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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B61B
管理番号 1048630
審判番号 審判1999-9664  
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-06-17 
確定日 2001-10-12 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 65878号「懸垂式天井搬送モノレール構造」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 6月 6日出願公開、実開平 7- 30175]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は、平成5年11月17日の出願であって、本願の請求項1、2に係る考案は、平成13年7月3日付けの手続補正書によって全文補正された明細書及び願書に添付した図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものと認める(以下請求項1の考案を「本願考案」という。)。
「【請求項1】 天井から懸垂支持され、吊下ボルトが挿入されるあり溝を有する水平な上フランジと、
上面が自走式搬送車の重量を受ける車輪走行面となっている水平な下フランジと、
前記上フランジと下フランジ間を連続する垂直な表面平滑ウェブとから断面コ字状に形成され、
前記自走式搬送車の車輪が前記下フランジ上面を前記ウェブに接近して走行するように、車輪走行面側と反対側のウェブ側面に給電線が配設され、前記下フランジ及び前記ウェブに加わる自走式搬送車の重量による曲げモーメントを小さくしたことを特徴とする懸垂式天井搬送モノレール構造。
【請求項2】 天井から懸垂支持され、吊下ボルトが挿入されるあり溝を有する水平な上フランジと、片側の上面のみが自走式搬送車の重量を受ける車輪走行面となっている水平な下フランジと、
前記上フランジと下フランジ間を連続する垂直な表面平滑ウェブとから断面I字状に形成され、
前記自走式搬送車の車輪が前記下フランジ上面を前記ウェブに接近して走行するように、車輪走行面側と反対側のウェブ側面に給電線が配設され、前記下フランジ及び前記ウェブに加わる自走式搬送車の重量による曲げモーメントを小さくしたことを特徴とする懸垂式天井搬送モノレール構造。」

2.引用刊行物及びその記載事項
これに対して、当審における平成13年5月11日付けで通知した拒絶の理由に引用した、本願の出願前である昭和61年3月13日に日本国内において頒布された特開昭61-51483号公報(以下、「第1引用例」という。)には、電気式天井トロリコンベアに関して、以下の点が記載されている。
a)「この発明は、上部フランジにより支持構造体に直接接続したレールを備えた電気式天井トロリコンベアに関する。この電気式天井トロリコンベアは、レールに取りつけられた給電線から電流を集電する電気式トロリを備えている。電気式トロリの駆動輪は、レールの下部フランジの上面を走行する。」(第2頁左上欄2?8行)
b)「第1図には、この発明による下弦型電気式トロリコンベア用のレール10を示してある。このレールには、縦型ウエブ12が設けられている。レールの下端からは、下部フランジすなわち下弦部材14は一方の側に(第1図において右側に)突出している。縦型ウエブ12の上端からは、2つの上部フランジすなわち上弦部材16および18が、両側に突出している。」(第2頁右下欄15行?第3頁左上欄2行)
c)「図示の支持構造体24は、・・・案内レールをクランプ26により直接取付けることができる。クランプの替りに、ナットやボルト等の他の結合機構を用いることは可能である。」(第3頁左上欄12?16行)
d)「給電線28は、レール10の縦型ウエブ12の、下部フランジ14がある位置とは反対側の上部にブラケット30により取付けられる。」(第3頁左上欄18?20行)
e)「電気式トロリの全体を、符号40で示してある。トロリーは、レールの下部を包み込んでいる。電気式トロリ40は、ケース42を有する。このケースには、歯車付き電動機44が取付けられていて、この歯車付き電動機により駆動輪46・・・が駆動され、・・・駆動輪46は、レール10の下部フランジ14の上面と接触する。」(第3頁右上欄3?19行)
f)「レール10の下方では、ケース42は、荷物を吊るす装置58を備えており、・・・」(第3頁左下欄8?9行)
g)「移動用の駆動機構は、レール10の一方の側に設けられ、給電線が、レールの他方の側に設けられている・・・」(第3頁右下欄9?11行)
h)第1図には、レール10が、垂直な縦型ウエブと、それに連続する水平な上部フランジ16,18と下部フランジ14とから断面J字状に形成され、上部フランジ16,18が支持構造体24からクランプ26によって懸垂されていることが記載されている。

