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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60K
管理番号 1055176
審判番号 不服2000-6965  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-05-11 
確定日 2002-03-01 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 54365号「燃料ボンベ搭載車両の燃料供給回路」[平成 7年 5月 2日出願公開、実開平 7- 23624]拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願の考案
本願は、平成5年10月6日付で実用新案登録出願されたものであって、その出願に係る考案は、平成12年3月10日付、平成12年6月9日付、平成13年10月15日付で各手続補正された明細書の実用新案登録請求の範囲における請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。
【請求項1】エンジンの燃料供給装置と複数の燃料ボンベとを接続する燃料配管の途中に、エンジン停止時にエンジンへの燃料供給を停止する燃料遮断弁と、緊急時に燃料ボンベからの燃料の放出を遮断する緊急遮断弁と、を直列に介装した燃料ボンベ搭載車両の燃料供給回路において、前記各燃料ボンベの元弁からの燃料供給管を共通の集合部に連結し、この集合部と燃料供給装置とを接続する燃料配管の途中に前記燃料遮断弁を介装する一方、各燃料ボンベの元弁から集合部に至る燃料供給管のそれぞれに前記緊急遮断弁として常閉の電磁弁を介装すると共に、これら緊急遮断弁をエンジンの運転時に開いてエンジンの停止時に閉じる手段と、エンジン停止状態のときにのみこれら緊急遮断弁の開閉を可能とする手段と、を備えたことを特徴とするボンベ搭載車両の燃料供給回路。
(この請求項1に係る考案を、以下「本願考案」という。)

2.引用例とその記載事項の概要
これに対して、当審における、平成13年8月3日付で通知した拒絶の理由で引用したHONDA R&D Technical Review Vol.5(1993)「圧縮天然ガスの自動車用燃料としての適合性検討」1993年7月1日発行、第13頁から第22頁(以下、「引用例1」という。)のFig.2 Fuel System of Honda NGVには、
(イ)「エンジンの燃料供給装置と複数のCNG Tank(2)とを接続する燃料配管の途中にSolenoid shut-off valve(3)とCNG Tank(2)からの燃料の放出を遮断する弁と、を直列に介装したCNG Tank搭載車両の燃料供給回路において、各CNG Tankの弁からの燃料供給管を共通の集合部に連結し、この集合部と燃料供給装置とを接続する燃料配管の途中に前記Solenoid shut-off valve(3)を介装する一方、各CNG Tankから集合部に至る燃料供給管のそれぞれに弁を介装したCNG Tank搭載車両の燃料供給回路」の考案及び、「CNG Filler(1)からCNG Tank(2)に至る燃料配管上に弁が存在する」考案が記載されているものと認められる。
また、同じく上記拒絶の理由で引用した特開平3-210057号公報(以下、「引用例2」という。)には、「LPGエンジンの燃料供給装置」として、
(ロ)「営業車などのLPGエンジンの燃料系は第3図に示すように、LPGタンク51から燃料通路52を通ってベーパライザ53に送られた高圧の液体LPGを所定圧力の気体LPGに調整して燃料導管54により混合器55に送り、空気と混合して吸気マニホールド56によりエンジン57に供給する構成となっている。燃料通路52には液体LPGが一定流量以上流れたとき作動して燃料を遮断する過流防止弁58、手動開閉弁59、キイスイッチ62に連動してエンジンの運転中は開弁して燃料をベーパライザ53に送るがエンジン停止中は閉弁して燃料を遮断する電磁開閉弁60、図示しないフィルタが設けられている。更に、営業車については法令により平成元年10月から手動開閉弁53により40cm以内の個所に電磁開閉弁60と同時に開閉する緊急遮断弁61を設置することが義務づけられた。」(公報第1頁右下欄第12行?第2頁左上欄第12行)
(ハ)「緊急遮断弁4の弁体23はプランジヤ形であり、弁室22の開放端ににねじ込んだ燃料入口路25を有するプラグ26との間に閉弁方向に働く閉止ばね27が装入されているとともに、燃料入口路25と弁室22とを常時連通する弁通路28が弁体23に形成されており、更に弁室22を囲んだ電磁コイル29がコイルカバー30によって弁本体21に固定されている。電磁コイル29に通電すると弁体23は閉止ばね27を圧縮してプラグ26に吸着し、弁口24を開放してLPGタンク2の燃料を燃料入口路25から弁通路28,弁室22,弁口24を経て過流防止弁5の弁室31へ流れる。電磁コイル29への通電を停止すると弁体23は閉止ばね27のばね力で弁口24を閉塞して燃料を遮断する。」(公報第3頁右上欄第15行?左下欄第12行)と記載されている。
上記(ロ)の記載及び第3図の記載からみて、上記引用例2には、
「エンジンの燃料供給装置とLPGタンクとを接続する燃料通路52の途中に、エンジンの停止時にエンジンへの燃料の放出を遮断する電磁開閉弁60、緊急時に燃料ボンベからの燃料の放出を遮断する緊急遮断弁61と、を直列に介装したLPGタンク搭載車両の燃料供給装置において、LPGタンクの過流防止弁58,手動開閉弁59から燃料供給装置とを接続する燃料通路52の途中に、手動開閉弁59から40cm以内の個所に緊急遮断弁61を介装するとともに、緊急遮断弁61をエンジンの運転時に開いてエンジンの停止時に閉じる手段を備えたLPGタンク搭載車両の燃料供給装置」の考案が記載されているとともに、上記(ハ)の記載からみて、引用例2には、
「緊急遮断弁4を常閉の電磁弁としたこと」が示唆されているものと認められる。
更に、同じく上記拒絶の理由で引用した特開平5-254353号公報(以下、「引用例3」という。)には、
(ニ)「図8に示すように、接続ユニット8に備えられたジョイント部12には、冷却水供給通路3に通じる分岐通路3aと、リターン通路4に通じる分岐通路4aと、燃料供給通路5に通じる分岐通路5aとがそれぞれ設けられている。したがって、冷却水供給通路3を介して所定温度に調節されたエンジン冷却水を燃料カートリッジ11に供給することにより、導水管15を通る温水によって水素吸蔵合金Xが加熱されることになって、吸蔵された水素がガス化して放出され、放出された水素ガスが分岐通路5aを経て燃料供給通路5に流出することになる。
【0032】また、燃料供給通路5には上記各分岐通路5a…5aが合流する集合部5bよりも下流側に位置して第1圧力センサ38が設置されていると共に、上記集合部5bよりも上流側の分岐通路5a…5aに通路開閉を行うON-OFFバルブ39…39がそれぞれ設置されている。そして、各ON-OFFバルブ39…39の上流側には燃料カートリッジ11から放出された水素ガスの圧力を検出する第2圧力センサ40…40が設置されている。
【0033】さらに、この燃料供給システムには、図9に示すように、電子制御式のコントロールユニット41が備えられており、このコントロールユニット41は上記第2圧力センサ40…40からの圧力信号をそれぞれ入力して、各燃料カートリッジ11…11の水素充填状態を判定して燃料表示器42に残量表示を行わせると共に、第1圧力センサ38からの圧力信号に基づいて上記ON-OFFバルブ39…39を切り換えるようになっている。」(公報第4頁第6欄第44行?第5頁第7欄第22行)と記載されている。
したがって、上記(ニ)と図8の記載から、引用例3には、
「各燃料カートリッジ11から集合部5bに至る分岐通路5aのそれぞれに電子制御可能なON-OFFバルブ39を介装した」考案が記載されているものと認められる。

