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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1045191
異議申立番号 異議2000-73521  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-09-13 
確定日 2001-07-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2603476号「詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー」の請求項1ないし4に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2603476号の請求項1ないし4に係る実用新案登録を取り消す。
理由 I.手続の経緯
本件実用新案登録第2603476号は、平成5年1月12日(優先権主張平成4年1月17日、平成4年2月3日)に出願され、平成11年12月24日に実用新案権の設定登録がなされ、実用新案登録掲載公報が平成12年3月13日に発行され、その後、平成12年9月13日付けで高塚ちはるより、同日付けで株式会社クレシアより実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年1月29日に意見書の提出と共に訂正請求がなされたものである。

II.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
・訂正事項a
実用新案登録請求の範囲の請求項1の
「【請求項1】 包装袋に封入され液体を含浸する詰め替え用の包装ウエットティッシュペーパーであって、収納されたウエットティッシュペーパーの各葉が折り畳まれ、かつ包装袋が液体不透過性であると共に、包装袋の取出口に切り込みを設け、該切り込みを、裏面に感圧接着剤を塗布し開封後に廃棄されるシール部材により覆い、該シール部材を開封して包装体に開口を設けた後、各種容器に開封した該包装体を詰めて用いるようにしたことを特徴とする詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー。」
という記載を
「【請求項1】 包装袋に封入され液体を含浸する詰め替え用の包装ウエットティッシュペーパーであって、収納されたウエットティッシュペーパーの各葉が折り畳まれ、かつ包装袋が液体不透過性であると共に、包装袋の取出口に切り込みを設け、該切り込みを、裏面に感圧接着剤を塗布し開封後に廃棄されるシール部材により覆い、該シール部材を開封して包装体に幅3cm以下の開口を設けた後、各種容器に開封した該包装体を詰めて用いるようにしたことを特徴とする詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー。」
と訂正する。
・訂正事項b
明細書の段落番号【0009】の
「該シール部材を開封して包装体に開口を設けた後、」
という記載を、
「該シール部材を開封して包装体に幅3cm以下の開口を設けた後、」
と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の追加及び拡張・変更の存否
・訂正事項aについて
aの訂正は、実用新案登録請求の範囲の請求項1において、シール部材を開封して包装体に設ける「開口」の幅を「3cm以下」に限定しようとするもので、明細書の段落番号【0023】の記載に基づくものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
・訂正事項bについて
bの訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮に整合させるための訂正であって、明細書に記載された事項の範囲内の訂正であり、明りょうでない記載の釈明に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものではない。。
以上のとおりであるから、前記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.実用新案登録異議の申立てについての判断
(1)本件考案
本件の請求項1ないし4に係る考案(以下、「本件考案1」ないし「本件考案4」という。)は前記訂正が認められた結果、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし4に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】 包装袋に封入され液体を含浸する詰め替え用の包装ウエットティッシュペーパーであって、収納されたウエットティッシュペーパーの各葉が折り畳まれ、かつ包装袋が液体不透過性であると共に、包装袋の取出口に切り込みを設け、該切り込みを、裏面に感圧接着剤を塗布し開封後に廃棄されるシール部材により覆い、該シール部材を開封して包装体に幅3cm以下の開口を設けた後、各種容器に開封した該包装体を詰めて用いるようにしたことを特徴とする詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー。
