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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B42D
管理番号 1046988
審判番号 不服2000-12750  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-11 
確定日 2001-10-15 
事件の表示 平成 3年実用新案登録願第 87491号「往復葉書用シート」拒絶査定に対する審判事件〔平成 5年 4月20日出願公開、実開平 5- 29780、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。   
結論 原査定を取り消す。 本願の請求項1に係る考案は、実用新案登録すべきものとする。
理由 【1】手続の経緯・本願考案
本願は、平成3年9月30日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成12年9月8日付けの手続補正書により補正された実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものである。
「三紙片が折り部を介して連接され、これら三紙片の一面側には、互いに隣接しない二紙片に往信用宛名情報と返信用宛名情報とが各別に記載され、また他面側には、前記返信用宛名情報が記載された紙片以外の二紙片の少なくとも一紙片に隠蔽すべき通知情報が記載されるとともに、通知情報記載面を含む重ね合わせ面には、通常の状態では接着することなく、所定の接着条件を付与することにより接着する接着剤が設けられてなり、前記接着剤は微粒状充てん剤が添加されて剥離可能に調整されてなる一方、前記折り部で折り畳むと、中位に位置する中央の紙片の前記返信用宛名情報が記載された紙片側の折り部に沿った下コーナー部に、斜めに伸びるスリットを設けたことを特徴とする往復葉書用シート。」

【2】引用刊行物の記載内容
原査定の拒絶の理由において引用された特開平2-196698号公報(以下、「刊行物1」という)、特開平3-211095号公報(以下、「刊行物2」という)、及び特開平1-214484号公報(以下、「刊行物3」)には、それぞれ下記の事項が、また、周知例として引用された実願昭63-61823号(実開平1-165283号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物4」という。)及び特開平3-10895号公報(以下、「刊行物5」という。)には、それぞれ以下の事項が記載されている。

〔刊行物1〕
「1.長辺と短辺からなる台紙面に、同台紙面をA面、B面、C面の三つに均等に区分する折線を幅方向に設けるとともに、同折線を介して連続するA、B、C三面の内の一組の連続二面を疑似接着面としたことを特徴とする往復はがき用素材。
中略
9.三つ折りがZ折りであって、A面とB面の裏面同志を疑似接着用フイルムを介して疑似接着させて一体化し、A面の表面を往信用の切手面に、またC面の表面を返信用の切手面としたことを特徴とする往復はがき。」(特許請求の範囲)
「情報表示面は疑似接着により郵送中は隠蔽される。」(第2頁右下欄第12、13行)
「図示実施例ではA面、B面の疑似接着面の周囲縁辺に非接着部4(約2mm程度)を設けている。これは疑似接着面を剥離する時の開け口となって便利であるが、必ずしも必要ではない。また、設ける場合でも、全周、三方、上下だけ、または、一縁辺だけなど適宜選択できる。」(第3頁左上欄第9?14行)

〔刊行物2〕
「本発明は、接着剤層を支持体に設けてなる感圧接着性シートの層同士を対向させて感圧接合して・・・・・葉書・・・とする感圧接着性シートの加圧接合法」(第2頁左上欄第14?18行)
「接着剤層には、通常耐ブロッキング性を向上させるための顔料が添加され、」(第2頁左下欄第3、4行)

〔刊行物3〕
「(1)連続した一対の紙片を折り重ねると共にその間に、一対の透明フィルムの両内面を剥離可能に且つ剥離後は接着性を示さないように疑似接着してなる疑似接着体を挟み、各紙片の内面及びそれと対向する各透明フィルムの外面を剥離不能に完全接着してなる重ね通信シート。
(2)一方の紙片の端縁に、疑似接着体の疑似接着部分に達する深さに・・・スリットを穿設した、請求項1記載の重ね通信シート。」(特許請求の範囲)
「スリットは、・・・角部に直線状・・・に設けられてもよい。」(第2頁右下欄下から2行?第3頁左上欄第2行)

〔刊行物4〕
「遮蔽層と、透明合成樹脂層と、透明粘着剤層と離型紙とが、この順序で積層され、前記離型紙を剥離して葉書の通信面に、前記透明粘着剤層で貼着し、必要に応じて遮蔽層が透明合成樹脂層から剥離できる葉書用易剥離ラベルにおいて少なくとも前記遮蔽層の両端を不剥離部とし、この不剥離部の内側には、葉書の通信面の大部分を占める剥離部よりも剥離強度がより小さく、かつ破断線を有する易剥離部を設けた」(第4頁第4?12行)
「第4図に示したものは、易剥離部11が剥離ラベル16の中間に設けられた場合の一例を示すものでこの場合、遮蔽層4は破断線13から左右に剥離される。また遮蔽層4の剥離を一層容易にするため・・・破断線13に加えてノッチ15を設けるのもよく、」(第6頁第16行?第7頁第2行)

〔刊行物5〕
「一部分を重ねない状態(再剥離を開始する部分)を下コーナー部に設けた、再剥離性感熱接着シートを用いた葉書」(第4図)

【3】対比・判断
本願の請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)と上記刊行物1?3に記載の考案とを対比すると、
本願考案の構成要件である「折り部で折り畳むと、中位に位置する中央の紙片の前記返信用宛名情報が記載された紙片側の折り部に沿った下コーナー部に、斜めに伸びるスリットを設けた」点は、上記刊行物1?3のいずれにも記載されておらず、示唆もされていない。
上記刊行物3には、折り重ねた一対の紙片の一方の角部(コーナー部)にスリットを設けた点が記載されているが、本願考案では、三紙片が折り部を介して連接されたものにおいて、折り部で折り畳むと中位に位置する中央の紙片に、位置を特定してスリットを設けたものであり、折り部で折り畳むとスリットが外部に露出しないようにする点が周知・慣用ともいえないから、上記相違点の構成は当業者がきわめて容易に想到し得るということはできない。
そして、上記相違点の構成により、本願考案は、「往復葉書とした時に前記下コーナー部に設けたスリットが外部に露出することがなく、段差が表出せず、また、外観上も通常の往復葉書と異なるところがなく、往復葉書の取扱時に不用意にスリットに引っかからず、多数積み重ねた場合でも、スリット側に偏って傾斜することがないほか、前記通知情報を視認するための二紙片の剥離動作も容易である」という明細書に記載された効果を奏するものである。

【4】むすび
したがって、本願の請求項1に係る考案は、刊行物1?3に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2001-08-30 
出願番号 実願平3-87491 
審決分類 U 1 8・ 121- WY (B42D)
最終処分 成立    
前審関与審査官 平井 聡子原 光明太田 恒明河本 明彦  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 藤井 靖子
白樫 泰子
考案の名称 往復葉書用シート  
代理人 千葉 太一  

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