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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) A01K
管理番号 1050184
判定請求番号 判定2001-60093  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2002-01-25 
種別 判定 
判定請求日 2001-08-20 
確定日 2001-11-22 
事件の表示 上記当事者間の実用新案登録第3053227号の判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「ペット飼育用ケージにおけるパネル連結装置」は、登録第3053227号実用新案の技術的範囲に属しない。
理由 1.請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、被請求人が販売するペット飼育用ケージにおけるパネル連結装置(以下、「イ号連結装置」という。)が、実用新案登録3053227号(以下、「本件実用新案登録」という。)の請求項1に係る考案の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。
なお、本件判定請求の請求の趣旨には、「イ号図面並びにその説明書に示す考案は、実用新案登録第3053227号の技術的範囲に属するとの判定を求める」と記載されているが、請求の理由の欄には、第3053227号登録実用新案のうち、請求項1に係る考案と、イ号連結装置との対比について主張するのみであるので、本件請求の趣旨を上記のとおり認定した。

2.本件実用新案登録に係る考案
本件実用新案登録の請求項1に係る考案(以下、「本件登録実用新案」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲第1項に記載されたとおりのものであって、これを構成要件に分説すると、次のとおりである。
A1.縁端側同士を接合させた側面パネル相互のコーナー部上縁側に嵌合させて両パネル同士を連結させる下側溝部と、
A2.連結された側面パネルによってできる上側開口部を閉塞するように上面パネルのコーナー部をフリーな状態で載置させる上側載置凹面部とを
有するコーナー連結具を備えたことを特徴とする
B.ペット飼育用ケージにおけるパネル連結装置。

3.イ号連結装置
甲第2号証として提示されたイ号図面並びにその説明書によれば、イ号連結装置は、次のa1?bのとおり分説できる。
a1.縁端側同士を接合させた側面パネル相互のコーナー部上縁側に嵌合させて両パネル同士を連結させる下側溝部と
a2.連結された側面パネルによってできる上側開口部を閉塞するように上面パネルのコーナ部を載置するものであって、平坦な上面のほぼ中央部に上面パネルのコーナー部の外枠の内側を係止するほぼ垂直に立ち上がる周壁を有する凸部を形成した上側載置面部とを
有するコーナー連結具を備えた
b.ペット飼育用ケージにおけるパネル連結装置。

