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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E03C
管理番号 1053459
審判番号 不服2001-5918  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-03-09 
確定日 2002-02-04 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 69007号「配管排水用アダプター」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 3月18日出願公開、実開平 6- 20559]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 【1】手続の経緯・本願考案
本願は、平成4年8月22日の出願であって、請求項1,2に係る考案は、平成12年5月19日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1,2に記載されたとおりのものであり、そのうち、請求項1に係る考案(以下「本願考案」という)は、次のとおりである。
【請求項1】上端部に鍔部(6)を一体に形成せる筒状の胴部(5)の外周上にリップ先端外径寸法が、それぞれ径差のあるリップを2種以上を各1本又は複数備えた軟質合成樹脂、ゴム系素材になる配管排水用アダプター。


【2】引用刊行物とそれに記載された考案(技術)
〔1〕これに対して、原審が平成12年8月24日付けで通知した拒絶理由通知書に引用文献2として引用され本願出願前に頒布された刊行物である実公昭63-26465号公報(以下「刊行物1」という)には、例えば、次のような記載がある。
(ア)「下水に通じる下水管内嵌用の筒体の上端縁に下水管上端当接用のフランジを外方へ突設すると共に、・・・筒体の外周面には小径下水管密着用の2本の外側突起を上下方向へ適宜間隔に突設して成るパツキン本体を形成し、このパツキン本体の各外側突起の相互間には、筒板の下端縁に大径下水管密着用の突片が外方へ突設された大径下水管嵌合用のアダプタを嵌脱自在に嵌合せしめた・・・密閉用パツキン。」(実用新案登録請求の範囲)
(イ)「この考案は、流し台や洗面化粧台等の排水管と下水管とを接続する際に使用される密閉用パツキンに関するものである。」(1頁1欄14?16行)
(ウ)「この考案の密閉用パツキンは、・・・天然ゴム、合成ゴム、ビニール樹脂等で成形されたパツキン本体1とアダプタ2とから構成されている。前記パツキン本体1は、下水に通じる小径下水管A1及び大径下水管A2の内部に嵌込む筒体3の上端縁に小径下水管A1及び大径下水管A2の上端当接用のフランジ4を、筒体3の周側面に対して直角に外方へ突設すると共に、・・・筒体3の外周面の上端近傍及び下端近傍には小径下水管A1密着用の断面角形状の外側突起7を上下方向へ適宜間隔に夫々突設するように形成されている。一方、前記アダプタ2は、上下方向の筒方向の長さが前記パツキン本体1の各外側突起7相互間の長さに設定された筒板8の下端縁に大径下水管A2密着用の突片9を・・・外方へ突設されている。」(1頁2欄27行?2頁3欄20行)
(エ)「この考案は、・・・使用時において、先ず流し台や洗面化粧台等の排水口Bに通じる排水管Cと下水に通じる小径下水管A1とを接続する際には、第3図及び第4図に示すようにパツキン本体1のみを排水管Cの下端部の外部に嵌込み、この嵌込んだパツキン本体1の筒体3を小径下水管A1の上端部の内部に嵌込むようにする。また、排水口Bに通じる排水管Cと下水に通じる大径下水管A2とを接続する際には、第3図及び第5図に示すように筒体3の各外側突起7相互間にアダプタ2を嵌合したパツキン本体1を、排水管Cの下端部の外部に嵌込み、この嵌込んだパツキン本体1の筒体3を大径下水管A2の上端部の内部に嵌込むようにする。すなわち、パツキン本体1とアダプタ2とによつて、排水管Cを径の異なる小径下水管A1及び大径下水管A2に適応させて接続できるため、排水管Cと各下水管A1,A2とを極めて容易に接続できるばかりでなく、・・・パツキン本体1の外側突起7及びアダプタ2の突片9が夫々小径下水管A1及び大径下水管A2の内周面に密着する」(2頁3欄25行?2頁4欄3行)
上記(ア)?(エ)の記載と図面の記載を含む刊行物1全体の記載からみて、刊行物1には、
「上端部に下水管上端当接用フランジ4を一体に形成せる筒体3の外周上に小径下水管A1密着用の外側突起7を複数備えた天然ゴム,合成ゴム,ビニール樹脂等になるパツキン本体1と、パツキン本体1に嵌脱自在に嵌合でき筒板8の下端縁に大径下水管A2密着用の突片9を突設した天然ゴム,合成ゴム,ビニール樹脂等になるアダプタ2と、からなる密閉用パツキン。」との考案が記載されている。

