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審決分類 審判 全部申し立て   F16L
管理番号 1043370
異議申立番号 異議2000-72784  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-07-11 
確定日 2001-05-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2602603号「パイプ保持具」の請求項1乃至5に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2602603号の請求項1乃至4に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2602603号は、平成5年9月30日の出願に係り、平成11年11月12日に設定登録がなされ、平成12年1月24日にその実用新案登録公報が発行され、その後、大島信久より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年1月26日に実用新案登録異議意見書の提出とともに訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1) 訂正の内容
実用新案権者が求めている明細書の訂正の内容は以下の通りである。
A.【実用新案登録請求の範囲】の【請求項1】の、「形成されていることを特徴とする」の記載を、「形成されており、基体が、スタッド受入穴をその長手方向に更に延長する形状に形成されて、該基体には、前記係止爪を有する前記スタッド受入穴とこのスタッド受入穴に連続する延長受入穴部分が形成されており、前記延長受入穴部分には係止爪が設けられず且つスタッドの外径より大きい内径の穴として形成され、前記スタッド受入穴ではスタッドが自由に出入りできないが前記延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできることを特徴とする」と訂正する。
B.【実用新案登録請求の範囲】の【請求項4】を削除し、【請求項5】を【請求項4】と訂正する。
C.【考案の詳細な説明】の段落番号【0005】の、「形成されていることを特徴とする」の記載及び「スタッドへの係止力も大きい。」の記載を、それぞれ、「形成されており、基体が、スタッド受入穴をその長手方向に更に延長する形状に形成されて、該基体には、前記係止爪を有する前記スタッド受入穴とこのスタッド受入穴に連続する延長受入穴部分が形成されており、前記延長受入穴部分には係止爪が設けられず且つスタッドの外径より大きい内径の穴として形成され、前記スタッド受入穴ではスタッドが自由に出入りできないが前記延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできることを特徴とする」及び「スタッドへの係止力も大きく、前記スタッド受入穴ではスタッドが自由に出入りできないが前記延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできるので、パイプ保持具の取り外しが容易である。」と訂正する。
D.【考案の詳細な説明】の段落番号【0006】の「基体を、スタッド受入穴をその長手方向に更に延長する形状に形成し、該延長受入穴部分には係止爪が設けず、この延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできるようにして、パイプ保持具の取り外しを容易にするようにしてもよい。」の記載を削除する。

(2)訂正の目的の適否・新規事項の有無・実用新案登録請求の範囲の実質的拡張あるいは変更の有無
訂正Aは、請求項1に係る考案について、スタッド受入穴の形状を、係止爪を有するスタッド受入穴と、それに連続し、係止爪が設けられておらず、且つスタッドの外径より大きい内径の穴として形成される延長受入穴部分とからなるものに限定するものであり、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、この訂正は、訂正前の【請求項4】に記載された事項及び【考案の詳細な説明】の段落番号【0012】に記載された事項に基づくもので、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正Bは、上記訂正Aにより、訂正前の【請求項4】に記載された事項が、請求項1に取り込まれたことに伴い該【請求項4】を削除し、【請求項5】を新たに【請求項4】とするものであり、訂正C及び訂正Dは、上記訂正A及び訂正Bに伴い、【実用新案登録請求の範囲】の記載と【考案の詳細な説明】の記載の整合を図るもので、何れも、訂正Aに伴う明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。そして、この訂正も、訂正Aと同様に、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正の適否についての結論
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.実用新案登録異議の申立てについての判断
(1)本件考案
