ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E05D |
---|---|
管理番号 | 1051694 |
審判番号 | 不服2000-4336 |
総通号数 | 26 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2002-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-03-29 |
確定日 | 2001-12-03 |
事件の表示 | 平成 5年実用新案登録願第 17015号「滑動間仕切壁の滑動装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年10月 7日出願公開、実開平 6- 71834]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願考案 本願は、平成5年3月12日の出願であって、その請求項1?3に係る考案は、平成12年4月28日受付の手続補正書及び平成11年3月23日付け手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものであり、実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案(以下、「本願考案1」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 天井等に配設されたレールに沿って間仕切壁を滑動させる滑動間仕切壁の滑動装置であり、該間仕切壁を保持する間仕切壁保持部と、当該滑動方向の両側に複数個対を成して備えられ該レール上を転動する走行輪と、該走行輪のうちの所定の走行輪を回転駆動させる駆動手段とを備えた滑動間仕切壁の滑動装置において、前記駆動装置が電動モーターであり、前記複数対の走行輪の少なくともいずれか一対以上の走行輪において、一方の走行輪が該駆動手段によって回転駆動させられ、他方の走行輪が一方の走行輪によって影響を受けずに自由に転動し得るように構成されており、滑動方向が変換する場合に、前記一方の走行輪と前記他方の走行輪との内輪差分だけ該一方の走行輪と該他方の走行輪との転動量が異なることを特徴とする滑動間仕切壁の滑動装置。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、特開平3-63371号公報(以下、「引用例1」という。)には、第2頁右上欄第15行?左下欄第2行、第3頁左上欄第18行?右上欄第16行、同右上欄第20行?左下欄第13行、第4頁左上欄第11行?右上欄第19行及び第1?5図の記載を参照すると、特に第5図の例として、天井部材に固定されたI形の走行レールに沿って間仕切り壁を走行させる移動間仕切りの自走ランナであり、間仕切り壁を吊下するための吊りボルトをランナ枠体の下枠部材に垂設し、ランナ枠体の下枠部材の両側部に立設する一対の側枠部材の内側に回動自在に複数対設けた主輪軸を介して走行レール上を移動しうる、走行レールのウェブを挟んで相互に向かい合う複数対の主輪を設け、任意の個数の主輪は、駆動モータによって電気的な操作による駆動ができるようにするとともに、全輪を含む任意の2個以上を駆動する場合には、チェーン等によって複数の主輪間に連動関係を備えることにより、一個の駆動モータで複数個の主輪を駆動することが可能である、移動間仕切りの自走ランナ(以下、「引用例1記載の考案」という。)が記載されているものと認められる。 3.対比・判断 本願考案1と引用例1記載の考案を対比すると、引用例1記載の考案の「走行レール」、「走行させる」、「間仕切り壁を吊下するための吊りボルト」、「主輪」及び「移動間仕切りの自走ランナ」は、それぞれ、本願考案1の「レール」、「滑動させる」、「間仕切壁を保持する間仕切壁保持部」、「走行輪」及び「滑動間仕切壁の滑動装置」に相当し、本願考案1の「駆動モータ」は電気的な操作による駆動ができるようにするものであるから本願考案1の「(電動モーターである)駆動手段」に対応し、引用例1記載の考案の「任意の個数」には1個も含まれ、また、引用例1記載の考案において、「走行レール」はI形であり、かつ、走行レールのウェブを挟んで相互に向かい合って複数対の主輪がランナ枠体の一対の側枠部材の内側に回動自在に複数対設けた主輪軸を介して設けられているから、走行レールのウェブの他方側の各主輪は対を成す一方側の各主輪によって影響を受けずに自由に転動し得ることになり、さらに、全輪を含む任意の2個以上を駆動する場合で、チェーン等によって複数の主輪間に連動関係を備えることにより、一個の駆動モータで複数個の主輪を駆動する場合でも、チェーン等によって連動関係を備える複数の主輪は、走行レールのウェブの一方側若しくは他方側となり、走行レールのウェブの他方側の各主輪は対を成す一方側の各主輪によって影響を受けずに自由に転動し得ることになるから、両者は、「天井等に配設されたレールに沿って間仕切壁を滑動させる滑動間仕切壁の滑動装置であり、該間仕切壁を保持する間仕切壁保持部と、当該滑動方向の両側に複数個対を成して備えられ該レール上を転動する走行輪と、該走行輪のうちの所定の走行輪を回転駆動させる駆動手段とを備えた滑動間仕切壁の滑動装置において、前記駆動装置が電動モーターであり、前記複数対の走行輪の少なくとも一対の走行輪において、一方の走行輪が該駆動手段によって回転駆動させられ、他方の走行輪が一方の走行輪によって影響を受けずに自由に転動し得るように構成されている滑動間仕切壁の滑動装置」の点で一致し、下記の点で相違している。 a.本願考案1では、滑動方向が変換する場合に、一方の走行輪と他方の走行輪との内輪差分だけ該一方の走行輪と該他方の走行輪との転動量が異なるのに対し、引用例1記載の考案ではそのような構成を有していない点。 しかしながら、滑動方向が変換する部分を有するレールに沿って滑動させる間仕切壁は、例をあげるまでもなく、従来から慣用されており、そのような間仕切壁に引用例1記載の考案の自走ランナを用いることは、当業者であればきわめて容易に想到しうる程度のことであり、そのような間仕切壁に引用例1記載の考案の自走ランナを用いれば、走行レールのウェブの他方側の主輪は対を成す一方側の主輪によって影響を受けずに自由に転動し得るから、一方側の主輪と他方側の主輪との内輪差分だけ該一方側の主輪と該他方側の主輪との転動量が異なることとなる。 したがって、本願考案1は、引用例1記載の考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願考案1は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-08-20 |
結審通知日 | 2001-09-11 |
審決日 | 2001-09-27 |
出願番号 | 実願平5-17015 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(E05D)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 南澤 弘明 |
特許庁審判長 |
安藤 勝治 |
特許庁審判官 |
鈴木 公子 鈴木 憲子 |
考案の名称 | 滑動間仕切壁の滑動装置 |
代理人 | 楠本 高義 |