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審決分類 審判 全部申し立て   H05K
管理番号 1048662
異議申立番号 異議1999-71871  
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-05-11 
確定日 2001-09-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第2584954号「電子機器のシールドケース」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2584954号の請求項1に係る実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第2584954号の考案についての出願は、平成5年6月30日に実用新案登録出願され、平成10年9月4日にその考案について実用新案の設定登録がされた。これに対して、実用新案登録異議の申立てがあったので、実用新案法第3条第2項の規定に違反する旨の取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成11年11月8日に訂正請求がなされた。その後、訂正拒絶理由が通知され、これに対して、指定期間経過後の平成12年2月23日に先の訂正明細書を補正する訂正請求書が提出されるも、「期間外の差出」を理由に平成12年2月23日付け訂正請求書に係る手続に対して却下理由が通知され却下されるに至ったものである(よって、平成12年2月23日付け提出の訂正請求書は不採用である)。
2.訂正の適否について
(1)訂正の内容
実用新案権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
(訂正事項A)実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載を
「【請求項1】電子回路を予め搭載したプリント基板を内蔵させる箱状のシールドケース本体を備えた電子機器のシールドケースにおいて、前記シールドケース本体は予めハンダディップされ、前記ハンダディップされたシールドケース本体にプリント基板が収容された後、曲げ加工することにより前記プリント基板を前記ハンダディップされたシールドケース本体に固定する係止片が前記シールドケース本体に形成され、かつ前記係止片の折り曲げる位置に前記ハンダディップの際に、ハンダ被膜が埋まらない程度の大きさを有する曲げ用打抜穴が形成され、更に前記係止片とプリント基板とをハンダ付けされたことを特徴とする電子機器のシールドケース。」に訂正する。
(訂正事項B)明細書中、段落番号【0006】の【課題を解決するための手段】の記載を
「【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為に、本考案は、電子回路を予め搭載したプリント基板を内蔵させる箱状のシールドケース本体を備えた電子機器のシールドケースにおいて、前記シールドケース本体は予めハンダディップされ、前記ハンダディップされたシールドケース本体にプリント基板が収容された後、曲げ加工することにより前記プリント基板を前記ハンダディップされたシールドケース本体に固定する係止片が前記シールドケース本体に形成され、かつ前記係止片の折り曲げる位置に前記ハンダディップの際にハンダ被膜が埋まらない程度の大きさを有する曲げ用打抜穴が形成され、更に前記係止片とプリント基板とをはんだ付けされたことを特徴とする電子機器のシールドケースを提案するものである。」に訂正する。
(訂正事項C)明細書中、段落番号【0014】の【考案の効果】の記載を「【考案の効果】以上詳細に説明したように、本考案による電子機器のシールドケースでは、シールドケース本体のプレス加工時に、プリント基板を固定する係止片と、曲げ用打抜穴とを同時に成形できるので、加工工程数の削減により製造コストを低減でき、同曲げ用打抜穴はハンダディップ時にハンダで埋まることがないのでハンダディップされたシールドケース本体に形成された係止片を正確に折り曲げることができる。また、本考案によれば、係止片とプリント基板とをハンダ付けする際、曲げ用打抜穴によって係止片からシールドケース本体全体への熱伝導が抑えられるため、ハンダ接続の信頼性も向上する効果がある。」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、拡張・変更の存否
訂正事項Aについて: アンダライン箇所(訂正明細書参照)の訂正は、記載の表現を代えただけで、訂正前の実用新案登録請求の範囲と比べて実質的な内容には何ら変更はないものと認められるので、この訂正は減縮を目的とするものではない。また、「電子部品等」を「電子回路」に訂正することは、電子回路という技術用語自体が考案の詳細な説明に記載されていないし、電子部品等と電子回路とは同じ意味ではないから、このような訂正は、実質上実用新案登録請求の範囲の変更であり、単なる誤記と認めることもできない。
