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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E04H
管理番号 1043355
審判番号 審判1999-14375  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-09-07 
確定日 2001-07-30 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 94052号「掻寄装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 7月 8日出願公開、実開平 6- 49665]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 【1】手続の経緯・本願考案
本願は、平成4年12月15日の出願であって、その請求項1に係る考案(以下「本願考案」という)は、平成12年12月6日付け手続補正書により補正された実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「掻寄幅の中央を通るように設けられるモノレール式のガイドレールと、同ガイドレールに添って転動するローラーを介して少なくとも一方向に駆動されるキャリアと、同キャリアを駆動する手段と、前面である除去面が除去対象物を掻寄幅の中央側から掻寄幅の端部まで案内しながら除去してゆく除去手段とを備える掻寄装置において、前記キャリアと除去手段とは別体で、キャリアはガイドレールの幅より少し広い幅をもつものとされる一方、除去手段は、キャリア側から掻寄幅の端部まで延びた左右1対の羽根板式でその板幅を上下に向け板厚方向を前後に向けた板材で形成されていることを特徴とする掻寄装置。」

【2】引用刊行物及び引用刊行物に記載された考案
〔1〕これに対して、当審が通知した拒絶理由に引用した特開平2-232481号公報(以下「刊行物1」という)には、例えば、次のような記載がある。
1.「降雪地に立設された各種の鉄構1において、ビーム2上にビーム2に添わせて管体3を架設し、この管体3内にワイヤー4の牽引により移動するスライド体5を設け、管体3にスライド用の切溝6を設け、この切溝6を介してスライド体5に連設した支持腕7を管体3より突出せしめ、この支持腕7にラッセル体8を固着してラッセル体8を管体3上に移動自在に設け、スライド体5をワイヤー4により牽引することによりラッセル体8を左右に移動せしめるワイヤー牽引装置9を鉄構1に付設したことを特徴とするビーム冠雪除雪装置に係るものである。」(公報1頁右下欄12行?2頁左上欄3行)
2.「スライド体5に連設した支持腕7を切溝6から突出し、各々の支持腕7の先端を、平面菱形状(第5,6図)又は平面六角状(第2,3,4図)のラッセル体8の上部裏面に付設している。ラッセル体8の中央部には雪切板25を突設している。」(公報2頁右下欄4?9行)
上記1,2の記載と図面の記載を含む刊行物1全体の記載からみて、刊行物1には、
「ビーム2上の中央にビーム2に添って架設した管体3と、この管体3内にワイヤー4の牽引により左右に移動するスライド体5と、同スライド体5を牽引するワイヤー4を牽引するワイヤー牽引装置9と、平面菱形状のラッセル体8の前面及び後面の除雪面がビーム2上の冠雪を除去してゆく除雪装置において、前記スライド体5と除雪手段であるラッセル体8は支持腕7を介して連設された除雪装置。」が記載されている。
〔2〕同じく、当審が通知した拒絶理由に引用した実願昭63-13305号(実開平1-116768号)のマイクロフィルム(以下「刊行物2」という)には、モノレール用のレール1と、同レール1に添って走行自在に跨設された台車12とを有し、前記台車12には、前記レール1上を転動する水平回転軸を有する主動輪15と、前記レール1の両側面を転動する垂直回転軸を有する従動輪16を備えたモノレール台車が記載されている。

