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審決分類 |
審判 全部申し立て A47L |
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管理番号 | 1043381 |
異議申立番号 | 異議2000-73624 |
総通号数 | 21 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-09-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-09-21 |
確定日 | 2001-07-23 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第2603720号「電気掃除機」に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第2603720号に係る実用新案登録を取り消す。 |
理由 |
1.本件考案 本件実用新案登録第2603720号に係る考案についての出願は、昭和62年6月17日に出願した実願昭62-92878号の一部を平成3年4月9日に新たな実用新案登録出願(実願平3-23061号)とし、さらにその一部を平成8年12月5日に新たな実用新案登録出願(実願平8-12430号)とし、平成12年1月21日に設定登録されたものであって、その考案の要旨は、明細書及び図面の記載からみて、次のとおりのものと認める。 「集塵部及び電動送風機を内蔵した掃除機本体と、該掃除機本体に一端部が接続される可撓性ホースと、一端側に前記ホースが接続され、他端側に延長管が接続される接続部を有すると共に、その間に湾曲部を有する曲りパイプと、該曲りパイプに設けられた把手と、前記延長管に接続される床用吸込具とを備え、 前記把手は、曲りパイプの湾曲部分から延長管の軸線方向と略平行な方向に延設される延設部と、該延設部の延長方向端部から延設部の延長方向よりもホース側に湾曲した把持部とを備えると共に、前記把手を、曲りパイプに一体形成した下ケースと、該下ケースの開口を閉塞するカバー部材とから構成し、 前記カバー部材を、延設部の接続部側部分、及び把持部の両端側部分で下ケースに固定したことを特徴とする電気掃除機。」(以下、「本件考案」という。) なお、明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1には、「把手部の両端側部分」と記載されているが、前後の文脈からして「把持部の両端側部分」の誤記と認められるため、本件考案を上記のように認定した。 2.引用刊行物記載の考案 a)当審で通知した平成12年12月20日付けの取消の理由において引用した刊行物1(「SHARP サービスマニュアル」シャープ株式会社、昭和62年5月発行)には、形名EC-91Fの電気掃除機について説明されており、 特に、第2頁には、本体と、この本体に一端部が接続されるホースと、一端側に前記ホースが接続され、他端側に伸縮自在延長管が接続される接続部を有すると共に、その間に湾曲部を有する手元パイプと、この手元パイプに設けられた把手と、前記延長管に接続される床用吸込口と、を備えた電気掃除機であって、前記把手を、手元パイプの湾曲部分から延長管の軸線方向と略平行な方向に延設される延設部と、この延設部の延長方向端部から延設部の延長方向よりもホース側に湾曲した把持部とを備えた電気掃除機、が図示されている。 また、第12頁には、「■付属品関係」の「○抵抗組品の交換」の項に、「スイッチカバーを止めているXZPSD30P07000(1本)をはずしスイッチカバーを上方にはずしてください。 ボリュウムクミヒンはそのまま引き上げればはずれます。(第29・30図)」と記載され、 第29・30図には、把手を、手元パイプに一体形成した下ケースと、該下ケースの開口を閉塞するカバー部材とから構成し、前記カバー部材を、延設部の接続部側部分で下ケースに固定した写真が示されている。 b)また、同刊行物2(昭和62年3月27日付「電波新聞」)には、その19面の「圧力センサー採用の掃除機」なる見出しの欄に、『シャープは二十六日、・・・家庭用クリーナー「センサーパワーすみじまん」=EC-91P(五万円)同91F(三万九千円)を四月十六日から発売すると発表した。』との記事が掲載されている。 3.対比・判断 上記刊行物1が、本件出願前に頒布されたことは、昭和62年5月と記された発行日、及び、上記刊行物2の掲載内容によって推認されるところである。 そして、本件考案と上記刊行物1記載の考案を対比すると、刊行物1記載の考案における「本体」が本件考案における「集塵部及び電動送風機を内蔵した掃除機本体」に相当し、以下同様に、「ホース」が「可撓性ホース」に、「伸縮自在延長管」が「延長管」に、「手元パイプ」が「曲りパイプ」に、「床用吸込口」が「床用吸込具」に、それぞれ相当している。 したがって、両者は、 「集塵部及び電動送風機を内蔵した掃除機本体と、該掃除機本体に一端部が接続される可撓性ホースと、一端側に前記ホースが接続され、他端側に延長管が接続される接続部を有すると共に、その間に湾曲部を有する曲りパイプと、該曲りパイプに設けられた把手と、前記延長管に接続される床用吸込具とを備え、 前記把手は、曲りパイプの湾曲部分から延長管の軸線方向と略平行な方向に延設される延設部と、該延設部の延長方向端部から延設部の延長方向よりもホース側に湾曲した把持部とを備えると共に、前記把手を、曲りパイプに一体形成した下ケースと、該下ケースの開口を閉塞するカバー部材とから構成し、 前記カバー部材を、延設部の接続部側部分で下ケースに固定した電気掃除機」において一致し、 カバー部材を下ケースに固定する上で、本件考案では、延設部の接続部側部分のみならず「把持部の両端側部分」で行っているのに対して、刊行物1記載の考案では、延設部の接続部側部分のみで行っている点で相違している。 以下、上記相違点について検討する。 上記刊行物1記載の考案において、カバー部材を下ケースに固定する際に、位置ずれや隙間の発生が生じないように考慮することは当業者が当然為すべきことであり、そのような課題の下に、カバー部材のどの部分で固定するか、あるいは、何ヶ所で固定するかは、当業者が必要に応じて適宜選定しうる設計的事項にすぎないものと認められる。 したがって、上記刊行物1記載の考案において、カバー部材を、延設部の接続部側部分、及び把持部の両端側部分で下ケースに固定して本件考案の構成とすることは、当業者にとってきわめて容易である。 そして、本件考案により奏される効果は、上記刊行物1記載の考案から予測しうる範囲のものにすぎず、本件考案の固定の仕方のみが有する格別の効果は何等認められない。 4.むすび 以上のとおりであって、本件考案は、上記刊行物1記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものであるから、本件考案についての実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認める。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2001-05-10 |
出願番号 | 実願平8-12430 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
Z
(A47L)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 菅澤 洋二、澤村 茂実、金丸 治之 |
特許庁審判長 |
田中 秀夫 |
特許庁審判官 |
和泉 等 熊倉 強 |
登録日 | 2000-01-21 |
登録番号 | 実用新案登録第2603720号(U2603720) |
権利者 |
三洋電機株式会社 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 |
考案の名称 | 電気掃除機 |
代理人 | 石原 勝 |