上記の訂正が認められたので、本件請求項1乃至4に係る考案は、訂正された明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至4に記載される事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】パネルに固着されたねじスタッドを受入れるスタッド受入穴が形成された基体と、該基体から側方に一体的に延び且つ開口した部分への押し込みによりパイプを保持するパイプグリップ部を備え、前記基体のスタッド受入穴には、受入れたスタッドのねじ部分に係止する係止爪が形成されたパイプ保持具において、
前記基体のスタッド受入穴は、パイプ保持部材に保持されたパイプの長手方向に平行な方向に長く形成され、前記係止爪は、該スタッド受入穴の長手方向に平行に延びる対向配置された少なくとも一対の板状体で形成されており、対を成す係止爪の各々の高さはスタッドのねじピッチに合わせてずらされており、各係止爪を成す板状体は、前記スタッド受入穴の長手方向に延びる長方形の板で形成されており、基体が、スタッド受入穴をその長手方向に更に延長する形状に形成されて、該基体には、前記係止爪を有する前記スタッド受入穴とこのスタッド受入穴に連続する延長受入穴部分が形成されており、前記延長受入穴部分には係止爪が設けられず且つスタッドの外径より大きい内径の穴として形成され、前記スタッド受入穴ではスタッドが自由に出入りできないが前記延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできることを特徴とするパイプ保持具。
【請求項2】請求項1に記載のパイプ保持具において、係止爪が、スタッド受入穴に高さ方向にずらして2対形成されており、一方の係止爪対と他方の係止爪対の高さがねじスタッドの複数のピッチに適合するようにそれらの公倍数に近似させてあることを特徴とするパイプ保持具。
【請求項3】請求項1に記載のパイプ保持具において、係止爪の先端が多段に形成されたことを特徴とするパイプ保持具。
【請求項4】請求項1に記載のパイプ保持具において、基体のスタッド受入穴の入口部分に、スタッドへの被膜を削るくさび状の突起が設けられていることを特徴とするパイプ保持具。」

(2)異議の申立ての理由の概要
異議申立人大島信久は、証拠として甲第1乃至7号証を提出し、本件訂正前の請求項1に係る考案は甲1乃至3号証に記載された考案に基づいて、同請求項2に係る考案は甲第1乃至4号証に記載された考案に基づいて、同請求項3に係る考案は、甲第1乃至3号証及び甲第5号証に記載された考案に基づいて、同請求項4に係る考案は、甲第1乃至3号証及び甲第6号証に記載された考案に基づいて、同請求項5に係る考案は、甲第1乃至3号証及び甲第7号証に記載された考案に基づいて、何れも当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、本件訂正前の請求項1乃至5に係る実用新案登録は取り消すべきであると主張している。

(3)異議申立人の提示した証拠及びその開示事項
甲第1号証:実公平2-14706号公報
甲第2号証:実願昭59-138777号(実開昭61-52710号)のマイクロフィルム
甲第3号証:実公平5-20889号公報
甲第4号証:意匠登録第825604号公報
甲第5号証:実願昭63-60876号(実開平1-163277号)のマイクロフィルム
甲第6号証:実願昭59-151336号(実開昭61-66282号)のマイクロフィルム
甲第7号証:実願昭63-52257号(実開平1-154318号)のマイクロフィルム
甲第1号証には、「自動車の車体等の所定の取付面に固着された固定具を介してフユーエルチューブ、ブレーキチューブ等を取付けてこれらを支持固定するチューブ等の取付構造に関する」(第1欄第16?19行)考案が記載されており、実施例として、「車体10にはスタッド12の基部12a溶接固定されている。第2図に詳細に示すように、スタッド12は、内面に内ネジ12bが形成され上方が開口した中空部12cを有している。また、スタッドの外表面には外ネジ12dが形成されている。第3図及び第4図を併わせて参照すれば、スタッド12は、合成樹脂材料で構成されたクリップ14の中央部に設けられた貫通孔14aに嵌合している。該クリップの貫通孔14aの内部には対向して一対の係止爪16が形成されており、該係止爪16はスタッド12の外ネジ12dに係合している。クリップ14の上には、一端部に弾性部材18を介してチューブ20を抱持したリテーナ22が重ねられており、このリテーナ22は、スプリングワッシャ24及びワッシャ26を介し、スタッド12の内ネジ12bに螺合するボルト28により、クリップとの間に締付固定されている。」(第5欄第1?18行)点、「クリップの貫通孔14aとリテーナ22のボルト挿通孔22bはチューブの延設方向に長い長孔になっており、スタッド12を車体10に溶接固定した後において、クリップ14及びリテーナ22を動かしてチューブ20の支持位置を調整することができる。この場合クリップの係止爪16は長孔の長軸方向に沿って設けられているのでクリップ14を動かしてもスタッド12との係合状態を維持することができる。」(第5欄第33?41行)点等が図面とともに示されている。