【3】対比
本願考案と刊行物1に記載された考案とを対比すると、刊行物1に記載された考案の「ビーム2上の中央にビーム2に添って架設した」,「管体3」,「スライド体5」,「ワイヤー牽引装置9」,「ビーム2上の冠雪」,「ラッセル体8」,「除雪装置」,「スライド体5と除雪手段であるラッセル体8は支持腕7を介して連設され」は、本願考案の「掻寄幅の中央を通るように設けられる」,「モノレール式のガイドレール」,「キャリア」,「キャリアを駆動する手段」,「除去対象物」,「除去手段」,「掻寄装置」,「キャリアと除去手段とは別体で」にそれぞれ対応し、また、刊行物1に記載された考案の「ラッセル体」は平面菱形状をしており、その除去面は除去対象物を掻寄幅の中央側(スライド体5)側から掻寄幅の端部まで案内しながら除去するものであるから、両者は、
「掻寄幅の中央を通るように設けられるモノレール式のガイドレールと、同ガイドレールに添って少なくとも一方向に駆動されるキャリアと、同キャリアを駆動する手段と、除去面が除去対象物を掻寄幅の中央側から掻寄幅の端部まで案内しながら除去してゆく除去手段とを備える掻寄装置において、前記キャリアと除去手段とは別体であることを特徴とする掻寄装置。」の点で構成が一致し、次の点で構成が相違する。
〈相違点1〉
本願考案が、モノレール式のガイドレールに添って転動するローラーを介して少なくとも一方向に駆動されるキャリアとしたのに対して、刊行物1に記載された考案では、モノレール式のガイドレールに添って少なくとも一方向に駆動されるキャリアとし転動するローラという構成を有していない点。
〈相違点2〉
本願考案が、キャリアはガイドレールの幅より少し広い幅をもつとしたのに対して、刊行物1に記載された考案では、キャリアはガイドレール内に位置しキャリアをガイドレールの幅より狭い幅をもつとした点。
〈相違点3〉
本願考案が、除去手段はキャリア側から掻寄幅の端部まで伸びた左右1対の羽根板式でその板幅を上下に向け板厚方向を前後に向けた板材で形成され板材の前面を除去対象物の除去面としているのに対して、刊行物1に記載された考案では、除去手段は平面菱形状のラッセル体としラッセル体の前面と後面を除去対象物の除去面としている点。

【4】判断
前記相違点について検討する。
〈相違点1について〉
刊行物2に記載された考案の「モノレール用のレール1」,「台車12」,「主動輪15及び従動輪16」は、本願考案の「モノレール式のガイドレール」,「キャリア」,「ローラ」にそれぞれ対応するから、刊行物2には、前記相違点1にあげた「モノレール式のガイドレールに添って転動するローラーを介して少なくとも一方向に駆動されるキャリア」という本願考案の構成が記載されており、当該刊行物2に記載された考案のモノレール技術を本願考案のような掻寄装置に適用するに際しての格別の阻害要件もないことから、本願考案の前記相違点1に係る構成のようにすることは、刊行物1,2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到し得た程度のものである。
〈相違点2について〉
刊行物2には、前記相違点2にあげた「キャリアはガイドレールの幅より少し広い幅をもつ」という本願考案の構成が記載されており、当該刊行物2に記載された考案のモノレール技術を本願考案のような掻寄装置に適用するに際しての格別の阻害要件もないことから、本願考案の前記相違点2に係る構成のようにすることは、刊行物1,2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到し得た程度のものである。
〈相違点3について〉
ガイドレールに添って転動するローラを介して少なくとも一方向に駆動されるキャリアに、キャリア側から掻寄幅の端部まで伸びた左右1対の板材からなる除去手段を設け、板材の前面を除去対象物の除去面とすることは周知の事項(例えば、特開昭51-45431号公報等)であり、また、除去手段を板材とする際、その板幅を上下に向け板厚方向を前後に向ける程度のことは、単なる設計的事項に過ぎないものであるから、「除去手段は、キャリア側から掻寄幅の端部まで伸びた左右1対の羽根板式でその板幅を上下に向け板厚方向を前後に向けた板材で形成され、板材の前面を除去対象物の除去面としている」という本願考案の前記相違点3に係る構成のようにすることは、刊行物1に記載された考案及び前記周知の事項に基づいて当業者がきわめて容易に想到し得た程度のものである。

【5】むすび
以上のとおりであるから、本願考案は、刊行物1,2に記載された考案と周知の事項とから当業者がきわめて容易に想到し得たものと認められ、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-05-17 
結審通知日 2001-05-29 
審決日 2001-06-14 
出願番号 実願平4-94052 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (E04H)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 長島 和子土屋 真理子  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 伊波 猛
中田 誠
考案の名称 掻寄装置  

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