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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1046974
審判番号 不服2000-3292  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-03-09 
確定日 2001-09-06 
事件の表示 平成 2年実用新案登録願第45246号「液体紙容器」拒絶査定に対する審判事件[平成4年1月14日出願公開、実開平4-3924]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 <1>手続の経緯と本願考案
本願は、平成2年4月27日の出願(実願平2-45246号)であって、その請求項1に係る考案は、平成12年4月10日付け手続補正書により補正された明細書および図面からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】紙を主体とする液体紙容器において、紙基材の両面にポリエチレン樹脂層が積層され、その一方面の前記ポリエチレン樹脂層側には、バリア層、6-ナイロン樹脂フィルムによる耐衝撃層、保香性の熱接着性ポリエステル樹脂層がこの順に積層され、該熱接着性ポリエステル樹脂層が容器最内層の接液面を構成することを特徴とする液体紙容器。」(以下、「本願考案」という。)


<2>引用例
これに対して、当審において通知された拒絶理由通知において、次の文献を引用した。
<引用文献>
引用例1:特開昭64-18634号公報
引用例2:特開平2-38045号公報
引用例3:特公昭53-39837号公報(周知例)

引用例1?3には、図面を引用して、下記の記載がある。
<引用例1>特開昭64-18634号公報
a:
「前記従来の両表面層がポリオレフィン系樹脂層で構成されている積層材を使用して得られた容器や包装袋は、前記積層材を得る際のポリオレフィン系樹脂層の形成時や該積層材による容器や包装袋の成形時に、ポリオレフィン系樹脂が熱分解を受けて脂肪族炭化水素等の揮発性成分が生成することとなり、この揮発性成分が容器や包装袋内に収容されている内填物内に移行する結果、内填物に変味や異臭が発生するという弊害を有するばかりでなく、前記積層材におけるポリオレフィン系樹脂層は、内填物中の着香成分を吸着し易かったりあるいは透過し易かったりするため、内填物の風味が変化して損なわれ易いという欠点をも有する。
ポリオレフィン系樹脂層の有する前述の欠点を改善するために、揮発性物質の発生が少なくしかも保香性の良好なポリエチレンテレフタレート樹脂層が内面層となるようにして具備されている積層材が提案されているが、ポリエチレンテレフタレート樹脂層の単独層を具備する積層材では、熱封着強度と耐衝撃強度とが弱いという欠点を有するばかりでなく、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂層が内面層となるようにして具備されている積層材は、ポリエチレンテレフタレート樹脂層がポリオレフィン系樹脂層に比較して硬く、かつ脆弱であるため、積層材の折り曲げ成形工程で、折曲部分のポリエチレンテレフタレート樹脂層や包装材用基材中のアルミニウム箔層等に亀裂が生じ易く、液漏れの原因となる等の弊害をも有するのである。
また、特開昭60-48344号公報には、ヒートシール層として、ポリオレフィン系樹脂層が積層されているポリエステルフィルムを用いることにより、耐衝撃製が向上する旨が記載されているが、この積層材はポリオレフィン系樹脂層とポリエステルフィルムとの間の接着強度が不十分なために十分な強度が得られていないのが実情である。