【請求項2】 収納されたウエットティッシュペーパーの各葉が互いに重なりを有して折り畳まれている前記請求項1記載の詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー。
【請求項3】 包装袋の取出口の長さが通過するウエットティッシュペーパーの紙幅の15?99%のスリットである前記請求項1記載の詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー。
【請求項4】 包装袋の取出口の切り込みの形状が横長の「H」字型である
前記請求項1に記載の詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー。」
(2)引用刊行物に記載された考案
当審で通知した取消しの理由で引用した刊行物は、
刊行物1:米国特許第4735317号明細書
(実用新案登録異議申立人 高塚ちはる提出の甲第1号証)
刊行物2:特開平2-4681号公報
(実用新案登録異議申立人 株式会社クレシア提出の甲第2号証)
刊行物3:実願昭60-50452号(実開昭61-166976号)の
マイクロフィルム(同株式会社クレシア提出の甲第5号証)
で、各刊行物には、以下のような事項が記載されている。
・刊行物1
濡れタオル等の詰め替え容器に関するものであり、図面と共に以下の記載がある。
ア)本発明10は、図1に示すように、濡れタオルやティッシュ6の袋5をディスペンスするための、2つ孔のキャビティ12および孔14を覆う再シール可能な蓋20を有する容器1を提供するものであること。(2欄30?33行、図1参照。)
イ)複数のタオル6は、好ましくは図2に示すように、容器1への詰め替えを容易にするためにフレキシブル袋5に包装されており、前もって形成されたスリットまたはカット7は、タオル6をディスペンスするための袋5の一側面に設けられていてもよいこと。(2欄40?44行、図2参照。)
ウ)タオルは周知の方法で折り畳まれており、例えば、C、J、S、又はZのような文字の形に、相互に折り畳まれたポップアップ状態あること。ポップアップという用語は、タオルについて言えば、折り畳まれた1枚のタオルを取り出す際に、次ぎのタオルを取り出し易くするために、前のタオルの尻の部分が、後のタオルの先端部分を引きずる(trail)ような形で折り畳まれていることを意味すること。(2欄45?52行)
・刊行物2
ウエットティッシュの収容・分配容器に関するものであり、図面と共に以下の記載がある。
エ)「1 順次折り重なるように積み重ねかつ液体を含浸させたウエットティッシュ(1)と、該ウエットティッシュを収容するとともに該ウエットティッシュを順次引き出すためのスリット(12)を上表面に有する耐水紙からなる内箱(10)と、前記スリットを閉鎖するように前記内箱上表面に着脱可能に粘着された内箱シール(13)と、該内箱を収容するために、少なくとも樹脂シートと紙とを積層してなる耐水紙で形成された形状の安定した外箱(20)と、・・・」(特許請求の範囲、1ないし3図参照。)
オ)「使用開始前は内箱は内箱シールが粘着されたままであるので、運搬・保管時のシール性が向上する。使用開始時に内箱シールが取り除かれ、シール蓋によって外箱が繰り返し密封される。」(3頁左上欄1?5行)
カ)「各ウエットティッシュ1は、図には詳しく示されていないが、広げた状態で適当な大きさの矩形に形成され、2つ折り又は幾つかに折り重ねた後2つ折りにされ、上下に隣接するもの同士の間で上下交互に折り重ねてある。」(3頁左上欄14?18行)
・刊行物3
ウエットティッシュ封入袋に関するものであり、図面と共に以下の記載がある。
キ)「袋体(1)の一面に切断線を略H字形状に設け、略H字形状の横切断線(2)を他の縦切断線(3)(3)よりも長く設け、繰返し剥離かつ接着しうる程度に粘着剤を裏面に塗布した蓋片(6)を前記略H字形状の切断線を覆うように貼着し、蓋片(6)には前記略H字形状の横切断線(2)と対向する側につまみ片(7)を設けたウエットティッシュ封入袋」(実用新案登録請求の範囲第1項、1図参照。)
(3)対比および判断
1)請求項1に係る考案について
