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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F16F
管理番号 1045166
審判番号 不服2000-14100  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-09-05 
確定日 2001-09-04 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 4105号「防音、防振用マット」拒絶査定に対する審判事件〔平成 6年 8月 5日出願公開、実開平 6- 56537、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。   
結論 原査定を取り消す。 本願の考案は、実用新案登録すべきものとする。
理由 I.手続の経緯・本願考案
本願は、平成5年1月19日の出願であって、その請求項1,2に係る考案(以下、それぞれ「本願考案1」、「本願考案2」という。)は、平成12年9月5日付の手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1,2に記載された次のとおりのものであると認める。

「【請求項1】 ステンレス鋼又は鉄鋼製の複数個のリング状の鎖環を直列状に連結してなる鎖部材を複数本並列配置し、該並列配置された複数本の鎖部材の隣り合う各々のリング状の鎖環に可撓性を有する連繋部材を端部の鎖部材において折り返しつつ挿通して織成構造となし、上記並列配置される鎖部材を構成する複数個のリング状の鎖環を交互に斜めに寝せた状態で連結して並列配置された上記各鎖部材間を可及的に近接密着状態に配置して構成したことを特徴とする防音、防振用マット。
【請求項2】 ステンレス鋼又は鉄鋼製の複数個のリング状の鎖環を直列状に連結してなる鎖部材を複数本並列配置し、該並列配置された複数本の鎖部材の隣り合う各々のリング状の鎖環に可撓性を有する連繋部材を端部の鎖部材において折り返しつつ挿通して織成構造となし、上記並列配置される鎖部材の並列するリング状の各鎖環にこのリング状の鎖環に隣り合うリング状の鎖環の間隔を保持するスペーサー管を挿通し、該スペーサー管に上記連繋部材を挿通して構成したことを特徴とする防音、防振用マット。」

II.原査定の拒絶の理由の概要
これに対し、原査定の拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1,2に係る考案は、いずれも、下記の引用刊行物1に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない、というものである。

引用刊行物1:実願昭48-13851号(実開昭50-80684号)
のマイクロフィルム

III.引用刊行物の記載内容
上記引用刊行物1には、「金網製緩衝材」(考案の名称)が記載され、図面とともに以下の技術的事項が記載されている。

ア.「メリヤス編した金網を、或る編目の交叉部と、この交叉部と同一コース内並びに同一ウェール内になく、かつ上記交叉部に最も近接する編目の交叉部とを結ぶ仮想線上に山と谷とを順次交互に、かつ山と谷とが平行になるように波付加工してなる金網製緩衝材。」(実用新案登録請求の範囲)

イ.「本考案は、金網製緩衝材に関するものである。本考案は、例えば激しく振動する装置に破壊しやすい器材等を苛酷なヒートサイクルが繰返される状態下で保持する場合に使用しても充分な弾性復元力を有して、器材を破壊することなく保持し、その役目を充分に果すことができる金網製緩衝材を提供するもので、メリヤス編した金網を、或る編目の交叉部と、この交叉部と同一コース内並びに同一ウェール内になく、かつ上記交叉部に最も近接する編目の交叉部とを結ぶ仮想線上に山と谷とを順次交互に、かつ山と谷とが平行になるように波付加工してなるものである。」(第1頁第11行?第2頁第3行)

IV.対比判断
1.本願考案1
本願考案1と引用刊行物1記載の考案を対比するに、引用刊行物1には、上記III.で摘記した技術的記載事項並びに明細書及び図面(特に第1図)の記載からみて、「金属製の金網をメリヤス編した防振用マット」が開示されていものと認められる。
しかしながら、当該引用刊行物1には、「並列配置された複数本の鎖部材の隣り合う各々のリング状の鎖環に可撓性を有する連繋部材を端部の鎖部材において折り返しつつ挿通して織成構造となし、上記並列配置される鎖部材を構成する複数個のリング状の鎖環を交互に斜めに寝せた状態で連結して並列配置」することが開示されていない。また、この構成は、拒絶査定において指摘された周知技術(実願昭48-144323号(実開昭50-85424号)のマイクロフィルム、及び、実公昭14-19898号公報)を引用刊行物1記載の考案に適用したとしても、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは言い難い。
そして、本願考案1は、かかる構成により、「複数個の鎖環を連結してなる鎖部材を複数本並列配置し、鎖環に可撓性を有する連繋部材を挿通してなるから、全体として柔軟構造となり、床面の凹凸に倣って敷設することができ、更に、上記並列配置される鎖部材を構成する複数個の鎖環を交互に斜めに寝せた状態で連結して並列配置された上記各鎖部材間を可及的に近接密着状態に配置して構成しているから、一層防音防振効果を高めることができる」という明細書記載の格別の作用・効果を奏するものである。
よって、本願考案1は、引用刊行物1記載の考案及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものはいえない。

2.本願考案2
本願考案2と上記引用刊行物1記載の考案を対比するに、当該引用刊行物1には、「並列配置された複数本の鎖部材の隣り合う各々のリング状の鎖環に可撓性を有する連繋部材を端部の鎖部材において折り返しつつ挿通して織成構造となし、上記並列配置される鎖部材の並列するリング状の各鎖環にこのリング状の鎖環に隣り合うリング状の鎖環の間隔を保持するスペーサー管を挿通し、該スペーサー管に上記連繋部材を挿通」することが開示されていない。また、この構成は、拒絶査定において指摘された周知技術(実願昭48-144323号(実開昭50-85424号)のマイクロフィルム、及び、実公昭14-19898号公報)を引用刊行物1記載の考案に適用したとしても、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは言い難い。
そして、本願考案2は、かかる構成により、「隣り合うリング状の鎖環の間隔を一定間隔に保持することができ、複数個の鎖環を整然と配列することができる」るという明細書記載の格別の作用・効果を奏するものである。
よって、本願考案2は、引用刊行物1記載の考案及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものはいえない。

V.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1,2に係る考案は、いずれも引用刊行物1に記載された考案及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものはいえず、原査定の拒絶の理由は妥当でない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2001-08-21 
出願番号 実願平5-4105 
審決分類 U 1 8・ 121- WY (F16F)
最終処分 成立    
前審関与審査官 藤原 直欣  
特許庁審判長 船越 巧子
特許庁審判官 長屋 陽二郎
秋月 均
考案の名称 防音、防振用マット  
代理人 黒田 勇治  

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