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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効としない A47K
管理番号 1046995
審判番号 審判1998-35526  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-11-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-10-30 
確定日 2000-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第2147165号実用新案「トイレットペーパーロール」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件考案の要旨
本件登録第2147165号実用新案は、平成4年6月4日に実用新案登録出願され、平成6年12月7日に実公平6-47356号として出願公告され、平成8年12月25日に設定の登録がなされたものであり、本件登録実用新案の請求項1及び2に係る考案(以下、それぞれ「本件考案1」、「本件考案2」という。)は、出願公告された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】トイレットペーパー巻き初めの端より30cm乃至70cmの箇所からトイレットペーパーに接着剤の水溶液を噴霧してからトイレットペーパーを、外径が紙筒芯と同じ巻軸に、固く巻付けて該巻軸の外側にロール状に固く巻いたトイレットペーパーを有し、該巻軸は巻付け成形後に抜かれて固く巻いたトイレットペーパーだけからなり、かつその中心に大きな孔を有してトイレットペーパー同志が仮着したトイレットペーパー筒状部を成形するとともにロール状に保形してなるトイレットペーパーロール。
【請求項2】接着剤の水溶液に代えて、水を噴霧して仮着のトイレットペーパーの筒状部を成形した請求項1記載のトイレットペーパーロール。」
2.審判請求人の主張及び提示した証拠方法
これに対して、審判請求人は、本件登録第2147165号実用新案の登録は、以下の理由により、これを無効とする、審判の費用は被請求人の負担とする、との審決を求めている。
すなわち、本件考案1,2は、その出願前に国内に頒布された甲第2号証及び甲第3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものであり、本件実用新案登録は、無効とされるべきである、と主張し、以下の証拠方法を提示している。
甲第2号証
実願平2-64925号(実開平4-23497号)のマイクロフィルム
甲第3号証
特公昭62-34666号公報
(なお、審判請求人が提示した甲第1号証は、実開平4-23497号公報であり、その記載事項は、実開平4-23497号として公開された実願平2-64925号の明細書の全文及び図面の内容を撮影した甲第2号証に含まれているから、証拠方法としては該甲第2号証のみで十分であり、甲第1号証は証拠方法として採用する必要がないものである。)
3.被請求人の主張
これに対して、被請求人は、登録第2147165号実用新案の登録は無効にしない。審判請求費用は請求人の負担とする、との審決を求めている。
すなわち、本件考案1、2は、甲第2号証及び甲第3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは言えず、無効とすることができないものである、と主張している。
4.甲2号証及び甲3号証記載の考案
審判請求人の提示した甲第2号証及び甲第3号証には、それぞれ以下の考案が記載されている。
甲第2号証には、
「外径が紙筒芯とほぼ同じ固い巻軸に、トイレットペーパーの巻き初めにはトイレットペーパーに低濃度の接着剤の水溶液を噴霧してトイレットペーパーを、極めて固く巻付けて該固い巻軸の外側にトイレットペーパー同志が仮着した極めて固い仮着筒芯を設け、該仮着筒芯の外側に巻き初めより緩く巻付けたトイレットペーパーを設けて、前記固い巻軸は巻付け後に抜かれてその中心に所定の大きさの大きな孔を有することを特徴とするトイレットペーパーロール。」(明細書第1頁実用新案登録請求の範囲)、
「この実施例のトイレットペーパーロール4の製造方法としては第2図第3図に図示したように外径が伸縮自在の固い金属製巻軸5を2本の平行なロール6,6の上に設けるとともに固い巻軸5の上に加圧ロール(ライディングロール)7を設け、更に巻軸5に向けてスプレーノズル8を設ける。
トイレットペーパー1を巻軸5に供給することにより巻軸5はロール6,6の回転に件つて回転し、巻軸5の外周にトイレットペーパー1が加圧ロール7で大きく加圧されながら極めて固く巻付けられる。
この極めて固く巻付ける際にトイレットペーパー1の巻き初めにはポリビニールアルコール(PVA)の濃度が約1%と低濃度の水溶液をスプレーノズル8からトイレットペーパー1に約2mの長さにわたつて噴霧する。噴霧したPVA水溶液によりトイレットペーパー1はトイレットペーパー同志が仮着して極めて固いトイレットペーパーの仮着筒芯3を成形する。巻き初めのトイレットペーパーは極めて固い仮着筒芯3になり、この極めて固い仮着筒芯3のトイレットペーパーに連続したトイレットペーパーは加圧ロール6の加圧力を調節して巻き初めより緩く巻付けられる。」(明細書第5頁第15行?第6頁第17行及び第1?3図)及び、
