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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) B22D |
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管理番号 | 1041551 |
審判番号 | 審判1995-23363 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-08-31 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1995-10-23 |
確定日 | 1998-01-05 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2068640号実用新案「セラミツクフイルタ」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2068640号実用新案の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.本件登録第2068640号実用新案(以下、「本件考案」という。)は、昭和60年2月14日(優先権主張、1984年2月15日、スイス)にされた特願昭60-25359号出願を、実用新案法第8条第1項の規定により、新たな実用新案登録出願とするものとして平成2年5月14日に出願され、平成5年5月20日に出願公告を経て、平成7年7月6日に設定の登録がなされたものである。 そして、本件考案の要旨は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲第1項に記載された次のとおりのものであると認める。 「金属溶湯が湯口によって所定の型キャビテイ中に注入される形式の鋳造における同溶湯をろ過するため湯口と型キャビテイとの間に配置される高融点セラミック系の連続気泡フォーム構造を有するセラミックフィルタにおいて、 該フイルタが、鋳込の間の熱的およ機械的負荷性を増大させるために、フイルタの周縁部の嵩密度を内側部の嵩密度の1.2?7倍としたことを特徴とするセラミックフイルタ。」 2.これに対して、請求人は、本件考案は前記特願昭60-51597号出願前に頒布された甲第1号証(特開昭51-142162号公報)などに記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、その実用新案登録は、実用新案法第3条第2頃の規定に違反してなされたものであり、同法第37条第1項第2号の規定により無効にされるべきものであると主張している。 一方、被請求人は、請求人の主張には理由がない、と主張している。 3.甲第1号証(特開昭51-142162号公報)には、溶融金属(金属溶湯)、特にアルミニウムをろ過するために溶融金属の流路に配置されて使用されるセラミックフォーム製ろ過器(セラミックフィルタ)であって、高融点セラミック、例えばアルミナを基材とし、「セラミックのウェブによって包囲されて相互に連通させられた多数の空隙によって特徴づけられるオープンセル構造」及び「同ろ過器の厚さ全体に亘って粗から密へ漸次変化する諸性質を有する」もの等が記載されている。 4.本件考案を甲第1号証記載のものと対比すると、両者は、ともにセラミックフイルタであって、金属溶湯をろ過するために流路に配置される高融点セラミック系の連続気泡フオーム構造(甲第1号証における「セラミックのウェブによって包囲されて相互に連通させられた多数の空隙によって特徴づけられるオープンセル構造」がこれに相当する)を有する点で一致している。 一方、本件考案では、「フイルタの周縁部の嵩密度を内側部の嵩密度の1.2?7倍とした」というのに対して、甲第1号証にはかかる明示の記載がないので、両者はこの点で一応相違している。 そこで、上記相違点について検討する。 セラミックフイルタに関し、内側部より外周部すなわち「周縁部」を緻密にすることにより、使用している間の機械的強度と耐熱衝撃性が向上することすなわち「熱的および機械的負荷性を増大させ」得ることは前記特願昭60-25359号出願時に既に周知の事項である〔例えば、特開昭58-88017号公報、特開昭58-151379号公報及び実願昭52-171723号(実開昭54-96748号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和54年7月9日特許庁発行)等参照〕から、甲第1号証に記載されているようなセラミックフィルタにおいても内側部より「外周部を緻密にすることすなわち「周縁部」の嵩密度を内側部の嵩密度より大きくすることは当業者であればきわめて容易に想到し得るところであり、またその際、「周縁部」の嵩密度の大きさの内側部の嵩密度の大きさに対する割合を1.2?7倍することもその下限値及び上限値のいずれにも何ら臨界的意味が認められず、当業者であれば反復実験により適宜設定し得ることであるにすぎない。 以上のほか、本件考案では、「金属溶湯が湯口によって所定の型キャビテイ中に注入される形式の鋳造における同溶湯をろ過するために湯口と型キャビテイとの間に配置される」というものであるが、金属溶湯をろ過するためのフイルタが、金属溶湯が湯口によって所定の製品用空間(型キャビテイ)中に注入される形式の鋳造における同溶湯をろ過するために湯口と製品用空間との間に配置されることは前記特願昭60-25359号の出願時に既に周知の事項である(特開昭48-56521号公報、特開昭54-84803号公報及び特開昭55-33838号公報など参照)から、本件考案でいうそのような事項は当業者が別途困難を伴うことなく設定し得る事項である。 なお、本件考案では、「フィルタの周縁部の嵩密度を内側部の嵩密度の1.2?7倍とした」目的につき、それが「鋳込の間の熱的およ機械的負荷性を増大させるために」であるというものであるが、セラミックフイルタに関し、内側部より外周部すなわち「周縁部」を緻密にすることすなわち「フイルタの周縁部の嵩密度を内側部の嵩密度」よりも大きくすることにより、使用している間の機械的強度と耐熱衝撃性が向上することすなわち「熱的および機械的負荷性を増大させ」得ることは、前記特願昭60-25359号の出願時に既に周知の事項である〔例えば、特開昭58-88017号公報、特開昭58-151379号公報、及び実願昭52-171723号(実開昭54-96748号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和54年7月9日特許庁発行)等参照〕であるから、「鋳込の間の熱的およ機械的負荷性を増大させるために」を本件考案のように「フイルタの周縁部の嵩密度を内側部の嵩密度の1.2?7倍とした」目的として設定する程度のことは当業者が所望に応じて適宜設定し得る事項である。 そして、本件考案により奏される効果も格別顕著なものとも云えない。 5.以上のとおりであるから、本件考案は甲第1号証に記載のもの及び前記周知の事項に基づき当業者がきめて容易に考案をすることができたものという外はなく、その実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたもであって、同法第37条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1997-05-20 |
結審通知日 | 1997-06-27 |
審決日 | 1997-07-10 |
出願番号 | 実願平2-49155 |
審決分類 |
U
1
112・
121-
Z
(B22D)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 刑部 俊、相澤 旭、木梨 貞男 |
特許庁審判長 |
中嶋 清 |
特許庁審判官 |
清水 英雄 木村 孔一 |
登録日 | 1995-07-06 |
登録番号 | 実用登録第2068640号(U2068640) |
考案の名称 | セラミックフィルタ |
代理人 | 竹内 英人 |
代理人 | 宍戸 嘉一 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 今城 俊夫 |
代理人 | 村社 厚夫 |
代理人 | 小川 信夫 |
代理人 | 杉村 興作 |
代理人 | 杉村 暁秀 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 小島 隆司 |
代理人 | 西島 孝喜 |