甲第2号証には、「ねじ付スタッドを固着した車体等の部材に、パネルやパイプ、その他の部材をねじ付スタッドを介して固定する固定具に関する」(第3頁第3?5行)考案が記載されており、実施例として、「スタッド挿通空間3には、外壁2の内面から中心に向けて係止爪4が設けられている。この係止爪4は、直径方向に対向して対になって形成されており、また各係止爪4は外壁2から中心に向けて上方に傾斜して設けられるのが好ましく、これによりスタッドへの挿入時に係止爪に対して弾性を与えてその挿入を容易にするとともに挿通後の抜け止めの作用を成す。各係止爪対は固定具の軸心方向(すなわち上下方向)に複数段(図示の例では4段)設けられ、これにより、各係止爪の剛性を増すことなく強い固着力を維持できる。この段数は2以上であれば任意でよく、挿入時の容易性と固着力との兼ね合いで適当に選択できる。」(第5頁第3?16行)ことが記載され、第1図には、スタッド挿通空間3の径方向に沿って延びる長方形を成す板状体からなる係止爪4が示され、第2図には、対向する係止爪4がスタッド12のねじのピッチに合わせて上下方向にずらして配置された態様が示されている。
甲第3号証には、「ボルト状係止部材を介して部品等を固定するためのボルト用係止具に関する」(第1欄第12?13行)考案が記載されており、従来例を示す第6、7図に、長方形を成す板状体からなる複数対の係止爪25がスタッド28に対向して、スタッドのねじのピッチに合わせて上下方向にずらして配置された態様が示されている。
甲第4号証には、スタッド用係止具に係る意匠が示されており、取付状態を示す参考断面図に、一対のボルト係止アームにそれぞれ形成された2対の突起状係合部がスタッドボルトのネジのピッチに合わせて上下方向にずらして配置された態様が示されている。
甲第5号証には、パイプ保持具に関する考案において、「スタッド固定部11の軸部18の内面に、溝付スタッドとしてのねじ付スタッド2の谷部分に係止する弾性係止爪21がスタッド固定部11の先端部側(図の上側)に形成されており、そして、この係止爪21は、第1図(e)に最もよく示されるように、少なくとも2段に形成されている」(第7頁第11?17行)ことが図面とともに示されている。
甲第6号証には、「車両用配管クランプ」に関して、「ねじ挿通孔10はクランプ本体7の外面7b側から着座面7a側に拡開するテーパ孔になっていると共に、……配管チューブ4の軸方向に長い長穴になっている。このテーパ孔かつ長穴になったねじ挿通孔10の外面7b側の開口、つまり小径開口10aの口角部にねじ6のねじ溝一つに係合する仮保持用爪縁11を突設してある。」(第4頁第7?14行)こと、「ねじ6を第3図の実線と仮想線とで示すように爪縁11を軸として首振りさせ、ねじ6の先端で雌ねじ部を捜しあて」(第5頁第7?9行)ること、「ねじ挿通孔10は長穴以外の形状であってもよく、さらに場合によっては、ねじ挿通孔10の小径開口10aは爪縁11を省略してねじ6を遊嵌させるようにすることもできる」(第5頁第13?16行)こと等が図面とともに示されている。
甲第7号証には、「自動車等のボデーに所定の部品を取付けるためにボデーから突出したボルトに対してねじ込んで固定される筒状の樹脂ナットに関する」(第1頁第16?18行)考案が記載され、「塗料等が付着して実質的に設定値より大径となっているボルトに対してナットをねじ込むとき、まず螺合部がねじ込まれる。そして螺合部がバカになっても、その際にボルト表面の塗料等の付着層も螺合部によってかなりの程度に剥ぎ取られる、薄くなる」(第4頁第19行?第5頁第4行)こと、「軸部12の内周部において、入口側の部分には適当な数の縦向きの突条13を備えたスプライン状の螺合部14が設けられている」(第5頁第15?17行)ことが図面とともに示されている。

(4) 当審の判断
i)本件請求項1に係る考案(以下、「本件考案1」という。)について
甲第1号証には、上記の記載事項及び図面の記載から、「自動車の車体等の所定の取付面に固着されたスタッド12を受入れる貫通孔が形成されたクリップ14と、該クリップ14から側方に延びるように該クリップ14に固定され、開口した部分にチューブを抱持したリテーナ22を備え、前記クリップ14の貫通孔に、スタッドの外ネジ12dに係合する係止爪が形成され、前記クリップの貫通孔はチューブの延設方向に長い長孔となっており、前記係止爪は長孔の長軸方向に沿って平行に延びるように対を成して対向配置されているチューブ等の取付機構」(以下、「甲第1号証考案」という。)が記載されているものと認められる。
本件考案1と甲第1号証考案とを対比すると、甲第1号証考案の「チューブ」、「チューブ等の取付構造」、「自動車の車体等の所定の取付面」、「スタッド12」、「クリップ14」、「クリップの貫通孔」及び「リテーナ22」は、それぞれ、本件考案1の「パイプ」、「パイプ保持具」、「パネル」、「ねじスタッド」、「基体」、「スタッド受入穴」及び「パイプグリップ部」に相当し、甲第1号証考案において、「クリップ14」に固定された「リテーナ22」は、クリップから一体的に延びているということができ、図面の記載及び技術常識から、その開口した部分への押し込みによりチューブを保持するようになっているということができる。
したがって、両者は、「パネルに固着されたねじスタッドを受入れるスタッド受入穴が形成された基体と、該基体から側方に一体的に延び且つ開口した部分への押し込みによりパイプを保持するパイプグリップ部を備え、前記基体のスタッド受入穴には、受入れたスタッドのねじ部分に係止する係止爪が形成されたパイプ保持具において、前記基体のスタッド受入穴は、パイプ保持部材に保持されたパイプの長手方向に平行な方向に長く形成され、前記係止爪は、該スタッド受入穴の長手方向に平行に対向配置されて一対形成されいる」点で一致しており、以下の点で相違しているものと認める。