3.考案の対比
本願考案と上記引用例1に記載された考案とを対比すると、上記引用例1に記載された考案の「CNG Tank(2)」、「Solenoid shut-off valve(3)」、「CNG Tank搭載車両」は、それぞれ、本願考案の「燃料ボンベ」、「エンジンへの燃料供給を停止する燃料遮断弁」、「ボンベ搭載車両」に相当する。
そうすると、両考案は、
「エンジンの燃料供給装置と複数の燃料ボンベとを接続する燃料配管の途中に、エンジンへの燃料供給を停止する燃料遮断弁と、燃料ボンベからの燃料の放出を遮断する弁と、を直列に介装した燃料ボンベ搭載車両の燃料供給回路において、各燃料ボンベの弁からの燃料供給管を共通の集合部に連結し、この集合部と燃料供給装置とを接続する燃料配管の途中に前記燃料遮断弁を介装する一方、各燃料ボンベから集合部に至る燃料供給管のそれぞれに弁を介装したボンベ搭載車両の燃料供給回路」で一致し、以下(1)から(5)の点で相違する。
相違点(1)
燃料遮断弁が、エンジンへの燃料供給を停止するのは、本願考案が、エンジン停止時であるのに対して、上記引用例1に記載された考案には、そのような言及がない点、
相違点(2)
燃料遮断弁と直列に介装したものが、本願考案は、「緊急時に燃料ボンベからの燃料の放出を遮断する緊急遮断弁」であるのに対して、上記引用例1に記載された考案は、「燃料ボンベからの燃料の放出を遮断する弁」である点、
相違点(3)
各燃料ボンベの弁から燃料供給管を共通の集合部に連結するのに、該弁が、本願考案は、「元弁」であるのに対して、引用例1に記載された考案は、「弁」にとどまる点、
相違点(4)
本願考案は、「各燃料ボンベの元弁から集合部に至る燃料供給管のそれぞれに緊急遮断弁として常閉の電磁弁を介装した」のに対して、上記引用例1に記載された考案は、「各燃料ボンベから集合部に至る燃料供給管のそれぞれに弁を介装した」ものの、それ以上の記載がない点。
相違点(5)
本願考案は、「これら緊急遮断弁をエンジンの運転時に開いてエンジンの停止時に閉じる手段と、エンジン停止状態のときにのみこれらの開閉を可能とする手段を備えた」のに対して、引用例1に記載された考案には、「CNG Filler(1)からCNG Tank(2)に至る燃料配管上に弁が存在する」ものの、それ以上の記載がない点。

