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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1041563
異議申立番号 異議1998-74316  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-09-04 
確定日 2001-06-11 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2564143号「バッグインボックス用バッグ」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて平成11年11月22日付けでした決定に対し、東京高等裁判所において決定取消の判決[平成12年(行ケ)第8号、平成13年2月27日判決言渡]があったので、さらに審理の上、次のとおり決定する。   
結論 登録第2564143号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第2564143号は、平成3年12月4日の出願に係り、平成9年11月21日に実用新案登録の設定登録がなされ、その後、畑瀬裕子より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年3月23日に意見書の提出とともに訂正請求がなされ、さらに訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年7月19日に意見書の提出とともに手続補正がなされ、その実用新案登録を取消すとする決定がなされたものであるが、その後、本件実用新案登録に関する訂正審判(2000年審判第39113号)が請求され、その審判請求書に添付した訂正明細書のとおりの明細書の訂正を容認する審決がなされ、該審決は確定し、その結果、上記の決定が取消されたものである。

2.実用新案登録異議申立てについて
2一1.本件考案
実用新案登録第2564143号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、上記訂正審判により訂正された実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。
「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 バッグ本体に、内容物充填用スパウトと内容物注出用スパウトとを設けたバッグインボックスにおいて、
前記内容物充填用スパウトと、該内容物充填用スパウトよりも小寸法にした前記内容物注出用スパウトとを相互に離間させてバッグ本体の同一側面に設け、
前記内容物充填用スパウトを着脱可能なキャップで覆い、
前記内容物注出用スパウトは先端に外周に突設した凸部を設けた筒部を有して、該筒部に、一端が閉塞された弾性チューブを、前記筒部の外周に突設した前記凸部の外径よりやや大きい内径を有し、かつ、下面の開口内縁がバッグ本体側に向けてテーパー状に拡径している鍔つきチューブ固定リングにより締め付け固定し、接続したことを特徴とするバッグインボツクス用バッグ。」

2-2.申立ての理由の概要
申立人畑瀬裕子は、証拠方法として下記甲第1号証及び甲第2号証を提出し、本件の上記訂正審判により訂正される前の実用新案登録明細書の請求項1に係る考案について、この考案は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである旨主張している。
[証拠方法]
(1)甲第1号証:特開平2‐109895号公報(以下、「刊行物1」という。)
(2)甲第2号証:実願昭49‐112213号(実開昭51‐39212号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物2」という。)

2-3.刊行物記載の考案
刊行物1には、「飲食物の供給装置」に関して次のように記載されている。
「この発明に係る容器包装を第2図に基ずいて説明する。
後述するボックス1に収納されるべき容器包装は、可撓性のフィルム2、充填用キャップ3、吐出リング4、弾性体の吐出用チューブ5から構成されており、可撓性のフィルム2は軟質合成樹脂、充填用キャップ3及び吐出リング4は半硬質合成樹脂、弾性体の吐出用チューブ5はゴム体又は軟質合成樹脂が用いられ、密封かつ殺菌され未使用である。
吐出用チューブ5の先端部6も密封されており、内側は外気に触れることはなく、吐出リング4に連結、連通している。
飲食物の充填は、未使用の容器包装を汚染のないように取り扱い、殺菌効果を有する製造方法で、自動的に充墳用キャップ3の封を破り一定量が自動充填される。
充填後は再び充填用キャップに対して密封が自動的に行なわれる。飲食物が充填された容器包装は、ボックス1に収納される。収納に際しては、販売又は供給行為のときに、ボックス1から吐出用チューブ5と吐出リング4を引き出すので、それぞれ好位置に納める。収納した後は、ボックス1に封をし、出荷流通される。」(第2頁右下欄第6行から第3頁左上欄第10行)
刊行物2には、「容器の液体注出口具」 に関して次のように記載されている。
「図中1は合成樹脂製成型品からなる断面略∩型状の矩型筒状の取付体で、この取付体1の基端開放縁部に薄肉状の大径な鍔部2を有して、これが合成樹脂製等の容器(A)の口部(a)縁に熱熔着等の手段或いは第5図に示す如く係止することで固着されることにより、取付体1は容器(A)に内部連通して突出状態に取付けられる。また、この取付体1は稍々内方に彎曲した先端閉成板部3の中央部分に更に先端外方に向けて突出する小径な筒状接続口4を有している。5は前記接続口4に基端部が弾性嵌着されて取付けられた合成ゴム製等の比較的腰が強い弾力性を有するフレキシユブルチューブで、このチューブ5は適当な長さで切断されて、この最先端に合成樹脂製一体成型物からなる栓体6が取付けられている。」(第2頁第11行から第3頁第6行)

