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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A47D
管理番号 1051698
審判番号 不服2000-11780  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-07-31 
確定日 2001-12-25 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 40137号「ベビーベッド」拒絶査定に対する審判事件〔平成 7年 2月10日出願公開、実開平 7- 9163、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。   
結論 原査定を取り消す。 本願の考案は、実用新案登録すべきものとする。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は、平成5年7月22日の出願であって、その請求項1、2に係る考案は、平成12年7月31日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
寝台部(15)を囲む囲体(11)が、対面する一対の側枠(14)と、前枠(12)および後枠(13)とから構成されるベビーベッド(1)であって、 対面する一対の両側枠(14)にはねじ通孔(14a)が設けられ、前枠(12)または後枠(13)の両側縁にはこのねじ通孔(14a)に対応する位置にねじ孔(12a)が設けられ、ねじ通孔(14a)にセットボルト(16)を貫通させると共に該セットボルト(16)を該ねじ孔(12a)に螺合することにより両側枠(14)と前枠(12)および後枠(13)とを固定し、
前枠(12)または後枠(13)の下部にはキャスタ(3)が備えられて前枠(12)または後枠(13)が前後に移動自在であると共に、対面する一対の両側枠(14)に設けられたねじ通孔(14a)が前後方向に連続する長孔からなり、ベビーベッド(1)の幅を任意の幅に変更可能としたことを特徴とする、ベビーベッド。

【請求項2】
寝台部(25)を囲む囲体(21)が、対面する一対の側枠(24)と、前枠(22)および後枠(23)とから構成されるベビーベッド(2)であって、 対面する一対の両側枠(24)にはねじ孔(24a)が設けられ、前枠(22)または後枠(24)は平面視コ字形であって上記ねじ孔(24a)に対応する位置にねじ通孔(22b)が設けられ、このねじ通孔(22b)にセットボルト(26)を貫通させると共に該セットボルト(26)を該ねじ孔(24a)に螺合することにより両側枠(24)と前枠(22)および後枠(23)とを固定し、
前枠(22)または後枠(23)の下部にはキャスタ(3)が備えられて前枠(22)または後枠(23)が前後に移動自在であると共に、前枠(22)または後枠(23)に設けられたねじ通孔(22b)が前後方向に連続する長孔からなり、ベビーベッド(1)の幅を任意の幅に変更可能としたことを特徴とする、ベビーベッド。」

2.引用刊行物記載の考案
(1)これに対して、原査定の理由において引用された実願昭56-60125号(実開昭57-171736号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、要すれば、次の事項が記載されているものと認める。
「寝台部を囲む囲体が、対面する一対の側枠(1、2)と、前枠(4)および後枠(4’)とから構成されるベッドであって、 対面する一対の両側枠にはねじ通孔が設けられ、前枠または後枠にはこのねじ通孔に対応する位置にねじ孔が設けられ、ねじ通孔にセットボルトを貫通させると共に該セットボルトを該ねじ孔に螺合することにより両側枠と前枠および後枠とを固定し、前枠または後枠が前後に移動自在であり、ベッドの長さを選択的に変更可能としたベッド。」

(2)同様に引用された実願平2-21217号(実開平3-112052号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、要すれば、次の事項が記載されているものと認める。
「寝台部を囲む囲体が、対面する一対の側枠(4、5)と、前枠(6)および後枠(6)とから構成され、枠の下部にはキャスタが備えられたベビーベッド。」

(3)同様に引用された実願昭58-92673号(実開昭59-196162号)のマイクロフィルム(以下、「引用例3」という。)には、要すれば、次の事項が記載されているものと認める。
「寝台部を囲む囲体が、対面する一対の側枠(5)と、前枠および後枠とから構成され、前枠または後枠の下部にはキャスタ(14)が備えられたベビーベッド。」

(4)同様に引用された特開平4-284693号(以下、「引用例4」という。)及び、実願平2-115468号(実開平4-72683号)のマイクロフィルム(以下、「引用例5」という。)には、要すれば、次の事項が記載されているものと認める。
「一方の部材にはねじ通孔、他方の部材には、前後方向に連続する長孔を設け、両孔をセットボルトを貫通させることにより固定し、両部材の間隔を任意の長さに変更可能とした機構。」

3.対比・判断
(1)請求項1に係る考案(以下、「本願考案1」という。)について
本願考案1と、該考案と最も一致点が多いと判断できる上記引用例1に記載された考案(以下、「引用考案1」という。)とを対比すると、(A)本願考案1が、前枠または後枠の下部にはキャスタが備えられて前枠または後枠が前後に移動自在である構成を具備しているのに対し、引用考案1には係る構成がない点、(B)本願考案1が、ねじ通孔を「前後方向に連続する長孔」から構成することにより、ベビーベッドの幅を任意の幅に変更可能としたのに対し、引用考案1では係る構成がない点、で相違している。

<相違点Aについて>
ベッドの枠の下部にキャスタを設けることは、上記引用例2及び3に記載されているが、引用例2及び3に記載されたベッドでは、キャスタが設けられた前枠・後枠等の枠体は移動しないものである。そして、本願発明1は、移動自在である枠体にキャスタを備えることによって、「前枠12を前後に移動させることによって、ベビーベッド1の幅を任意に調節する際には、前枠12の下部にキャスタ3が備えられているので、床面上で比較的スムーズに前枠12を移動させることができる。」(【0010】欄)なる格別の作用及び効果を奏するものであり、当該効果は、当業者であっても、引用例2及び3からきわめて容易に想到し得ないものである。
したがって、引用考案1に、引用例2又は3に記載された「キャスタ」を設けて、本願考案のようにすることは、当業者であってもきわめて容易になし得たこととすることができない。

<相違点Bについて>
ねじ通孔を「前後方向に連続する長孔」から構成することによって、部材間の間隔を調整する点は、引用例4及び5に記載されている。
しかしながら、上述のとおり、相違点Aに関する構成によって、本願考案1は、引用例2又は3に記載された考案から当業者が容易に考案をすることができないものであるから、相違点B等その余の点について検討するまでもない。

したがって、請求項1に係る本願考案は、上記引用例1乃至5に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができない。

(2)請求項2に係る考案(以下、「本願考案2」という。)について
本願考案2は、本願考案1における前枠又は後枠を「平面視コ字形」としたものであるから、少なくとも相違点(A)及び(B)において、引用考案1と相違するものである。
したがって、(1)での検討によって明らかなように、請求項2に係る考案も、上記引用例1乃至5に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができないと判断できる。

4.むすび
以上、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることができない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
審決日 2001-11-28 
出願番号 実願平5-40137 
審決分類 U 1 8・ 121- WY (A47D)
最終処分 成立    
前審関与審査官 阿部 寛蓮井 雅之  
特許庁審判長 佐藤 洋
特許庁審判官 和泉 等
岩崎 晋
考案の名称 ベビーベッド  
代理人 杉本 勝徳  
代理人 杉本 巌  

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