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審決分類 審判    A61L
管理番号 1046966
審判番号 無効2001-40009  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-11-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-04-11 
確定日 2001-09-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第3041945号実用新案「医療用洗浄消毒乾燥装置」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 〔1〕手続の経緯
本件実用新案登録第3041945号(以下「本件実用新案登録」という。)及び本件無効審判事件に係る手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
(1)本件実用新案登録の出願日:平成9年3月28日
(2)実用新案権の設定の登録:平成9年7月16日
(3)登録実用新案公報の発行:平成9年10月3日
(4)実用新案登録無効審判の請求:平成13年4月11日
(5)審判事件答弁書:平成13年6月27日付け
(6)実用新案登録訂正書(請求項1?9及び請求項11の削除):平成13年6月27日
(7)上申書(請求人):平成13年7月16日付け
(8)審判事件答弁書(第2回):平成13年7月25日
(9)上申書(被請求人):平成13年7月25日
(10)口頭による審尋:平成13年7月25日
(11)口頭審理:平成13年7月25日

〔2〕当事者の主張
1.請求人は、「登録第3041945号実用新案の請求項1ないし11に係る考案についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、」との審決を求めるものであって、請求の理由は、「請求項1ないし11に係る考案はそれぞれ、甲第2ないし8号証に記載された考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、同法第37条第1項第2号の規定によりその登録を無効とすべきである。」旨主張し、以下の証拠方法を提出している。
甲第2号証:特開平7-171200号公報
甲第3号証:特開平5-337170号公報
甲第4号証:特開平8-215129号公報
甲第5号証:実願平4-92462号(実開平6-50647号)のCD-ROM
甲第6号証:特開平3-213185号公報
甲第7号証:特開平7-67945号公報
甲第8号証:特開昭61-259672号公報

2.一方、被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、」との審決を求め、「請求項10の考案の要部構成・作用効果について甲第2?8号証には開示がないので本考案は甲第2?8号証の考案に基づいてきわめて容易に考案をすることができたものでなく、特許性があり、無効請求は棄却されるべきものである。」旨答弁している。

〔3〕当審の判断
1.本件実用新案登録に係る考案は、実用新案法第14条の2の規定に基づき、平成13年6月27日差出の実用新案登録訂正書により実用新案登録請求の範囲の請求項1?9及び請求項11が削除された結果、本件実用新案登録に係る考案は、明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項10に記載された以下のものと認める。
「【請求項10】
カートのマットレス載置面に仕切用パイプを複数間隔あけて立設して該仕切用パイプ間の空間を1つのマットレスの載置空間とし、前記仕切用パイプに複数の孔を開口し、前記仕切用パイプに連通させた接続口をカートに設け、同接続口を洗浄水噴出口に接続可能とした請求項9記載の医療用洗浄消毒乾燥装置。」
ただし、引用している各請求項の記載は、以下のとおりである。
【請求項1】
搬出入口に気密状に閉じる扉を設けた洗浄室に洗浄水を被洗浄物に向けて噴射する洗浄水噴出口を複数設け、同洗浄水噴出口に洗浄水を供給する洗浄水供給装置を設け、前記洗浄室内へ消毒用の高温加熱蒸気を噴射する蒸気噴出口を設け、前記洗浄室内に温風を噴出して洗浄水や蒸気で濡れた被洗浄物を乾燥させる温風乾燥装置を設け、前記洗浄室に排水口を設けたことを特徴とする医療用洗浄消毒乾燥装置。
【請求項2】
温風乾燥装置からの温風を洗浄水噴出口から噴出可能とし、洗浄水と温風との噴出を切替える切替え弁を設けた請求項1記載の医療用洗浄消毒乾燥装置。
【請求項3】
洗浄室内の空気を排出する真空装置を設けた請求項1又は2記載の医療用洗浄消毒乾燥装置。
【請求項4】
洗浄室の内周壁を加熱する加熱装置を設けた請求項1?3いずれか記載の医療用洗浄消毒乾燥装置。
【請求項5】
加熱装置として、内周壁の一部が内壁と外壁との二重壁構成として該内壁と該外壁との間に空間を形成し、前記空間内に高温加熱蒸気を送り込むようにした請求項1?4いずれか記載の医療用洗浄消毒乾燥装置。
【請求項6】
洗浄水を貯水する貯水タンクと排水口とを配管を介して連通させ、前記排水口に集められる洗浄水を前記貯水タンクへ送るポンプを設け、回収された洗浄水を再度洗浄水として洗浄室内へ供給し、これらを循環させて使用する請求項1?5いずれか記載の医療用洗浄消毒乾燥装置。
【請求項7】
搬入口と搬出口との二つの搬出入口を設けた請求項1?6いずれか記載の医療用洗浄消毒乾燥装置。
【請求項8】
洗浄水供給装置により洗浄水噴出口から高圧の洗浄水を噴射可能とした請求項1?7いずれか記載の医療用洗浄消毒乾燥装置。
【請求項9】
被洗浄物がカートに乗せたベッドのマットレス及びベッド台である請求項1?8記載の医療用洗浄消毒乾燥装置。