4.当審における判断
そこで、上記相違点について検討する。
相違点(1)(2)について
上記引用例2に記載された考案の「LPGタンク」、「燃料通路52」、「電磁開閉弁60」は、本願考案の「燃料ボンベ」、「燃料配管」、「燃料遮断弁」にそれぞれ相当し、上記引用例2に「エンジンの燃料供給装置と燃料ボンベとを接続する燃料配管の途中に、エンジンの停止時にエンジンへの燃料の放出を遮断する燃料遮断弁、緊急時に燃料ボンベからの燃料の放出を遮断する緊急遮断弁と、を直列に介装した」ものが記載されていると認められることから、上記相違点(1)(2)における本願考案の構成は、引用例2に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易になし得たものである。

相違点(3)について
上記引用例2に記載された考案の「過流防止弁58」及び「手動開閉弁59」は、本願考案の「元弁」に相当するものと認められる。
そして、上記引用例1及び引用例2に記載された考案は、共に、燃料ボンベからエンジンへの燃料供給装置に関するものであることから、上記引用例1に記載された考案の「各燃料ボンベの弁から燃料供給管を共通の集合部に連結する」なる記載の「弁」を、上記引用例2に記載された「元弁」に置換することにより、相違点(3)における本願考案の構成は、当業者がきわめて容易になし得たものである。

相違点(4)について
上記引用例2には「燃料ボンベの元弁から40cm以内の個所の燃料供給管に緊急遮断弁を介装する」考案が記載されており、上記引用例1に記載された「各燃料ボンベから集合部に至る燃料供給管にそれぞれ改装された弁」の位置に、上記引用例2に記載された「元弁」及び「緊急遮断弁」の配置関係を適用するとともに、上記引用例2には、緊急遮断弁を常閉の電磁弁とすることについての示唆もされていることから、相違点(4)における本願考案の構成は、当業者がきわめて容易になし得たものである。
なお、上記引用例3に記載された考案の「燃料カートリッジ11」、「分岐通路5a」は、請求項1に係る考案の「燃料ボンベ」、「燃料供給管」にそれぞれ相当し、上記引用例3に記載された考案には、「電子制御可能なON-OFFバルブ39」を「各燃料ボンベから集合部に至る燃料供給管にそれぞれ介装すること」が記載されていることから、緊急遮断弁の位置を、本願考案の個所にすることに格別の困難性はない。

相違点(5)について
上記引用例2には、「緊急遮断弁61を、エンジンの運転時に開いてエンジンの停止時に閉じる手段を備えた」考案が記載されるとともに、上記引用例1には、「CNG Filler(1)からCNG Tank(2)に至る燃料配管上に弁が存在する」考案が記載されている。
ここで、CNG充填時には、安全性を考慮して、通常エンジンを停止するものであり、かつ、CNGを充填するためには、必然的に、CNG Filler(1)からCNG Tank(2)に至る燃料配管上の弁の開閉を可能としなければならないことは明らかである。
そして、緊急遮断弁が、充填口から燃料ボンベへの配管上にあれば、燃料を充填する場合に、必然的にエンジン停止時に開閉を可能とする手段を備えなければならないことになる。
したがって、相違点(5)における本願考案の構成は、上記引用例1及び2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易になし得たものである。
また、本願考案の効果は、上記引用例1乃至3に記載された考案から、当業者であれば、予測することができる程度のものであって格別のものとはいえない。

5.むすび
したがって、本願考案は、その出願前日本国内において頒布された引用例1乃至3に記載された考案に基づいて、その出願前にその考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-12-03 
結審通知日 2001-12-11 
審決日 2002-01-07 
出願番号 実願平5-54365 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (B60K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川向 和実  
特許庁審判長 藤井 俊明
特許庁審判官 大熊 雄治
藤井 昇
考案の名称 燃料ボンベ搭載車両の燃料供給回路  
代理人 後藤 政喜  
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