本件考案1と刊行物1記載の考案とを対比すると、後者の「フレキシブル袋5」、「濡れティッシュ6」および「スリットまたはカット7」は、前者の「包装袋」、「ウエットティッシュペーパー」および「切り込み」にそれぞれ相当する。そして、後者の濡れティッシュ6はフレキシブル袋5に包装されたものであって、容器への詰め替えを容易にするためのものであるから(刊行物1・記載イ)、後者は前者の「液体を含浸する詰め替え用の包装ウエットティッシュペーパー」の要件を備えるものであり、後者の濡れティッシュ6は折り畳まれてフレキシブル袋5に収納されたものであるから(刊行物1・記載ウ、図2)、後者は前者の「収納されたウエットティッシュペーパーの各葉が折り畳まれ、」との要件を備えるものであり、後者のフレキシブル袋5の一側面にはスリットまたはカット7が設けられており、これらは濡れティッシュ6を取り出すための開口を構成するためのものであるから(刊行物1・記載イ)、後者は前者の「包装袋の取出口に切り込みを設け、包装体に開口を設けた」との要件を備えるものであり、後者のフレキシブル袋5は取出口が開いた状態で容器1に詰めて用いられるものであるから(刊行物1・記載アおよびイ、図3)、後者は前者の「各種容器に開封した該包装体を詰めて用いるようにしたことを特徴とする」との要件を備えるものである。
したがって、両者は「包装袋に収納され液体を含浸する詰め替え用の包装ウエットティッシュペーパーであって、収納されたウエットティッシュペーパーの各葉が折り畳まれ、包装袋の取出口に切り込みを設け、包装体に開口を設け、各種容器に開封した該包装体を詰めて用いるようにしたことを特徴とする詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー」で一致し、以下の点で相違する。
・相違点1
包装袋が、本件考案1では液体不透過性であるのに対し、刊行物1記載の考案では液体不透過性であるか否か明らかではない点。
・相違点2
本件考案1では、ウエットティッシュペーパーが包装袋に封入されたものであって、取出口の切り込みを、裏面に感圧接着剤を塗布し開封後に廃棄されるシール部材により覆い、該シール部材を開封して包装体に開口を設けるのに対し、刊行物1記載の考案ではこのような構成となっていない点。
・相違点3
開口の大きさが、本件考案1では幅3cm以下であるのに対し、刊行物1記載の考案ではその幅が明らかではない点。
以下相違点について検討する。
・相違点1について
刊行物1には、包装袋の性状について具体的記載はない。しかしながら、刊行物1記載の考案における包装袋には濡れたティッシュが収納されているのであるから、当該袋は当然、液体を透過しない性質を備えたものといえる。
したがって、相違点1は実質的なものではない。
・相違点2について
刊行物1には、包装袋の取出口について、切り込みを設けたこと以外に記載はない。しかしながら、濡れた状態のティッシュを包装袋に収納し、これを容器への詰め替え用として使用するのであるから、取出口が開口したままで取り扱うことは一般的ではなく、液体の揮散や異物の侵入を防止するために包装袋は何らかの密封手段を有する、または密封された状態にあると考えるのが常識的である。そして、包装袋は容器への詰め替え時に密封を解かれるものといえる。
前記事項を前提として、構成の具体的相違点を検討するために刊行物2記載の考案をみてみると、刊行物2には、外箱20(本件考案1の「容器」に相当)に収容された、ウエットティッシュを収納した内箱10(本件考案1の「包装袋」に相当)に、ウエットティシュ引き出し用のスリット(本件考案1の「取出口の切り込み」に相当)を閉鎖するよう内箱シール(本件考案1の「シール部材」に相当)を粘着することが記載されている。(刊行物2・記載エ)この構成は、本件考案1の「包装袋の取出口の切り込みを、裏面に粘着剤を塗布したシール部材により覆い」との要件を備えるものといえる。また、前記内箱シールは、使用開始時に取り除かれるのであるから(刊行物2・記載オ)、本件考案1の「開封後に廃棄されるシール部材により覆い、該シール部材を開封して包装体に開口を設けた」との要件を備えるものといえる。そして、前記内箱シールの粘着剤について具体的記載はないが、この種シール材の粘着に感圧接着剤を使用することは従来周知の事項であるから(一例として、特開昭58-171368号公報参照)、刊行物2は相違点2の構成を備えるものである。
刊行物1と刊行物2とは、共に包装袋に収納されたウエットティッシュを容器に収容して使用するものに関する考案であり、技術分野を同じくするものであるから、刊行物1記載の考案における包装袋の取出口部の構成として刊行物2記載の考案における前記構成を適用することに格別の困難性は認められない。
・相違点3について
開口の大きさをどの程度のものとするかは、内容物であるウエットティッシュの取り出し易さ、含浸された液体成分の揮散防止、袋への異物の侵入防止等を考慮して、当業者が適宜決定し得る設計的事項であり、本件考案1において限定した「幅3cm以下」という数値が特別のものとは認められない。
実用新案権者は意見書において、本件考案1は詰め替え用の包装袋において、幅3cm以下の開口を設けたことにより特有の効果を奏する旨主張する。
