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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1055169
審判番号 不服2001-6916  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-04-27 
確定日 2002-02-20 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 48598号「除湿器異常監視機構」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 3月10日出願公開、実開平 7- 14362]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯、本願考案
本願は、平成5年8月13日の出願であって、その請求項1?3に係る考案は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものであって、そのうち請求項1に係る考案は、次のとおりである。
「【請求項1】測定成分が測定用検出器によって検出され、水分干渉分が前記測定用検出器と干渉補償用検出器で検出される干渉成分補償型の赤外線分析計と、該赤外線分析計およびサンプリング採取点間に設けられた半透膜除湿器や電子冷却器等の除湿装置と、前記測定用検出器および干渉補償用検出器の後段に接続され、前記補償信号の出力が、除湿装置の原因による指示異常の早期特定と除湿装置の交換洗浄時期の目安とするための一定値を越えた場合に前記除湿装置を異常と判断する除湿装置異常判断手段とを備え、更に、前記除湿装置異常判断手段がA/DコンバータおよびCPUからなり、前記測定用検出器から取り出された前記全体信号の出力と、前記干渉補償用検出器から取り出された前記水分干渉成分のみの補償信号の出力とを、前記A/Dコンバータにより前記CPUに取り込み、除湿器の異常の際には、測定用検出器側および干渉補償用検出器側の水分干渉成分それぞれが直ぐに、かつ、同時に増大し、前記干渉補償用検出器からの前記補償信号の出力が前記CPUの前記一定値を越えた場合に除湿装置を異常と判断することを特徴とする除湿器異常監視機構。」
2.原査定の理由
原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1、3に係る考案は、引用刊行物1に記載された考案に基いて、また、請求項2に係る考案は、引用刊行物1?4に記載された考案に基いて、それぞれ、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない、というものである。
3.引用刊行物
引用刊行物1(実願昭54-174890号(実開昭56-92948号公報)のマイクロフィルム)には、ガス分析装置に関する考案が記載されており、従来技術の問題点として、
「かかる除湿器を用いたガス分析装置において、除湿器に故障を生じてうまく機能しなくなった場合、測定誤差が大きくなるので、除湿器の機能が正常であることを常に確認することは重要な事柄であると云える。」
(第4頁、14?18行)
という記載があり、考案の目的について、
「この考案の目的は、半透膜式気相除湿器等を使用したガス分析装置において、除湿器の除湿能力が正常であることを常に確認できるようなガス分析装置を提供することにある。」
(第6頁、3?6行)
と記載されている。そして、この目的を達成するための構成について、以下のような記載がある。、
「被測定成分およびこの被測定成分に対する干渉成分を含んだ試料ガスが導入される試料セルと、基準ガスが封入された基準セルと、前記両セルへ同じ強度の赤外線光線を照射する赤外線光源と、赤外線を透過させ得るように構成され、前記試料セルおよび基準セルを透過した赤外線光線がそれぞれ照射される2つの検出槽より成る測定ガス用検出器と、この検出器の各検出槽を透過した赤外線光線がそれぞれ照射される2つの検出槽より成る干渉補償用検出器とを備え、前記測定ガス用検出器の出力信号から前記干渉補償用検出器の出力信号を引算することにより前記試料ガス中の被測定成分濃度を測定するものにおいて、前記干渉成分が水分である場合には、前記試料ガスが前記試料セル中に導入される前にこの試料ガス中の水分を除去する除湿器を設け、かつ前記干渉補償用検出器の各検出槽内には水分もしくはこの水分とほぼ同じ赤外線吸収波長領域を有するガスを封入し、この干渉補償検出器の出力信号に基づいて前記除湿器の除湿性能を検知し得るようにしたことを特徴とするガス分析装置。」
(実用新案登録請求の範囲)
「2つの第1検出槽16a、16bによって測定ガス用検出器16が構成され、試料セル15bから第1検出槽16bに入った赤外線は、基準セル15aから第1検出槽16aに入った赤外線より若干弱くなっており、このため、図示せざるチョッパにより断続された赤外線が第1検出槽16a、16bを照射するとき、基準側検出槽16aから試料側検出槽16bへ、検出槽に封入されているガスが流れ、遮光されるときは平衡するようにガスが戻る。この微少なガスの流れをフローセンサ(熱式流量計形検出器)17が検出して交流信号に変える。この交流信号は、試料ガス中の被測定成分の濃度と試料ガス中に含まれる干渉成分としての水分による干渉の度合(測定誤差)とを表わす信号(その理由は後述)であり、増幅器20により増幅されて演算器23へ入力される。」
(第8頁、11行?第9頁、6行)
「更に、2つの第2検出槽18a、18bから水分干渉補償用検出器18が構成され、第1検出槽16bから第2検出槽18bへ赤外線が入射し、また基準セル側第1検出槽16aから第2検出槽18aへも赤外線が入射すると、先と同様にして、基準側第2検出槽18aから試料側第2検出槽18bへ、第2検出槽に封入されているガスが流れる。このガスの流れをフローセンサ(熱式流量計形検出器)19が検出して交流信号に変える。この交流信号は、除湿器10を通過した後の試料ガス中に含まれる水分の濃度を表わす信号(その理由は後述)であり、増幅器21で増幅された後、演算器23へ入力される。」
(第9頁、7?19行)
「一方、増幅器21により増幅された信号を更に増幅器22で増幅して水分濃度を拡大表示すれば、半透膜式気相除湿器10の除湿能力を知ることができる。」
(第10頁、4?7行)
4.比較判断
