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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04B |
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管理番号 | 1041559 |
審判番号 | 審判1999-14733 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-09-14 |
確定日 | 2001-07-04 |
事件の表示 | 平成 5年実用新案登録願第 29786号「ユニット式建物」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 1月24日出願公開、実開平 7- 4602]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願考案 本願は、平成5年6月3日の出願であって、その請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)は、平成13年1月22日付けの手続補正書により補正された明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。 「【請求項1】複数の建物ユニットを上下方向かつ平面コ字形となるように組み合わせるとともに、コ字形部によって囲まれた空間がオープンスペースとされたユニット式建物において、前記オープンスペースの平面広さは、上階用の外廊下用パネルおよびその外廊下用パネルの外階段を収容することのできる広さとされ、かつ、前記外廊下用パネルを、前記オープンスペースを挟んで対向する前記建物ユニットの構造体に設けられ前記オープンスペース内へ水平に突出する複数のブラケットの上面に載せて支持させたことを特徴とするユニット式建物。」 2.引用例の記載事項 これに対し、当審で通知した拒絶理由に引用された、本願の出願前国内において頒布された刊行物である、特開昭62-291356号公報(以下、「引用例1」という。)及び特開昭63-293249号公報(以下、「引用例2」という。)には、それぞれ以下の事項が記載されている。 引用例1には、 (a)「この発明は、集合住宅等における階段の支持構造に関するものである。」(1頁左下欄12?13行)、 (b)「この実施例の階段支持構造は、第1図に示すように、建物本体10と、この建物本体10の側面に開口して上下に延びて設けた階段室12と、この階段室12内に設けられ前記階段室12の開口側に踊場16を有した階段14と、この階段14を支持する階段支持柱18,20とを備えたものである。……階段室12は、建物本体10に凹んで設けられており、階段室12の奥は廊下26になっている。」(2頁右上欄15行?左下欄6行)、 (c)「28,30は建物本体10の階段室12の開口側に立設した通し柱であり、32,34は階段室12の奥に立設した通し柱である。通し柱28と32,32と34,34と30間には梁36,38,40が架設されている。また、梁38には廊下床受材41が固設されており、梁36,40間には廊下床受梁42,廊下梁44が架設されている。」(2頁左下欄8?15行)、 (d)「廊下床受材41,廊下床受梁42ならびに廊下梁44に廊下床(図示せず)が載置され、」(2頁右下欄8?10行)の記載がある。 以上の(a)?(d)の記載及び第1、2、4図の記載からみて、刊行物1には、 「平面コ字形となるように建てられ、コ字形部によって囲まれた階段室がオープンスペースとされた建物において、前記オープンスペースの平面広さは、上階用の外廊下およびその外廊下の外階段を収容することのできる広さとされ、かつ、外廊下を構成する廊下床受材、廊下床受梁、廊下梁及び廊下床を、オープンスペースに隣接する梁に支持させた建物」 が記載されていると認める。 引用例2には、ユニット建物に関する考案が記載され、 (a)「ユニット建物10は、第2図に示すように、例えば2階建アパートであり、……複数の建物ユニット11を水平方向および上下方向に据付けてなり、」(2頁左下欄10?14行)、 (b)「ユニット建物10は、各階の玄関前空間12A、12Bを挟む両側の建物ユニット11L、11Rを相互に離隔配置し、この離隔配置されている建物ユニット11L、11Rの間に玄関前空間12A、12Bのための床フレーム17……を配設している。(第4図参照)。床フレーム17は、第4図に示すように、両側辺部を構成する2本の形鋼製縦枠19、両端部を構成する2本の形鋼製横枠20、不図示の床受材にて構成され、それらの上面に床材21を敷設される。」