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審決分類 審判 一部申し立て   H04Q
管理番号 1043363
異議申立番号 異議2000-72037  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-08 
確定日 2001-03-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2601111号「携帯形無線機」の請求項1、2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2601111号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2601111号考案は、京セラ株式会社より、平成5年10月14日に実用新案登録出願され、平成11年9月3日にその実用新案権の設定登録がなされ、その後、児玉喜博より請求項1,2について実用新案登録異議の申立てがなされ、平成12年8月23日付で取消理由通知がなされ、その指定期間である平成12年10月30日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正請求の内容
実用新案権者が求めている本件訂正請求の内容は、
(a)請求項1に係る記載である
「【請求項1】筐体前面に送話口と受話口とが共に形成され、筐体上部に形成された開口から上方にアンテナが突出する携帯形無線機において、前記筐体上部の一部に突起状で先端から筐体内部に通じる前記開口が形成された突起部が形成され、上方に行くに従い筐体前面から遠ざかる後方向に前記アンテナを傾斜保持するガイドが前記突起部の開口内に具備されて、前記ガイドに沿ってアンテナが移動し、前記筐体内に収納され並びに筐体内から引き伸ばされるようにされたことを特徴とする携帯形無線機。」
を実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】筐体前面に送話口と受話口とが共に形威され筐体上部に形成された開口から上方に該筐体肉から引き伸ばされたアンテナが突出する携帯形無線機において、前記筐体上部の一部を突起状にし先端から筐体内部に通じる前記開口が形成された突起部が形成され、上方に行くに従い筐体前面から遠ざかる後方向に前記アンテナを所定角度傾斜させた状態に保持するガイドが前記突起部の開口内に具備されて、前記ガイドに沿ってアンテナが移動し、前記突起部から前記所定角度傾斜した状態で筐体内に収納され並びに前記所定角度傾斜した状態で突起部から引き伸ばされるようにされたことを特徴とする携帯形無線機。」
と訂正し、
これに伴い、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書の「課題を解決するための手段」の欄及び「考案の効果」の欄の「アンテナが突出する」を「該筐体内から引き伸ばされたアンテナが突出する」と訂正し、「一部に突起状で」を「一部を突起状にし」と訂正し、「傾斜保持」を「所定角度傾斜させた状態に保持」と訂正し、「前記筐体内に収納され並びに筐体内から引き伸ばされる」を、「前記突起部から前記所定角度傾斜した状態で筐体内に収納され並びに前記所定角度傾斜した状態で突起部から引き伸ばされる」と訂正する。

(b)請求項2,3において、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、もとの請求項2を削除し、これに伴い、請求項番号の整合をとるためもとの請求項3の番号を繰り上げ「請求項2」と訂正し、
もとの請求項2の削除に伴い実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書の「課題を解決するための手段」の欄の記載「さらに、本考案は、前記突起部を軸支させ、前記引き伸ばした時にアンテナが後方向に回動するようにされたことを特徴とする請求項1記載の携帯形無線機である。」を削除し、明細者の「考案の効果」の欄の記載「さらに本考案は、前記突起部を軸支させ、前記引き伸ばした時にアンテナが後方向に回動するようにされたので、高周波回路基板を内包するシールドブロックの形状を変更するなど無線機本体の構造を変更する必要がなくなる。」を削除するものである。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、および拡張・変更の存否についての判断