2.これに対して、請求人の提出した甲号各証には、請求人が主張する以下の事項が記載されているものと認められる。
(1)甲第2号証
医療用具用洗浄消毒装置の扉開閉機構に関して、第1?5図とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「洗浄消毒室20は、機体10の前面側に臨んで開口されており、その開口部22の周縁における容器21の前面21aには、バッキン23が突出状態で固定的に周設されている。開口部22は、機体10の前面側に設けられた扉30によって開閉される。」(第3頁左欄第47行?同右欄第1行)
(イ)「この洗浄消毒装置の機体10の上部には、箱形の容器21によって形成された洗浄消毒室20があり、また、機体10内には、洗浄水Wを貯留するタンク11と、このタンク11内の洗浄水Wを加熱するヒータ12と、タンク11内の洗浄水Wをシャワーノズル13を介して洗浄消毒室20内へ噴射供給するポンプ14と、エアノズル15を介して空気を洗浄消毒室20内へ噴射供給する送風機6と、この送風機16からエアノズル15へ送られる空気を加熱するヒータ17と、洗浄消毒室20内から排出される汚染物を洗浄水と共に回収する回収部18とを備え、その他、タンク11へ給水する図示されない給水パイプや、ヒータ12、ポンプ14、送風機16及びヒータ17を駆動する図示されない回路部及び各種弁装置等が格納されている。」(第3頁左欄第16?29行)
(ウ)「すなわちこの医療用具用洗浄消毒装置は、医療行為によって汚染された手術用あるいは検査用などの各種の医療用器械器具や医療用材料(以下、医療用具という)を、所定の医療用具用バスケット等に入れて容器21内の洗浄消毒室20に収納し、タンク11内の洗浄水Wをシャワーノズル13を介して洗浄消毒室20内に高圧噴射することにより予備洗浄(冷水洗浄)し、次にタンク11内の洗浄水Wをヒータ12で加熱してこれを洗浄消毒室20内に噴射することにより高温水洗浄及び消毒を行うものである。前記医療用具から洗浄水Wによって洗い落とされた汚染物は、洗浄消毒室20の底部から排水パイプ18aを通じて回収部18へ回収される。洗浄後は、送風機16及びヒータ17の駆動によってエアノズル15から洗浄消毒室20内に温風を吹き出し、前記医療用具を乾燥させる。また、これら一連の工程は、図示されていない制御装置を介して行われ、動作時間等が適切に設定されている。」(第3頁左欄第30?46行)
(2)甲第3号証
「オートクレーブ装置本体2内の洗浄室に洗浄液を被洗浄物に向けて噴射するノズル口20a、20bを複数設け、同ノズル口20a、20bに洗浄液を供給する洗浄液タンク22等を備えた洗浄水供給装置を設け、前記洗浄室内へ高温加熱蒸気を噴射する水蒸気注入口5aを設け、前記洗浄室に排液口30aを設けたオートクレーブ装置」(図1ほか)
(3)甲第4号証
「換気ファン13、送風経路14および発熱体12等を備えた温風乾燥装置からの温風を洗浄水噴射用の洗浄ノズル5の噴射孔6から噴出可能とし、洗浄水と温風との噴出を切替える洗浄水供給弁15および外気供給弁16を設けた食器洗い乾燥機」(図1ほか)
(4)甲第5号証
「内缶1内の空気を排出する排気管18および真空ポンプ19等を備えた真空装置を設け、内缶1の内周壁を加熱する加熱ジャケット4および給蒸管5等を備えた加熱装置を設け、加熱装置として、内周壁の一部が内缶1と外缶3との二重壁構成として該内缶1と外缶3との間に空間を形成し、前記空間内に高温加熱蒸気を送り込むようにした薬液容器の滅菌・乾燥装置」(図1ほか)
(5)甲第6号証
「清水および洗浄剤を調合する洗浄剤調合槽9と排出管5とを還流管16を介して連通させ、前記排出管5に集められる洗浄水を前記洗浄剤調合槽9へ送る減圧吸引機11を設け、回収された洗浄水を再度洗浄水として気密容器3内へ供給し、これらを循環させて使用するマットレス洗浄滅菌装置」(第1図ほか)
(6)甲第7号証
「飼料を搬入する扉11と、飼料を搬出する扉13との二つの扉を設けた被消毒物外装の消毒装置」(図1ほか)
(7)甲第8号証
「被洗浄物がカートに乗せたベッドのマットレス及びベッド架台である洗浄、殺菌および乾燥を行う装置」(Fig1、Fig2ほか)

