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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1043373
異議申立番号 異議2000-72133  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-15 
確定日 2001-05-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2601333号「容器の蓋」の請求項1ないし5に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2601333号の請求項1ないし5に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続きの経緯
本件実用新案登録第2601333号は、平成5年11月10日の実用新案登録出願に係るものであって、平成11年9月17日に設定登録され、その後、申立人西田穣より異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年3月21日に特許異議意見書の提出がなされるとともに、平成13年3月19日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正の内容
平成13年3月19日付けでなされた訂正請求における訂正事項は、願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1と請求項2に記載した2枚の合成樹脂フィルムの厚さの合計が「32μから8μ」であったのを、訂正請求書に添付された訂正明細書に記載されたとおり「18μから8μ」に訂正することである。
2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項は、段落番号【0011】における、「この実施例2の容器の蓋18では、2枚の二軸延伸PETフィルムの厚さが6μと6μと同じ厚さで合計が12μにしたものについて説明したが、2枚の二軸延伸PETフィルムの厚さの合計が大きすぎると、蓋の強度が大きすぎるために合成樹脂製ストローが突き刺しにくくなったり、突き刺さらなくなるし、また2枚の二軸延伸PETフィルムの厚さの合計が小さすぎると、蓋材の強度が小さすぎるために必要とする強度が不足するので2枚の延伸合成樹脂フィルムの厚さの合計は実験した結果では約18μから約8μがよい。」との記載に基づくものである。
それ故に、この訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
2-3.むすび
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.実用新案登録異議申立てについて
3-1.本件の請求項1ないし5に係る考案
本件の請求項1ないし5に係る考案は、上記訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし5に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 紙の上面と下面とに、2枚の延伸合成樹脂フィルムの厚さの合計が18μから8μであるとともに2枚の延伸合成樹脂フィルムのうちの1方が酸化ケイ素蒸着層を有する延伸合成樹脂フィルムを、それぞれ1枚ずつ接着して設けて、下面側の延伸合成樹脂フィルムの下面にヒートシール層を設けたことを特徴とする容器の蓋。
【請求項2】 紙の上面と下面とに、2枚の延伸合成樹脂フィルムの厚さの合計が18μから8μの延伸合成樹脂フィルムを、それぞれ1枚ずつ接着して設けるとともに下面側の延伸合成樹脂フィルムの下面に、熱可塑性合成樹脂フィルムを接着してヒートシール層を、設けたことを特徴とする容器の蓋。
【請求項3】 2枚の延伸合成樹脂フィルムがそれぞれ同じ厚さであることを特徴とする請求項1又は2記載の容器の蓋。
【請求項4】 2枚の延伸合成樹脂フィルムがそれぞれ異なる厚さであることを特徴とする請求項1又は2記載の容器の蓋。
【請求項5】 紙の厚さが20g/m^(2)から200g/m^(2)であることを特徴とする請求項1又は2記載の容器の蓋。」
3-2.申立ての理由の概要
