• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て   A01M
審判 全部申し立て   A01M
審判 全部申し立て   A01M
管理番号 1045196
異議申立番号 異議1997-75010  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-10-16 
確定日 2000-04-19 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2533000号「防獣ネット」の実用新案登録異議事件についてされた平成10年10月16日付け取消決定に対して、東京高等裁判所において取消の判決(平成10年(行ケ)第383号、平成11年12月2日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり決定する。   
結論 登録第2533000号の実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2533000号(以下、本件登録という)は、平成5年4月26日に出願されたものであって、平成9年1月29日に設定登録されたところ、本件登録に対し、実用新案登録異議がナカダ産業株式会社よりされ、当審において平成10年3月25日付けで取消理由通知がされたところ、その指定期間内である平成10年5月8日に、実用新案登録異議意見書が提出され、平成10年10月16日付で本件実用新案登録は、実用新案法第3条の2の規定に違反してされたものとして取消決定された。この決定に対し、実用新案権者は、東京高等裁判所に出訴したところ、平成11年12月2日、該決定を取り消す旨の判決言い渡しがあったものである。
2.本件考案
本件登録に係る考案(以下、本件考案という)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 合成繊維に、直径0.3mm以上の金属線を併存せしめた綱材により網地状に構成したことを特徴とする防獣ネット。」
3.実用新案登録異議申立について
1)申立の理由の概要
異議申立人は、下記の証拠を提出し、(ア)本件考案は、甲第1号証記載の従来技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない、(イ)本件明細書は、甲第2号証等を参照すれば、不明瞭であるから実用新案法第5条第4項および第5項に規定する要件を満たしていない及び(ウ)本件考案は、甲第3号証の試験結果からみて、本件考案は未完成であるから、実用新案法第3条第1項柱書きの規定に違反する旨主張する。

甲第1号証:実用新案登録第2533000号公報
甲第2号証:岩波国語辞典第2版第256頁(1978年9月1 2日第2 版第9刷 株式会社岩波書店発行
甲第3号証:異議申立人の追試験の説明書
2)判断
ア)第3条第2項について
異議申立人は、甲第1号証には、その第2欄第5?7行および第3欄第2?13行には、従来技術として比較的太い針金から構成されたネットは、動物によって噛み切られて破損することはない旨、および合成繊維に直径0.3mm未満の金属線を併存せしめた綱材により構成したネットは、非常に細くこの程度では鹿や兎に容易に噛み切られてしまう旨が記載されているのであるから、これらの事実をみれば、本件考案は当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである旨主張する。
しかしながら、甲第1号証は本件考案に係る実用新案登録公報であり、この公報自体は本件出願前公知のものではなく、そして、異議申立人は、甲第1号証の前記箇所に係る考案が公然知られていた事実であることを立証する証拠は他に提出していないので、異議申立人の本件考案が従来技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができるものであるとする主張は採用できない。
イ)第5条第4項及び第5項について
異議申立人は、
i)本件明細書には、数値限定は根拠が曖昧である。実用新案登録請求の範囲には、金属線の数値限定として「直径0.3mm以上」と記載されている。
本件明細書中には、金属線で実験した旨が記載されているが(第3欄第20行?第23行)、金属線は、甲第2号証から明らかなように「金線・銀線・銅線・鉄線・鉛線等及びこれらの合金の線材の総称」と解され、その種類によって強度は全く異なるものである。よって、いかなる金属線を用いたのか明確にしないで、実用新案登録請求の範囲において「金属線の数値限定」をすることは、実用新案登録請求の範囲に記載された考案は曖昧とならざるをえない。