上記訂正請求(a)は、請求項1に記載された「突起部」が筐体上部の一部を突起状にしたものであることに限定するものであり、「ガイド」が上方に行くに従い筐体前面から遠ざかる後方向に前記アンテナを所定角度傾斜させた状態に保持するガイドであることを限定するものであり、「アンテナ」がガイドに沿って移動し、前記突起部から前記所定角度傾斜した状態で筐体内に収納され並びに前記所定角度傾斜した状態で突起部から引き伸ばされることに限定するものであり、また、それに伴って、請求項1の記載と整合を取るために、考案の詳細な説明の欄の記載を訂正するものであり、また、上記訂正事項(b)は、もとの請求項2を削除しもとの請求項3を新たな請求項2とし、また、それに伴って、考案の詳細な説明の欄の記載を訂正するものである。
したがって、上記訂正請求(a),(b)のうち、請求項1の記載の訂正及び請求項2の削除は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであって、しかもその記載事項は、出願当初の明細書の考案の詳細な説明の欄および第1?3図の記載から明らかなように、訂正前の明細書に記載されているものであるので、この訂正は、新規事項の追加には該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。また、考案の詳細な説明の欄の記載を訂正は、請求項の記載と整合を取るために、考案の詳細な説明の欄の記載を訂正するものであって、不明瞭な記載の釈明を目的とするものに該当し、しかもその訂正は、願書に最初に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、新規事項の追加には該当しない。

(3)むすび
以上のとおりであるので、上記訂正請求は、特許法等を改正する法律(平成6年12月14日法律第116号)附則第9条第2項・特許法第120条の4第2項及び第3項の規定に適合するので、上記訂正請求を認める。

3.取消理由通知・登録異議の申立についての判断
(1)訂正明細書の請求項1に係る考案
訂正明細書の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの
「筐体前面に送話口と受話口とが共に形成され、筐体上部に形成された開口から上方に該筐体内から引き伸ばされたアンテナが突出する携帯形無線機において、前記筐体上部の一部を突起状にし先端から筐体内部に通じる前記開口が形成された突起部が形成され、上方に行くに従い筐体前面から遠ざかる後方向に前記アンテナを所定角度傾斜させた状態に保持するガイドが前記突起部の開口内に具備されて、前記ガイドに沿ってアンテナが移動し、前記突起部から前記所定角度傾斜した状態で筐体内に収納され並びに前記所定角度傾斜した状態で突起部から引き伸ばされるようにされたことを特徴とする携帯形無線機。」
により特定されるものである。

(2)取消理由通知の内容
当審が平成12年8月23日付けで通知した取消理由通知の概要は、
刊行物1?9として、
刊行物1.実願昭62-124491号(実開昭64-29943号公報参照)のマイクロフィルム(昭和64年(平成1年)2月22日特許庁発行)
刊行物2.実願昭59-52113号(実開昭60-163849号公報参照)のマイクロフィルム(昭和60年10月31日特許庁発行)
刊行物3.実願昭60-172866号(実開昭62-80455号公報参照)のマイクロフィルム(昭和62年5月22日特許庁発行)
刊行物4.特開平1-303840号公報(平成1年12月7日特許庁発行)
刊行物5.実願平3-87600号(実開平5-31317号公報参照)のCD-ROM(平成5年4月23日特許庁発行)
刊行物6.実願昭54-147414号(実開昭56-69107号公報参照)のマイクロフィルム(昭和56年6月8日特許庁発行)
刊行物7.実願昭58-55991号(実開昭59-161704号公報参照)のマイクロフィルム(昭和59年10月30日特許庁発行)
刊行物8.実願昭61-113415号(実開昭63-20633号公報参照)のマイクロフィルム(昭和63年2月10日特許庁発行)
刊行物9.特開昭63-67032号公報(昭和63年3月25日特許庁発行)
を引用して、本件請求項1,2に係る考案は、刊行物1?9に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件請求項1,2に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである、と言うものである。

(3)異議申立について
異議申立人児玉喜博は、
甲第1号証.実開昭64-29943号公報のマイクロフィルム
甲第2号証.実開昭60-163849号公報のマイクロフィルム