申立人西田穣の申立ての理由の概要は次のとおりである。
本件の請求項1及び2に係る考案は、甲第1号証?甲第3号証の各記載から当業者がきわめて容易に考案しえたものであり、また、本件の請求項3ないし5に係る考案は、甲第1号証の記載から、当業者がきわめて容易に考案しえたものである。
したがって、本件の請求項1ないし5に係る考案は、平成6年法律第116号付則第9条第2項で準用する特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである。
[証拠方法]
甲第1号証:実公平4-6909号公報(取消理由で引用した刊行物1)
甲第2号証:特開昭63-281838号公報(取消理由で引用した刊行物2)
甲第3号証:「ラミネート加工便覧」加工技術研究会 昭和53年9月15日発行 第224頁ないし第227頁及び第249頁(取消理由で引用した刊行物3)
3-3.甲号証に記載された事項
甲第1号証には、容器の蓋材に関して次のように記載されている。
1-a.「紙又は紙とアルミニウム箔より成る基材の両面に、ポリエチレン層を介してポリエステルフィルムを積層し、内側のポリエステルフィルムにシール層を設けた容器の蓋材。」(実用新案登録請求の範囲)
1-b.「この考案の蓋材によれば、紙もしくは紙とアルミニウム箔との積層体の両面にポリエステルフィルムを積層し、このポリエステルフィルムの外面にシール層を設けることによって、基材のもつカールし易い性質を防止し、かつ開封容易性を高めたものである。」(第1欄第20ないし25行)
1-c.「第1図に示すように、基材1の両面には、ポリエチレンの押出コート層2,2´を介してポリエステルフィルム3,3´が積層されており、内側のポリエステルフィルム3´には、シール層4が設けられている。・・・前記基材1は、例えば30?80g/m^(2)の純白ロール紙、上質紙、さらしクラフト紙等より成る紙の単体、もしくは第2図及び第3図に示すように、紙7とアルミニウム箔6との積層体より成る。・・・前記ポリエステルフィルム3,3´の厚みは、たわみ性を少くし、腰の強さを有する範囲で選択するのがよく、通常10μ?25μが良好である。」(第2欄第2ないし24行)
甲第2号証には、容器を形成する積層材料中にアルミニウム箔の層があるためにマイクロウエーブによる加熱が不可能な容器のアルミニウム箔の層を延伸ポリエステルフィルム上に蒸着された珪素酸化物の薄膜層に置き換えることにより、飲食品、医薬品等を容器に入れたままマイクロウエーブ(電子レンジ)により加熱可能になることが記載されている。
甲第3号証には、ヒートシール層としてポリエチレンフィルムが用いられ、高温度の溶融ポリエチレンを接着層として、基材とポリエチレンフィルムとを貼合わせることが記載されており、また、「ポリエステルフィルムとは、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールを重縮合させた、ポリエチレンテレフタレートを原料とする二軸延伸フィルムである。」と記載されている。
3-4.対比、判断
(本件の請求項1に係る考案について)
本件の請求項1に係る考案と甲第1号証に記載の考案とを対比すると、甲第1号証に記載の考案におけるポリエステルフィルムは、「前記ポリエステルフィルム3,3´の厚みは、たわみ性を少くし、腰の強さを有する範囲で選択するのがよく、通常10μ?25μが良好である。」との記載、及び、一般的にフィルムは延伸処理によって腰が強くなるということ(「プラスチック読本」(株)プラスチック・エージ 1992年8月15日発行 393頁参照)を勘案すると、延伸処理されたポリエステルフィルムと解されるので、甲第1号証記載の考案における「ポリエステルフィルム」は、本件の請求項1に係る考案における「延伸合成樹脂フィルム」に該当する。
また、本件の請求項1に係る考案における延伸合成樹脂フィルム上に形成された「酸化ケイ素蒸着層」と甲第1号証記載の考案における「アルミニウム箔」は共にバリアー層を形成するものと認められる。
なお、甲第1号証に記載の考案における「ポリエチレン層」は、本件の請求項1に係る考案の実施例におけるポリエチレン樹脂からなる接着層に相当するものであり、本件の請求項1に係る考案におけるように、積層体の層構成を表記する際に省略されることもある層と認められる。
