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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て全部成立) A01K
管理番号 1056840
審判番号 無効2000-35536  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-05-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-10-03 
確定日 2002-02-18 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の登録第2571523号実用新案「中通し竿」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2571523号の請求項1に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2571523号の請求項1に係る考案についての出願は、平成4年4月16日に出願された実願平4-24110号出願の一部を新たな実用新案登録出願(実願平8-3000号)としたものであって、平成10年2月20日にその考案について設定登録されたものであり、これに対し、平成10年8月18日に登録異議申立てがされ、平成11年5月13日に取消理由通知がされ、平成11年7月30日に訂正請求がされ、平成11年11月30日に訂正請求の補正がされ、平成12年2月1日に維持決定がされたものである。
これに対して、請求人は、下記「(3-2)無効理由」により本件実用新案登録は無効とすべきであると主張している。
当審は平成13年3月2日に無効理由を通知し、被請求人は平成13年5月15日に訂正請求を行った。

2.訂正の適否についての判断
(2-1)訂正の内容
被請求人が平成13年5月15日にした訂正の内容は以下のとおりである。
訂正事項(1):
【実用新案登録請求の範囲】の【請求項1】を次のとおりに訂正する。
「竿材(R)に形成した糸導入部(A)を介して該竿材(R)の内部に導入される釣り糸(6)を先部に導く糸案内経路を形成して成る中通し竿であって、
糸導入本体(7)に釣り糸(6)を前記糸案内経路に導く導入路(L)を形成すると共に前記導入路(L)を前記糸案内経路に対して傾斜する状態で設けて前記糸導入部(A)を形成し、
前記導入路(L)における出口側部としての内端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高い金属製の案内筒(8)と、前記導入路(L)における入口側部としての外端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高いセラミック製のリング(9)とを、それぞれ互いに接触することなく両者の間に間隙が生じるように内嵌し、
前記案内筒(8),リング(9)の開口部における、糸が張力を受けた場合に摺接する面(8A),(9A)を外向きに広がる湾曲面に形成してある中通し竿。」
訂正事項(2):
【0005】の【課題を解決するための手段】を次のとおりに訂正する。
「本件考案における特徴構成は、糸導入本体(7)に釣り糸(6)を前記糸案内経路に導く導入路(L)を形成すると共に前記導入路(L)を前記糸案内経路に対して傾斜する状態で設けて前記糸導入部(A)を形成し、
前記導入路(L)における出口側部としての内端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高い金属製の案内筒(8)と、前記導入路(L)における入口側部としての外端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高いセラミック製のリング(9)とを、それぞれ互いに接触することなく両者の間に間隙が生じるように内嵌し、
前記案内筒(8),リング(9)の開口部における、糸が張力を受けた場合に摺接する面(8A),(9A)を外向きに広がる湾曲面に形成してある点にあり、その作用、及び、効果は次のとおりである。」

(2-2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び実用新案登録請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項(1)は、本件登録明細書の釣糸案内部材(8),(9)を、それぞれ「金属製の案内筒(8)」,「セラミック製のリング(9)」に具体的に限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする。
上記訂正事項(2)は、実用新案登録請求の範囲と考案の詳細な説明の記載の整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする。
上記訂正事項(1)、(2)は、いずれも本件登録明細書の【0009】に記載されているから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内である。
そして、上記訂正事項(1)、(2)は、いずれも実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2-3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)附則第4条第2項の規定により読み替えて適用される実用新案法第40条第2項ただし書きの規定同じく実用新案法40条第5項の規定において準用する実用新案法第39条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.無効理由についての判断
(3-1)本件考案
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1に係る考案(以下、本件考案という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである(上記訂正事項(1)参照)。

(3-2)請求人の主張する無効理由について
本件実用新案登録に対する請求人の無効理由の概要は次のとおりである。
(a)本件出願は親出願(実願平4-24110号)に包含されていない出願であるので、出願日の遡及は認められず、その出願日は実際の出願日(平成8年4月15日)となることから、本件考案は、親出願の明細書に記載された考案からきわめて容易に考案できたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により、その登録は無効にすべきものである。
(b)本件明細書の考案の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、実用新案法第5条第4項の規定を満たしておらず、その登録は無効にすべきものである。
(c)本件考案は、平成11年11月30日付けの訂正請求書の補正が訂正請求書の要旨を変更するものであるから補正は認められないものであり、結局、平成11年5月13日付け訂正請求書添付の訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された中通し竿を要旨とするものであって、平成11年5月13日付け取消理由が解消されておらず、実用新案法第3条第2項又は第3条の2の規定により、その登録は無効にすべきものである。
請求人の申し立てた上記(a)(本件出願は親出願に包含されていない出願である)、(b)(記載不備)、及び(c)(訂正請求書の補正が訂正請求書の要旨を変更するものである)の各点は、上記訂正事項(1)により解消している。

(3-3)刊行物記載の考案
当審が平成13年3月2日付けで通知した無効理由で引用した刊行物1、2には、以下のことが記載されている。
刊行物1:実願昭63-74403号(実開平1-178373号の願書に添付した明細書及び図面を記載したマイクロフィルム(甲第3号証))には、
「本考案は、釣糸に係わり、特に、竿管内に釣糸を挿通してなる中通し継ぎ竿に関する。」(同明細書2頁2?3行)、
「第3図に示す中通し継ぎ竿は、元部竿管31とこの元部竿管31に挿入される竿管33およびこの竿管33に挿入される他の竿管35とから形成されており、元部竿管31および竿管33,35内には、リール37に一端を接続される釣糸39が挿通され、この釣糸39は、竿管35の先端から引き出されている。
そして、元部竿管31と竿管33との接続部には、釣糸39を元部竿管31内に挿通するための中通し部材41が固定されている。」(同5頁11行?6頁1行)、
「さらに、中通し部材41には、この中通し部材41の外側から凸部55に向けて、釣糸39を竿管33内に挿入するための釣糸挿入孔57が貫通して形成されている。
この実施例では釣糸挿入孔57は外側から内側に向けて元部竿管31側から竿管33側に傾斜する傾斜面とされ、また、釣糸挿入孔57には、釣糸39を案内するためのラインガイド59が形成されている。」(同6頁20行?7頁8行)
が記載されている。

