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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B26D
管理番号 1045180
審判番号 不服2000-9847  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-06-29 
確定日 2001-08-31 
事件の表示 平成10年実用新案登録願第 201号「テープカッターおよびこれを備えたテーププリンタ」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 8月 7日出願公開、実開平10- 163]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.本件出願は、平成3年11月15日に出願した実願平3-90450号の一部を平成10年1月27日に新たな実用新案登録出願としたものであって、その請求項1に係る考案は、平成10年8月31日付け手続補正書及び平成12年6月29日付け手続補正書で補正がされた明細書並びに図面の記載からみてその実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。(以下、「本願考案」という。)
「【請求項1】フレームに固定された固定カッターブレードと、
回転しながら前記固定カッターブレードと擦れ合ってテープ部材を切断する移動カツターブレードと、
前記移動カッターブレードを前記固定カッタープレードに回転可能に支持するカッターピンとを備えたテーププリンタ用のテープカッターにおいて、
前記移動カッターブレードは、一体に形成されると共に、前記カッターピンの部分で、ブレード部側とアーム部側とが擦れ合い面内において略「L」字状に屈曲形成され、
前記固定カッターブレードは、前記カッターピンの部分で、ブレード部側とアーム部側とが、擦れ合い面内において略「L」字状に屈曲形成され、
前記移動カッターブレードのアーム部と前記固定カッターブレードのアーム部とは、逆方向に延在していることを特徴とするテープカッター。」

2.これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された実願昭59-48401号(実開昭60-161361号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、
「固定下刃52と、
回転しながら前記固定下刃52と擦れ合って写真フィルムfを切断する上刃51と、
前記上刃51を前記固定下刃52に対して回転可能に支持する枢着ピン53とを備えた写真フィルム切断装置において、
前記上刃51は、一体に形成されると共に、前記枢着ピン53の部分で、上刃部側とアーム部側とが擦れ合い面内において略L字状(ベルクランク状)に屈曲形成されている
写真フィルム切断装置。」
が実質上記載されていると認められる。

3.本願考案と、引用例記載の考案とを比較すると、引用例記載の考案における「固定下刃52」、「上刃51」、「枢着ピン53」及び「カッター」は、それぞれ、引用例記載の考案における「固定カッターブレード」、「移動カッターブレード」、「カッターピン」及び「切断装置」に相当することが明らかであるので、本願考案と引用例記載の考案とは、
「固定カッターブレードと、
回転しながら前記固定カッターブレードと擦れ合って部材を切断する移動カッターブレードと、 前記移動カッターブレードを前記固定カッターブレードに対して回転可能に支持するカッターピンとを備え、
前記移動カッターブレードは、一体に形成されると共に、前記カッターピンの部分で、ブレード部側とアーム部側とが擦れ合い面内において略「L」字状に屈曲形成されている
カッター」
である点で一致するが、
(1)本願考案は、テーププリンタ用のテープカッターを対象としているのに対して、引用例記載の考案は、写真フィルムカッターを対象としている点、及び、
(2)本願考案は、固定カッターブレードが、カッターピンの部分で、ブレード部側とアーム部側とが、擦れ合い面内において略「L」字状に屈曲形成され、また、移動カッターブレードのアーム部と固定カッターブレードのアーム部とが、逆方向に延在しているのに対して、引用例記載の考案は、固定下刃52の支持手段が明らかでなく、また、固定下刃52が「L」字状のカッターの一部となっていない点、
で相違すると認められる。

4. そこで、前記相違点(1)及び(2)について検討する。
(1)相違点(1)について、
写真フィルムは、テーププリンタ用のテープと同様、テープ状に形成されたプラスティック成形体でできており、写真フィルムのカッターとテーププリンタ用のテープのカッターとの間で、「はさみ状」のカッターの性状、機能において格別の差異があるとは解されない。
してみると、引用例記載の考案における写真フィルム用カッターを、テーププリンタ用のテープカッターを対象とするものに転用する点に、特段の困難が存したとはいえない。
(2)相違点(2)について、
引用例には、固定下刃52については、切断装置との関係が明確にされていないが、固定下刃52と上刃51とは、「はさみ」状のカッターを形成しており、一般に「はさみ状」のカッターは、固定の刃に対して、可動の歯を揺動可能に配することによって構成されるものであることからすると、固定下刃52は、切断装置の構造部であって、固定下刃52と一体の構造部に、上刃51を回転可能に支持する枢着ピン53が備えられ、この部分で擦れ合い面内で回転可能に支持されていると解するのが相当である。そして、はさみ状のカッターを構成するに際し、固定刃と可動刃にそれぞれ一体に形成されたブレードをピンで結合したうえ固定刃のブレードを装置に固定するか、固定刃が固定された装置の構造部に可動刃をピンで結合するかは、必要に応じて適宜選択される設計的事項である。また、その固定刃と一体に形成されたブレードをどのような形状にするかは、本体装置の構造との関係で適宜定め得る設計上の事項である。そうすると、引用例記載の考案において、固定下刃52を、枢着ピン53の部分で、ブレード部側とアーム部側とが、擦れ合い面内において略「L」字状に屈曲形成すること、及びこのとき上刃51のアーム部と固定下刃52のアーム部とが、互いに逆方向に延在するものとすることは、格別の困難を要することなくなし得た設計的事項であるといえる。
してみると、前記相違点(1)及び(2)に係る本願考案の構成は、いずれも、当業者が必要に応じて適宜なし得た程度のことに過ぎない。
そして、本願考案においては、テーププリンタの構成が具体的に特定されているものでもなく、また、テープカッターとテーププリンタのフレームの取り付け態様が特定されているものでもないことからすれば、本願考案の効果も引用例に記載された考案から予想し得ない格別の効果を奏するものとは認められない。

5.したがって、本願考案は、引用例記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-06-19 
結審通知日 2001-06-26 
審決日 2001-07-09 
出願番号 実願平10-201 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B26D)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 小椋 正幸丸山 英行関口 勇  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 宮崎 侑久
鈴木 孝幸
考案の名称 テープカッターおよびこれを備えたテーププリンタ  
代理人 落合 稔  

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