[相違点1]本件考案1において、「対を成す係止爪の各々の高さはスタッドのねじピッチに合わせてずらされて」いるのに対し甲第1号証考案において「係止爪」の高さ位置とスタッドの外ネジとの関係は明らかでない点。
[相違点2]本件考案1の「各係止爪」は板状体から成り、該板状体が、スタッド受入穴の長手方向に延びる長方形の板で形成されているのに対し、甲第1号証考案において「係止爪」は板状体で形成されていない点。
[相違点3]本件考案1において「基体が、スタッド受入穴をその長手方向に更に延長する形状に形成されて、該基体には、前記係止爪を有する前記スタッド受入穴とこのスタッド受入穴に連続する延長受入穴部分が形成されており、前記延長受入穴部分には係止爪が設けられず且つスタッドの外径より大きい内径の穴として形成され、前記スタッド受入穴ではスタッドが自由に出入りできないが前記延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできる」のに対し、甲第1号証考案においては長孔を成すクリップの貫通孔に延長部分は存在しない点。
そこで、上記の相違点について検討する。
[相違点1]について
スタッド受入穴に設ける対を成す係止爪の各々の高さをスタッドのねじピッチに合わせてずらすようにすることは、甲第2乃至4号証に記載されているように、当該技術分野において本件出願前周知慣用の技術的事項であり、これを甲第1号証考案の係止爪に適用することは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。
[相違点2]について
スタッドに係合する係止爪を長方形を成す板状体からなるものとすることは、甲第2号証及び甲第3号証に記載されているように、当該技術分野において本件出願前周知の事項であり、甲第1号証考案における各係止爪を長方形を成す板状体からなるものとすることは当業者がきわめて容易になし得る事項と認められ、その場合、係止爪は、長孔の長手方向に沿って設けられるのであるから、スタッド受入穴の長手方向に延びる長方形の板ということになる。
[相違点3]について
「基体が、スタッド受入穴をその長手方向に更に延長する形状に形成」され、該基体に「係止爪を有する前記スタッド受入穴とこのスタッド受入穴に連続する延長受入穴部分を形成する」こと及び「延長受入穴部分には、係止爪が設けられず且つスタッドの外径より大きい内径の穴として形成され」ることについては、甲第1乃至7号証の何れにも記載も示唆もされていない。
異議申立人は、「基体が、スタッド受入穴をその長手方向に更に延長する形状に形成されており、該延長受入穴部分には係止爪が設けられず、この延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできるとの点は、甲第6号証に実質的に記載がある。」と主張しているが、甲第6号証に、長穴あるいは長穴以外の形状でもよいと記載されたねじ挿通孔10は、外面側より着座面側に拡開しているが、長穴の長手方向に更に延長する形状のものではなく、その外面側の小径開口10aの口角部にねじと係合する仮保持用爪縁11を突設しているが、該爪縁は雌ねじ部を捜し当てるためにねじを首振りさせる際の仮保持のためのものであり、スタッドを係止する係止爪ではない。甲第6号証に記載されたねじ挿通孔は、本件考案1のスタッド受入穴とは形状が異なり、また、甲第6号証に記載された仮保持用爪縁11は、本件考案1の係止爪とはその形状も作用も異なるものであるので、異議申立人が甲第6号証に実質的に記載されていると主張する点は、甲第6号証に記載も示唆もされているものとは認められない。
そして、本件考案1は、上記の[相違点3]に係る構成を具備することによって、明細書の【0017】の【考案の効果】に記載された効果に加えて【0012】に「……パイプ保持具22はスタッド4に係止爪26、27が係止してパネルに取り付けられている状態において、……パイプ保持具22をスライドさせて……移動させると、スタッド4がスタッド受入穴24の延長受入穴部分25に位置する。この状態で、パイプ保持具22を……下方に引き出せば、そのまま、スタッド4から取り外しできる。従って、取り外しがきわめて容易にできる。」と記載されているように、甲第1乃至7号証の記載からは予測し得ない作用および効果を生ずるものと認められる。
したがって、本件考案1は、甲第1乃至7号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものということはできない。

ii)本件請求項2乃至4に係る考案について
本件請求項2乃至4に係る考案は、何れも本件考案1をさらに技術的に限定したものであり、本件考案1の構成を全て具備するものであるので、上記「i)本件請求項1に係る考案(以下、「本件考案1」という。)について」の項で述べたと同じ理由により、甲第1乃至7号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものということはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1乃至4に係る実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1乃至4に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
パイプ保持具