これに対して、本発明は、前記従来の両表面層がポリオレフィン系樹脂層で構成されている積層材や、ポリエチレンテレフタレート樹脂の単独層を具備する包装材、更には、ポリオレフィン系樹脂層が積層されているポリエステルフィルムをヒートシール層とする積層材等の具備する欠点を悉く解消するもので、積層材によって得られる容器や包装袋内の内填物に変味や異臭が発生するようなことがなく、また、容器や包装袋に成形される際の折り曲げ加工で積層材中のポリエチレンテレフタレート樹脂層やアルミニウム箔層に亀裂が入るようなことがなく・・・。」(第1頁右下欄第16行?第2頁左下欄第11行)
b:
「本発明の保香性能に優れた性質を有する積層材は、包装材用基材と、該包装材用基材の片面に貼着されている積層樹脂層とからなるもので、前記積層樹脂層が、40℃以上のガラス転移温度を有している線状飽和ポリエステル樹脂層と、前記線状飽和ポリエステル樹脂層に接着剤層を介して貼着されている二軸延伸飽和ポリエステル樹脂フィルム層とで構成されているもので、包装材用基材に対して前記積層樹脂層が該積層樹脂層のうちの線状飽和ポリエステル樹脂層面が積層材の最外層となるようにして積層されているものである。
本発明の積層材における積層樹脂層中の線状飽和ポリエステル樹脂層は、該ポリエステル樹脂層を構成しているポリエステル樹脂のガラス転移温度未満の温度で優れた保香性能を奏するものである」(第2頁右下欄第1?17行)
c;
「本発明の積層材における積層樹脂層は、前述のガラス転移温度が40℃以上の線状飽和ポリエステル樹脂層が接着剤層によって二軸延伸飽和ポリエステル樹脂フィルム層に貼着されているものであり、前記積層樹脂層中における二軸延伸飽和ポリエステル樹脂フィルム層の有する特性によって、折り曲げ強度が高く、総体的な機械的強度に優れた性質が発揮されるものであって、該二軸延伸飽和ポリエステル樹脂フィルムの存在によって、前記積層材に優れた折曲強度が備えられるものである。
前記積層樹脂層が貼着される包装材用基材は、例えば、スタンドパウチ等の軟包装容器用の積層材にする場合には、一般的に、Al箔と二軸延伸ポリエステルフィルムとや二軸延伸ポリプロピレンフィルム等との積層シートであり、また、ゲーベルトップ型紙容器やブリック型紙容器等の容器用積層材にする場合には、一般的に、Al箔、紙層、ポリオレフィン系樹脂層等で構成されている積層シートが使用される。」(第4頁右上欄第3行?左下欄第4行)
d;
「実施例1
第1図において符号1で表示される本発明の保香性能に優れた性質を有する積層材の1実施例品は、ガラス転移温度81℃の線状飽和ポリエステル樹脂[イーストマンコダック(株)製:PETG6763]で形成されている厚さ10 μのポリエステル樹脂層2と、ガラス転移温度-20℃の線状飽和ポリエステル樹脂[東洋紡績(株)製:バイロンGM-900]で形成されている厚さ10 μの接着剤層3と、400g/m^(2)の耐酸紙4と、厚さ15 μのアイオノマー樹脂[三井デュポンポリケミカル(株)製:ハイミラン1652]による接着剤層5と、厚さ7 μのアルミニウム箔6とからなる包装材用基材7に対して、符号8で表示される積層樹脂層が積層されているものである。前記積層樹脂層8は、ガラス転移温度81℃の線状飽和ポリエステル樹脂[イーストマンコダック(株)製:PETG6763]で形成されている厚さ40 μのポリエステル樹脂層9と、厚さ12 μの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[東レ(株)製:ルミラー]層10とが、線状飽和ポリエステル樹脂[東洋紡績(株)製、バイロンGM-900、ガラス転移温度ー20℃]による厚さ20 μの接着剤層11によって貼着されているものであり、前記包装材用基材7と積層樹脂層8とは、前記基材7におけるAl箔6面と前記積層樹脂8における二軸延伸ポリエチレンテレフテレートフィルム層10面とがイソシアネート系接着剤層12によって接着されているものである。」(第4頁左下欄第15行?第5頁左上欄8行)

