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審決分類 審判 全部申し立て   B60K
管理番号 1041570
異議申立番号 異議2000-71457  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-04-05 
確定日 2001-07-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第2600530号「虚像表示装置」の請求項1、2に係る考案についての実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2600530号の請求項1ないし2に係る考案についての実用新案登録を取り消す。
理由 I.手続の経緯
実用新案登録第2600530号の請求項1、2に係る考案についての出願は、平成4年2月6日に実用新案登録出願され、平成11年8月13日にそれらの考案についての実用新案権の設定登録がなされた。
その後、請求項1、2に係る考案についての実用新案登録について、実用新案登録異議申立人小海善史より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成12年9月5日に訂正請求がされるとともに意見書が提出され、さらにその後、審尋により実用新案登録異議申立人に意見を聴取したところ、実用新案登録異議申立人より回答書が提出された。
そして、その後、訂正拒絶理由が通知され、該訂正拒絶理由通知に対して平成13年4月24日に手続補正書及び意見書が提出された。

II.訂正の適否
1.訂正の内容
実用新案権者が平成12年9月5日付けの訂正請求書及び訂正明細書により求めている訂正の内容は、以下a、b、c、dのとおりである。
a.【請求項1】及び【請求項2】の、
「前記表示デバイスには、板状の光制御素子を設けてなり、これらの表示デバイスと光制御素子とは、表示デバイスの表示光投射面と光制御素子の一方の面とが接するように配置されており、」を、
「前記表示デバイスには、表示光が放射される側の面に意匠印刷面が積層された板状の光制御素子を設けてなり、これらの表示デバイスと光制御素子とは、表示デバイスの表示光投射面と光制御素子における意匠印刷面が積層されていない側の一方の面とが接するように配置されており、」に訂正する。
b.段落【0009】及び段落【0010】の、
「前記表示デバイスには、板状の光制御素子を設けてなり、これらの表示デバイスと光制御素子とは、表示デバイスの表示光投射面と光制御素子の一方の面とが接するように配置されており、」を、
「前記表示デバイスには、表示光が放射される側の面に意匠印刷面が積層された板状の光制御素子を設けてなり、これらの表示デバイスと光制御素子とは、表示デバイスの表示光投射面と光制御素子における意匠印刷面が積層されていない側の一方の面とが接するように配置されており、」に訂正する。
c.段落【0011】及び段落【0025】の、
「利点がある。」を、
「利点が有る。しかも、光制御素子を通して指向性を持つようになった光が意匠印刷面を通過することになるので、例えば意匠印刷面を通過した後の拡散光を光制御素子で指向性光に変換する場合に比べて、その意匠印刷について歪みの少ないすっきりした虚像を得ることができる。」に訂正する。
d.段落【0019】の、
「積層しても良い。」を、
「積層しても良い。この場合には、光制御素子20を通して指向性を持つようになった光が意匠印刷面21を通過することになるので、例えば意匠印刷面21を通過した後の拡散光を光制御素子20で指向性光に変換する場合に比べて、その意匠印刷について歪みの少ないすっきりした虚像を得ることができる。」に訂正する。

2.訂正請求書の補正及びその適否について
(1)補正事項i
訂正請求書第2ページ第10行?同ページ第11行の「表示デバイスの表示光投射面と光制御素子」を「表示デバイスとしてのアナログ表示デバイスの表示光投射面と光制御素子」と補正するとともに、訂正明細書を同様に補正する。
上記の補正事項は、訂正請求書において訂正事項aとして訂正しようとする事項と、それにさらに構成を付加した事項とを交換して、訂正事項aを変更するものであるから、この補正事項iは、訂正明細書の要旨を変更するものである。

(2)補正事項ii
訂正請求書第2ページ第22行?同ページ第23行の「表示デバイスの表示光投射面と光制御素子」を「表示デバイスとしてのアナログ表示デバイスの表示光投射面と光制御素子」と補正するとともに、訂正明細書を同様に補正する。
上記の補正事項は、訂正請求書において訂正事項bとして訂正しようとする事項と、それにさらに構成を付加した事項とを交換して、訂正事項bを変更するものであるから、この補正事項iiは、訂正明細書の要旨を変更するものである。

(3)補正事項iii及び補正事項iv
訂正請求書第2ページ第26行?同第3ページ第14行の「訂正事項c・・・と訂正する。」及び訂正請求書第4ページ第9行?同ページ第15行の「上記訂正事項cについては、・・・相当するものである。」を削除するとともに、訂正明細書を同様に補正する。
上記の補正事項は、訂正事項c、dを削除するものである。