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 パネルに固着されたねじスタッドを受入れるスタッド受入穴が形成された基体と、該基体から側方に一体的に延び且つ開口した部分への押し込みによりパイプを保持するパイプグリップ部を備え、前記基体のスタッド受入穴には、受入れたスタッドのねじ部分に係止する係止爪が形成されたパイプ保持具において、
前記基体のスタッド受入穴は、パイプ保持部材に保持されたパイプの長手方向に平行な方向に長く形成され、前記係止爪は、該スタッド受入穴の長手方向に平行に延びる対向配置された少なくとも一対の板状体で形成されており、対を成す係止爪の各々の高さはスタッドのねじピッチに合わせてずらされており、各係止爪を成す板状体は、前記スタッド受入穴の長手方向に延びる長方形の板で形成されており、基体が、スタッド受入穴をその長手方向に更に延長する形状に形成されて、該基体には、前記係止爪を有する前記スタッド受入穴とこのスタッド受入穴に連続する延長受入穴部分が形成されており、前記延長受入穴部分には係止爪が設けられず且つスタッドの外径より大きい内径の穴として形成され、前記スタッド受入穴ではスタッドが自由に出入りできないが前記延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできることを特徴とするパイプ保持具。
【請求項2】 請求項1に記載のパイプ保持具において、係止爪が、スタッド受入穴に高さ方向にずらして2対形成されており、一方の係止爪対と他方の係止爪対の高さがねじスタッドの複数のピッチに適合するようにそれらの公倍数に近似させてあることを特徴とするパイプ保持具。
【請求項3】 請求項1に記載のパイプ保持具において、係止爪の先端が多段に形成されたことを特徴とするパイプ保持具。
【請求項4】 請求項1に記載のバイブ保持具において、基体のスタッド受入穴の入口部分に、スタッドヘの被膜を削るくさび状の突起が設けられていることを特徴とするパイプ保持具。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、自動車の燃料パイプやブレーキパイプ等を自動車の車体等のパネルに保持させるためのパイプ保持具に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料パイプやブレーキパイプ等を自動車の車体等のパネルに保持させるため、合成樹脂製のパイプ保持具が幾つか開発されている。公知のパイプ保持具は、パネルに固着されたねじスタッドを受入れるスタッド受入穴が形成された基体と、該基体から側方に一体的に延び且つ開口した部分への押し込みによりパイプを保持するパイプグリップ部を備え、基体のスタッド受入穴には、受入れたスタッドのねじ部分に係止する係止爪が形成され、パイプを保持した状態で、基体の受入穴をねじスタッドにあてがい、そのまま押込めば、パイプ保持部材の基体がパネルに固定され、パイプ保持部材のパイプグリップ部に保持されたパイプがパネル上に固定配置される。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
かかるパイプ保持具は、押込みだけでパイプをパネルに取付けることができるので便利である。しかし、かかるパイプ保持具において、パイプの長手方向におけるスタッドの取付位置の誤差について、その調整が厄介であった。
【0004】
従って、本考案の目的は、パイプを車体に取付けるに際して、パイプの長手方向におけるスタッド及びパイプに対する保持部の取付位置の誤差に対応できるパイプ保持具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本考案によれば、パネルに固着されたねじスタッドを受入れるスタッド受入穴が形成された基体と、該基体から側方に一体的に延び且つ開口した部分への押し込みによりパイプを保持するパイプグリップ部を備え、前記基体のスタッド受入穴には、受入れたスタッドのねじ部分に係止する係止爪が形成されたパイプ保持具であって、前記基体のスタッド受入穴は、パイプ保持部材に保持されたパイプの長手方向に平行な方向に長く形成され、前記係止爪は、該スタッド受入穴の長手方向に平行に延びる対向配置された少なくとも一対の板状体で形成されており、対を成す係止爪の各々の高さはスタッドのねじピッチに合わせてずらされており、各係止爪を成す板状体は、前記スタッド受入穴の長手方向に延びる長方形の板で形成されており、基体が、スタッド受入穴をその長手方向に更に延長する形状に形成されて、該基体には、前記係止爪を有する前記スタッド受入穴とこのスタッド受入穴に連続する延長受入穴部分が形成されており、前記延長受入穴部分には係止爪が設けられず且つスタッドの外径より大きい内径の穴として成され、前記スタッド受入穴ではスタッドが自由に出入りできないが前記延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできることを特徴とするパイプ保持具が提供され、これにより、パイプ保持具をスタッドに対してパイプの長手方向にスタッド受入穴の長さ分だけ修正でき、また、係止爪もねじピッチに合わせてずらしてあるので、スタッドヘの係止力も大きく、前記スタッド受入穴ではスタッドが自由に出入りできないが前記延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできるので、パイプ保持具の取り外しが容易である。
【0006】