引用刊行物1に記載されたガス分析装置は、除湿器の機能が正常であることを確認するための機構を有するものであり、この機構は、測定ガス用検出器と、干渉補償用検出器とを備えるもので、干渉補償用検出器の出力信号に基づいて除湿器の除湿性能を検知するものである。
本願の請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)と引用刊行物1に記載された上記機構(以下、「引用考案」という。)とを比較すると、引用考案の「測定ガス用検出器」「干渉補償用検出器」「除湿器」は、それぞれ、本願考案の「測定用検出器」「干渉補償用検出器」「除湿装置」に相当するから、両者は、測定成分が測定用検出器によって検出され、水分干渉分が前記測定用検出器と干渉補償用検出器で検出される干渉成分補償型の赤外線分析計と、該赤外線分析計およびサンプリング採取点間に設けられた半透膜除湿器や電子冷却器等の除湿装置とを備える、除湿器異常監視機構、である点で一致し、次の点で相違する。
相違点
本願考案が、前記測定用検出器および干渉補償用検出器の後段に接続され、前記補償信号の出力が、除湿装置の原因による指示異常の早期特定と除湿装置の交換洗浄時期の目安とするための一定値を越えた場合に前記除湿装置を異常と判断する除湿装置異常判断手段とを備え、更に、前記除湿装置異常判断手段がA/DコンバータおよびCPUからなり、前記測定用検出器から取り出された前記全体信号の出力と、前記干渉補償用検出器から取り出された前記水分干渉成分のみの補償信号の出力とを、前記A/Dコンバータにより前記CPUに取り込み、除湿器の異常の際には、測定用検出器側および干渉補償用検出器側の水分干渉成分それぞれが直ぐに、かつ、同時に増大し、前記干渉補償用検出器からの前記補償信号の出力が前記CPUの前記一定値を越えた場合に除湿装置を異常と判断する、ものであるのに対して、引用考案は、そのような構成を有しないものである点。
相違点について検討する。
引用考案は、干渉補償用検出器の出力に基づいて除湿器の除湿性能を検知するものであり、この検知結果により除湿器が正常であるか否かを判断するものであるから、干渉補償用検出器の出力信号に対して一定値を設定し、この一定値を越えた場合に除湿装置を異常と判断することは当然考えられることである。もっとも、引用刊行物1には本願考案のようなA/DコンバータやCPUから成る異常判断手段についての記載はないが、一般に、検出信号に基づく判断を自動的に行うために、検出信号に対してA/DコンバータやCPUから成る判断手段を設けることは、周知慣用技術であるから、引用考案においても必要に応じてこのような周知慣用技術を採用し、干渉補償用検出器の後段に出力が一定値を越えた場合に除湿装置を異常と判断する除湿装置異常判断手段としてA/DコンバータやCPUからなるものを設けることは当業者が適宜なしうる設計上の事項である。
そして、除湿装置の異常を判断しうるのは、干渉補償用検出器の出力により水分の増大を検出できるからであるが、水分の増大は、干渉補償用検出器のみならず、測定用検出器の出力をも増大させることは明らかであるから、除湿装置異常判断手段に、干渉補償用検出器の出力だけでなく、測定用検出器の出力も取り込むようにすることは、当業者であれば格別の困難なくなしうることである。また、一定値をどのように設定するかは単なる設計事項に過ぎず、除湿装置の原因による指示異常の早期特定と除湿装置の交換洗浄時期の目安とするためのものとすることも普通に考えられることである。
そして、除湿器の異常の際には、測定用検出器側および干渉補償用検出器側の水分干渉成分それぞれが直ぐに、かつ、同時に増大することは明らかであるから、除湿器の異常の際には、測定用検出器側および干渉補償用検出器側の水分干渉成分それぞれが直ぐに、かつ、同時に増大し、前記干渉補償用検出器からの前記補償信号の出力が前記CPUの前記一定値を越えた場合に除湿装置を異常と判断する、ようにすることは当然である。したがって、引用考案において、前記相違点に係る構成を採用することは当業者が格別の困難なくなしうることである。また、本願考案の効果は引用考案の有する効果と格別差異のないものである。
なお、請求人は、引用考案は、除湿器10の故障を「干渉補償用検出器18のフローセンサ19からの出力信号S2」から発見するようにしたものであり、本願考案のように、除湿装置3に異常が発生したことを「測定用検出器6からの全体信号の出力と干渉補償用検出器7からの補償信号の出力」で判断するものではなく、そのため、本願考案は、引用考案では得られない特有の効果を奏するものである(審判請求書、請求の理由(2))、と主張しているが、本願考案は、上記実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、また、明細書の【0018】の「以上説明したように、本考案によれば、除湿器能力を干渉補償用検出器の補償信号の出力を利用した除湿装置異常判断手段で監視するだけという簡単な構成とすることにより、....従来、半透膜除湿器のみならず、電子冷却器に異常が発生した時に除湿能力の監視が十分ではなかったという問題点を解消できる効果がある。」等の記載からも明らかなように、干渉補償用検出器からの補償信号の出力により除湿装置の異常を判断するものであり、「測定用検出器6からの全体信号の出力と干渉補償用検出器7からの補償信号の出力」で判断するものではない。したがって、請求人の上記主張は採用できない。
5.むすび
以上のとおりであるから、請求項1に係る考案は、引用刊行物1に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。したがって、請求項2,3に係る考案について判断するまでもなく本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-11-28 
結審通知日 2001-12-04 
審決日 2001-12-20 
出願番号 実願平5-48598 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 樋口 宗彦  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 橋場 健治
志村 博
考案の名称 除湿器異常監視機構  
代理人 藤本 英夫  
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