(4)補正事項v
訂正明細書の特許請求の範囲の【請求項1】及び【請求項2】、並びに、段落【0009】及び段落【0010】の、「前記表示デバイスからの表示光」との記載を、「前記アナログ表示デバイスからの表示光」に補正する。
上記の補正事項は、補正事項i、iiと整合を図るために、【請求項1】、【請求項2】、段落【0009】及び段落【0010】の新たな箇所を訂正しようとするものであって、訂正事項を追加的に変更するものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものである。

(5)補正事項vi
訂正明細書の段落【0010】の、「前記表示デバイスには、板状の光制御素子を設けてなり、これらの表示デバイスと光制御素子とは、表示デバイスの表示光投射面と光制御素子の一方の面とが接するように配置されており、」との記載を削除する。
上記の補正事項は、誤記を訂正しようとするものではあるが、段落【0010】の新たな箇所を訂正しようとするものであって、訂正事項を追加的に変更するものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものである。

したがって、上記補正事項i、ii、v、viを含む、訂正請求書及び訂正明細書を補正する当該補正は、本件訂正請求書の要旨を変更するものに該当し、特許法第120条の4第3項において準用する同法第131条第2項の規定に違反するものであるから、採用しない。

3.訂正の適否についての当審の判断
(1)訂正事項a、bについて
上記訂正事項a、bに関して、願書に添付した明細書及び図面(以下、「実用新案登録明細書」という。)の段落【0019】には、「表示デバイス12がアナログ表示デバイスである場合、図4(a),(b)に示すように、意匠印刷面21、光制御素子20、拡散板22、光源ボックス23のように積層しても良いし、また、意匠印刷面21、拡散板22、光制御素子20、光源ボックス23のように積層しても良い。」と記載されている。そして、【図4】の(a)には、下に向かって意匠印刷面21、光制御素子20、拡散板22、光源ボックス23の順に積層した例が、【図4】の(b)には、下に向かって意匠印刷面21、拡散板22、光制御素子20、光源ボックス23の順に積層した例が記載されている。 すなわち、「前記表示デバイスには、表示光が放射される側の面に意匠印刷面が積層された板状の光制御素子を設けてなり、これらの表示デバイスと光制御素子とは、表示デバイスの表示光投射面と光制御素子における意匠印刷面が積層されていない側の一方の面とが接するように配置されており、」(以下、「a、bの事項」という)とすることは、表示デバイスがアナログ表示デバイスである場合については、実用新案登録明細書に記載されていた。
ところで、表示デバイスには、(イ)アナログ表示デバイス、(ロ)デジタル表示デバイス、及び、(ハ)アナログ・デジタル表示デバイスの3種が存在するところ、表示デバイスが(イ)のアナログ表示デバイスでない場合、すなわち、表示デバイスが(ロ)のデジタル表示デバイス、又は(ハ)のアナログ・デジタル表示デバイスである場合については、上記「a、bの事項」は、実用新案登録明細書に記載した事項でも、実用新案登録明細書に記載した事項から当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項でもない。
したがって、表示デバイスがアナログ表示デバイスでない場合についてまで「a、bの事項」とする、当該a、bの訂正は、実用新案登録明細書に記載した事項の範囲内のものではない。

(2)訂正事項c、dについて
実用新案登録明細書には、c、dの作用効果について記載されていなかった。
ところで、c、dの作用効果は、上記の「(1)訂正事項a、bについて」で示した、段落【0019】及び【図4】(a)、(b)に記載されている構成が本来有しているものとも認められるが、上記構成がc、dの作用効果しか有していないとまでは認めることができないから、c、dの作用効果の追記記載は、実用新案登録明細書に記載した事項から当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項ではない(「特許・実用新案審査基準」第III部明細書又は図面の補正、第I節新規事項、4.発明の詳細な説明の補正、4.2各論、(1)発明が解決しようとする課題又は発明の効果についての補正、の項参照)。
したがって、当該c、dの訂正は、実用新案登録明細書に記載した事項の範囲内のものではない。

4.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)による改正前の特許法第126条第2項の規定に違反するから、当該訂正を認めることはできない。