4.イ号連結装置が本件登録実用新案の技術的範囲に属するか否かについて、判断する。
(1)本件登録実用新案の構成要件とイ号連結装置とを対比すると、イ号連結装置の構成a1及びbが本件登録実用新案の構成要件A1及びBを充足することは明らかである。
(2)そこで、イ号連結装置の構成a2が本件登録実用新案の構成要件A2を充足するか否かを検討する。
イ号連結装置の構成a2は、連結された側面パネルによってできる上側開口部を閉塞するように上面パネルのコーナ部を載置するものである点で本件登録実用新案の構成を具備するので、上側載置面が、平坦な上面のほぼ中央部に上面パネルのコーナー部の外枠の内側を係止するほぼ垂直に立ち上がる周壁を有する凸部を形成したものであり、この上側載置面が、「コーナー部をフリーな状態で載置させる上側載置凹面部」といえるか否かについて検討する
(3)本件登録実用新案の構成要件A2の上側載置凹面部の「凹面部」がどのような意義を有するものであるかは、実用新案登録請求の範囲の記載からは、明らかではない。
本件登録実用新案の願書に添付した明細書の考案の詳細な説明の段落【0008】には、「前記コーナー連結具Qは、図3、図4に示すように、・・・前記側面パネル2の上側開口部を閉蓋する上面パネル3の外枠のコーナー部を解放自在となるように上側から嵌合部分のないフリーな状態で載置させるよう直角段差状に形成した上側載置凹面部5とを備えている。」と記載されていることから、図3及び図4を参酌すると、実施例においては、コーナー連結具は、その上面に、上面パネル3を上方から自由に載置できるように、上面パネルの外枠を載置する面に続いて、直角に続く壁部(以下、「段差壁部」という。)を有しており、実用新案登録請求の範囲において、この段差壁部を備えた載置面を「上側載置凹面部」と表現したものと認められる。
(4)ここで、上面パネルの外枠の載置面と、前記段差壁部との位置関係についてみると、段落【0008】には、「コーナー連結具Qには、直角段差状に形成した上側載置凹面部5上の内方において、上面パネル3の位置ずれ防止と連結具自体の補強を兼ねた略三角形リブ状の凸部25を設けてある。」と記載されていることから、図3及び図4に記載された実施例においては、前記段差壁部の内方に上面パネルの載置面が位置し、この面に三角形リブ状の凸部があり、上面パネルの外枠のコーナー部は、前記段差壁部と三角形リブ状の凸部との間に位置するよう載置される。
また、請求項1を引用する請求項3には、「前記コーナー連結具には、直角段差状に形成した上側載置凹面部上の内方において上面パネルの位置ずれ防止と連結具自体の補強を兼ねた略三角形状の凸部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載のペット飼育用ケージにおけるパネル連結装置。」と記載されていることから、前記段差壁部の内側に略三角形状の凸部が設けられているものと認められる。ここで、略三角形状の凸部は、ペット飼育ケージのコーナー部にあって、上面パネルの位置ずれを防止するものであることからすると、上面パネルの外枠にほぼ接触する位置におかれなければならないから、前記段差壁部は、必然的に上面パネルの外枠の外側に位置するものと認められる。
(5)以上(3)及び(4)で認定された事実からすると、本件登録実用新案の「上側載置凹面部」は、実用新案登録請求の範囲には、構成として明記されていないが、「上側載置凹面部」は、上面パネルの外枠の外側に位置する前記段差壁部を前提とした構成と認められる。そして、明細書及び図面の他の記載をみても、前記段差壁部が上面パネルの外枠の内側に位置するものを含む、又は、前記段差部が、上面パネルの位置ずれと補強を兼ねる三角形状の凸部の周壁を兼ねる、と解釈すべき余地はない。
なお、登録実用新案の構成要件の解釈にあたっては、その構成要件の機能をも考慮した上で解釈すべきであるところ、判定請求人は、「上側載置凹面部を設けたのは、上側載置凹面部に上面パネルのコーナー部を載置するようにした場合、上面パネル組付け時における上面パネルの位置決めが容易になると考えられる」と主張するが、「上側載置凹面部」の機能については、段落【0008】に、前記のとおり、「上面パネル3の外枠のコーナー部を解放自在となるように上側から嵌合部分のないフリーな状態で載置させる」と記載されているのみであって、凹面部の機能としては、それ以上の記載はされておらず、また、段落【0008】に、「上面パネル3の位置ずれ防止と連結具自体の補強を兼ねた略三角形リブ状の凸部25を設けてある。」と記載されているとおり、上面パネルの位置決めは、前記段差壁部とは別に設けられた三角形リブ状の凸部が受け持っているものであるから、「上側凸部凹面部」の機能を考慮したとしても、前記解釈を左右するものではない。
(6)イ号連結装置の上側載置面には、そのほぼ中央部に上面パネルのコーナー部の外枠の内側を係止するほぼ垂直に立ち上がる周壁を有する凸部が形成されているのみであって、上面パネルの外枠の外側に位置する段差壁部を有さないから、本件登録実用新案の構成要件A2を充足しない。

5.まとめ
以上によれば、イ号連結装置は、本件登録実用新案の構成要件A2を充足しないから、本件登録実用新案の技術的範囲に属さない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2001-11-12 
出願番号 実願平10-2844 
審決分類 U 1 2・ 1- ZB (A01K)
最終処分 不成立    
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 加藤 友也
宮崎 侑久
登録日 1998-08-05 
登録番号 実用新案登録第3053227号(U3053227) 
考案の名称 ペット飼育用ケージにおけるパネル連結装置  
代理人 畑中 芳実  
代理人 佐々木 宗治  
代理人 石川 壽彦  
代理人 小林 久夫  
代理人 福迫 眞一  

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