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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B44C
管理番号 1051700
審判番号 不服2000-8581  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-06-09 
確定日 2001-12-12 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 21175号「自動壁紙糊付機」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年10月21日出願公開、実開平 6- 74399]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯・本願考案
本願は、平成5年4月1日の出願であって、その請求項1乃至2に係る考案は、平成12年7月10日付け手続補正書及び平成13年8月16日付け手続補正書により補正された明細書並びに願書に最初に添付した図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至2に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る考案(以下「本願考案」という。)は、次のとおりである。
「モータにより連動して回転駆動される複数のロールと、前記モータの駆動を制御する制御手段と、前記制御手段に作動指令及び作動条件を含む制御情報信号を与える入力手段とを有し、前記複数のロールによりシート状壁装材を所定の経路に沿って移動させつつ、糊桶内の糊を前記壁装材の裏面に連続的に塗布する自動壁紙糊付機において、
糊付け作業の初期設定時において、前記入力手段から与えられる作動停止指令又はクロス長の制御情報信号の内容に対応する音声信号をメッセージとして出力する音声合成手段と、
前記音声合成手段から出力される音声信号を増幅する音声信号増幅手段と、
前記音声信号増幅手段からの出力される増幅信号を音声に変換する電気音響変換手段と、
を備えたことを特徴とする自動壁紙糊付機。」

2 引用刊行物
これに対して、当審における拒絶の理由に引用した本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願平2-404662号(実開平4-94500号)のマイクロフィルムには、次の事項が記載されている。
a「図5は従来の自動壁紙糊付機の構成を示す斜視図・・・である。」(明細書第4頁第8,9行)
b「糊桶30には糊桶30内の糊を糊付ロール32に転送する糊上げロール35が取付けられている。
【0006】
また、上蓋部6の上面にはフォトマイクロセンサー64によって測定された数値を表示したり、糊付ロール32等の駆動を制御する操作パネル65がある。
【0007】
押出し下ロール31とドライブロール63と糊付ロール32とドクターロール33と均しロール34とは互いにギアにより連動され、糊付ロール32をモーター8で駆動する。」(明細書第4頁第24行-第5頁第4行)
c「実際の操作は、クロスの裏面を糊付ロール32、均しロール34に接触させ、クロスの表面を押えロール62、ドライブロール63に接触させるモータ8の駆動により糊付ロール32が回転し、ギアにより連動された押出し下ロール31と圧接状態にある押出し上ロール61の間をピンチされながらクロスが前方に押出される。糊付ロール32にギア運動した均しロール34が回動し、均一な糊をクロスに転送塗布することができる。
【0010】
糊を塗布されたクロスはクロス受け5に表面を外側にして交互に畳んで保持する。糊付けされたクロスが所定の長さになったら、糊付機本体全面のカッターガイド36の溝に沿ってカッターを移動し、クロスを裁断する。」(明細書第5頁第9-18行)
また、図1に示された壁紙糊付機が自動壁紙糊付機であり、モータ8の駆動を制御する制御手段を有しており、前記制御手段に操作パネル65より作動指令及び作動条件を含む制御情報信号が与えられることが明らかである。
以上のとおりであるので、刊行物には、次の考案が記載されていると認められる。
モータにより連動して回転駆動される複数のロールと、前記モータの駆動を制御する制御手段と、前記制御手段に作動指令及び作動条件を含む制御情報信号を与える操作パネルとを有し、前記複数のロールによりクロスを所定の経路に沿って移動させつつ、糊桶内の糊を前記クロスの裏面に連続的に塗布する自動壁紙糊付機。

3 対比
本願考案と刊行物に記載された考案とを対比すると、刊行物に記載された考案の「操作パネル」及び「クロス」は、本願考案の「入力手段」及び「シート状壁装材」に相当することが明らかであるので、両者は、次の点で一致している。
モータにより連動して回転駆動される複数のロールと、前記モータの駆動を制御する制御手段と、前記制御手段に作動指令及び作動条件を含む制御情報信号を与える入力手段とを有し、前記複数のロールによりシート状壁装材を所定の経路に沿って移動させつつ、糊桶内の糊を前記壁装材の裏面に連続的に塗布する自動壁紙糊付機。
しかし、両者は、次の点で相違している。
本願考案では、糊付け作業の初期設定時において、前記入力手段から与えられる作動停止指令又はクロス長の制御情報信号の内容に対応する音声信号をメッセージとして出力する音声合成手段と、前記音声合成手段から出力される音声信号を増幅する音声信号増幅手段と、前記音声信号増幅手段からの出力される増幅信号を音声に変換する電気音響変換手段とを備えているのに対して、刊行物に記載された考案では、そのようなものではない点。

4 当審の判断
前記相違している点について検討すると、先ず、前記刊行物に記載された考案の自動壁紙糊付機においても、糊付け作業に際して初期設定を行うことは、当然であり、その初期設定における作動停止指令又はクロス長の制御情報は、前記入力手段から入力されるものと認められる。
次に、入力手段から与えられた内容に対応する音声信号をメッセージとして出力する音声合成手段と、前記音声合成手段から出力される音声信号を増幅する音声信号増幅手段と、前記音声信号増幅手段からの出力される増幅信号を音声に変換する電気音響変換手段とを備え、入力作業時に、作業者が入力した内容を音声で確認できるようにして入力誤りを少なくすることは、例えば、特開平1-166222号公報(以下「周知例1」という。)、特開平1-290014号公報(以下「周知例2」という。)等に記載されているように、本願出願前周知である。
さらに、刊行物に記載された考案においても、入力手段からの入力作業時に入力誤りを少なくすることは、当然に考慮されることであるので、そのための手段として前記周知な技術を採用し、糊付け作業の初期設定時において、前記入力手段から与えられる作動停止指令又はクロス長の制御情報信号の内容に対応する音声信号をメッセージとして出力する音声合成手段と、前記音声合成手段から出力される音声信号を増幅する音声信号増幅手段と、前記音声信号増幅手段からの出力される増幅信号を音声に変換する電気音響変換手段と、を備えることは、きわめて容易に想到することができたことと認められる。
なお、平成13年7月4日付け意見書において、請求人は、前記周知例1及び2には、音声信号をメッセージとして出力する点の構成が記載されていないので、本願考案とは相違するものである旨主張している。
しかし、周知例1には、「さらに、コマンドをキー入力した場合、例えば「削除」するためのコマンドキーを押した場合、エンコーダ3によって変換されたコマンドコードを音声合成装置4に入力することによって、スピーカ5からは「さくじょ」と発声されるようにすることもできる。」(第2頁左下欄第11-16行)と記載され、周知例2には、「さらに該押下キーが記号、機能キーであればそれぞれの記号、機能を意味する“言葉”が音声として合成される。」(第2頁右上欄第11-14行)と記載されており、周知例1及び2には、音声信号をメッセージとして出力する点が記載されていると認められるので、請求人の前記主張は採用することができない。
また、本願考案の効果は、前記刊行物に記載された考案及び前記周知な技術から予測しうる程度のものである。

5 むすび
したがって、本願考案は、本願出願前に日本国内において、頒布された前記刊行物に記載された考案及び前記周知な技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
以上のとおりであるので、本願請求項2に係る考案について判断するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-10-01 
結審通知日 2001-10-09 
審決日 2001-10-22 
出願番号 実願平5-21175 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (B44C)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 間中 耕治  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 三原 彰英
宮崎 侑久
考案の名称 自動壁紙糊付機  
代理人 佐藤 正年  
代理人 佐藤 年哉  

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