(2頁右下欄8?19行)、 (c)「上記床フレーム17は、両縦枠19のそれぞれにおける一端部を対応する1階建物ユニット11L、11Rの上梁14に接続受部材22、接続具23を介して支持され、両縦枠19のそれぞれにおける中間部を対応する1階建物ユニット11L、11Rの前面コーナー部の柱16に接続具23を介して支持される。また、床フレーム17の前面側の端部は、両側の建物ユニット11L、11Rより前方に突出配置される。」(2頁右下欄20行?3頁左上欄8行)、 (d)「上梁14に対する床フレーム17の支持構造は第5図?第7図に示す通りであり、上梁14の中間部に1本のボルト24により接続受部材22を取着し、この接続受部材22に2本のボルト25により接続具23を取着し、この接続具23に2本のボルト26により床フレーム17の縦枠19を取着している。……また、各建物ユニット11L、11Rの前面コーナー部の柱16に対する床フレーム17の支持構造は第8図?第10図に示す通りであり、柱16の上端部に2本のボルト28により接続具23を取着し、この接続具23に2本のボルト29により床フレーム17の縦枠19を取着している。」(3頁左上欄9行?3頁右上欄5行) の記載があり、第5?7図及び第8?10図には、水平に突出する接続具23の上面に縦枠19を載せて支持した状態が示されている。 以上の(a)?(d)の記載及び第1?10図の記載からみて、刊行物2には、 「複数の建物ユニットを上下方向かつ平面コ字形となるように組み合わせたユニット建物において、床フレームに床材を敷設して構成される外廊下を、玄関前空間を挟んで対向する建物ユニットの梁と柱に設けられ玄関前空間へ水平に突出する複数の接続具の上面に載せて支持させた、ユニット建物」 が記載されていると認める。 3.対比・判断 本願考案と引用例1記載の考案とを対比すると、引用例1記載の考案の「階段室」は、本願考案の「空間」に相当し、引用例1記載の考案の建物の「梁」は、建物の「構造体」であるから、両者は、 「平面コ字形となるように建てられ、コ字形部によって囲まれた空間がオープンスペースとされた建物において、前記オープンスペースの平面広さは、上階用の外廊下およびその外廊下の外階段を収容することのできる広さとされ、かつ、外廊下をオープンスペースに隣接する構造体に支持させた建物」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1 本願考案は、複数の建物ユニットを上下方向かつ平面コ字形となるように組み合わせたユニット式建物であり、外廊下がパネルで構成されているのに対し、引用例1記載の考案は、ユニット式建物ではなく、外廊下が、廊下床受材、廊下床受梁、廊下梁及び廊下床で構成されている点。 相違点2 上記相違点1に関連して、本願考案では、外廊下用パネルを、前記オープンスペースを挟んで対向する前記建物ユニットの構造体に設けられ前記オープンスペース内へ水平に突出する複数のブラケットの上面に載せて支持させたのに対し、引用例1記載の考案では、外廊下を構成する廊下床受材、廊下床受梁、廊下梁及び廊下床を、オープンスペースに隣接する構造体に支持させた点。 上記相違点1及び2について検討する。 引用例2には、複数の建物ユニットを上下方向かつ平面コ字形となるように組み合わせたユニット建物(本願考案の「ユニット式建物」に相当する。)において、床フレームに床材を敷設して構成される外廊下(同「外廊下用パネル」に相当する。)を、玄関前空間(同「オープンスペース」に相当する。)を挟んで対向する建物ユニットの梁と柱(同「構造体」に相当する。)に設けられ玄関前空間へ水平に突出する複数の接続具(同「ブラケット」に相当する。)に支持させた、ユニット建物、が記載されている。そして、引用例1及び2記載の考案は、共に、平面コ字形となるように建てられ、コ字形部によって囲まれた空間に外廊下が設けられた建物に関するものであるから、刊行物1記載の考案に刊行物2記載の考案を適用し、本願考案のようにすることは、当業者であればきわめて容易になし得たことである。 そして、本願考案が奏する効果も、引用例1及び2記載の考案から当業者が予測できたものであって、格別のものとはいえない。 4.むすび したがって、本願考案は、引用例1及び2記載の考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-04-17 |
結審通知日 | 2001-04-27 |
審決日 | 2001-05-08 |
出願番号 | 実願平5-29786 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(E04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鉄 豊郎 |
特許庁審判長 |
幸長保次郎 |
特許庁審判官 |
伊波 猛 鈴木 公子 |
考案の名称 | ユニット式建物 |
代理人 | 木下 實三 |
代理人 | 中山 寛二 |