甲第3号証.実開昭62-80455号公報のマイクロフィルム
甲第4号証.特開平1-303840号公報
甲第5号証.実開平5-31317号公報のマイクロフィルム
を提出して、本件請求項1,2に係る考案は、上記甲第1?5号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであって、実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録されたものであるから、本件実用新案登録は取消されるべきである、と主張している。

(4)当審の判断
異議申立人が提出した甲第1?5号証は、それぞれ、上記取消理由通知で示した刊行物1?5と同じものである。
そして、上記刊行物1?9には、本件考案の構成要件の一部である、筐体上部の一部を突起状にし先端から筐体内部に通じる前記開口が形成された突起部が形成され、上方に行くに従い筐体前面から遠ざかる後方向に前記アンテナを所定角度傾斜させた状態に保持するガイドが前記突起部の開口内に具備されて、前記ガイドに沿ってアンテナが移動し、前記突起部から前記所定角度傾斜した状態で筐体内に収納され並びに前記所定角度傾斜した状態で突起部から引き伸ばされるようにされたことは記載されておらず、また、そのことを示唆する記載も存在しない。そして、本件請求項1に係る考案は、上記構成を具備することによって、明細書記載の所期の効果が得られるものと認められる。
したがって、本件請求項1に係る考案は、上記刊行物1?9に記載の考案と実質的に同一であるとも、または、上記刊行物1?9に記載の考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとも認めることはできない。
なお、もとの請求項2は削除されており、それについて判断する必要はない。

(5)異議申立人の主張について
異議申立人は、請求項1については、アンテナを有する携帯無線機においては、使用時にアンテナと頭との距離が小さくなって、電波の送受特性が乱される不都合を回避するために、アンテナを頭より遠ざけなければならないという、本件考案の解決しようとする課題は、甲第1号証に記載されているように、従来より周知であり、また、甲第2,3号証には、本件請求項1に係る考案の構成要件のうち、「前記筐体上部の一部に突起状で先端から筐体内部に通じる前記開口が形成された突起部が形成され」ることは記載されていないが、甲第4号証に、「携帯無線機の上部に突起部を形成し、この突起部アンテナを挿通させたもの」が開示されているから、請求項1に係る考案は、甲第2号証及び甲第3号証に記載された考案に、甲第4号証記載された考案を単に適用したものに過ぎず、当業者が容易に考案をすることができたものであるから、本件請求項1に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録されたものである、と主張している。
しかしながら、甲第1号証に記載されているように、アンテナを有する携帯無線機においては、使用時にアンテナと頭との距離が小さくなって、電波の送受特性が乱される不都合を回避するために、アンテナを頭より遠ざけなければならないという、本件考案の解決しようとする課題自体は、従来より周知であったとしても、そのための具体的構成として、本件請求項1に係る考案のように、筐体上部の一部を突起状にし先端から筐体内部に通じる開口が形成された突起部が形成され、上方に行くに従い筐体前面から遠ざかる後方向に前記アンテナを所定角度傾斜させた状態に保持するガイドが前記突起部の開口内に具備されて、前記ガイドに沿ってアンテナが移動し、前記突起部から前記所定角度傾斜した状態で筐体内に収納され並びに前記所定角度傾斜した状態で突起部から引き伸ばされるようにすることは、甲第1?5号証のいずれにも記載されておらず、また、そのことを示唆する記載も存在しないので、本件請求項1に係る考案が、甲第1?5号証に記載された考案と実質的に同一であるとも、または、甲第1?5号証に記載の考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認めることはできない。
また、請求項2に係る考案については、平成12年10月30日付け訂正請求により、削除された。
したがって、異議申立人の係る主張には根拠がなく、採用することはできない。

4.まとめ
以上のとおりであるので、本件特許異議申立ての理由および証拠によっては、本件訂正明細書の請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、ほかに本件訂正明細書の請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