〔2〕同じく、引用文献3として引用され本願出願前に頒布された刊行物である実願昭51-81379号(実開昭52-171720号)のマイクロフィルム(以下「刊行物2」という)には、例えば、次のような記載がある。
「ゴム、合成ゴム、軟質合成樹脂等からなる上下両開口を有し、内周面に適宜間隔をもって複数個の突条片を設けた円筒状管継手において、当該内周面・・・には・・・一定突起長の突条片及び該突起長と異なる突起長の突条片を・・・設け、前記管継手の両端部には鍔部を有し・・・ている・・・管継手。」(実用新案登録請求の範囲)
上記の記載と図面の記載を含む刊行物2全体の記載からみて、刊行物2には、ゴム,合成ゴム,軟質合成樹脂等からなる円筒状の管継手において、径の異なる管に対応させるために、一定突起長の突条片と該突起長と異なる突起長の突条片とを筒状の胴部の内周面に一体的に備えることが記載されている。


【3】対比
刊行物1記載の考案の「下水管上端当接用フランジ4」,「筒体3」,「天然ゴム,合成ゴム,ビニール樹脂等」が、本願考案の「鍔部(6)」,「筒状の胴部(5)」,「軟質合成樹脂、ゴム系素材」にそれぞれ相当し、
また、刊行物1記載の考案の「小径下水管A1密着用の外側突起7」と「大径下水管A2密着用の突片9」とが、本願考案の「リップ先端外径寸法が、それぞれ径差のあるリップ」に相当し、
また、刊行物1記載の考案の「外側突起7を複数備えた」及び「突片9を突設した」が、本願考案の「リップを2種以上を各1本又は複数備えた」に相当し、
さらに、刊行物1記載の考案の「・・・パツキン本体1と、・・・アダプタ2と、からなる密閉用パツキン」が、本願考案の「配管排水用アダプター」に相当するから、
本願考案と刊行物1記載の考案とは、
「上端部に鍔部(6)を一体に形成せる筒状の胴部(5)にリップ先端外径寸法が、それぞれ径差のあるリップを2種以上を各1本又は複数備えた軟質合成樹脂、ゴム系素材になる配管排水用アダプター。」の点で構成が一致し、次の点で構成が相違する。
〈相違点〉
胴部へのリップの設置構成に関して、本願考案が、胴部の外周上にリップ先端外径寸法がそれぞれ径差のあるリップを2種以上を各1本又は複数備えたものであるのに対して、刊行物1記載の考案では、胴部にリップ(外側突起7,突片9)を複数備えたものではあるが、一方のリップ(外側突起7)のみ胴部の外周上に備え、他方のリップ(突片9)は胴部の外周上ではなく別体のアダプタに備えた点。


【4】判断
(1)前記相違点について検討すると、刊行物2には、筒状の胴部の周上に、先端外径寸法がそれぞれ径差のある突条片(リップ)を2種以上を各1本又は複数一体的に設けたゴム,合成ゴム,軟質合成樹脂等からなる円筒状の管継手(配管排水用アダプター)の技術が記載され、また、原審が平成11年9月28日付けで通知した拒絶理由通知書に引用文献2として引用され本願出願前に頒布された刊行物である実願昭51-88334号(実開昭53-8053号)のマイクロフィルムには、円筒部(筒状の胴部)の外周面に排水パイプと下水管との間隙に適合するそれぞれ径差のある舌状密封部(リップ)を一体的に備えた密封部材(配管排水用アダプター)の技術が記載されており、これらの技術によれば、筒状の胴部の周上に径差のあるリップ状部材を一体的に設けることは、当該技術分野において従来から周知の技術であるといえるから、刊行物1記載の考案において、前記相違点にあげた構成のようにすることは、当業者がきわめて容易に想到し得たものといわざるをえない。
(2)そして、本願考案の効果も、刊行物1記載の考案と刊行物2等に記載の周知技術とから普通に予測できる範囲内のものであって格別なものは認められない。


【5】むすび
以上のとおりであるから、本願考案は、刊行物1記載の考案と周知技術とから当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められ、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-11-16 
結審通知日 2001-11-27 
審決日 2001-12-10 
出願番号 実願平4-69007 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (E03C)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 赤木 啓二宮崎 恭横井 巨人  
特許庁審判長 安藤 勝治
特許庁審判官 伊波 猛
蔵野 いづみ
考案の名称 配管排水用アダプター  

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