<引用例2>特開平2-38045号公報
e:
「前記構成からなる本発明の箱形紙容器用ブランク板を形成している紙容器用積層シートにおける裏面層は、延伸ポリエステル樹脂フィルム層、ポリカーボネート樹脂層、延伸エチレンービニルアルコール系共重合体樹脂フィルム層、および延伸ナイロンフィルム層の中から選択されるいずれか1つの樹脂層で構成されているものであり、通常は、該樹脂層の安定性、耐衝撃性、および得られる紙容器用ブランク板の容器成形特性等との関係から、厚さ10?50 μ程度の樹脂層として形成されているものである。・・・また、前記裏面層が、延伸ポリエステルフィルムや延伸ナイロンフィルムで構成されるものであるときには、2軸方向延伸フィルムで構成されるのが好ましい。」(第3頁右上欄第8行?左下欄第15行)
f:
「実施例1 第1図において、坪量400g/m^(2)の耐酸紙2の表面に、厚さ30μの低密度ポリエチレン樹脂「ミラソン16sp」層(表面層)3を押し出しコーテイング法によって形成し、また、裏面には、厚さ30 μのアイオノマー樹脂「三井デユポンケミカル(株):ハイミラン1652」層からなる接着剤層4を利用して、厚さ9 μのアルミニウム箔5を接着し、さらに、前記アルミニウム箔5面に、厚さ12 μの2軸延伸ポリエステルフィルム「東洋紡績(株)エスペット」層(裏面層)6をウレタン系の接着剤(*)を利用して積層し、本発明で利用する積層シートの1実施例品たる紙容器用積層シート1を得た。
接着剤(*)[武田薬品工業(株)製]
タケラックA-515・・・10重量部
タケネートA-50・・・ 1重量部
酢酸エチル・・・・・・・8重量部
塗布量:3.5g(DRY)/m^(2)
なお、前記延伸ポリエステルフィルムは、接着性樹脂が添加されているポリエステル混合樹脂を製膜原料とする延伸フィルムからなるもので、その表面にコロナ放電処理が付されているものであり、また、前記第1図において、符号7で表示される部分は、紙容器用積層シート1における包装材用基材からなる中間層である。」(第4頁右下欄第7行?第5頁左上欄第14行)

<引用例3>特公昭53-39837号公報(周知例)
g:
「清涼飲料水(ソフトドリンク)のシロップの大型容器は、通常の牛乳等の紙製容器より大なる耐久性を要すると倶に、内容物の風味、品質、腐敗に対して悪影響を与える可き、気体や液体の透過のないことが必要である。粗材1を多層の紙板で作り、その中に少く倶一層の金属(又は、金属性物質)を入れる事により、著るしく耐久性及び不透過性を有する容器が作られる事が判明したのである。之に適した多層紙板は第8A図に示され、図に於て、紙の母板(基礎板)93の一面は、プラスチック層94(プラスチックは、周知の熱可塑性樹脂の何れが撰ばれる)により被覆され、93の他面は、プラスチック層90と92の間に接着された金属性物質91の層により被覆されている。各層の厚さ及び組成は、容器内容物の性質及び、多層板製作、粗材成形、折畳、封入、組立に要する設備の能力に応じて適当に定められる。適当な多層板の各層の組成は、・・・次の如くである。」という記載に続いて「ポリエチレン(多層板外側面)」「紙板」「ポリエチレン」「アルミニウム箔」「ポリエチレン(多層坂内側面)」の順に各々の重量が記載されている(第3頁左欄第15?末行)
h:
「第8A図に示す如く、外側のポリエチレン層94及び紙板層93は15の端部に於て削取られ、内側のポリエチレン、アルミニウム箔、及びポリエチレンの層92、91及び90の短い端部9が残され・・」(第5頁左欄第13?18行)