3.そこで甲号各証について検討する。
甲第2号証には、上述の記載からみて、「(a)開口部に気密状に閉じる扉を設けた洗浄消毒室に洗浄水を被洗浄物に向けて噴射するシャワーノズルを複数設け、(b)同シャワーノズルに洗浄水を供給するタンク及びポンプ等を備えた洗浄水供給装置を設け、(c)前記洗浄消毒室内に温風を噴出して洗浄水で濡れた被洗浄物を乾燥させる送風機及びヒータ等を備えた温風乾燥装置を設け、(d)前記洗浄消毒室に排水パイプ等を備えた回収部を設け、(e)洗浄水供給装置によりシャワーノズルから高圧の洗浄水を噴射可能とした医療用具用洗浄消毒装置」が記載されているものと認められるが、本件請求項10に係る考案の構成、とりわけ、カート自体の仕切用パイプの孔・接続口については何ら記載がない。
次に、甲第3号証はオートクレーブ装置に関するもの、甲第4号証は食器洗い乾燥機に関するもの、甲第5号証は蒸気滅菌装置に関するもの、甲第6号証はマットレスの洗浄滅菌装置に関するもの、甲第7号証は被消毒物外装の消毒方法・装置に関するものであるが、請求項10に係る考案の主要な構成というべき、カートのマットレス載置面に仕切用パイプを複数間隔あけて立設して該仕切用パイプ間の空間を1つのマットレスの載置空間として仕切用パイプに複数の孔を開口し仕切用パイプに連通させた接続口をカートに設け同接続口を洗浄水噴出口に接続可能とした構成、に関しては記載がない。
また、甲第8号証は被洗浄物をカートに乗せたベッドのマットレス及びベッド架台である洗浄、殺菌および乾燥を行う装置に関するものであるが、カート自体に設けた洗浄水噴出口の構造については記載がない。
なお、請求人は、審判請求書第17頁第24?26行において、「・・・本件の請求項10・・・に係る考案もそれぞれ、上記甲第2ないし8号証に記載された考案から当業者が何ら困難性なく極めて容易に想到し得たものである。」というが、請求項10の主要な構成が容易である理由も証拠も何ら提示されていない。
しかして、本件請求項10に係る考案は、マットレスを載せたカート自体に洗浄水を噴出できる仕切用パイプ・その孔・接続口を設けたことで、マットレスの移動性と次の洗浄行程が迅速に行え、しかもマットレスの洗浄を効果的に行えるという甲号各証記載のものからは奏せられない作用効果を奏するものと認められるので、甲第2?8号証記載の考案に基づいてきわめて容易に考案をすることができたとすることはできない。

〔5〕まとめ
以上によれば、本件の請求項10に係る考案の実用新案登録は、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては無効とすることができない。また、審判に関する費用については、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項でさらに準用する民事訴訟法第61条乃至第64条の規定を考慮し、請求人が3分の1、被請求人が3分の2を負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2001-07-30 
出願番号 実願平9-2793 
審決分類 U 1 111・ 121- Y (A61L)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 松下 聡
和泉 等
登録日 1997-07-16 
登録番号 実用新案登録第3041945号(U3041945) 
考案の名称 医療用洗浄消毒乾燥装置  
代理人 戸島 省四郎  
代理人 野本 陽一  
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