携帯形無線機
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】筐体前面に送話口と受話口とが共に形成され、筐体上部に形成された開口から上方に該筐体内から引き伸ばされたアンテナが突出する携帯形無線機において、前記筐体上部の一部を突起状にし先端から筐体内部に通じる前記開口が形成された突起部が形成され、上方に行くに従い筐体前面から遠ざかる後方向に前記アンテナを所定角度傾斜させた状態に保持するガイドが前記突起部の開口内に具備されて、前記ガイドに沿ってアンテナが移動し、前記突起部から前記所定角度傾斜した状態で筐体内に収納され並びに前記所定角度傾斜した状態で突起部から引き伸ばされるようにされたことを特徴とする携帯形無線機。
【請求項2】前記突起部に螺旋状アンテナ素子が内包されたことを特徴とする請求項1記載の携帯形無線機。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、携帯電話等の移動体通信システムにおける携帯形無線機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯形無線機には、アンテナを無線機内に収納することができ、通話時又は弱電界域時にアンテナを引き伸ばすものと、アンテナが筐体に取付け固定されたもの、さらにはアンテナ用コネクタに何種類かのアンテナを付け替えられるようにしたものがある。
【0003】
しかしながら、これらに共通して、アンテナは筐体上面から垂直上方向に取り付けられており、電波の弱い場所では通話者の頭部が電波を遮蔽して良好な通話が行えないことがある。
【0004】
本考案の目的は上記従来技術の課題を解決するために、人体の影響を受けにくい携帯用無線機を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決するために請求項1に記載する本考案は、筐体前面に送話口と受話口とが共に形成され、筐体上部に形成された開口から上方に該筐体内から引き伸ばされたアンテナが突出する携帯形無線機において、前記筐体上部の一部を突起状にし先端から筐体内部に通じる前記開口が形成された突起部が形成され、上方に行くに従い筐体前面から遠ざかる後方向に前記アンテナを所定角度傾斜させた状態に保持するガイドが前記突起部の開口内に具備されて、前記ガイドに沿ってアンテナが移動し、前記突起部から前記所定角度傾斜した状態で筐体内に収納され並びに前記所定角度傾斜した状態で突起部から引き伸ばされるようにされたことを特徴とする携帯形無線機である。
【0006】
【0007】
さらに、本考案は、前記突起部に螺旋状アンテナ素子が内包されたことを特徴とする請求項1記載の携帯形無線機である。
【0008】
【実施例】
以下、図面に従い本考案の一実施例を説明する。図1は本考案の一実施例を示すアンテナ引き伸ばしタイプの携帯形無線機で、同図(a)は携帯形無線機前面図、同図(b)はアンテナ収納時の携帯形無線機断面図、同図(c)はアンテナ引き伸ばし時の携帯形無線機断面図である。
【0009】
同図(a)は筐体1の前面1aに送話口2、受話口3、操作面4、LCD表示部10が形成され、筐体1内に収納されたアンテナがプラスチック製のアンテナキャップ5aを上面1bから覗かしている。同図(b)は筐体1内にアンテナ5が収納された状態を示し、筐体1の開口6は上方向に行くに従い背面1c方向に近づくように傾斜し、この開口6と筐体1の内面に形成したリブ1dとでガイドを形成し、アンテナ5はこのガイドに沿って傾斜した状態で筐体1内に収納される。引き伸ばし時は、同図(c)のようにアンテナ5は開口6とリブ1dに傾斜保持されながら、このガイドに沿って、斜め後方に引き伸ばされる。
【0010】
図2は本考案の他の実施例を示すアンテナ引き伸ばしタイプの携帯形無線機上部断面図である。なお、図1と同一部位には同一符号を付してある。
【0011】
図2はガイドとして管7を用いた例で、送話口と受話口が開口された前面1aと、アンテナ5が筐体1内部から外部に引き伸ばされる開口6が形成された上面1bと、前面1aに対向する背面1cとから成る筐体1の上部が図示されており、開口6は上方向に行くに従い背面方向に近づくように傾斜しており、管7はこの開口6から前面1a方向の斜め下に降ろされ、アンテナ5がアンテナキャップ5aを残して管7の内面に沿って筐体1内に収納されている。
【0012】