上記a)の記載によれば、第1引用例に記載された考案は、天井トロリコンベアに関するものであるから、支持構造体24は天井に設けられているものと認められ、さらに、上記c)、h)の記載から、支持構造体24にはレール10の上部フランジ16,18が懸垂支持されているものと認められるから、結局、レール10の上部フランジ16,18は天井から懸垂支持されているものと認める。
また、e)の記載によれば、下部フランジ14の上面は電気式トロリ40を駆動する駆動輪46との接触面であり、f)の記載によれば、電気式トロリ40のケース42は荷物を吊るす装置58を備えているから、下部フランジ14の上面は荷物を吊るす装置58の重量を受ける車輪走行面となっているものと認められる。
さらに、これらの記載とb)の記載から、上記第1引用例のレール10は、装置58に搬送すべき荷物を吊るして使用される、懸垂式天井搬送トロリコンベアのレールであると認められる。また、d)、g)の記載から、給電線28は、レール10の縦型ウエブ12の、車輪走行面である下部フランジ14とは反対側にブラケット30により取付けられているから、給電線が車輪走行面側に存在するものと比べ、荷物を吊るす装置58の車輪が縦型ウエブ12に接近して走行でき、荷物を吊るす装置58の重量による曲げモーメントを小さくできるものと認められる。そして、このような効果は、第1引用例に接した当業者がきわめて容易に予測しうるところである。
したがって、上記第1引用例には、
「天井から懸垂支持され、水平な上部フランジ16,18と、上面が荷物を吊るす装置58の重量を受ける車輪走行面となっている水平な下部フランジ14と、前記上部フランジ16,18と下部フランジ14間を連続する垂直な縦型ウエブ12とから断面J字状に形成され、荷物を吊るす装置58の車輪が前記下部フランジ上面を前記ウェブに接近して走行するように、車輪走行面側と反対側の縦型ウエブ12側面にブラケット30により給電線が取付けられ、前記下部フランジ14及び前記縦型ウエブ12に加わる荷物を吊るす装置58の重量による曲げモーメントを小さくした懸垂式天井搬送レール。」
の考案が記載されているものと認める。

同じく、当審における平成13年5月11日付けで通知した拒絶の理由に引用した、本願の出願前である平成5年8月17日に米国内において頒布された、米国特許第5235917号明細書(以下、「第2引用例」という。)には、モノレールトロリに関して、邦訳すれば以下のような記載がある。
i)「第4図に示されるように、移動ホイール12と向かい側のローラ15は、ビーム2のウエブ3の一側にのみ存在している。ウエブの他側には多数の滑動導体9が取り付けられ、第4図にはその1つだけが示されている。接触部材17は、ギヤドライブモータ11の駆動をコントロールするコントロールボックス29に電気的に接続される。接触部材17は滑動導体9に沿って移動し、滑動導体9伝いに伝送される電気信号をつなぐために、滑動導体9に電気的に接続される。電気信号はギヤドライブモータ11を作動させ、コントロールする。この、トロリ10への電動力と制御信号の供給の独特の配置は、ビーム2に沿ってのトロリ10の移動によっては妨げられない。」(第4欄22?35行)
j)第4図には、Iビーム2の上フランジ4と下フランジ5がそれぞれ水平で、下フランジ5の片側の上面のみが移動ホイール12の走行面となっており、滑動導体9が、コ字状のトロリの側壁面に形成された接触部材17に対向して配置されていることが記載されている。