「トイレットペーパーの極めて固い仮着筒芯をトイレットペーパーを巻付ける際に簡単に造れるためにコストを安くすることができるし、ロール状の中心に紙管もどきのトイレットペーパーの極めて固い仮着筒芯を設けたトイレットペーパーロールはロールの中心が常に形崩れしないでそのままトイレットペーパーロールの大きな孔に従来のホルダーの太い取付用支持棒を挿通して従来のホルダーに取付けて使用することができるとともにこの極めて囲い仮着筒芯の外側に仮着筒芯より緩く巻付けたトイレットペーパーが緩衝材の役目を果たすために製造時や輸送時などに外側からの衝撃に対してトイレットペーパーロールが壊われにくくすることができる。更にトイレットペーパーロールの全部、すなわち仮着筒芯を構成する仮着状態のトイレットペーパーをもトイレットペーパーとして使用することができるし、紙管もどきの仮着筒芯がトイレットペーパーとして使用することができるので従来のように紙筒芯を別の所に捨てる手間がかからないという効果がある。」(明細書第8頁第9行?第9頁第9行)が記載されており、
以上の明細書及び図面の記載からみて、甲第2号証には、以下の考案が記載されていると認める。
「トイレットペーパー巻き初めにはトイレットペーパーに接着剤の水溶液を約2mの長さにわたって噴霧してからトイレットペーパーを、外径が紙筒芯とほぼ同じ固い巻軸に、極めて固く巻付けて該固い巻軸の外側にトイレットペーパー同志が仮着した極めて固い仮着筒芯を設け、該仮着筒芯の外側に巻き初めより緩く巻付けたトイレットペーパーを設けて、前記固い巻軸は巻付け後に抜かれてその中心に所定の大きさの大きな孔を有するトイレットペーパーロール。」
甲第3号証には、
「広幅のトイレットペーパを巻軸に接触させて巻き取り、次いで巻軸を抜取って所定幅に輪切りに切断するトイレットペーパロールの製造法において;
上記広幅のトイレットペーパを、断面形状が多角形又は歯車形の巻軸上に巻始める当初に、該トイレットペーパに縦縞状に湿りを与えて巻き取り、これによってトイレットペーパ紙層の内層を湿らせると共に、該内層に上記巻軸の外周の角(かど)に倣って折り目を付け、次いで巻軸を抜取ることにより上記折り目の隣接間隔でトイレットペーパ紙層の内層を内向きに膨らみ出させ、内周に空間を確保することを特徴とするトイレットペーパの製造法。」(第1頁第1欄特許請求の範囲第1項)、
「第1図では両駆動ローラ1,1の間隔の直下に、間隔沿いに上向きのノズル5を設け、巻き始めに広幅トイレットペーパ4の幅方向に水や前述の水溶液を噴霧し、噴霧された部分の水分を、それまでの乾燥状態の約5?7%から約25?35%にする。
噴霧は巻軸に巻き付くトイレットペーパの最初の一巻き分でも、最初の一巻き或いは数巻きでもよく、その制御は巻き取り開始スイッチのONに伴わせてタイマーなどで任意、所望に行うことができる。つまり、スイッチONの直後或いは数秒後に数秒間、ノズル5の噴口から噴霧させるのである。
通常トイレットペーパを約65m巻き取るには約15?20秒を要し、その間、巻き始めに噴霧した水分の一部は噴霧されなかった部分に吸い取られてトイレットペーパ紙層6の内層6´は軽く湿り(巻取終了時で水分約15?20%)、内層6´はその外に何回となく巻き付くトイレットペーパの後続部で巻軸の外周に締付けられ、巻軸の角(かど)2´に重なった部分には角2´に倣った折り目6aがクッキリと生じる(第3図)。
従って、巻き取り終了後に紙層から巻軸を抜くと、内周にはトイレットペーパ紙層6の内層に折り目6aがほゞそのまゝ残り、折り目6aの間の隣接間隔が先行提案と同様に内向きの膨らみ6bとなった第3図の断面形状のトイレットペーパロールになる。」(第2頁第4欄第2?29行及び第1?3図)及び
「本発明によって内層を軽く湿らせると繊維は弾力を失い、巻軸の外周の角(かど)2´で与えられた通りの折り目6aがクッキリと生じると同時に、巻軸の引抜き後は空気が流通して乾燥を促すため折り目6aをクッキリと生じさせたまま乾燥に移行する。
従って、次にトイレットペーパの紙層をカッターで輪切りにする際に内層に生じた折り目6a…と、膨らみ6b…はその形態を維持するのでカッターが切込む圧力に耐え、内周が潰れた製品は生じない。」(第2頁第4欄第38行?第3頁第5欄第4行及び第3図)が記載されている。
5.当審の判断
(本件考案1について)
本件考案1と甲第2号証記載の考案とを比較、検討すると、
本件考案1と甲第2号証記載の考案とは、
「トイレットペーパー巻き初めにトイレットペーパーに接着剤の水溶液を噴霧してからトイレットペーパーを、外径が紙筒芯と同じ巻軸に、固く巻付けて該巻軸の外側にロール状に固く巻いたトイレットペーパーを有し、該巻軸は巻付け成形後に抜かれて固く巻いたトイレットペーパーだけからなり、かつその中心に大きな孔を有してトイレットペーパー同志が仮着したトイレットペーパー筒状部を成形するとともにロール状に保形してなるトイレットペーパーロール」である点で一致しているが、以下の点で相違している。
相違点
