヤによって一箇所に収集する技術があるか否か等を考察するまでもなく、本件登録実用新案は当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
なお、請求人は、甲第1号証の1ないし3に示された株式会社テクノメディカ製採血管準備システムBC・ROBO-530の構造が、甲第1号証の4として提出した写真、図面及び説明書に示した構造と同一であることを証明するための当事者尋問、甲第5号証の1ないし4に示された分析装置AU5200の構造が、甲第5号証の5の写真の分析装置AU5200の構造と同一であることを証明するための証人尋問、甲第6号証の1ないし4に示された分注装置APS-2020の構造が、甲第6号証の5の写真及び図面の装置の構造と同一であることを証明するための証人尋問及び甲第1号証の1ないし3に示された株式会社テクノメディカ製採血管準備システムBC・ROBO-530の構造が、甲第1号証の4として提出した写真、図面及び説明書に示した構造と同一であることを証明するための検証申立に基づく証拠調べを申請している。
しかし、この証拠調べによって上述の事実が証明されたとしても、本件登録実用新案は、甲第1号証の1?甲第1号証の3、甲第2号証?甲第4号証、甲第5号証(甲第5号証の1?甲第5号)?甲第6号証(甲第6号証の1?甲第6号証の5)に記載された考案に基づいて、本件出願の出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえないから、上記証拠調べを行うことに意味がない。したがって、これらの証拠調べは行わない。
5.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠によって本件実用新案登録を無効とすることはできない。
審理終結日 1997-04-25 
結審通知日 1997-05-06 
審決日 1997-05-20 
出願番号 実願平7-7057 
審決分類 U 1 111・ 121- Y (B65C)
最終処分 不成立    
特許庁審判長 園田 敏雄
特許庁審判官 祖山 忠彦
千馬 隆之
登録日 1996-04-10 
登録番号 実用登録第3025839号(U3025839) 
考案の名称 試験管貼着供給装置  
代理人 八木田 茂  
代理人 酒井 正之  
代理人 平井 輝一  
代理人 内山 充  

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