本考案においては、係止爪を、スタッド受入穴の高さ方向にずらして2対形成し、一方の係止爪対と他方の係止爪対の高さをねじスタッドの複数のピッチに適合するようにそれらの公倍数に近似させることができる。また、係止爪の先端を多段に形成して係止力を向上させることもできる。更に、基体のスタッド受入穴の入口部分に、スタッドヘの被膜を削るくさび状の突起を設けることもできる。基体のスタッド受入穴の入口部分に、スタッドヘの被膜を削るくさび状の突起を設けることもできる。
【0007】
【実施例】
以下、本考案の実施例について図面を参照しながら説明する。図1?図10に本考案の第1の実施例となるパイプ保持具1を示す。本考案に係るパイプ保持具1は、パネルに固着されたねじスタッドを受入れるスタッド受入穴が形成された基体2と、該基体から側方に一体的に延び且つ開口した部分への押し込みによりパイプを保持するパイプグリップ部3とがプラスチックで一体成形されている。図10は、パネル(図示せず)に垂下するように立設されたねじスタッド4にパイプ保持具1を押上げて取付ける様子を示している。
【0008】
基体2の両側に設けられたパイプグリップ部3、3は、上方が開口したほぼU字形のトラフ形状に形成され、その上端からは底面に斜めに延びる弾性ウィング6が形成され、押し込まれたパイプを抜けないようにしている。なお、これらのパイプグリップ部3には、種々の直径のパイプを支持するように種々の大きさのトラフが形成されている。また、グリップ部3、3の背面(図2の下面)にはパイプ及びパイプ保持具1の保護のためのプロテクタを係止する係止爪7が一対形成されている。
【0009】
基体2には、ねじスタッドを受入れるスタッド受入穴8が形成されている。このスタッド受入穴8は、パイプグリップ部3に保持されたパイプの長手方向(図1の上下の方向)に平行な方向に長く形成されている。スタッド受入穴8には、受入れたスタッドのねじ部分に係止する係止爪が形成されている。係止爪9は、スタッド受入穴8の長手方向に平行に延びる板状体で形成され、この板状体が、中央のスタッド受入空間を挟んで対向配置されて対をなしている。そして、各係止爪9は、図4に図示のように、スタッドのねじピッチに合わせて、hだけ高さ方向(図2の上下の方向)にずらされている。スタッド受入穴8には、第1係止爪9の下部に第2の係止爪10が一対形成されている。この第2係止爪10も、相互の高さがスタッドのねじピッチに合わせてずらされている。更に、第1の係止爪9と第2の係止爪10との高さは、複数種類のねじスタッドピッチを受入れることができるようにそれらの公倍数に近似させてある。例えば、1.6mmピッチのスタッドと1.0mmピッチのスタッドを受入れ得るように図4の高さHを5mmになるように形成した。また、各係止爪の先端12を図5に示すように多段に形成してねじスタッドヘの係止力を強化することができる。各係止爪9、10は、図8に図示のように、板状体で形成されており、各係止爪9、10には、撓み易くしてスタッドヘの挿入が容易にできるように穴13が形成されている。また、図9に図示のように平面図で見た各係止爪9、10の先端部分14を、スタッドに合わせて湾曲させて、スタッドヘの係止部分を多くするのも好ましい。
【0010】
基体2のスタッド受入穴8の入口部分(図2の上部部分)に、スタッドヘの被膜を削る多数のくさび状の突起16が、係止爪9と同様に対にして形成されている。この突起16によって、ねじスタッドに塩化ビニールゾル等の樹脂被膜が付着していても、パイプ保持具1の押込みの際に削り取られ、パイプ保持具1の取付けが容易且つ確実にできる。なお、この突起16は、スタッドに被膜がない場合には不要になる。また、基体2の上部には、図2の想像線で示すように斜め上方に張り出す弾性片17を一対設けて、パネルへ取付けた後のガタ付きを防止するようにしてもよい。また、基体2の側面は、材料の節約等のため、開口18が形成されるのが好ましい。
【0011】
かかる構成で成るパイプ保持具1を用いてパイプをパネルに取付けるには、先ず多数のパイプを、所定の位置毎に各パイプ保持具1のパイプグリップ部3に押込んで把持させる。次に、複数のパイプが、その所定の位置にパイプ保持具1が取付いた状態で、複数のねじスタッドが所定の位置に固着された車体等のパネルのある位置に持ち込まれ、各パイプ保持具1がそれぞれ対応するスタッド4に対して図10に図示のように矢印19の方向に押込められる。この押込みにより、係止爪9及び10がねじスタッド4に係止してパイプ保持具1がスタッド4に取付けられ、ひいてはパイプがパネルに取付けられる。この押込みにおいて、スタッドに被膜がある場合には、突起16がその被膜を削る。本考案においては、前記のように、スタッド受入穴8は、パイプの長手方向に平行な方向に長く形成され、係止爪9、10は、平行に延びる一対の板状体で形成され、各係止爪9の高さはスタッドのねじピッチに合わせてずらされているので、パイプ保持具1をスタッドに対してパイプの長手方向(図10の矢印20の方向)にスタッド受入穴の長さ分だけずらすことができ、パネルヘのスタッドの打点誤差を吸収でき、板状体でなる係止爪もねじピッチに合わせてずらしてあるので、スタッドヘの係止力は大きい。
【0012】