図3は本考案の一実施例を示す垂直引き伸ばしタイプの携帯形無線機で、同図(a)はアンテナ収納時の携帯形無線機断面図、同図(b)はアンテナ引き伸ばし時の携帯形無線機断面図、同図(c)はアンテナ傾斜時の携帯形無線機断面図で、図1と同一部位には同一符号を付してある。
【0013】
この携帯形無線機はガイドである回転管8がその側面の対向する2か所に支軸8aを設けられ、筐体1の上面1bに形成された凹部1e内で、この凹部1eの内面に形成された軸孔に嵌入されて回動するようにされ、この回転管8の内周が、筐体1内に収納並びに筐体1内から引き伸ばされるアンテナ5をガイドする。さらに回転管8の下側で凹部1eには開口6が形成されており、アンテナ5は筐体1内にこの開口6を通過して収納される。この凹部1eの形状は、アンテナ5の収納時に回転管8の回動が完全に規制され、アンテナ5の引き伸ばし時に回転管8が背面1c方向へ所定角度だけ傾斜するように設計される。
【0014】
このアンテナ収納時の様子は同図(a)に示されているように、アンテナ5はアンテナキャップ5aを残して回転管8の内周を通過するとともに開口6を通過して筐体1内に垂直に収納される。このため開口6にアンテナ5が当接して、回転管8の回動が完全に規制される。
【0015】
また、アンテナの引き伸ばしは同図(a)の収納状態にあるアンテナ5のアンテナキャップ5aを摘んで垂直に引き上げる。これによって、同図(b)に示すようにアンテナ5の下端部が開口6から抜け出る。したがって、回転管5は回動可能な状態になるが、凹部1eの形状に基づき同図(c)のように背面c方向のみに所定角度だけ傾斜が可能になる。
【0016】
この実施例は、例えば、本願出願人の特願平5-103123号の伸縮式アンテナに適用することができる。この場合、回転管8は、1/4波長の電気長を有する螺旋状アンテナ素子をプラスチック材に内包するプラスチック円筒に構成され、これに内包されている螺旋状アンテナ素子に無線機回路から給電をする。また、アンテナ5は、1/2波長の電気長を有する伸縮式のアンテナとして構成され、回転管8のプラスチック内周壁をガイドとする。そして、アンテナ5の引き伸ばし時にはアンテナ5の下端部が回転管8の内周部であって内包される螺旋状アンテナ素子とは非接触で、螺旋状アンテナ素子の頭部より一定距離だけ上方位置で電磁界結合する。また、収納時にはアンテナ5が上端部分を回転管8の内周部であって内包される螺旋状アンテナ素子とは非接触で、螺旋状アンテナ素子の頭部よりも下方位置で、かつ上端部分が1/4波長螺旋状アンテナ素子内部空間にあって電磁界結合されながら整合がとられる位置に配置される。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【考案の効果】
上述の通り本考案は、筐体前面に送話口と受話口とが共に形成され、筐体上部に形成された開口から上方に該筐体内から引き伸ばされたアンテナが突出する携帯形無線機において、前記筐体上部の一部を突起状にし先端から筐体内部に通じる前記開口が形成された突起部が形成され、上方に行くに従い筐体前面から遠ざかる後方向に前記アンテナを所定角度傾斜させた状態に保持するガイドが前記突起部の開口内に具備されて、前記ガイドに沿ってアンテナが移動し、前記突起部から前記所定角度傾斜した状態で筐体内に収納され並びに前記所定角度傾斜した状態で突起部から引き伸ばされるようにされたことを特徴とする携帯形無線機なので、容易に、引き伸ばしたアンテナが人体から離れて感度が良くなり良好な通信が可能になる。
【0021】
【0022】
さらに本考案は、例えば伸縮可能にされた1/2波長アンテナと1/4波長螺旋状アンテナとの組み合わせから成る電磁界結合方式の伸縮アンテナを構成する場合、前記突起部に螺旋状アンテナ素子を内包させることにより容易に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の一実施例を示すアンテナ引き伸ばしタイプの携帯形無線機で、同図(a)は携帯形無線機前面図、同図(b)はアンテナ収納時の携帯形無線機断面図、同図(c)はアンテナ引き伸ばし時の携帯形無線機断面図。
【図2】 本考案の他の実施例を示すアンテナ引き伸ばしタイプの携帯形無線機上部断面図。
【図3】 本考案の一実施例を示す垂直引き伸ばし回動タイプの携帯形無線機で、同図(a)はアンテナ収納時の携帯形無線機断面図、同図(b)はアンテナ引き伸ばし時の携帯形無線機断面図、同図(c)はアンテナ傾斜時の携帯形無線機断面図。
【符号の説明】
1:筐体 1a:前面 1b:上面 1c:背面 1d:リブ 2:送話口 3:受話口 4:操作面 5:アンテナ 5a:アンテナキャップ 6:開口 7:管 8:回転管
訂正の要旨 訂正事項1.