訂正事項B、Cについて: この訂正は、「電子回路」という記載部分を除いて、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。しかしながら、かかる訂正によらずとも当該箇所の記載内容は訂正前のもので充分に明瞭であるから、このような訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的としたものではない。
(3)独立登録要件
訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、本件訂正考案という)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「電子回路を予め搭載したプリント基板を内蔵させる箱状のシールドケース本体を備えた電子機器のシールドケースにおいて、前記シールドケース本体は予めハンダディップされ、前記ハンダディップされたシールドケース本体にプリント基板が収容された後、曲げ加工することにより前記プリント基板を前記ハンダディップされたシールドケース本体に固定する係止片が前記シールドケース本体に形成され、かつ前記係止片の折り曲げる位置に前記ハンダディップの際に、ハンダ被膜が埋まらない程度の大きさを有する曲げ用打抜穴が形成され、更に前記係止片とプリント基板とをハンダ付けされたことを特徴とする電子機器のシールドケース。」
これに対して、訂正拒絶理由で引用した刊行物1(発明協会公開技報:公技番号93一16267号(登録異議申立人の提出した甲第1号証))には、電子回路を予め搭載したプリント基板を内蔵させる箱状のシールドケース本体を備えた電子機器のシールドケースにおいて、シールドケース本体にプリント基板が収容された後、曲げ加工することにより前記プリント基板をシールドケース本体に固定する舌片(係止片に相当)が前記シールドケース本体に形成され、かつ前記舌片の折り曲げる位置に丸穴(曲げ用打抜穴に相当)が形成され、更に前記舌片とプリント基板とをハンダ付けされた電子機器のシールドケースについて開示されている。
また、同刊行物2(特開平1一152693号公報(登録異議申立人の提出した甲第2号証))には、公報第1頁下右欄第18行?第2頁上左欄第9行に記載の従来技術の説明箇所または第3頁上左欄第12行?同欄第19行及び第3頁下左欄第12行?同欄第14行に記載の本件実施例の説明箇所に、高周波シールド筺体(シールドケースに相当)において、シールド筺体本体が予めハンダディップ処理され、その後、ハンダディップ処理されたシールド筺体本体にプリント基板が組付けられる点について開示されている。
また、同刊行物3(実願昭61一66629号(実開昭62一178596号)のマイクロフィルム(登録異議申立人の提出した甲第3号証))には、金属シャーシ(シールドケース本体に相当)にプリント基板を仮固定した後、一括してハンダ処理するようにした技術ではあるが、ハンダ槽に浸漬してハンダデイップ処理する場合、切抜き窓の大きさをハンダ詰まりを防止できるような大きさとした点について開示されている。
そこで、本件訂正考案と刊行物1に記載の考案とを対比すると、
本件訂正考案では、シールドケース本体を予めハンダディップしているのに対し、前記刊行物1では、シールドケース本体を予めハンダディップしておくという記載がない点で相違し(以下、相違点1という)、
また、曲げ用打抜穴について、本件訂正考案では、ハンダディップの際にハンダ被膜が埋まらない程度の大きさを有する穴であるのに対し、前記刊行物1では、どの程度の大きさの穴であるのか言及されていない点で相違し(以下、相違点2という)、
その他の構成では一致している。
前記相違点について検討すると、
相違点1について:刊行物2には、プリント基板を組付ける前に、シールドケース本体を予めハンダディップ処理しておく技術について開示されているから、この技術・手法を前記刊行物1記載のシールドケース本体そのものに適用して、本件訂正考案における前記相違点1に係る構成とすることは当業者であればきわめて容易に推考し得たものというべきである。
相違点2について:丸穴にした意義からすると、前述のようにシールドケース本体を予めハンダディッブ処理するとしたとき、丸穴をハンダ被膜が埋まらない程度の大きさの穴にしておくことは前記刊行物3の記載内容から示唆されるところである。そうしてみると、前記刊行物1記載の考案に前記刊行物2記載の技術事項を適用する際に、前記刊行物3の記載内容を考慮することにより、本件訂正考案における前記相違点2に係る構成とすることはきわめて容易に想到しえたものというべきである。
なお、本件訂正考案における効果は、前記刊行物1?3に記載された考案、技術事項から予測し得る程度のものであって、格別なものとはいえない。
したがって、本件訂正考案は、前記刊行物1?3に記載の考案、技術事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録出願の際、独立して実用新案登録を受けることができない。
(4)まとめ