上記i),j)の記載から、第2引用例のIビーム2は、水平な上フランジ4、下フランジ5とウエブ3で構成され、下フランジ5の片側の上面のみが移動ホイール12の走行面となっており、該移動ホイール12は、トロリ10を移動させるものであるから当然トロリ10の重量を受けているものと認められる。また、上記i)の記載から「滑動導体9」は、接触部材17を介してコントロールボックス29に電気的に接続される「給電線」であって、j)の滑動導体9の配置と、i)の「ウエブの他側には多数の滑動導体9が取り付けられ、」との記載からみて、滑動導体9は移動ホイール12の走行面と反対側のウエブ3側面に多数配設されているものと認められる。
したがって、上記第2引用例には、
「水平な上フランジ4と、片側の上面のみがトロリ10の重量を受ける移動ホイール12の走行面となっている水平な下フランジ5と、前記上フランジ4と下フランジ5間を連続する垂直なウエブ3とから断面I字状に形成され、前記移動ホイール12の走行面側と反対側のウエブ3側面に給電線9が配設されたモノレールトロリ。」
の考案が記載されているものと認める。

同じく、当審における平成13年5月11日付けで通知した拒絶の理由に引用した、本願の出願前である平成4年9月9日に日本国内において頒布された特開平4-254249号公報(以下、「第3引用例」という。)には、モノレール型搬送用電車のガイドレール装置に関して、以下のような記載がある。
k)「ガイドレール1の上側水平部3の外側には、その左右両側辺に沿った左右一対の吊下部材取付け用溝17,18・・・が、レール長さ方向に連続して形成されている。・・・吊下部材取付け用溝17,18は、内部の巾よりも狭いスリット状の開口を有する従来周知のもので、レール長さ方向適当間隔おきの位置で吊下部材23が取付けられる。即ち、この吊下部材23は、吊下杆24の下端に取付け板25を固着したもので、前記取付け板25の左右両端が、頭部26aが前記溝17,18の内部に係合するボルト26及びナット27を介して前記ガイドレール1の上側水平部3の上側に固定される。」(第2頁右欄27?44行)
l)第3図には、ボルト26が吊下ボルトであり、溝17,18はボルトが挿入されるあり溝であることが記載されている。

したがって、k)、l)の記載から、上記第3引用例には、
「ガイドレール1の上側水平部3に、吊下ボルト26が挿入されるあり溝17,18を有するモノレール型搬送用電車のガイドレール装置」
の考案が記載されているものと認める。

3.本願考案と第1引用例に記載された考案との対比
本願考案と第1引用例に記載された考案とを対比すれば、第1引用例の「上部フランジ16,18」、「下部フランジ14」、は本願考案の「上フランジ」、「下フランジ」に相当し、本願考案の「自走式搬送車」と第1引用例の「荷物を吊るす装置」は、共に「搬送体」であり、第1引用例の「レール10」は、本願考案の「モノレール」と同様のモノレール構造である。また、第1引用例の「縦型ウエブ12」は、その表面が平滑であるかどうかは別として、本願考案の「ウェブ」に相当している。さらに、両者には、車輪走行面側と反対のウェブ側面側に、ブラケットによって取付けられているか否かは別として給電線が設けられている。
したがって、本願考案と第1引用例に記載された考案は、
「天井から懸垂支持され、水平な上フランジと、上面が搬送体の重量を受ける車輪走行面となっている水平な下フランジと、前記上フランジと下フランジ間を連続する垂直なウェブとから形成され、搬送体の車輪が前記下フランジ上面を前記ウェブに接近して走行するように、車輪走行面側と反対のウェブ側面側に給電線が設けられ、前記下フランジ及び前記ウエブに加わる搬送体の重量による曲げモーメントを小さくした懸垂式天井搬送モノレール構造。」
である点で一致し、以下の<相違点>で相違している。
<相違点>
1)本願考案の上フランジは、吊下ボルトが挿入されるあり溝を有するのに対し、第1引用例に記載された考案の上部フランジ16,18は、ナットやボルト等の結合機構を用いることは可能であるとは記載されているものの、それが吊下ボルトが挿入されるあり溝を有するものかどうか明かでない点。
2)本願考案の搬送体は自走式搬送車であるのに対し、第1引用例に記載された考案の搬送体は荷物を吊るす装置である点。
3)本願考案のウェブは、表面が平滑であるのに対し、第1引用例に記載された考案の縦型ウエブ12の表面は、ほぼ平滑ではあるものの、ブラケット30を取り付ける凸部を有している点。
4)本願考案のモノレール構造は、断面コ字状に形成されているのに対し、第1引用例に記載された考案のレール10は、断面J字状に形成されている点。
5)本願考案では、給電線が車輪走行面側と反対側のウェブ側面に配設されているのに対し、第1引用例に記載された考案では、給電線が車輪走行面側と反対のウェブ側面側にブラケット30によって取付けられている点。