しかしながら、実用新案権者が主張する液体成分の揮散防止、異物の侵入防止といった効果は包装袋が開封された後に問題となる事項であって、その包装袋が詰め替え用であるか否かとは関係のないことであり、開口の大きさを詰め替え用の包装袋と連携させて特有の効果があるとする当該主張は採用できない。
したがって、本件考案1は刊行物1および2記載の考案、ならびに周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に想到することができたものである。
2)請求項2に係る考案について
本件考案2は、本件考案1における、収納されたウエットティッシュペーパーの各葉が「互いに重なりを有して」折り畳まれている、ものであると構成を限定するものである。
しかしながら、当該構成は刊行物1の記載ウおよび刊行物2の記載エにもみられるようにこの種包装ウエットティッシュペーパーにおいて従来周知の事項である。
したがって、本件考案2と刊行物1記載の考案とを対比すると、両者の一致点および相違点は、前記「1)請求項1に係る考案について」であげたものと同じであり、本件考案2は「前記1)請求項1に係る考案について」で述べたのと同じ理由により、刊行物1および2記載の考案、ならびに周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に想到することができたものである。
3)請求項3に係る考案について
本件考案3と刊行物1記載の考案とを対比すると、両者は前記「1)請求項1に係る考案について」であげた相違点1ないし3を有するのに加えて、前者では、取出口の長さが通過するウエットティッシュペーパーの紙幅の15?99%のスリットであるのに対し、後者ではこのような構成となっていない点で相違する。(相違点4)
以下、相違点4について検討すると、刊行物2記載の考案における内箱10(本件考案の「包装袋」に相当)は、ウエットティッシュ引き出し用のスリット12を有しており(記載エ)、図1ないし3には通過するウエットティッシュの紙幅の1/3程度の長さのものが示されている。前記記載からも明らかなように、この種包装袋の取出口の長さを、通過するウエットティッシュペーパーの紙幅の15?99%の範囲に構成することは格別なものとは認められず、ティッシュの取り出し易さ、保持性、異物の混入防止等を考慮して、当業者が適宜決定し得る設計的事項である。
そして、その余の点については、「前記1)請求項1に係る考案について」で述べたのと同じであり、本件考案3は刊行物1および2記載の考案、ならびに周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に想到することができたものである。
4)請求項4に係る考案について
本件考案4と刊行物1記載の考案とを対比すると、両者は前記「1)請求項1に係る考案について」であげた相違点1ないし3を有するのに加えて、前者では、取出口の切り込みの形状が横長の「H」字型であるのに対し、後者ではこのような構成となっていない点で相違する。(相違点5)
以下、相違点5について検討すると、刊行物3にはウエットティッシュ封入袋(本件考案の「包装袋」に相当)の取出口に横長のH字型の切断線(本件考案の「切り込み」に相当)を設けることが記載されている。刊行物3はウエットティッシュ封入袋に関する考案であり、刊行物1と技術分野を同じくするものであるから、刊行物1記載の考案における包装袋の取出口部の構成として刊行物3記載の考案における前記構成を適用することに格別の困難性は認められない。
そして、その余の点については、「前記1)請求項1に係る考案について」で述べたのと同じであり、本件考案4は刊行物1ないし3記載の考案、ならびに周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に想到することができたものである。

IV.むすび
したがって、本件請求項1ないし3に係る考案は、刊行物1ないし2記載の考案ならびに周知技術に基づいて、また、本件請求項4に係る考案は、刊行物1ないし3記載の考案ならびに周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に想到することができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
したがって、本件請求項1ないし4に係る実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない出願に対してなされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 包装袋に封入され液体を含浸する詰め替え用の包装ウエットティッシュペーパーであって、収納されたウエットティッシュペーパーの各葉が折り畳まれ、かつ包装袋が液体不透過性であると共に、包装袋の取出口に切り込みを設け、該切り込みを、裏面に感圧接着剤を塗布し開封後に廃棄されるシール部材により覆い、該シール部材を開封して包装体に幅3cm以下の開口を設けた後、各種容器に開封した該包装体を詰めて用いるようにしたことを特徴とする詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー。