<3>対比・判断
<3-1>引用例1記載の考案
まず、引用例1記載の考案(記載a?d)について検討する。
<耐衝撃層について>
従来技術についての「揮発性物質の発生が少なくしかも保香性の良好なポリエチレンテレフタレート樹脂層が内面層となるようにして具備されている積層材が提案されているが、ポリエチレンテレフタレート樹脂層の単独層を具備する積層材では、熱封着強度と耐衝撃強度とが弱いという欠点を有する」という記載に続いて「これに対して、本発明」は、これら従来技術の「具備する欠点を悉く解消する」と記載されている(記載a)から、引用例1にいう「本発明」では「耐衝撃強度が弱い」という欠点が解消されたということができる。
では、どのような構成によって耐衝撃強度は解消したのかを検討すると、まず、引用例1にいう「本発明」である積層材は「包装用基材」と「積層樹脂層」とからなり(記載b)、「積層樹脂層」は「線状飽和ポリエステル樹脂層が・・二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム層に貼着されているものであり、前記積層樹脂層中における二軸延伸飽和ポリエステル樹脂フィルム層の有する特性によって、折り曲げ強度が高く、総体的な機械的強度に優れた性質が発揮され」(記載c)、他方の「積層樹脂層中の線状飽和ポリエステル樹脂層は・・・保香性能を有する」(記載b)であることを考慮すれば、上記耐衝撃強度の解消は、「総体的な機械的強度に優れた」特性を有する「二軸延伸飽和ポリエステル樹脂フィルム層」によるものであるということができる、すなわち、この「二軸延伸飽和ポリエステル樹脂フィルム層」は「耐衝撃層」として機能している、ということができる。

<層の構成について>
引用例1にいう「本発明」の「積層材」は「包装材用基材」と「積層樹脂層」とからなるもので、前記「積層樹脂層」は「線状飽和ポリエステル樹脂層」と「二軸延伸飽和ポリエステル樹脂フィルム層」とで構成され、「包装材用基材に対して前記積層樹脂層が該積層樹脂層のうちの線状飽和ポリエステル樹脂層面が積層材の最外層となるようにして積層されているものである」(以上、記載b)から、上記「積層材」は、包装材用基材-二軸延伸飽和ポリエステル樹脂フィルム層-線状飽和ポリエステル樹脂層の順で構成されていることになる。
そして、上記「包装材用基材」は、「ゲーベルトップ型紙容器やブリック型紙容器等の容器用積層材」用では「Al箔、紙層、ポリオレフィン系樹脂層等」で構成されるとあるが層の順番については特に記載はない(記載c)。また、「スタンドパウチ等の軟包装容器」用では「Al箔と二軸延伸ポリエステルフィルムとや二軸延伸ポリプロピレンフィルム等との積層シート」と記載されている。
そして、実施例1は、「包装用基材7」が「ポリエステル樹脂層2と・・アルミニウム箔6からな」り「紙層」がないから、上記「スタンドパウチ等の軟包装容器」用の実施例であると認められ、さらに、それに積層される「積層樹脂層8」は線状飽和ポリエステル樹脂で形成されている「ポリエステル樹脂層9」と「二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム層10」とからなり、前記包装材用「基材7におけるAl箔6面と前記積層樹脂8における二軸延伸ポリエチレンテレフテレートフィルム層10面とが・・接着されている」(記載d)とあるから、実施例1のものは「ポリエステル樹脂層2」「アルミニウム箔6」「二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム層10」、線状飽和ポリエステル樹脂で形成されている「ポリエステル樹脂層9」の順で積層されていることになる。
「ゲーベルトップ型紙容器やブリック型紙容器等の容器用積層材」用においては、包装用基材の層の順番は明記されていないが、上記の「スタンドパウチ等の軟包装容器」用と同様に、アルミニウム箔層と積層樹脂層、ポリエステル樹脂層とについては、包装材用「基材7におけるAl箔6面と前記積層樹脂8における二軸延伸ポリエチレンテレフテレートフィルム層10面とが・・接着され」て、その次に容器最内層に保香性を有する線状飽和ポリエステル樹脂で形成されている「ポリエステル樹脂層9」の順になるものと解することができる。