したがって、本件の請求項1に係る考案と甲第1号証に記載の考案とは、「紙の上面と下面とに、2枚の延伸合成樹脂フィルムを、それぞれ1枚ずつ設けて、下面側の延伸合成樹脂フィルムの下面にヒートシール層を設けた容器の蓋であって、紙の1方の面と延伸合成樹脂フィルムとの間にバリア層が介在している容器の蓋」である点において一致し、次の点において相違するものと認められる。
(1)2枚の延伸合成樹脂フィルムの厚さの合計が、本件の請求項1に係る考案においては18μから8μであるのに対して、甲第1号証に記載された考案においては20μから50μ(10μ×2から25μ×2)である点。
(2)バリアー層が、本件の請求項1に係る考案においては、紙の1方の面に、酸化ケイ素蒸着層を有する延伸合成樹脂フィルムを接着することにより設けられているのに対して、甲第1号証に記載された考案においては、紙とアルミニウム箔より成る基材に延伸合成樹脂フィルムを積層することにより設けられている点。
そこで、これらの点について検討する。
[相違点(1)について]
2枚の延伸合成樹脂フィルムの厚さの合計を18μから8μとすることについては、甲第1号証に記載された発明において良好とされている範囲を外れているのであるから、同甲号証に示唆されているものとも認められず、また、他の甲号証をみても記載も示唆もされていない。
そして、本件の請求項1に係る考案は、このことにより、明細書記載の、電子レンジでそのまま加熱することができ、蓋がいずれの方向にもカールしないという効果に併せて、合成樹脂製ストローが突き刺しにくくなったり、突き刺さらなくなったりすることが無いという効果をも有するものである。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件の請求項1に係る考案は、甲第1号証?甲第3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
なお、申立人は、この点に関して、フィルムの厚みを小さくすれば当然のことながら破裂強度が小さくなり、ストローを突き刺し易くなることは、何の考案力も要せず当業者でなくても極めて常識的に予想できる程度のことであり、また特段の効果を挙げることができるものでもない、と主張している。
しかしながら、この主張は一般論にすぎず、包装ないしは蓋の技術分野において使用される積層材料の層を形成するフィルムの厚さとして、このような厚さは格別のものではないとするような証拠は何ら示されていないから、申立人のかかる主張は採用できない。
(本件の請求項2に係る考案)
本件の請求項2に係る考案と甲第1号証に記載の考案とを上記(本件の請求項1に係る考案)におけると同様の手順に従って対比すると、両者は、「紙の上面と下面とに、2枚の延伸合成樹脂フィルムを、それぞれ1枚ずつ接着して設けるとともに下面側の延伸合成樹脂フィルムの下面に、熱可塑性合成樹脂フィルムを接着してヒートシール層を設けた容器の蓋」である点において一致し、次の点において相違するものと認められる。
(1)2枚の延伸合成樹脂フィルムの厚さの合計が、本件の請求項2に係る考案においては18μから8μであるのに対して、甲第1号証に記載された考案においては20μから50μ(10μ×2から25μ×2)である点。
したがって、上記相違点は本件の請求項1に係る考案との相違点(1)と同じであるから、本件の請求項2に係る考案は、本件の請求項1に係る考案と同様な理由により、甲第1号証?甲第3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
(本件の請求項3ないし5に係る考案)
本件の請求項3ないし5に係る考案は、請求項1又は2に係る考案を引用しているので、甲第1号証に記載された考案と対比すると、少なくとも上記相違点(1)と同じ相違点を有するものである。
したがって、本件の請求項3ないし5に係る考案は、本件の請求項1に係る考案と同様の理由により、甲第1号証?甲第3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
3-5.むすび
以上のとおりであるから、申立ての理由及び証拠によっては、本件の請求項1ないし5に係る実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1ないし5に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
容器の蓋