【請求項2】 収納されたウエットティッシュペーパーの各葉が互いに重なりを有して折り畳まれている前記請求項1記載の詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー。
【請求項3】 包装袋の取出口の長さが通過するウエットティッシュペーパーの紙幅の15?99%のスリットである前記請求項1記載の詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー。
【請求項4】 包装袋の取出口の切り込みの形状が横長の「H」字型である前記請求項1に記載の詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は詰め替え用として包装されたウエットティッシュペーパーに関する。本考案の包装ウエットティッシュペーパーは家庭、病院、学校、保育園、事務所などの日常生活において、簡便で衛生的なウエットティッシュペーパーとして用いられる。
【0002】
【従来の技術および課題】
ウエットタイプのティッシュペーパー(以下、ウエットティッシュという)は、手足の汚れ、あるいは乳幼児の授乳、食事後の口の回り、排便の後始末などに便利であり、一般の家庭で好んで用いられている。また、病院、家庭での病人の看護などにもよく使用される。ウエットティッシュは身体などについた汚れを簡易かつ迅速に拭うことができ、確実に汚れを除去でき極めて便利である。このため、家庭、病院などでは据え置き型で用いられている。さらに、洗剤等を含浸して台所、水回りのクリーニングペーパーとしても使用されている。
【0003】
従来、据え置き型のウエットティッシュとしては、密封包装した詰め替え用ウエットティッシュの内容物を袋を破って完全に取り出し、これをプラスチックなどで形成された大きく開放する蓋を設けた容器に詰める形態のものが市販されている。このような製品では、詰め替え時にウエットティッシュが汚染されやすく、使用中の容器からの液体成分の揮散も大きく、衛生用品として好ましくない。
【0004】
実公昭60-37329号公報には、裏面に粘着剤を塗布して繰り返し開閉可能としたフィルム状の蓋を有することを必須とし、全体がディスポーザブルとなったウエットティッシュ封入袋の改良についての提案がなされている。ここに記載の封入袋は、内部にトレイが挿入され、このトレイに設けた開口部を通してウエットティッシュを取り出しウエットティッシュと蓋の粘着部との接触を避け、蓋の密閉性を改良せんとするものである。また、特開平1-226579号公報では、このトレイの側面を延長し、内容量が減少してもウエットティッシュが容易に取り出せるよう封入袋の形態の保持をはかっている。さらに、特開平1-267182号公報および米国特許第4863064号には、前記と同様のトレイに設けられたウエットティッシュを通過させる部分に窪みを設け、トレイに保持されたウエットティッシュが蓋の粘着剤に接触せず封入袋の内部に保持されるよう空間を確保した包装体が記載されている。また、特開平1-167084号公報は、ウエットティッシュの封入袋を硬い箱体に収容し、袋の取り出し口を箱体の取り出し口に固着して、内容物の取り出しを容易にし、蓋の密閉を確実にせんとするものである。
【0005】
また、ミシン目でつながったウエットティッシュを円筒状に巻き取り密閉容器に収納し、容器上部に設けたゴム製の細い取り出し孔から、1枚ずつ引き出すことのできる製品も市販されている。この形態のウエットティッシュは、容器の密閉性は良好であるが、取り出しには必ず両手を必要とし、またウエットティッシュが細いひも状で取り出される。このため、乳児のお尻を拭いたり、病人の世話をするにあたっては容器より取り出したウエットティッシュをまず両手で広げてから使用しなければならず、ウエットティッシュを必要とする急な場合には極めて煩わしくしかも不衛生である。
【0006】
さらに、特公昭59-20552号公報には、ロール状の、あるいは折り畳まれたウエットティッシュを容器内で上下する邪魔板を通して取り出すようにした供給容器が記載されている。しかしながら、このような装置も内容物の詰め替えが煩わしく、また取り替えによりウエットティッシュが汚染されやすい。
【0007】
ウエットティッシュの多くは乳幼児の授乳、食事後の口の回りの後始末、排便の後始末に使用され、また、病院、家庭における病人の看護にしばしば用いられる。このようにウエットティッシュを必要とする場合は、幼児や病人の世話を行っている最中であり、片手で迅速に必要な量のウエットティッシュを取り出すことができ、しかもそのままもち替えることなく使用できる形態で取り出すことのできることが強く望まれる。しかしながら、このような要求に対して、これまで充分に満足のゆくウエットティッシュは提案されていない。