<3-2>本願考案との対比
ここで、本願考案を引用例1記載の考案(特に、ゲーベルトップ型紙容器やブリック型紙容器等の容器用積層材用のもの)と対比すると、
引用例1記載の考案の機械的強度に優れた二軸延伸飽和ポリエステル樹脂フィルムの層は、上記検討のとおり耐衝撃層として機能していると認められ、また、ポリエチレン樹脂はポリオレフィン樹脂の一種であり、本願考案の実施例ではバリア層はアルミニウム箔であるから、引用例1記載の考案の容器用基材の「Al箔」「紙層」「ポリオレフィン系樹脂層」は本願考案の「バリア層」「紙基材」「耐衝撃層ポリエチレン樹脂層」に相当し、
また、引用例1記載の考案における耐衝撃層とも言える「二軸延伸ポリエチレンテレフタレート」、保香性を有する「線状飽和ポリエステル」は、本願考案の「6-ナイロン樹脂フィルムによる耐衝撃層」、「保香性の熱接着性ポリエステル樹脂層」に相当し、引用例1記載の考案では、アルミ箔(バリア層)が耐衝撃層に接し、続いて保香性を有する「線状飽和ポリエステル」樹脂層が最内面になるから、「容器最内層の接液面を構成する」ということができ、両者は、
「紙を主体とする液体紙容器において、ポリエチレン樹脂層、紙基材、バリア層からなる層の内側に、耐衝撃層、保香性の熱接着性ポリエステル樹脂層がこの順に積層され、該ポリエステル樹脂層が容器最内層の接液面を構成することを特徴とする液体紙容器」である点で一致し、次の二点で相違する。
<相違点1>
ポリエチレン樹脂層、紙基材、バリア層からなる層が、本願考案では「紙基材の両面にポリエチレン樹脂層が積層され、その一方面の前記ポリエチレン樹脂層側には、バリア層」があり、次に耐衝撃層、保香性の熱接着性ポリエステル樹脂層の順であるのに対し、引用例1記載の考案においては、「Al箔、紙層、ポリオレフィン系樹脂等で構成されている」とあるが、その順番については、特に明記されていない。
<相違点2>
耐衝撃層が、本願考案においては「6-ナイロン樹脂フィルム」であるが、引用例1記載の考案においては二軸延伸飽和ポリエステル樹脂フィルムの層である。


<4>相違点について検討
上記相違点について次に検討する。
<相違点1について>
低密度ポリエチレン樹脂層による表面層3、耐酸紙2、アルミニウム箔5からなる中間層7、2軸延伸ポリエステルフィルムの裏面層6の順に積層された紙容器用積層シート1は引用例2に記載されている(記載f)。
また、液体紙容器において、紙層の両面にポリエチレン層を積層することで、表面層だけでなく紙層の裏面にもポリエチレン層を形成した構成は、例えば、引用例3(記載g、h)に見られるように、本件出願前の当該技術分野において周知であるから、引用例1記載の液体用容器の「Al箔(バリア層)、紙層、ポリオレフィン系樹脂」のポリオレフィンをその一種であるポリエチレンとし、引用例2記載の考案のように表面からポリエチレン、紙、アルミウム箔の順にして、上記周知技術のように紙層の内側にもポリエチレン層を配して、相違点1の本願考案の構成にすることは、当業者がきわめて容易になし得ることである。
<相違点2について>
耐衝撃層として延伸ナイロンまたは二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた点は引用例2に記載され(記載e)、また、6-ナイロンが汎用ナイロンの一種であるから、引用例1記載の考案の耐衝撃層の樹脂を引用例2記載の考案のように延伸ナイロンとし、その際、6-ナイロンにすることは、当業者がきわめて容易になし得ることである。

そうしてみると、引用例1および2記載の考案、および上記周知技術から本件考案を想到することは当業者にきわめて容易であるということができる。


<5>むすび
したがって、本願考案は、引用例1および2に記載された考案および周知技術に基づいて、当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-07-09 
結審通知日 2001-07-10 
審決日 2001-07-25 
出願番号 実願平2-45246 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 生越 由美池田 貴俊加藤 昌人二ッ谷 裕子  
特許庁審判長 船越 巧子
特許庁審判官 杉原 進
西村 綾子
考案の名称 液体紙容器  

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