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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60S
管理番号 1046968
審判番号 不服2000-19641  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-12-11 
確定日 2001-10-02 
事件の表示 平成10年実用新案登録願第 9052号「自動車の窓ガラスに用いられるワイパ装置」〔平成12年 5月30日出願公開(実開2000-41号)、請求項の数(7)〕拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 原査定を取り消す。 本願の考案は、実用新案登録すべきものとする。
理由 1.手続の経緯と本願各請求項の考案
本願(実願平10-009052号)は、1989年10月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1988年11月22日、西ドイツ国)を国際出願日とする特願平1-509942号を、平成10年11月16日に実用新案登録出願に変更したものであって、その請求項1乃至7に係る考案は、平成12年7月19日付で手続補正された明細書における実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至7に記載された事項によってそれぞれ特定される次のとおりのものである。
【請求項1】 自動車の窓ガラスに用いられるワイパ装置であって、2つの反転位置の間を往復運動するように駆動される少なくとも1つのワイパレバーが設けられていて、該ワイパレバーが、電気式の駆動モータを有する駆動ユニットと駆動結合されていて、ワイパアームと、該ワイパアームの自由端部に枢着されたワイパブレードとを有しており、該ワイパブレードが、窓ガラスに当て付けられており、自動車が、前記ワイパレバーの規定の作動位置を検出する少なくとも1つのセンサを有していて、該センサが、前記駆動モータに影響を与える制御装置と作用結合されている形式のものにおいて、前記センサ(44,50)が、運転席側のワイパレバー(30)のワイパブレード(36)の両反転位置のうち、前面ガラス(42)の側縁部(43)に隣接した一方の反転位置を検出するために、前面ガラス(42)における当該ワイパブレード(36)の前記一方の反転位置に配置されていることを特徴とする、自動車の窓ガラスに用いられるワイパ装置。
【請求項2】 駆動ユニットが揺動伝動機構を介して、第1のワイパレバーを支持する第1のワイパ軸を往復回動運動させ、該往復回動運動が伝動機構を介して、第2のワイパレバーを備えた第2のワイパ軸に伝達されるようになっており、作動時に両ワイパブレード(36,40)のうちの1つによって擦過されるワイパ領域(54,55)の外側で他方の反転位置の範囲に位置する第2のセンサ(50)が配置されており、前記揺動伝動機構に所属するリンク(17)に、該リンクの有効長さを変化させる調整エレメント(58,62,64)が配置されており、該調整エレメントが制御装置(48)と作用結合された電気式の駆動モータを有している、請求項1記載のワイパ装置。
【請求項3】 ワイパレバー(102,104;202,204)のワイパブレード(110,112;210,212)の各反転位置に関して1つのセンサ(150,152,154,156;260,262,264,266)が配置されている、請求項1記載のワイパ装置。
【請求項4】 各反転位置へのワイパ旋回方向で見て前記反転位置を検出するセンサ(260,262,264,266)の手前に、該センサに配属された第2のセンサ(261,263,265,267)が配置されている、請求項1または3記載のワイパ装置。
【請求項5】 ワイパブレードが、該ワイパブレードによって擦過されるワイパ領域の外側で前面ガラスの下縁部の近くにしまい込まれるようになっており、自動車がしまい込み位置に配属されたセンサ(164,166)を有している、請求項1または3記載のワイパ装置。
【請求項6】 駆動ユニット(10)の被駆動軸とワイパレバー(30,32)との間に揺動伝動機構(12,17,16,18,22,24,26)が配置されている、請求項3から5までのいずれか1項記載のワイパ装置。
【請求項7】 駆動ユニットの被駆動軸が、ワイパレバー(102,104;202,204)を支持するワイパ軸を形成している、請求項3から5までのいずれか1項記載のワイパ装置。

2.原査定の理由についての検討
これに対する原査定の理由の概要は、本願請求項1及び請求項3乃至7の考案は、優先権主張日より前に頒布された刊行物である実願昭61-39822号(実開昭62-152864号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)、特開昭62-187635号公報(以下、「引用例2」という。)、実願昭58-99150号(実開昭60-5961号)のマイクロフィルム(以下、「引用例3」という。)および特公昭54-36364号公報(以下、「周知例」という。)に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたというものである。
そこで、本願請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)について、上記引用例1乃至3および周知例の記載事項を対比する。
本願考案における、センサが「運転席側のワイパレバー(30)のワイパブレード(36)の両反転位置のうち、前面ガラス(42)の側縁部(43)に隣接した一方の反転位置を検出するために、前面ガラス(42)における当該ワイパブレード(36)の前記一方の反転位置に配置されている」という構成は、上記引用例1乃至3および周知例の何れにも記載されておらず、かつ自明な事項とも認められない。
また、前面ガラスの雨滴付着量を検出するために、前面ガラスに配置せざるを得ない雨センサとは異なり、ワイパの位置検出用のセンサを前面ガラスに配置することは、運転者の視野の中に物体を配置することにもなり、上記引用例1乃至3および周知例の記載事項を組み合わせても、本願考案の上記構成を当業者がきわめて容易に導き出せるというものではない。
そして、本願考案は、上記構成により、ワイパブレードによって擦過されるワイパ領域の大きさや位置が、窓ガラスとワイパエレメントとの摩擦特性の変動等の要因により著しく変化し、ひいては運転席側における最適なワイパ領域が維持され得なくなるという不都合を解消し、常に最適なワイパ領域を維持し、高い安全性を確保できるという独自の作用効果を奏するものである。
したがって、本願考案は、上記引用例1乃至3および周知例に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえない。
また、請求項2乃至7に係る考案は、本願考案を直接的にまたは間接的に引用する考案であるので、本願考案と同様に上記引用例1乃至3および周知例に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえない。

3.むすび
以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2001-09-20 
出願番号 実願平10-9052 
審決分類 U 1 8・ 121- WY (B60S)
最終処分 成立    
前審関与審査官 出口 昌哉  
特許庁審判長 神崎 潔
特許庁審判官 藤井 昇
大熊 雄治
考案の名称 自動車の窓ガラスに用いられるワイパ装置  
代理人 ラインハルト・アインゼル  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 山崎 利臣  

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