【0008】
本考案の目的は、従来のようなティッシュの詰め替えによる汚染がなく衛生的であり、継続して使用しても乾燥することがなく、しかもウエットティッシュが1枚ずつ使用に便利な広がった状態で必要なだけ迅速に片手でも取り出すことができる詰め替え用の包装ウエットティッシュペーパーを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本考案は、包装袋に封入され液体を含浸する詰め替え用の包装ウエットティッシュペーパーであって、収納されたウエットティッシュペーパーの各葉が折り畳まれ、かつ包装袋が液体不透過性であると共に、包装袋の取出口に切り込みを設け、該切り込みを、裏面に感圧接着剤を塗布し開封後に廃棄されるシール部材により覆い、該シール部材を開封して包装体に幅3cm以下の開口を設けた後、各種容器に開封した該包装体を詰めて用いるようにしたことを特徴とする詰め替え用包装ウエットティッシュペーパーを提供するものである。また、本考案のウエットティッシュペーパーの各葉は互いに重なりを有して折り畳まれているのが好ましい。
【0010】
【作用】
本考案の詰め替え用包装ウエットティッシュの包装袋の取出口はウエットティッシュペーパーが取り出せる最小限度の面積を有しており、必要に応じてウエットティッシュペーパー包装袋の取出口から広がった状態で順次1葉ずつ連続的に取り出すことができる。
【0011】
【実施例】
つぎに本考案を実施例にもとづきさらに具体的に説明する。
【0012】
図1は本考案の詰め替え用包装ウエットティッシュペーパーの一具体例を示す説明図である。図1に示すごとく、本考案の詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー2は化粧水などの液体を含浸したウエットティッシュ21が包装袋22に封入されている。
【0013】
包装袋22に充填されたウエットティッシュ21は、パルプ、綿合成繊維などからなる不織布、天然パルプ、合成パルプなどからなる紙あるいはガーゼ等の布など湿潤強度を有するシート状物からなり、水、アルコール、香料、化粧水、薬剤、界面活性剤などの液体成分あるいは溶液を含む従来公知のウエットティッシュがいずれも好適に用いられる。
【0014】
包装袋22に封入されたウエットティッシュは折り畳まれそのまま積層されていてもよいが、各葉が互いに重なりを有して折り畳まれているのが好ましい。各葉が互いに重なりを有して折り畳まれていることにより1枚のティッシュペーパーを包装袋の取り出し口を通して取り出した場合、つぎの紙葉が容易に取出口に導かれて取り出し口に保持され、つぎの使用に備える。このように各葉を互いに重ねて連続的に安定してウエットティッシュを取り出すにはドライタイプのティッシュペーパーと異なり1枚目と2枚目の重なりをティッシュの面積の1/2以下、好ましくは1/4以下、さらに好ましくは1/6程度とする好ましい折り畳みの具体例としては、図2のような折り畳み方が挙げられる。
【0015】
しかしながら、重なった各紙葉間の摩擦力を種々の手段により調整して小さくし、ドライティッシュの場合と同様、重なりの面積を1/2程度とすることもできる。例えば、パルプ、レーヨン、コットンなどの親水性の素材を用いた紙の代わりに、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロンなど疎水性の素材を多く含む原紙を用いることにより各紙葉間の単位面積当たりの摩擦力を小さくしてもよい。また、原紙にクレープ加工、エンボス加工などを施して凹凸を設け、ウエットティッシュ間の接触面積を減じてもよい。さらに、ウエットティッシュの水分率を低く設定することによっても摩擦力を小さくすることができる。
【0016】
包装袋22はウエットティッシュに含浸された液体を透過することなく、また雑菌の侵入を防ぐよう、従来公知のプラスチックフィルム、ラミネートフィルムなどの柔軟な包装材料で形成するのが好ましい。
【0017】
包装袋22の上面には、使用にあたり容易に開封できるようミシン目、ハーフカットなど適宜の方法によりあらかじめ切り込み23を入れた取出口24が設けられ、裏面に粘着剤(感圧接着剤)25を塗布したシール部材26がこの取出口24を覆って張り付けられ密着固定される。
【0018】
包装袋22の上面へのシール部材26の固定は粘着剤のみにより行ない開封後シール部材を廃棄する。
【0019】
また、実公昭61-28777号公報などに記載のように袋の取出口の切込部を「コ」の字型とし、あるいは「コ」の字型の切込みの終端に粘着テープを貼着してもよい。
【0020】