図11?図17は、本考案の第2の実施例に係るパイプ保持具22を示している。このパイプ保持具22は、第1実施例に係るパイプ保持具1と殆ど同じであるが、基体23が、スタッド受入穴24をその長手方向に更に延長する形状に形成されており、該延長受入穴部分25には係止爪が設けられず、この延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできる構成にしてある点で違っている。その他の構成はパイプ保持具1と同じであるので説明を省略し、以下、基体22の部分について説明する。前記のように、基体22は、スタッド受入穴24を延長して延長受入穴部分25を有する。この延長受入穴部分25は、スタッド4の外径より大きい内径を有し、この部分ではスタッドに係止しないようになっている。図16に示すように、パイプ保持具22は、スタッド4に係止爪26、27が係止してパネルに取付けられている状態において、図17の矢印28の方向にパイプ保持具22をスライドさせて図17の位置に移動させると、スタッド4がスタッド受入穴24の延長受入穴部分25に位置する。この状態で、パイプ保持具22を、図15の下方に引き出せば、そのまま、スタッド4から取り外しできる。従って、取り外しが極めて容易にできる。
【0013】
図18?図23は、本考案に係るパイプ保持具1の特徴を、別のパイプ保持具31に適用できる参考例を示している。パイプ保持具31は、基体32及びパイプグリップ部33から成るパイプ保持部材34と、基体32に形成された受入穴35に受入れられてパネルに固着したねじスタッドに螺入して固着するナット状部材37との2部品でなる。
【0014】
ナット状部材37は、図18?図20に示されており、ねじスタッドを受入れる中空の軸部38と、軸部38の下部に形成されて、基体32の受入穴35の短径より大きい直径のフランジ39と、下端側に形成された頭部40とから成り、頭部40はナット状部材37の回転のために例えば六角形に形成されている。軸部38の上端部には、基体32の受入穴35に形成された係止部42(図21及び図22参照)に係止する係止フランジ43が形成されている。軸部38の内側には、その上部に、押込みによってねじスタッドに係止する係止爪44が一対形成されており、中間部分には、受入れたねじスタッドを軸部の中心に規制するガイド45が一対形成されている。対を成す係止爪44は、相互にスタッドのねじピッチに合わせてずらされている。また、係止爪44の上部には、スタッドの被膜をけずるくさび状突起47が多数形成されている。このナット状部材37は、ねじスタッドヘの押込みによって係止爪44が係止し、頭部40の回転により、ナット状部材37がスタッドから外れ、パイプ保持具31をスタッドから取り外すことができる。
【0015】
パイプ保持部材34について図21、22を参照して説明する。パイプ保持部材34は、基体32とパイプグリップ部33とから成り、基体32には、ナット状部材37を受入れる受入穴35が形成されている。受入穴の内側には、受入れたナット状部材37の係止フランジ43に係止する係止部42が複数設けられている。この受入穴35は、図示のように、パイプグリップ部33に保持されたパイプの長手方向に平行な方向(図21の上下方向)に長く形成されていて、ナット状部材37が長手方向に位置を変更できるようになっている。このため、パイプ保持具31をスタッドに対してパイプの長手方向にずらすことができる。また、受入穴35の入口部分(図22の上部)には、スタッドに仮止めする係止爪48が、スタッド受入穴35の長手方向に平行に延びる板状体で対をなして形成されている。この仮止め用係止爪48は、スタッドヘの係止が容易なように、板状体の中央部がくりぬかれている。また、基体32の上部には、斜め上方に張り出す弾性片49が一対設けられ、パネルへ取付けた後のガタ付きを防止する。
【0016】
パイプ保持具31を用いて、複数のパイプをパネルに取付ける場合、先ず、ナット状部材37の軸部38を基体32の受入穴35に挿入して、基体32にナット状部材37を連結する。次に、複数のパイプをパイプグリップ部33に押込んで把持させ、図23に図示のように、パネル51に固着されたねじスタッド4を基体32の受入穴35に受入れるように、パイプ保持具1を押上げる。この押上げにより、基体32の仮止め用係止爪48がスタッド4に係止してパイプ保持具31がスタッド4に仮止めされる。この仮止めの際、スタッドの打点の誤差によって、パイプ保持具31がスタッド4に対してパイプの長手方向にずれている場合には、ナット状部材37を受入穴35の長手方向に移動させて調整できる。調整後ナット状部材37をスタッド4に押込めば、ナット状部材37の係止爪44がスタッド4に係止して本止めされる。この押込みにおいて、スタッド4に被膜52がある場合には、突起47がその被膜を削る。パイプ保持具31を取り外す場合には、ナット状部材37の頭部40を回転させればよい。
【0017】
【考案の効果】
本考案によれば、基体のスタッド受入穴は、パイプ保持部材に保持されたパイプの長手方向に平行な方向に長く形成され、係止爪は、スタッド受入穴の長手方向に平行に延びる対向配置された少なくとも一対の板状体で形成され、対を成す係止爪の各々の高さはスタッドのねじピッチに合わせてずらされているので、パイプ保持具をスタッドに対してパイプの長手方向に修正でき、また、係止爪もねじピッチに合わせてずらしてあるので、スタッドヘの係止力も大きい。従って、取付け強度を損なうことなく、パイプの長手方向におけるスタッドの取付位置の誤差に簡単に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の第1実施例に係るパイプ保持具の平面図である。
【図2】
図1のパイプ保持具の正面図である。
【図3】
図1のパイプ保持具の底面図である。
【図4】
図1のA-A線断面図である。
【図5】
先端形状が異なる係止爪を示す断面図である。