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 紙の上面と下面とに、2枚の延伸合成樹脂フィルムの厚さの合計が18μから8μであるとともに2枚の延伸合成樹脂フィルムのうちの1方が酸化ケイ素蒸着層を有する延伸合成樹脂フィルムを、それぞれ1枚ずつ接着して設けて、下面側の延伸合成樹脂フィルムの下面にヒートシール層を設けたことを特徴とする容器の蓋。
【請求項2】 紙の上面と下面とに、2枚の延伸合成樹脂フィルムの厚さの合計が18μから8μの延伸合成樹脂フィルムを、それぞれ1枚ずつ接着して設けるとともに下面側の延伸合成樹脂フィルムの下面に、熱可塑性合成樹脂フィルムを接着してヒートシール層を、設けたことを特徴とする容器の蓋。
【請求項3】 2枚の延伸合成樹脂フィルムがそれぞれ同じ厚さであることを特徴とする請求項1又は2記載の容器の蓋。
【請求項4】 2枚の延伸合成樹脂フィルムがそれぞれ異なる厚さであることを特徴とする請求項1又は2記載の容器の蓋。
【請求項5】 紙の厚さが20g/m^(2)から200g/m^(2)であることを特徴とする請求項1又は2記載の容器の蓋。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案はおしるこ、茶碗むし等の食品や乳飲料、紅茶、コーヒー、ココア、飲料水、日本酒、ジュース等の液体飲料を収納した容器の蓋に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の容器の蓋は普通の1枚の厚さが約38μ以上と厚い合成樹脂フィルムの上面に接着剤で接着したアルミニウム箔を設けるとともにこのポリエチレンフィルムの下面にエチレンビニールアセテートコーポリマー(EVA)またはエチレンエチルアクリレートコーポリマー(EEA)などのヒートシール層を設けたものが一般に使用されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
この従来の容器の蓋では食品や液体飲料などを入れた容器を蓋でヒートシールにより密封し、食す人が容器に入れた食品や液体飲料を加熱して食す時に蓋にアルミニウム箔が使われているために食品や液体飲料入り蓋付き容器を電子レンジでそのまま加熱することができないという問題点があったし、アルミニウム箔の片面だけにに合成樹脂フィルムを設けたために蓋が1方向にカールしやすいという問題点があった。
【0004】
この考案は従来の容器の蓋が有するこれらの問題点を解消し、蓋で容器の開口部を密封したままで電子レンジにより加熱できることや蓋がいずれの方向にもカールしないこと、蓋が耐水性を有することなどを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この考案の容器の蓋は、紙の上面と下面とに、延伸して薄くした2枚の延伸合成樹脂フィルムの厚さの合計が約32μから約8μであるとともに2枚の延伸合成樹脂フィルムのうちの1方が酸化ケイ素蒸着層を有する延伸合成樹脂フィルムを、それぞれ1枚ずつ接着して設けて、下面側の延伸合成樹脂フィルムの下面にヒートシール層を設けたり、紙の上面と下面とに、2枚の延伸合成樹脂フィルムの厚さの合計が32μから8μの延伸合成樹脂フィルムを、それぞれ1枚ずつ接着して設け、下面側の延伸合成樹脂フィルムの下面に熱可塑性合成樹脂フィルムを接着してヒートシール層を設けたりしたものである。
【0006】
【作用】
この考案の容器の蓋で容器の上側開口部をヒートシールにより密封すると、蓋にアルミニウム箔が使われていないので蓋をつけたままで食品や液体飲料入り蓋付き容器は電子レンジでそのまま加熱される。そして紙の上面と下面とに1枚づつ延伸合成樹脂フィルムを設けてあるために蓋がカールするのを防止されるとともに蓋は耐水性を有する。
なお、紙の上面と下面とに1枚づつ設けた2枚の延伸合成樹脂フィルムの厚さの合計が18μ以下と薄くした場合には、液体飲料入り蓋付き容器の蓋に合成樹脂製ストローが円滑に突き刺されるし、液体飲料を飲む人は容器から蓋を剥ぎ取ることなく、ストローで液体飲料を零すことなく円滑に飲める。
【0007】
【実施例】
次にこの考案の容器の蓋を実施例について図面とともに説明する。
(実施例1)