4.相違点の検討
(1)相違点1)に関して
モノレール型搬送用電車のガイドレールの上側水平部に、吊下ボルト26が挿入されるあり溝を形成する考案は第3引用例に記載されており、この考案の技術を第1引用例の考案の上部フランジ16,18と支持構造体24の結合機構に適用することには何の困難性も認められない。したがって、第1引用例の考案の上部フランジ16,18に吊下ボルトが挿入されるあり溝を形成することは、第3引用例に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に行うことができたものである。
(2)相違点2)に関して
搬送体として自走式搬送車を用いることは、引用例を挙げるまでもなく従来周知の技術である。したがって、第1引用例の考案の搬送体として、荷物を吊るす装置の代わりに自走式搬送車を用いることは、当業者がきわめて容易に行うことができたものである。
(3)相違点3)、4)に関して
モノレール構造を、断面コ字状に形成すること、ウエブ表面を平滑面としておくことは、それぞれ周知技術(例えば、特開昭63-87358号公報の第2図参照。)である。したがって、第1引用例の考案のレール10を断面コ字状に形成するとともに、ウエブ表面を平滑面とすることは、上記周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に行うことができたものである。
(4)相違点5)に関して
第2引用例には、移動ホイール12の走行面側と反対側のウエブ3側面に給電線9を配設する考案が記載されており、この考案の技術を第1引用例の考案に適用することに何の困難性も認められない。したがって、第1引用例の考案で、給電線を車輪走行面側と反対のウェブ側面側にブラケットによって取付ける代わりに、車輪走行面側と反対側のウェブ側面に配設することは、第2引用例に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に行うことができたものである(なお、ウエブ側面に給電線を配設することは、走行面側と同じ側ではあるが、第3引用例でも行われている技術である。)。

そして、本願考案による作用効果は、第1引用例に記載された考案に、第2引用例、第3引用例に記載された考案と上記各周知技術を適用することにより、得られる作用効果を越えるものでもない。
したがって、本願考案は、第1引用例に記載された考案に、第2引用例に記載された考案と第3引用例に記載された考案、及び、上記各周知技術を適用することにより当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

5.請求項2の考案に関して
請求項2の考案は、請求項1の考案のモノレール構造を、断面コ字状から断面I字状に変更し、下フランジの片側の上面のみを車輪走行面としたものであるが、モノレール構造を断面I字状で、下フランジの片側の上面のみを車輪走行面とする考案は第2引用例に記載されており、この考案の技術を第1引用例の考案に適用することに何の困難性も認められない。したがって、請求項2の考案で、モノレール構造を断面I字状で、下フランジの片側の上面のみを車輪走行面とすることは、第2引用例に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

6.むすび
以上詳述したとおり、本願の請求項1、2に記載された考案は、上記第1引用例、第2引用例と第3引用例に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-07-30 
結審通知日 2001-08-10 
審決日 2001-08-24 
出願番号 実願平5-65878 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (B61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山内 康明  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 刈間 宏信
ぬで島 慎二
考案の名称 懸垂式天井搬送モノレール構造  
代理人 津野 孝  
代理人 河合 厚夫  
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