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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1053445
審判番号 不服2000-14905  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-09-20 
確定日 2002-02-12 
事件の表示 平成5年実用新案登録願第66499号「視力検査装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成7年6月27日出願公開、実開平7-34803、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。   
結論 原査定を取り消す。 本願の考案は、実用新案登録すべきものとする。
理由 1.本願は平成5年12月14日の出願であって、その請求項1?3に係る考案は、平成12年12月15日付けの手続補正書によって補正された明細書および図面の記載からみて実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認められる。
【請求項1】視力検査装置本体と、該本体内に、その視標を投影するための投影スクリーンと、その投影スクリーンに投影された視標の光束を被検者の眼のみに導光する複数の略「ハ」字状に対向して配置された反射部材とを少なくとも備えた視力検査装置であって、
視力検査用視標群から検者が選択した選択視標を投影すべく指示信号を出力する視標投影指示手段と、
前記指示信号を受けて前記選択視標を前記スクリーンに投影する、視力検査装置本体内に設けられた視標投影手段と、
前記指示信号を受けて、または前記視標投影手段が前記指示信号を受けて駆動したとき、前記選択視標と同一表示である確認用視標を前記検者に対して認知させるべく指令信号を出力し、視力検査装置本体内に設けられた指令手段と、
視力検査用視標群すべての表示を有し、前記指令信号を受けて視力検査用視標群のうち、前記確認用視標のみを点灯させる確認用視標表示手段と、
を有することを特徴とする視力検査装置。
【請求項2】前記確認用視標表示手段は、前記表示指令手段から離れた位置に別個に設けられていることを特徴とする請求項1記載の視力検査装置。
【請求項3】前記表示指令手段と前記確認用視標表示手段との間がコード接続されていることを特徴とする請求項1記載の視力検査装置。

2.本件の出願当初明細書には、
「【0020】
この確認用視標表示器310は、図4に示すように、多数の確認用視標310iから成る。この確認用視標310iは、上記の視標板28に設けられた多数の視標280iと1対1に対応している。すなわち、・・・確認用視標表示器310は、その信号を受けとり、各確認用視標310iの中から該当する確認用視標310nを点灯する。」と記載されており、その記載と図1、図4の図示によれば、上記請求項1に記載された、「視力検査用視標群すべての表示を有し、前記指令信号を受けて視力検査用視標群のうち、前記確認用視標のみを点灯させる確認用視標表示手段」(以下、本願考案の確認用視標表示手段という。)は、出願当初明細書及び図面に記載されたものであることが認められる。

3.原審の拒絶理由の要点は、
「この出願の請求項1?3に係る考案は、その出願前公知の刊行物(引用文献1?5)に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
引用文献1;実願昭59-101414号のマイクロフイルム(実開昭61-18103号)
引用文献2;特開昭47-21992号公報
引用文献3;特開昭60-106433号公報
引用文献4;特開平5-212000号公報
引用文献5;特開平5-285106号公報
投影視標を用いた視力検査装置に於いて、視標群から手動・自動にて視標を選択・表示指令する手段、視標投影手段、選択視標に対応する確認用視標を検者に対し表示する手段を設けてなるものは引用文献1-3にも記載された通り周知であり、前記指令手段と確認用視標表示手段とをコード接続して離隔配置することも引用文献3に記載されている。
該各周知の先行技術と各請求項の考案の構成との間に格別なる差異が認められない。
なお、同じく視力検査装置に於いて、指令手段と確認用表示手段などその他の構成部品とをリモートコントロールにて接続することは引用文献4,5に記載されている。」というものである。

4.そこで、検討するに、
引用文献1には、
「本体と操作盤をケーブルで接続し、本体はランドルト環または同等の視力検査用視標を表示した面を複数組合せた回転式多面体を、該多面体の1面のみを見ることができる窓を備えた筐体内に収納して構成し、操作盤に備えた検査すべき視力に対応したスイッチの操作ごとに、前多面体が1面ずつ入れ変わると共に、該多面体の内側から検査に供すべき視標を照明するランプが点燈し、併せて操作盤にこのときの視力の数字表示と、ランドルト環の切れ目の方向表示をすることを特徴とした視力検査器。」(実用新案登録請求の範囲)、
「前記操作盤(14)はランドルト環の切れ目の方向を表示する発光ダイオード・・・と視力を数字で表示する視力表示器(18)が配置されている。」(4頁11?16行)、
と記載されており、その記載と、第5?第6図によれば、
選択視標に対応する確認用指標を検者に対し表示する手段は、選択された視力の数字表示と、選択されたランドルト環の切れ目の方向を点灯された発光ダイオードの位置で表示をするものにすぎず、本願考案の確認用視標表示手段については記載も示唆もない。

引用文献2には、
「又表示窓24と小径円板5の適合した位置において回転板7の裏面に設けた突片10が接点A1、A2、A3、A4の何れかを記号35の方向に対応して押圧することになるから、その作用した接点と適合する表示灯B1、B2、B3、B4の内いずれかが点灯して操作部1側に記号の方向を表示するものである。
従って操作部1の視力記号選択用ロータリスイッチ11を所望の視力値に選択することに依って、該選択条件と比例してモータ2が回転し、主円板4を所要の角度まで回転させて、表示窓24と適合した小径円板の記号方向を操作部1に配設の表示灯点灯で表示するようになるものである。」(2頁右下欄12?3頁左上欄4行)と記載されており、
その記載と第1?2図によれば、
選択視標に対応する確認用指標を検者に対し表示する手段は、選択された記号の方向を点灯された表示灯の位置で表示をするものにすぎず、本願考案の確認用視標表示手段については記載も示唆もない。

引用文献3には、
「視度可変光学系を通して視標のパターンを提示することにより、被検眼の屈折力や視力等を測定する眼科測定装置であって、被検眼に対して提示された前記パターンと同一又は類似した表示パターンを作るパターンジェネレータ及び該パターンジェネレータで作られたパターンを表示するディスプレイ装置を有することを特徴とする眼科測定装置。」(特許請求の範囲)と記載されており、その記載と第1?3図によれば、
選択視標に対応する確認用指標を検者に対し表示する手段は、被検眼に対して提示された視標のパターンと同一又は類似したパターンをすべて記憶しているとしても、「視力検査用視標群すべての表示」ではなく、測定者がディスプレイ装置(の画面)で見ることができるのは、選択されて表示された1つのパターンのみであって、「視力検査用視標群すべての表示」を同時に見ることはできない。
これに対し、本願考案では、「視力検査用視標群すべての表示を有し、前記指令信号を受けて視力検査用視標群のうち、前記確認用視標のみを点灯させる確認用視標表示手段」という構成を有するから、「視力検査用視標群すべての表示」を検者(測定者)は同時に見ることができるものである。

5.そうすると、引用文献1?5および拒絶査定時に引用された文献に記載された技術を組み合わせても本願考案の確認用視標表示手段の構成を得ることはできず、本願の請求項1?3に係る考案は、それらに記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2002-01-28 
出願番号 実願平5-66499 
審決分類 U 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立    
前審関与審査官 樋口 宗彦  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 関根 洋之
志村 博
考案の名称 視力検査装置  
代理人 服部 毅巖  

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