III.実用新案登録異議の申立てについて
1.実用新案登録異議申立ての概要
異議申立人小海善史は、証拠として甲第1号証(実願昭62-84318号(実開昭63-192134号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(特開昭60-209114号公報)及び甲第3号証(実願昭63-161428号(実開平2-81226号)のマイクロフィルム)を提出し、請求項1、2に係る考案は、甲第1?3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項1、2に係る考案についての実用新案登録は、いずれも実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであって、取り消されるべきものである旨主張している。
なお、異議申立人は、当審の審尋に対し回答書を提出して、それに刊行物4(特開平3-14747号公報)及び刊行物5(実公平6-28347号公報)を添附し、訂正後の請求項1、2に係る考案は、刊行物5の記載も参照して、甲第1?3号証及び刊行物4に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである旨主張している。

2.本件考案
上記2.「訂正の適否についての判断」で示したとおり、上記訂正は認められないから、本件の請求項1及び請求項2に係る考案(以下それぞれ、「本件考案1」及び「本件考案2」という。)はそれぞれ、設定登録時の明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】目視者の視線方向から外れた位置に設けられた表示デバイスを備え、この表示デバイスからの表示光を反射板によって反射させて目視者の視線方向に光路変更し、目視者に前記表示デバイスからの表示光の虚像を見せる虚像表示装置において、前記表示デバイスには、板状の光制御素子を設けてなり、これらの表示デバイスと光制御素子とは、表示デバイスの表示光投射面と光制御素子の一方の面とが接するように配置されており、前記光制御素子は、その内部に組み込まれた複数のルーバーによって、前記表示デバイスからの表示光を規制した方向以外には向かわない方向性を持った光にするようになっていることを特徴とする虚像表示装置。
【請求項2】目視者の視線方向から外れた位置に設けられた表示デバイスと、この表示デバイスに対向する位置に設けられたミラーと、これら表示デバイスとミラーとの中間に傾斜して位置するハーフミラーとを備え、前記表示デバイスからの表示光を前記ハーフミラーを透過させて前記ミラーで反射させ、その反射光を前記ハーフミラーによって反射させて目視者の視線方向に光路変更し、目視者に前記表示デバイスからの表示光の虚像を見せる虚像表示装置において、前記表示デバイスには、板状の光制御素子を設けてなり、これらの表示デバイスと光制御素子とは、表示デバイスの表示光投射面と光制御素子の一方の面とが接するように配置されており、前記光制御素子は、その内部に組み込まれた複数のルーバーによって、前記表示デバイスからの表示光を規制した方向以外には向かわない方向性を持った光にするようになっていることを特徴とする虚像表示装置。

3.引用刊行物に記載された考案
当審で通知した取消しの理由で引用し、本願の出願前国内で頒布された刊行物1(実願昭62-84318号(実開昭63-192134号)のマイクロフィルム:異議申立てにおける甲第1号証)、刊行物2(特開昭60-209114号公報:異議申立てにおける甲第2号証)及び刊行物3(実願昭63-161428号(実開平2-81226号)のマイクロフィルム:異議申立てにおける甲第3号証)には、以下の事項が記載されている。

刊行物1の、
(イ)「第1図に示した構成において、(中略)小型蛍光表示管7,7,7,7には、予め表示すべき各種走行データの鏡面像、即ち逆文字及び逆図形8,8,8,8が形成されていて、該逆文字及び逆図形8,8,8,8を発光表示するようにしてある。(中略)12は上記逆文字及び逆図形8の上面に設けられたライトコントロールフィルムである。前記小型蛍光表示管7の前方斜め上方位置に、凹面反射鏡9が設置されている。(中略)従って第2図に示した如く、小型蛍光表示管7に形成された逆文字及び逆図形8から発せられた光は、ライトコントロールフィルム12を介して凹面反射鏡9に投射され、且つ反射されて運転者の目Eには正常な文字及び図形として拡大表示される。」(第5頁7行?第6頁12行)
の記載及び第1図?第4図の記載からみて、刊行物1には、
「運転者の視線方向から外れた位置に設けられ、各種走行データの鏡面像8が形成された小型蛍光表示管7を備え、この小型蛍光表示管7からの表示光を凹面反射鏡9によって反射させて運転者の視線方向に光路変更し、運転者に前記小型蛍光表示管7からの表示光の虚像を見せる虚像表示装置において、前記小型蛍光表示管7には、板状のライトコントロールフィルム12を設けてなり、これらの小型蛍光表示管7とライトコントロールフィルム12とは、小型蛍光表示管7の表示光投射面とライトコントロールフィルム12の一方の面とが接するように配置されている、虚像表示装置」(以下、「刊行物1記載の考案」という。)が記載されているものと認められる。