また、特開昭56-84205号公報に開示のごとく、例えばシール部材の一端を熱シール、高周波シール、超音波シール、接着剤等の公知の固定手段により包装袋に固定してもよい。
【0021】
【0022】
包装袋の取り出し口のスリットの長さは、ここを通過するティッシュペーパーの紙幅の15?99%であるのが好ましい。スリットの長さがこれより短いとティッシュペーパーを滑らかに取り出すことができない。また、これより長いとティッシュペーパーの保持が充分でなく、異物の混入が生じ、容器の設計にも不都合である。
【0023】
一方、取出口の幅は3cm以下のスリットであるのが好ましい。スリットの幅がこれより広いと液体成分の揮散が大きく、異物の侵入の可能性が多くなるとともにティッシュペーパーの保持が困難となる。
【0024】
図3は本考案の詰め替え用包装ウエットティッシュペーパーの取出口の他の具体例を示す斜視図である。この具体例では、横長の「H」字型の切り込み23を形成した取出口が設けられている。この形状の取出口は切り開かれたシートの断片のために開口面積が小さくなり、空気中の菌による二次汚染や液体成分の揮散が防止される。
【0025】
本考案の包装ウエットティッシュは、詰め替え用として用いる。すなわち、シール部材等を開封して包装袋に開口を設けた後、各種の容器に詰め替えて使用される。
【0026】
【考案の効果】
本考案の包装ウエットティッシュペーパーは、衛生的であり、片手でもウエットティッシュを1枚ずつ使用しやすい広がった状態で必要なだけ迅速に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の包装ウエットティッシュペーパーを示す斜視図である。
【図2】ウエットティッシュの折り畳み方の具体例を示す断面説明図である。
【図3】包装ウエットティッシュの取出口の他の具体例を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 包装ウエットティッシュ
21 ウエットティッシュ
22 包装袋
23 切り込み
24 取出口
訂正の要旨 訂正の要旨
実用新案登録第2603476号の明細書を、
(A)実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、実用新案登録請求の範囲の請求項1の
「【請求項1】 包装袋に封入され液体を含浸する詰め替え用の包装ウエットティッシュペーパーであって、収納されたウエットティッシュペーパーの各葉が折り畳まれ、かつ包装袋が液体不透過性であると共に、包装袋の取出口に切り込みを設け、該切り込みを、裏面に感圧接着剤を塗布し開封後に廃棄されるシール部材により覆い、該シール部材を開封して包装体に開口を設けた後、各種容器に開封した該包装体を詰めて用いるようにしたことを特徴とする詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー。」
という記載を
「【請求項1】 包装袋に封入され液体を含浸する詰め替え用の包装ウエットティッシュペーパーであって、収納されたウエットティッシュペーパーの各葉が折り畳まれ、かつ包装袋が液体不透過性であると共に、包装袋の取出口に切り込みを設け、該切り込みを、裏面に感圧接着剤を塗布し開封後に廃棄されるシール部材により覆い、該シール部材を開封して包装体に幅3cm以下の開口を設けた後、各種容器に開封した該包装体を詰めて用いるようにしたことを特徴とする詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー。」
と訂正する。
(B)明りょうでない記載の釈明を目的として、段落番号【0009】の「該シール部材を開封して包装体に開口を設けた後、」
という記載を
「該シール部材を開封して包装体に幅3cm以下の開口を設けた後、」
と訂正する。
異議決定日 2001-05-15 
出願番号 実願平5-3421 
審決分類 U 1 651・ 121- ZA (B65D)
最終処分 取消    
前審関与審査官 岩田 洋一  
特許庁審判長 佐藤 雪枝
特許庁審判官 船越 巧子
鈴木 美知子
登録日 1999-12-24 
登録番号 実用新案登録第2603476号(U2603476) 
権利者 株式会社フクヨー
愛媛県新居浜市萩生2960番地の5 ピジョン株式会社
東京都千代田区神田富山町5番地1
考案の名称 詰め替え用包装ウエットティッシュペーパー  
代理人 高畑 ちより  
代理人 鈴木 俊一郎  
代理人 高畑 ちより  
代理人 牧村 浩次  
代理人 鈴木 俊一郎  
代理人 牧村 浩次  
代理人 牧村 浩次  
代理人 高畑 ちより  
代理人 鈴木 亨  
代理人 鈴木 俊一郎  
代理人 鈴木 亨  
代理人 箕浦 清  
代理人 鈴木 亨  

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