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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F16K |
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管理番号 | 1045179 |
審判番号 | 不服2000-9038 |
総通号数 | 22 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-06-15 |
確定日 | 2001-09-17 |
事件の表示 | 平成 5年実用新案登録願第 45609号「圧力調整器」拒絶査定に対する審判事件〔平成 7年 2月14日出願公開、実開平 7- 10640、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の考案は、実用新案登録すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願考案 本願は、平成5年7月30日の出願であって、本願の請求項1,2に係る考案は、平成12年6月15日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1,2に記載された次のとおりのもの(以下、請求項1の考案を「本願考案」という。)と認める。 「【請求項1】ハウジング内に、1次圧力室、2次圧力室をそれぞれ形成し、1次圧力室と2次圧力室とを区画する弁座を設け、1次圧力室内に調整弁を配置し、前記調整弁の位置を調整して減圧を行なう液化ガス又は腐食性ガス用の圧力調整器において、 弁座の調整弁当接面に樹脂製の弁シートを形成し、調整弁全体をセラミックスから成る一部材で構成したことを特徴とする圧力調整器。 【請求項2】調整弁を炭化ケイ素(SiC)で形成した請求項1記載の圧力調整器。」 そして、本願考案は、特に「調整弁の位置を調整して減圧を行なう液化ガス又は腐食性ガス用の圧力調整器において、弁座の調整弁当接面に樹脂製の弁シートを形成し、調整弁全体をセラミックスから成る一部材で構成した」ことにより、「セラミックス材料にネジ加工を必要とせず、他部材との連結による構造の複雑化を防止できるとともに、この部分の温度低下を防止して水滴の発生を防ぎ、弁シートと調整弁との接離をスムーズに行なわせることができる」という、特有の作用効果を奏するものと認められる。 2.引用刊行物及び本願考案との対比 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された実願昭46-57128号(実開昭48-15617号)のマイクロフィルムには、「ハウジング内に、1次圧力室、2次圧力室をそれぞれ形成し、1次圧力室と2次圧力室とを区画する弁座を設け、1次圧力室内に調整弁を配置し、前記調整弁の位置を調整して減圧を行なう液化ガス又は腐食性ガス用の圧力調整器において、弁座の調整弁当接面に樹脂製の弁シートを形成」した考案は記載されているといえるが、調整弁は樹脂製であって、しかも、調整弁全体を一部材で構成したものでなく、さらに、その作用も「霜或いはドライアイスの離脱効果を上げる」ものであって、「温度低下を防止して水滴の発生を防ぎ、弁シートと調整弁との接離をスムーズに行なわせる」ものではない。 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された特開平4-131572号公報には、「弁座および弁体の少なくとも損傷されやすい一方がセラミックスで形成された制御器」の考案は記載されているといえるが、該制御器は「液化ガス又は腐食性ガス用の圧力調整器」ではなく、「弁座の調整弁当接面に樹脂製の弁シートを形成し、調整弁全体をセラミックスから成る一部材で構成した」ものでもない。 してみれば、上記各引用例には、いずれも「調整弁の位置を調整して減圧を行なう液化ガス又は腐食性ガス用の圧力調整器において、弁座の調整弁当接面に樹脂製の弁シートを形成し、調整弁全体をセラミックスから成る一部材で構成した」点が記載されておらず、また、これを示唆する記載も認められない。 そして、本願考案は、前述したように、該点の構成により、「セラミックス材料にネジ加工を必要とせず、他部材との連結による構造の複雑化を防止できるとともに、この部分の温度低下を防止して水滴の発生を防ぎ、弁シートと調整弁との接離をスムーズに行なわせることができる」という、特有の作用効果を奏するものである。 したがって、本願の請求項1に係る考案は、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認められない。 3.請求項2の考案について 請求項2に係る考案は、請求項1に係る考案を「調整弁を炭化ケイ素(SiC)で形成した」と限定したものであるから、上記「2.引用刊行物及び本願考案との対比」で説示したのと同じ理由により、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認められない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願考案を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2001-08-23 |
出願番号 | 実願平5-45609 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
WY
(F16K)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 川向 和実、井上 茂夫 |
特許庁審判長 |
神崎 潔 |
特許庁審判官 |
ぬで島 慎二 鈴木 久雄 |
考案の名称 | 圧力調整器 |
代理人 | 船津 暢宏 |
代理人 | 阪本 清孝 |