刊行物2の、
(ロ)「車室内に設けられた情報表示機器と、該情報表示機器の情報表示画面の前面に配置され且つ該表示画面から前方に出る光のうち所定の角度以上で外方に広がる光を遮ぎる遮光フイルムとからなることを特徴とする車両用情報表示装置。」(特許請求の範囲第1項)、
(ハ)「前記遮光フイルムは、内部に所定の角度で並べて配置された複数の遮光ルーバーを有するライトコントロールフイルムであることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の車両用情報表示装置。」(特許請求の範囲第2項)、
(ニ)「情報表示画面の前面に、その表示画面から前方に出る光のうち所定の角度以上で外方に広がる光を遮ぎる遮光フイルムを配置するように車両用情報表示装置を構成したものである。」(第2頁左上欄20行?同頁右上欄4行)、
(ホ)「第1図は本発明による車両用情報表示装置の一実施例の斜視図であり、この実施例では表示装置の画面上の映像がフロントガラスに映るのを防止するとともに、テレビの画面が運転者に見えないようにするために、最近開発された遮光用のライトコントロールフイルム(住友スリーエム製)を用いている。このライトコントロールフイルムは厚さが約0.7?0.9mmのプラスチツクシートで、その内部には第2図(イ)に示すような黒色の微小なルーバー1が平行に埋め込まれている。第2図(ロ)は第2図(イ)に示したフィルムのK-K断面図(ハツチング省略)であり、αはルーバーの向きを示すルーバー角、βは隣り合つたルーバーとルーバーとの間から出る光源Qからの光の範囲を示す可視角である。」(第2頁右上欄6行?同頁左下欄1行)、
(ヘ)「フイルムAのルーバーにより画面からの光のうちフロントガラス方向に向う光を遮断することができるのでフロントガラスへの映りを防止することができるとともに、フイルムBのルーバーにより運転席方向に向う光を遮断することができるので運転者にCRTデイスプレイ3が見えないようにすることができる」(第3頁左上欄9行?15行)、
の記載、並びに、第1図及び第2図の記載からみて、刊行物2には、
「情報表示機器には板状のライトコントロールフイルムを設けてなり、情報表示機器とライトコントロールフイルムとは、情報表示機器の表示光投射面とライトコントロールフイルムの一方の面とが接するように配置されており、前記ライトコントロールフイルムは、その内部に組み込まれた複数のルーバーによって、前記情報表示機器からの表示光を規制した方向以外には向かわない方向性を持った光にするようになっている、車両用情報表示装置」が記載されているものと認められる。

刊行物3の、
(ト)「即ち本実施例にあっては、基板4、演算駆動回路5、表示源6とを組合せてなる表示ユニット3を上向きとなして、反射面が表側であるハーフミラー8の裏側下方には配置し、またハーフミラー8の表側情報、つまりメータフード2の下側面には、上記表示源6と相対する反射板(鏡)11を取付けたものである。(中略)このように構成された反射型表示装置にあっては、表示源6がハーフミラー8の裏側下部には配置されていることから、この表示源6による表示像9は、ハーフミラー8を透して反射板11に反射され、この反射板11による反射像はハーフミラー8に投影される。このときのハーフミラー8における投影表示像の虚像結像」(第5頁7行?第6頁2行)
の記載及び第1図の記載からみて、刊行物3には、
「目視者の視線方向から外れた位置に設けられた表示ユニット3と、この表示ユニット3に対向する位置に設けられた反射板(鏡)11と、これら表示ユニット3と反射板(鏡)11との中間に傾斜して位置するハーフミラー8とを備え、前記表示ユニット3からの表示光を前記ハーフミラー8を透過させて前記反射板(鏡)11で反射させ、その反射光を前記ハーフミラー8によって反射させて目視者の視線方向に光路変更し、目視者に前記表示ユニット3からの表示光の虚像を見せる虚像表示装置」(以下、「刊行物3記載の考案」という。)が記載されているものと認められる。