トイレットペーパーに対する接着剤の水溶液の噴霧を、本件考案1は、トイレットペーパー巻き初めの端より30cm乃至70cmの箇所から行うのに対して、甲第2号証記載の考案は、巻き初めの約2mの長さにわたって行う点。
そこで、上記相違点について検討すると、
甲第2号証記載の考案では、トイレットペーパーに対する接着剤の水溶液の噴霧を、トイレットペーパー巻き初めの端より噴霧したのか、巻き初めの端から間隔をおいて噴霧したのかが明示されておらず、上記相違点における本件考案1のトイレットペーパー巻き初めの端より30cm乃至70cmの箇所から接着剤の水溶液の噴霧を行うことは、具備していない。
また、甲第3号証には、「噴霧は巻軸に巻き付くトイレットペーパの最初の一巻き分でも、最初の一巻き或いは数巻きでもよく」又は「(巻取り開始)スイッチONの直後、或いは数秒後に数秒間、ノズルの噴口から噴霧させる」との記載があるが、前者の記載では、甲第3号証記載の発明の目的を勘案すれば、噴霧はトイレットペーパの巻き初めの端より最初の一巻き或いは数巻きに対してするものと理解でき、本件考案1のトイレットペーパー巻き初めの端より特定の間隔を置いて噴霧を行うこととは明らか相違しており、又後者の「(巻取り開始)スイッチONの直後、或いは数秒後に数秒間、噴霧させる」という記載は、前者の記載と統一されていないが、「直後」を審判請求人の主張するように「すぐのち、すぐあと」という意味であって、後者の記載は巻取り開始スイッチONと時間遅れで噴霧することと解釈して、係る時間的条件を噴霧の長さに変換しても、具体的に、上記相違点における本件考案1のトイレットペーパー巻き初めの端より30cm乃至70cmの箇所から接着剤の水溶液の噴霧が行われるということが、導き出されず、また、甲第3号証記載の発明は、「広幅のトイレットペーパを、多角形又は歯車形の巻軸上に巻始める当初に、該トイレットペーパに縦縞状に湿りを与えて巻き取り、これによってトイレットペーパ紙層の内層を湿らせるご共に、該内層に上記巻軸の外周の角(かど)に倣って折り目を付け、次いで巻軸を抜取ることにより上記折り目の隣接間隔でトイレットペーパ紙層の内層を内向きに膨らみ出させること」にあり、巻始めよりトイレットペーパに浸透することも含み、湿りを与えて、成形するものであり、上記相違点における本件考案1の事項により奏される後述の効果については、明らかに意図されておらず、上記相違点における本件考案1の事項が示唆されているものとは、認められない。
そして、本件考案1は、上記相違点における事項を採用することにより、「巻軸にトイレットペーパーを固く巻付ける際に巻き初めのトイレットペーパーには接着剤の水溶液または水がないためにトイレットペーパーの長さ方向の端部が巻軸に張り付くおそれが無く、良好なトイレットペーパーロールである。そして巻軸に張り付くおそれが全くないために最終のトイレットペーパーが破損されることがなく、使用時に最終のトイレットペーパーまで使用することができるとともにトイレットペーパーに噴霧された水などは巻軸に巻かれたトイレットペーパーの内側および外側に浸透されて拡散していくために水などが噴霧された部分のトイレットペーパーに不自然で醜い「シワ」が生じにくくなるという効果があるとともにトイレットペーパー同志が固く接着しなくなる」という明細書の段落【0010】に記載の特有な効果を奏するものであるから、上記相違点における本件考案1の事項は、甲第2号証及び甲第3号証記載の考案より当業者がきわめて容易に想到できたものとはいえない。
要するに、本件考案1は、審判請求人が提示した甲第2号証及び甲第3号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
(本件考案2について)
本件考案2は、本件考案1を引用するものであるから、上記「(本件考案1について)」で判断したとおり、本件考案2についても、審判請求人が提示した甲第2号証及び甲第3号証記載の考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
6.むすび
以上のとおりであるから、審判請求人が主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件登録第2147165号実用新案の請求項1及び2に係る考案の実用新案登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-09-30 
結審通知日 1999-10-22 
審決日 1999-11-02 
出願番号 実願平4-44399 
審決分類 U 1 112・ 121- Y (A47K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤田 年彦藤井 靖子  
特許庁審判長 樋口 靖志
特許庁審判官 鈴木 憲子
小野 忠悦
登録日 1996-12-25 
登録番号 実用登録第2147165号(U2147165) 
考案の名称 トイレットペーパーロール  
代理人 岩堀 邦男  
代理人 福田 武通  
代理人 福田 賢三  
代理人 福田 伸一  
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