ii)本件明細書中には「直径0.3mm以上のものに代えると動物に噛み切られないことが判明した」旨の記載(第3欄第22行?第23行)があるが、ネットが噛み切られるか否かは、対象動物の種類、設置場所、設置期間等によって左右されるものでこれらを明確にしないで「直径0.3mm以上のものに代えると動物に噛み切られない」旨の断定をすることは行き過ぎであり、ひいては、効果における「決して噛み切られることがない」旨(第4欄第28行)の表現を導くことは不可能であると解される。
iii)考案の詳細な説明において、いかなる金属線を用いたのか明確にされていないと共に実験方法(対象動物の種類、設置場所、設置期間等)が具体的に開示されていないため、当業者が本件考案を実施することができない、
旨主張する。
以下順次検討する。
i)の主張について
金属の材質の違いにより金属線の強度が異なることは、異議申立人の主張のとおりであるが、本件考案においては、防獣ネット用の金属線としてごく普通に使用されるものを想定して、「直径0.3mm以上」という数値限定がなされていることは明らかである。
そして、本件明細書の記載からみて、本件考案は、使用する金属線を「直径0.3mm以上」に限定することにより、鹿や兎等の動物に決して噛み切られることがないという効果を奏するものと認められるので、上記i)の点に記載不備はない。
ii)の主張について
本件明細書の記載からみて、本件考案の防獣ネットが、鹿、兎、猿、猪等の動物を対象としていることは明らかであり、使用する金属線を「直径0.3mm以上」に限定することにより、これら動物によりネットが噛み切られないという効果が奏されるものと認められる。
また、防獣ネットの「設置場所」及び「設置期間」が「ネットが噛み切られるか否か」に影響を与えるとも認められない。
してみると、上記ii)の点に記載不備はない。
iii)の主張について
先に述べたとおり、本件考案においては、防獣ネット用の金属線としてごく普通に使用されるステンレス線等の金属線が使用され、また、鹿、兎、猿、猪等の動物を対象としていることは、実用新案登録明細書の記載から明らかであり、また、本件考案の防獣ネットは、上記動物が農地あるいは造林地の中に侵入するのを防止する目的で、農地あるいは造林地の周囲にフェンス状に張り巡らすようにして使用されるものであるから、防獣ネットの使用目的に応じて「設置場所」及び「設置期間」を決めることは当業者が容易になし得ることであるから、上記iii)の点に記載不備はない。

ウ)第3条第1項柱書きについて
異議申立人は、この実験結果が示すようにポリエチレンとともに用いる金属線であるステンレス0.39mm2本を用いても野生の鹿に噛み切られるのであるから、本件考案は明細書の効果を達成することが不可能であることは明確である旨主張する。
前記甲第3号証をみてみると、そこには、「金属線0.39mm2本入りポリエチレンネット噛み切られ状況」と題して、PE400d60本、ステンレス0.39mm2本を使用し、平成9年1月?2月に静岡県西伊豆町大沢里615番地において実験(野生の鹿によるワサビ畑の被害があったこと)した旨記載され、さらにネットの設置場所、ネットの噛み切られ部、動物足跡としてそれぞれ写真3枚が貼付されている。
検討すると、前記ネットを構成する綱材であるPE(ポリエチレン)400d60本、ステンレス0.39mm2本を、前記写真で示すネットに使用されたものであるのかは明らかでなく、前記記載の綱が写真中のものと同一であることを立証する証拠は他にみあたらない。
このように、前記ポリエチレン及びステンレス線からなる綱により構成されるネットと前記写真で示されたネットの関係が明確でない以上、異議申立人の提出した甲第3号証をもって、本件考案が未完成であるとする異議申立人の主張は採用できない。
4.むすび
以上のとおりであるから、異議申立人の主張する理由および提出した証拠方法によっては、本件登録を取り消すことはできない。
また、他に本件登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1998-10-16 
出願番号 実願平5-26770 
審決分類 U 1 651・ 1- Y (A01M)
U 1 651・ 531- Y (A01M)
U 1 651・ 121- Y (A01M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前田 建男  
特許庁審判長 徳廣 正道
特許庁審判官 田中 久直
藤田 節
大高 とし子
田中 倫子
登録日 1997-01-29 
登録番号 実用新案登録第2533000号(U2533000) 
権利者 泰東製綱株式会社
東京都港区東新橋1丁目1番21号
考案の名称 防獣ネット  
代理人 今野 耕哉  
代理人 野末 祐司  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