以上のとおりであるから、前記訂正事項A?Cの訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定により、なお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項ただし書及び第3項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合しないので、前記各訂正は認められない。
3.登録異議の申立てについて
前述のとおり本件訂正は認められないから、本件の請求項1に係る考案は、訂正前(即ち、登録査定時)の明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】電子部品等を予め搭載したプリント基板を内蔵させる箱状のシールドケース本体を備えた電子機器のシールドケースにおいて、前記シールドケース本体は予めハンダディップされ、前記プリント基板の収容後に曲げ加工することによりプリント基板を前記ハンダディップされたシールドケース本体に固定するために、係止片が前記シールドケース本体に形成され、かつ前記係止片の折り曲げる位置に前記ハンダディッブの際に、ハンダ被膜が埋まらない程度の大きさを有する曲げ用打抜穴が形成され、更に前記係止片とプリント基板とをハンダ付けされたことを特徴とする電子機器のシールドケース。」
これに対して、当審が通知した取消理由に引用した本件出願前に頒布された刊行物1(発明協会公開技報:公技番号93一16267号(登録異議申立人の提出した甲第1号証))には、電子部品を予め搭載したプリント基板を内蔵させる箱状のシールドケース本体を備えた電子機器のシールドケースにおいて、前記プリント基板の収容後に曲げ加工することによりプリント基板をシールドケース本体に固定するために、係止片が前記シールドケース本体に形成され、かつ前記係止片の折り曲げる位置に曲げ用打抜穴(丸穴9)が形成され、更に前記係止片とプリント基板とをハンダ付けされた電子機器のシールドケースについての技術事項が開示されている。
そこで、本件の請求項1に係る考案(以下、本件考案という)と刊行物1記載の考案とを対比すると、
1)本件考案では、シールドケース本体を予めハンダディップしているのに 対し、前記刊行物1では、予めハンダディップをするという記載がないこ とで相違し(以下、相違点1という)、
2)曲げ用打抜穴について、本件考案では、ハンダディッブの際にハンダ被 膜が埋まらない程度の大きさを有する穴であるのに対し、前記刊行物1で は、どの程度の大きさの穴であるのか言及されていない点で相違し(以下 、相違点2という)、
その他の構成では一致している。
この相違点について検討すると、
相違点1について:本件出願前に頒布された刊行物2(特開平1一152693号公報(登録異議申立人の提出した甲第2号証))には、公報第1頁下右欄第18行?同第2頁上左欄第9行の従来技術の説明箇所または同第3頁上左欄第12行?同欄第19行及び同第3頁下左欄第12行?同欄第14行の本件実施例の説明箇所には、シールドケース本体を予めハンダデイップ(半田槽に浸漬:どぶ漬け)しておいた電子機器のシールドケースについて記載されているので、このような予めハンダディップ処理をしておくという技術手法を前記刊行物1記載のシールドケース本体そのものに適用して本件考案における前記相違点1に係る構成とすることはきわめて容易に想到することができたものというべきである。(なお、出願人は、本願明細書中の従来技術の説明のところで、シールドケース本体を予めハンダディップ手法により処理しておくことは周知であるとも記載している)。
相違点2について:予めハンダディップ処理しておくという技術手法を採用するのに際して、打抜穴(丸穴9)の大きさをハンダディップ処理によって穴がハンダで埋まることがないよう見越して、ハンダ被膜で埋まらない程度の大きさの穴としておくことは適宜なし得たことというべきであり、本件考案における前記相違点2の構成とすることは当業者がきわめて容易に推考し得たものである。
なお、本件考案の効果は、前記刊行物1及び2に記載の考案・技術手法から予測し得る程度のものであって、格別なものとはいえない。
以上のとおりであるから、本件考案は、前記刊行物1及び2に記載された考案・技術手法に基づき当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録されたものである。
したがって、本件考案についての実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-08-07 
出願番号 実願平5-41363 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (H05K)
最終処分 取消  
前審関与審査官 川端 修  
特許庁審判長 藤井 俊明
特許庁審判官 鈴木 久雄
刈間 宏信
登録日 1998-09-04 
登録番号 実用新案登録第2584954号(U2584954) 
権利者 ミツミ電機株式会社
東京都調布市国領町8丁目8番地2
考案の名称 電子機器のシールドケース  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  
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