請求項1に係る記載
「【請求項1】筐体前面に送話口と受話口とが共に形成され、筐体上部に形成された開口から上方にアンテナが突出する携帯形無線機において、前記筐体上部の一部に突起状で先端から筐体内部に通じる前記開口が形成された突起部が形成され、上方に行くに従い筐体前面から遠ざかる後方向に前記アンテナを傾斜保持するガイドが前記突起部の開口内に具備されて、前記ガイドに沿ってアンテナが移動し、前記筐体内に収納され並びに筐体内から引き伸ばされるようにされたことを特徴とする携帯形無線機。」を実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】筐体前面に送話口と受話口とが共に形成され、筐体上部に形成された開口から上方に該筐体内から引き伸ばされたアンテナが突出する携帯形無線機において、前記筐体上部の一部を突起状にし先端から筐体内部に通じる前記開口が形成された突起部が形成され、上方に行くに従い筐体前面から遠ざかる後方向に前記アンテナを所定角度傾斜させた状態に保持するガイドが前記突起部の開口内に具備されて、前記ガイドに沿ってアンテナが移動し、前記突起部から前記所定角度傾斜した状態で筐体内に収納され並びに前記所定角度傾斜した状態で突起部から引き伸ばされるようにされたことを特徴とする携帯形無線機。」と訂正する。
これに伴い、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書の「課題を解決するための手段」の欄及び「考案の効果」の欄の「アンテナが突出する」を「該筐体内から引き伸ばされたアンテナが突出する」と訂正し、「一部に突起状で」を「一部を突起状にし」と訂正し、「傾斜保持」を「所定角度傾斜させた状態に保持」と訂正し、「前記筐体内に収納され並びに筐体内から引き伸ばされる」を、「前記突起部から前記所定角度傾斜した状態で筐体内に収納され並びに前記所定角度傾斜した状態で突起部から引き伸ばされる」と訂正する。
訂正事項2.
請求項2,3において、実用新案登録請求の範囲の滅縮を目的として、もとの請求項2を削除し、これに伴い、請求項番号の整合をとるためもとの請求項3の番号を繰り上げ「請求項2」と訂正する。
もとの請求項2の削除に伴い、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書の「課題を解決するための手段」の欄の記載「さらに、本考案は、前記突起部を軸支させ、前記引き伸ばした時にアンテナが後方向に回動するようにされたことを特徴とする請求項1記載の携帯形無線機である。」を削除し、明細書の「考案の効果」の欄の記載「さらに本考案は、前記突起部を軸支させ、前記引き伸ばした時にアンテナが後方向に回動するようにされたので、高周波回路基板を内包するシールドブロックの形状を変更するなど無線機本体の構造を変更する必要がなくなる。」を削除する。
異議決定日 2001-02-26 
出願番号 実願平5-55611 
審決分類 U 1 652・ 121- YA (H04Q)
最終処分 維持    
前審関与審査官 重田 尚郎  
特許庁審判長 西川 正俊
特許庁審判官 橋本 正弘
吉見 信明
登録日 1999-09-03 
登録番号 実用新案登録第2601111号(U2601111) 
権利者 京セラ株式会社
京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地
考案の名称 携帯形無線機  

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