4.対比・判断
【本件考案1について】
本件考案1と刊行物1記載の考案とを対比すると、後者の「運転者」、「各種走行データの鏡面像が形成された小型蛍光表示管7」、「凹面反射鏡9」、「ライトコントロールフィルム12」は、それらの機能からみてそれぞれ、前者の「目視者」、「表示デバイス」、「反射板」、「光制御素子」に相当するから、両者は、
「目視者の視線方向から外れた位置に設けられた表示デバイスを備え、この表示デバイスからの表示光を反射板によって反射させて目視者の視線方向に光路変更し、目視者に前記表示デバイスからの表示光の虚像を見せる虚像表示装置において、前記表示デバイスには、板状の光制御素子を設けてなり、これらの表示デバイスと光制御素子とは、表示デバイスの表示光投射面と光制御素子の一方の面とが接するように配置されている、虚像表示装置」で一致し、以下の点で相違する。
【相違点】前者では、光制御素子が、内部に組み込まれた複数のルーバーによって、表示デバイスからの表示光を規制した方向以外には向かわない方向性を持った光にするようになっているものであるのに対して、後者では、光制御素子の構造、機能が明らかではない点。
ところで、刊行物2記載の考案における「情報表示機器」、「ライトコントロールフイルム」、「車両用情報表示装置」は、それらの機能からみてそれぞれ、本件考案1における「表示デバイス」、「光制御素子」、「表示装置」に相当するから、刊行物2には、
「表示デバイスには板状の光制御素子を設けてなり、これらの表示デバイスと光制御素子とは表示デバイスの表示光投射面と光制御素子の一方の面とが接するように配置されており、前記光制御素子は、その内部に組み込まれた複数のルーバーによって、前記表示デバイスからの表示光を規制した方向以外には向かわない方向性を持った光にするようになっている、表示装置」が記載されているものと認められる。
そして、該刊行物2記載の考案は、刊行物1記載の考案と同じく、「表示装置」という技術分野に属するものであるから、刊行物1記載の考案の光制御素子を、刊行物2記載の考案の構造、機能を有する光制御素子に変更することは、当業者がきわめて容易になし得ることである。
また、本件考案1の作用効果は、刊行物1、2記載の考案から当業者が予測可能な範囲内のものである。

【本件考案2について】
本件考案2と刊行物3記載の考案とを対比すると、後者の「表示ユニット3」、「反射板(鏡)11」、「ハーフミラー8」は、それぞれそれらの機能からみて、前者の「表示デバイス」、「ミラー」、「ハーフミラー」に相当するから、両者は、
「目視者の視線方向から外れた位置に設けられた表示デバイスと、この表示デバイスに対向する位置に設けられたミラーと、これら表示デバイスとミラーとの中間に傾斜して位置するハーフミラーとを備え、前記表示デバイスからの表示光を前記ハーフミラーを透過させて前記ミラーで反射させ、その反射光を前記ハーフミラーによって反射させて目視者の視線方向に光路変更し、目視者に前記表示デバイスからの表示光の虚像を見せる虚像表示装置」で一致し、以下の点で相違する。
【相違点】前者では、表示デバイスには、板状の光制御素子を設けてなり、これらの表示デバイスと光制御素子とは、表示デバイスの表示光投射面と光制御素子の一方の面とが接するように配置されており、前記光制御素子は、その内部に組み込まれた複数のルーバーによって、前記表示デバイスからの表示光を規制した方向以外には向かわない方向性を持った光にするようになっているのに対して、後者では、光制御素子を設けていない点。
ところで、刊行物2には、
「表示デバイスには板状の光制御素子を設けてなり、これらの表示デバイスと光制御素子とは表示デバイスの表示光投射面と光制御素子の一方の面とが接するように配置されており、前記光制御素子は、その内部に組み込まれた複数のルーバーによって、前記表示デバイスからの表示光を規制した方向以外には向かわない方向性を持った光にするようになっている、表示装置」が記載されており、該刊行物2記載の考案は、刊行物3記載の考案と同じく、「表示装置」という技術分野に属するものである。
してみれば、刊行物3記載の考案の表示デバイスに、刊行物2記載の考案の光制御素子を、刊行物2記載の考案と同じ配置位置に設けることは、当業者がきわめて容易になし得ることである。
そして、本件考案2の作用効果は、刊行物2、3記載の考案から当業者が予測可能な範囲内のものである。

IV.むすび
以上のとおりであるから、本件考案1は、刊行物1、2記載の考案に基づき、また、本件考案2は、刊行物2、3記載の考案に基づき、それぞれ当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、いずれも実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
したがって、本件考案1、2についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-05-17 
出願番号 実願平4-4260 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (B60K)
最終処分 取消  
前審関与審査官 渡邊 真  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 飯塚 直樹
舟木 進
登録日 1999-08-13 
登録番号 実用新案登録第2600530号(U2600530) 
権利者 矢崎総業株式会社
東京都港区三田1丁目4番28号
考案の名称 虚像表示装置  
代理人 三好 秀和  
代理人 三好 保男  
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