図1と図2に図示したように、約35g/m^(2)の模造紙1の上面にポリエステル系樹脂の接着層3を介して厚さ16μの二軸延伸ポリエステル(PET)フイルム2を設け、この模造紙1の下面に、酸化ケイ素蒸着層5を上面に有する厚さ12μの二軸延伸ポリエステル(PET)フイルム4を、ポリエステル系樹脂の接着層6を介して設ける。
この下面側の二軸伸延ポリエステル(PET)フイルム4の下面に、接着層7′を介してエチレンビニールアセテートコーポリマー(EVA)フイルムからなるヒートシール層7を、設けた容器の蓋8である。
【0008】
この実施例1の容器の蓋8を使用する際は図3に図示したように、例えばポリプロピレン樹脂製容器9に茶碗むし10を入れ、蓋8を容器9の上側開口部にヒートシール層7でヒートシール11して容器9の上側開口部を密封する。
蓋付き容器9に入れた茶碗むし10を加熱して食す時に、蓋付き容器9を電子レンジに入れて、加熱する。
アルミニウム箔を使用していないのでそのまま電子レンジにかけられるし、また薄い模造紙1の両面に二軸延伸ポリエステルフイルム2、4を積層しているために蓋8は耐水性に優れ、かつ適度の強度を有するとともに容易に開封できる。
そして1方の二軸延伸ポリエステルフイルム4に酸化ケイ素蒸着層5を有するので酸素のバリヤー性を有しているために食品や液体飲料の保存性が優れている。
この実施例1の蓋8では、EVAのヒートシール層7を設けたものについて説明したが、ヒートシール層を構成する熱可塑性合成樹脂としてEVAの外にエチレンエチルアクリレートコーポリマー(EEA)、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエステル(PET)樹脂、エチレンーアクリル酸コポリマー(EAA)、ポリエステル系ヒートシールラッカー、塩ビー酢ビ系ヒートシールラッカー、サーリン系ヒートシールラッカー、エチレンーアクリル酸コポリマー系ヒートシールラッカー、エチレンビニールアセテートコーポリマー(EVA)系ホットメルトなどがある。同様に二軸伸延合成樹脂フイルムとしては実施例1の蓋8のPETフイルムの外に二軸延伸ポリプロピレン(PP)樹脂フイルム、二軸延伸ポリエチレン(PE)樹脂フイルムなどがあり、更に二軸延伸合成樹脂フイルムに代えて、これらのフイルムを一軸延伸したものでもよい。
【0009】
(実施例2)
図4に図示したように、約58g/m^(2)の上質紙12の上面にポリエチレン樹脂の接着層14を介して厚さ6μの二軸延伸ポリエステル(PET)フイルム13を設け、この上質紙12の下面にポリエチレン樹脂の接着層16を介して厚さ6μの二軸延伸ポリエステル(PET)フイルム15を設ける。
この下面側の二軸延伸ポリエステル(PET)フイルム15の下面に、接着層17′を介してエチレンビニールアセテートコーポリマー(EVA)フイルムからなるヒートシール層17を、設けた容器の蓋18である。
【0010】
この実施例2の容器の蓋18を使用する際は図5に図示したように、例えば合成樹脂製容器19に乳飲料20を入れ、蓋18を容器19の上側開口部にヒートシール層17でヒートシール21して容器19の上側開口部を密封する。
蓋付き容器19に入れた乳飲料20を加熱して飲む時に蓋付き容器19を電子レンジに入れて、電子レンジで容器19に入れた乳飲料20を加熱する。
加熱することにより蓋付き容器19の乳飲料20を加熱した後に図5に図示したように、容器19の上側にヒートシール21してある蓋18に合成樹脂製ストロー22を突き刺し、このストロー22で飲む人が加熱した乳飲料20を飲む。
【0011】
この実施例2の容器の蓋18では、2枚の二軸延伸PETフイルムの厚さが6μと6μと同じ厚さで合計が12μにしたものについて説明したが、2枚の二軸伸延PETフイルムの厚さの合計が大きすぎると、蓋の強度が大きすぎるために合成樹脂製ストローが突き刺しにくくなったり、突き刺さらなくなるし、また2枚の二軸延伸PETフイルムの厚さの合計が小さすぎると、蓋材の強度が小さすぎるために必要とする強度が不足するので2枚の伸延合成樹脂フイルムの厚さの合計は実験した結果では約18μから約8μがよい。同様に上質紙などの紙は実験した結果では約20g/m^(2)から約200g/m^(2)がよく、上質紙の外に模造紙、片面アート紙、晒しクラフト紙などがよい。
【0012】
(実施例3)
図6に図示したように、約105g/m^(2)の片面アート紙31の上面にポリエチレン樹脂の接着層33を介して厚さ6μの二軸延伸したポリプロピレン(PP)フイルム32を設け、この片面アート紙31の下面にポリエチレン樹脂の接着層35を介して厚さ12μの二軸延伸したポリエステル(PET)フイルム34を設ける。