【図6】
図2のB-B線断面図である。
【図7】
図2のC-C線断面図である。
【図8】
図2のD-D線断面図である。
【図9】
先端が湾曲した係止爪を示す部分平面図である。
【図10】
図1のパイプ保持具をスタッドに係止する様子を示す斜視図である。
【図11】
本考案の第2実施例に係るパイプ保持具の平面図である。
【図12】
図11のパイプ保持具の正面図である。
【図13】
図11のパイプ保持具の底面図である。
【図14】
図12のE-E線断面図である。
【図15】
図11のパイプ保持具をスタッドに係止する様子を示す斜視図である。
【図16】
図11のパイプ保持具がスタッドに係止している状態を示す底面図である。
【図17】
図16のパイプ保持具をスタッドの係止から外す状態を示す底面図である。
【図18】
本考案の参考例となるパイプ保持具のナット状部材の正面図である。
【図19】
図18のナット状部材の底面図である。
【図20】
図18のF-F線断面図である。
【図21】
本考案の参考例となるパイプ保持具のパイプ保持部材の平面図である。
【図22】
図21のパイプ保持部材の正面図である。
【図23】
本考案の参考例となるパイプ保持具をスタッドに係止する様子を示す正面図である。
【符号の説明】
1 パイプ保持具
2 基体
3 パイプグリップ部
4 ねじスタッド
6 弾性ウイング
8 スタッド受入穴
9 第1係止爪
10 第2係止爪
16 くさび状突起
22 第2実施例のパイプ保持具
23 基体
24 スタッド受入穴
25 延長受入穴部分
26、27 係止爪
31 パイプ保持具
32 基体
33 パイプグリップ部
34 パイプ保持部材
35 受入穴
37 ナット状部材
訂正の要旨 A.実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、【実用新案登録請求の範囲】の【請求項1】の、「形成されていることを特徴とする」の記載を、「形成されており、基体が、スタッド受入穴をその長手方向に更に延長する形状に形成されて、該基体には、前記係止爪を有する前記スタッド受入穴とこのスタッド受入穴に連続する延長受入穴部分が形成されており、前記延長受入穴部分には係止爪が設けられず且つスタッドの外径より大きい内径の穴として形成され、前記スタッド受入穴ではスタッドが自由に出入りできないが前記延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできることを特徴とする」と訂正する。
B.明りょうでない記載の釈明を目的として、【実用新案登録請求の範囲】の【請求項4】を削除し、【請求項5】を【請求項4】と訂正する。
C.明りょうでない記載の釈明を目的として、【考案の詳細な説明】の段落番号【0005】の、「形成されていることを特徴とする」の記載及び「スタッドヘの係止力も大きい。」の記載を、それぞれ、「形成されており、基体が、スタッド受入穴をその長手方向に更に延長する形状に形成されて、該基体には、前記係止爪を有する前記スタッド受入穴とこのスタッド受入穴に連続する延長受入穴部分が形成されており、前記延長受入穴部分には係止爪が設けられず且つスタッドの外径より大きい内径の穴として形成され、前記スタッド受入穴ではスタッドが自由に出入りできないが前記延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできることを特徴とする」及び「スタッドヘの係止力も大きく、前記スタッド受入穴ではスタッドが自由に出入りできないが前記延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできるので、パイプ保持具の取り外しが容易である。」と訂正する。
D.明りょうでない記載の釈明を目的として、【考案の詳細な説明】の段落番号【0006】の「基体を、スタッド受入穴をその長手方向に更に延長する形状に形成し、該延長受入穴部分には係止爪が設けず、この延長受入穴部分においてはスタッドが自由に出入りできるようにして、パイプ保持具の取り外しを容易にするようにしてもよい。」の記載を削除する。
異議決定日 2001-05-11 
出願番号 実願平5-53068 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (F16L)
最終処分 維持    
前審関与審査官 溝渕 良一  
特許庁審判長 佐藤 雪枝
特許庁審判官 吉国 信雄
鈴木 美知子
登録日 1999-11-12 
登録番号 実用新案登録第2602603号(U2602603) 
権利者 ポップリベット・ファスナー株式会社
東京都千代田区紀尾井町3番6号
考案の名称 パイプ保持具  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 竹内 英人  
代理人 中村 稔  
代理人 小川 信夫  
代理人 竹内 英人  
代理人 今城 俊夫  
代理人 西島 孝喜  
代理人 中村 盛夫  
代理人 箱田 篤  
代理人 中村 稔  
代理人 大塚 文昭  
代理人 今井 信夫  
代理人 箱田 篤  
代理人 西島 孝喜  
代理人 村社 厚夫  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 村社 厚夫  
代理人 大塚 文昭  
代理人 今城 俊夫  

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