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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1053465
異議申立番号 異議2001-72831  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2002-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-10-12 
確定日 2002-01-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第2607153号「合成樹脂製パレット」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2607153号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2607153号は、平成5年4月14日の出願に係り、平成13年2月2日に設定の登録がなされ、実用新案登録公報が平成13年4月16日に発行され、平成13年10月12日付けで三甲株式会社より、実用新案登録異議の申立てがあったものである。

2.本件考案
請求項1に係る考案は、実用新案登録明細書および図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】 表面部、裏面部及び表面部と裏面部とを連結する筒状桁を有する合成樹脂製パレットに於いて、合成樹脂製パレットのフォーク挿入口側であって合成樹脂製パレットの両端から内側に入った筒状桁の側壁部にJIS T-11型パレットに使用し得るパレットサポートの取り付け用開口部が形成されていることを特徴とする合成樹脂製パレット。」

3.異議の申立ての理由の概要
申立人は、証拠として下記の甲第1号証を提出し、本件考案は甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきである旨主張している。

4.甲第1号証に記載された考案
甲第1号証:米国特許明細書第3、994、241号
パレット用の取外し可能な積重ねフレーム組立体に関するものであり、図面と共に以下の記載がある。
a.「図示されているパレット10の場合、図示された特定のパレットのすべての4つの側面に沿って延びる環状凹部18が示されている。」(2欄28?30行、図1参照。翻訳文による。)
b.「最終的に脚部材36が、図4に示す位置に位置決めされた状態では、キャップストップ68が開口部12内にあり、各隅板ストップ70は、パレットストップの隅部の外側の2つの側面上の凹部18内にある。」(3欄43?47行、図4参照。翻訳文による。)
申立人は、さらに参考資料1ないし3を提出しているが、これら参考資料には、合成樹脂製パレットにパレットサポートを取り付けるために、パレットサポートの構造に応じて、凹部や開口部等を形成することが記載されている。

5.当審の判断
請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、木製規格パレットに大量に使用されている標準パレットサポートの構成を変更することなく使用できる合成樹脂製パレットを提供しようとするもので、当該パレットサポートの取り付け部の構成に合致した開口部が形成されていることを特徴とするものである。
具体的には、JIS T-11型パレット(JIS Z 0601:1990 一貫輸送用平パレット)(木製のパレットで、けたの厚さは50mm)に使用されるパレットサポート(JIS Z 0615:1990 パレットサポート)の脚部が取り付けられるような構成、すなわち50mmの壁部を挟むように脚部が形成されたパレットサポートに対応するような開口部が桁の側壁部に形成されているということである。
一方、甲第1号証には「合成樹脂製パレットのフォーク挿入口側であって合成樹脂製パレットの両端から内側に入った筒状桁の側壁部にパレットサポートの取り付け用開口部が形成されている合成樹脂製パレット」が開示されているが、この開口部は「JIS T-11型パレットに使用し得るパレットサポートの取り付け用」のものではない。
甲第1号証および周知技術として示された参考資料1ないし3には、合成樹脂製パレットの形状、寸法に合わせたパレットサポートの取り付け構造は開示されているが、木製の規格パレットに使用するパレットサポートを合成樹脂製パレットに適用するとの思想は記載されていない。本件考案は前記構成を有することにより、広く使用されている木製規格パレットに使用されているパレットサポートをなんら変更することなく使用することができ、木製規格パレットと混在して使用することが可能となる(【考案の効果】)という、甲第1号証に記載された考案には期待できない効果を奏するものである。
したがって、甲第1号証に記載された考案から請求項1に係る考案を想到することはできず、請求項1に係る考案が、甲第1号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に想到することができたものであるということはできない。
申立人は、本件考案における「JIS T-11型パレット」は2方差しの合成樹脂製パレットと称されるものである旨主張する。(申立書4頁1?3行)しかしながら、本件の出願は平成5年であるから、本件明細書に記された「JIS T-11型パレット」の規格である「JIS Z 0601」は1990年改正のものであり、「JIS Z 0601:1990」には、木製パレットのみで、プラスッチック製のものは含まれない(「JIS Z 0601」は平成13年の改正により、パレットの種類を木製及びプラスッチック製の2種とした。[「JIS Z 0601:2001」の解説参照。])ので、本件考案における「JIS T-11型パレット」は木製パレットとするのが相当であり、申立人の当該主張は採用できない。

6.むすび
以上のとおり、請求項1に係る考案は、異議申立人の提示した甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到することができた考案ではないから、請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録されたものではない。
したがって、実用新案登録異議の申立ての理由によっては請求項1に係る実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-12-28 
出願番号 実願平5-18969 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (B65D)
最終処分 維持    
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 杉原 進
鈴木 美知子
登録日 2001-02-02 
登録番号 実用新案登録第2607153号(U2607153) 
権利者 大日本インキ化学工業株式会社
東京都板橋区坂下3丁目35番58号
考案の名称 合成樹脂製パレット  
代理人 平井 保  

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