2-4.申立て理由についての判断
本件考案について、上記刊行物1及び刊行物2に記載された考案と対比、検討する。
刊行物1記載の容器包装はバッグインボックス用バッグに相当するものであることは明らかであり、また刊行物1記載の容器包装における「フィルム2」、「充填用キャップ3」、「吐出リング4」、「弾性体の吐出用チューブ5」は、それぞれ本件考案のバッグインボックス用バッグにおける「バッグ本体」、内容物充填用スパウトに着脱可能な「キャップ」、「内容物注出用スパウト」、「弾性チューブ」に対応するから、両者は、「バッグ本体に、内容物充填用スパウトと内容物注出用スパウトとを設けたバッグインボックスにおいて、前記内容物注出用スパウトは筒部を有して、該筒部に、一端が閉塞された弾性チューブを接続したことを特徴とするバッグインボックス用バッグ」である点で一致し、次の点において相違しているものと認められる。
(ア)キャップが、本件考案においては、内容物充填用スパウトに着脱可能なキャップであるのに対して、刊行物1記載の考案においては、このことが明確でない点。
(イ)内容物充填用スパウトと内容物注出用スパウトとが、本件考案においては、内容物注出用スパウトは内容物充填用スパウトよりも小寸法に形成され、相互に離間させてバッグ本体の同一側面に設けられているのに対して、刊行物1記載の考案においては、このことが明確でない点。
(ウ)本件考案では内容物注出用スパウトが先端に筒部を有し、該筒部に弾性チューブが接続しているのに対し、刊行物1記載の考案においては吐出用チューブ5と吐出リング4の接続構造が明確に示されていない点。
(エ)本件考案では、内容物注出用スパウトの筒部に弾性チューブを接続するに当たり、筒部の先端に外周に突設した凸部を設け、該筒部に、弾性チューブを、前記筒部の外周に突設した前記凸部の外径よりやや大きい内径を有し、かつ、下面の開口内縁がバッグ本体側に向けてテーパー状に拡径している鍔つきチューブ固定リングにより締め付け固定する構成を採用している点。
次に、これらの相違点について検討する。
〔相違点(ア)について〕
刊行物1記載の考案における「充墳用キャップ3」は「自動的に充填用キャップ3の封を破り一定量が自動充填される。充填後は再び充填用キャップに対して密封が自動的に行われる」との記載からしてスパウトに着脱可能に覆われたキャップか否かは明確でないが、スパウトに着脱可能にキャップを装着することは本件の出願前に周知の事項であるから、このような構成とすることは当業者が適宜に採用し得る程度のことと認められる。
〔相違点(イ)について〕
本件考案において、内容物充填用スパウトと内容物注出用スパウトとが、内容物注出用スパウトは内容物充填用スパウトよりも小寸法に形成され、相互に離間させてバッグ本体の同一側面に設けられていることにより、弾性チューブの接続用品として従来のスパウトとの対応を図ることなく形状の小さな成型品を内容物抽出用スパウトに採用することができ、素材コストを削減させることができる等の効果を生じるものであるが、この点は、刊行物2に記載されてもいないし、また、本件の出願前に周知乃至公知であるとする根拠は見当たらない。
〔相違点(ウ)について〕
刊行物2には、「取付体1は稍々内方に彎曲した先端閉成板部3の中央部分に更に先端外方に向けて突出する小径な筒状接続口4を有している。」と記載されていることからみて、スパウト先端に一体的に設けた筒部にチューブを接続する構造が記載されているものと認められる。そして、刊行物2記載のものも刊行物1 に記載のものと同様に、液体を収納する容器の吐出口に関するものである。
したがって、刊行物1記載の考案において、吐出用チューブと吐出リングの接続構造として、スパウト先端に一体的に設けた筒部に弾性チューブを接続する構造を採用することは、刊行物2の記載に倣って当業者が適宜に想到し得る程度のことと認められる。
〔相違点(エ)について〕
刊行物2には、上記相違点(ウ)で述べたように、弾性チューブを筒部に接続することは記載されているものと認められるが、その際に接続部を固定リングによって締め付け固定することは記載も示唆もされてない。
この点について検討するに、弾性ホース(チューブ)を筒部に接続する際の抜け防止のために、筒部に外周に突設した凸部を設け、この凸部の外径よりやや大きい内径のチューブ固定リングにより弾性ホース(チューブ)を締め付け固定することは、たとえば、実願昭60-201848号(実開昭62-110686号)のマイクロフィルム、実願平1-142826号(実開平3-77893号)のマイクロフィルム等にみられるように、本件の出願前に周知の事項であるから、かかる固定リングにより締め付け固定することは当業者が適宜に想到し得る程度のことと認められる。
しかしながら、上記周知文献に記載されているチューブ固定リングはいずれも、筒部の外周に突設した凸部からみてチューブの端部側にあってチューブを締め付けるものであり、筒部の外周に突設した凸部を乗り越えてチューブを締め付けるものではないので、本件考案におけるように、チューブ固定リングにおいて、下面の開口内縁がバッグ本体側に向けてテーパー状に拡径する構成とすることにより、筒部の外周に突設した凸部を乗り越えてチューブを締め付け固定し得るようにすることを示唆するものではない。
したがって、結局、本件考案は、刊行物1及び刊行物2に記載された考案並びに上記周知の事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。

3.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議の申立ての理由によっては本件の請求項1に係る実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-11-22 
出願番号 実願平3-108161 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (B65D)
最終処分 維持    
前審関与審査官 溝渕 良一  
特許庁審判長 吉国 信雄
特許庁審判官 佐藤 雪枝
村本 佳史
祖山 忠彦
船越 巧子
登録日 1997-11-21 
登録番号 実用新案登録第2564143号(U2564143) 
権利者 凸版印刷株式会社
東京都台東区台東1丁目5番1号
考案の名称 バッグインボックス用バッグ  

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