このポリエステル(PET)フイルム34の下面にポリエステル樹脂の接着層37を介してポリプロピレン(PP)フイルムのヒートシール層36を設けた容器の蓋38である。
【0013】
この実施例3の容器の蓋38を使用する際は図7から図9に図示したように、紙製容器39にコーヒー40を入れ、蓋38を容器39の上側開口部にヒートシール層36でヒートシール41して容器39の上側開口部を密封し、更に容器39の上側にカバー42を被せる。このカバー42は合成樹脂製であり、カバー42にストロー突き刺し用十字形切れ目43を設ける。
蓋付き容器39に入れたコーヒー40を加熱して飲む時に蓋付き容器39を電子レンジに入れて、電子レンジで容器39に入れたコーヒー40を加熱する。
加熱することにより蓋付き容器39のコーヒー40を加熱した後にカバー42に設けたストロー突き刺し用十字形切れ目43からストロー44を蓋38に突き刺し、このストロー44で飲む人が加熱したコーヒー40を飲む。
このストロー44は長さが伸縮自在なストローで、予め容器39の外側側面に短縮したストローを仮着しておくと便利である。
カバー42を容器39の上側に被せることによりカバー42のストロー突き刺し用十字形切れ目43に沿ってストローを子供でもほぼ垂直に円滑に突き刺せるし、かつ容器39の蓋に埃りや汚れなどが付くことが防止される。
【0014】
【考案の効果】
この考案の容器の蓋は、容器の開口部を蓋でヒートシールにより簡単に密封することができるし、蓋に金属箔を用いてないために蓋で密封した液体飲料入り容器を電子レンジでそのまま加熱することができる。更にこの考案の容器の蓋は紙の上下両面が薄い延伸合成樹脂フイルムで保護されているので蓋がいずれの方向にもカールしないという効果があるとともに蓋が耐水性を有するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案品の1実施例の平面図である。
【図2】
図1の拡大断面図である。
【図3】
使用時の断面図である。
【図4】
本考案品の別の実施例の拡大断面図である。
【図5】
飲む時の断面図である。
【図6】
本考案品の更に別の実施例の拡大断面図である。
【図7】
使用時の断面図である。
【図8】
使用時の平面図である。
【図9】
飲む時の断面図である。
【符号の説明】
1 模造紙
2 延伸ポリエステルフィルム
3 接着層
4 延伸ポリエステルフィルム
5 酸化ケイ素蒸着層
6 接着層
7 ヒートシール層
7′ 接着層
8 容器の蓋
9 容器
10 茶碗むし
11 ヒートシール
12 上質紙
13 延伸ポリエステルフィルム
14 接着層
15 延伸ポリエステルフィルム
16 接着層
17 ヒートシール層
17′接着層
18 容器の蓋
19 容器
20 乳飲料
21 ヒートシール
22 ストロー
31 片面アート紙
32 延伸ポリプロピレンフィルム
33 接着層
34 延伸ポリプロピレンフィルム
35 接着層
36 ヒートシール層
37 接着層
38 蓋
39 容器
40 コーヒー
41 ヒートシール
42 カバー
43 十字形切れ目
44 ストロー
訂正の要旨 願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1と請求項2に記載した2枚の合成樹脂フィルムの厚さの合計が「32μから8μ」であったのを、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、「18μから8μ」に訂正する。
異議決定日 2001-05-11 
出願番号 実願平5-64716 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (B65D)
最終処分 維持    
前審関与審査官 溝渕 良一  
特許庁審判長 佐藤 雪枝
特許庁審判官 祖山 忠彦
船越 巧子
登録日 1999-09-17 
登録番号 実用新案登録第2601333号(U2601333) 
権利者 三菱アルミニウム株式会社
東京都港区芝2丁目3番3号
考案の名称 容器の蓋  
代理人 岩瀬 真治  
代理人 岩瀬 真治  

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