刊行物2:実願平1-138389号(実開平3-76460号)の願書に添付した明細書及び図面を記載したマイクロフィルム(甲第4号証)には、
「元竿管5には第1図、第4図のように他のチタン等の金属や合成樹脂等の細径パイプからなる釣糸案内用ガイド9の一端開口部9aが元竿管5の内側の釣糸10の延びる方向に固定リング15を介して取り付けられ他端開口部9aが元竿管5の突出部5aの外側へ露出されるように埋め込まれていると共に、リール7方向に向けられている。
釣糸案内用ガイド9の一端開口部9aの後側には硬質ガイド16が元竿管5の突出部5aの内側に固定され、硬質ガイド16が固定された時は釣糸案内用ガイド9の材質を軟質の金属や合成樹脂としてもよい。」(同明細書5頁20行?6頁11行)
が記載されている。
したがって、刊行物2には、導入路(釣糸案内用ガイド9)の開口の一方に耐摩耗性の高い釣糸案内部材(硬質ガイド16)を設けたことが記載されていると認めることができる。

(3-4)対比
本件考案と刊行物1記載の考案とを対比すると、刊行物1記載の「竿管33及び元部竿管31」、「釣糸39」、「中通し継ぎ竿」、「中通し部材41」、「釣糸挿入孔57」が、本件考案の「竿材(R)」、「釣り糸(6)」、「中通し竿」、「糸導入本体(7)」、「導入路(L)」にそれぞれ相当し、刊行物1記載の考案は、「中通し部材41」、「ラインガイド57」等により、「糸導入部」を形成することから、
両者は、
「竿材に形成した糸導入部を介して該竿材の内部に導入される釣り糸を先部に導く糸案内経路を形成して成る中通し竿であって、
糸導入本体に釣り糸を前記糸案内経路に導く導入路を形成するとともに前記導入路を前記糸案内経路に対して傾斜する状態で設けて前記糸導入部を形成し、
前記導入路における出口側部と入口側部の開口部における、糸が張力を受けた場合に摺接する面を、外向きに広がる湾曲面に形成してある中通し竿。」
である点で、一致し、次の点で相違する。
相違点:
本件考案が、「前記導入路(L)における出口側部としての内端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高い金属製の案内筒(8)と、前記導入路(L)における入口側部としての外端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高いセラミック製のリング(9)とを、それぞれ互いに接触することなく両者の間に間隙が生じるように内嵌し、前記案内筒(8),リング(9)の開口部における、糸が張力を受けた場合に摺接する面(8A),(9A)を外向きに広がる湾曲面に形成」したのに対し、刊行物1記載の考案は、導入路における出口側部と入口側部の開口部における、糸が張力を受けた場合に摺接する面を外向きに広がる湾曲面に形成してあるものの、導入路における出口側部としての内端部及び入口側部としての外端部に、それぞれ「金属製の案内筒」及び「セラミック製のリング」等の「糸案内部材」を設けていない点。

(3-5)当審の判断
上記相違点を検討すると、刊行物2には、導入路における入口側部としての外端部に糸導入本体より耐摩耗性の高い釣糸案内部材(硬質ガイド16)を設けたことが記載されている。
また、釣竿本体において、内部通路の内径より小径の内径を有する複数の釣糸案内部材を互いに接触することなく両者の間に間隙が生じるように内嵌することは周知(特開昭56-127032号公報(甲第5号証)記載のfig.5の「ステンレス製の環16、17」、実公昭63-34525号公報(甲第9号証)記載の「糸導環9」、実願昭61-31420号(実開昭62-142271号)の願書に添付した明細書及び図面を記載したマイクロフィルム(甲第10号証)記載の第5図の「金属リング7」参照)であり、釣り竿の「糸案内部材」を金属製とすることも周知(甲第5号証、甲第10号証等参照)であり、釣り竿の「糸案内部材」(リング)をセラミック製にすることも、周知(特開昭54-104889号公報、特開昭55-54839号公報、特開昭55-34095号公報等参照)である。
したがって、釣り竿におけるこれらの周知技術を背景に、刊行物1記載の考案に刊行物2記載の考案を適用して、導入路における出口側部としての内端部に前記糸導入路の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体より耐摩耗性の高い金属製の「糸案内部材」と、導入路における入口側部としての外端部に前記糸導入路の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体より耐摩耗性の高い「糸案内部材」(セラミック製のリング)とを、それぞれ互いに接触することなく両者の間に間隙が生じるように内嵌し、「糸案内部材」の開口部における、糸が張力を受けた場合に摺接する面を外向きに広がる湾曲面に形成することは当業者であれば容易になしうることである。
なお、導入路における出口側部に設けた「糸案内部材」は、糸導入路(L)の内径より小径であれば足り、該「糸案内部材」を案内筒にしたことによる格別の効果も認められないことから、導入路における出口側部に設けた「糸案内部材」を、金属製の案内筒とすることは、当業者が適宜なし得る単なる設計変更にすぎない。
そして、本件考案の奏する効果は、前記各甲号証に記載された考案から予測できる効果の範囲内のものである。
したがって、本件考案は、その出願前に頒布された刊行物1、刊行物2に記載された考案、及び、周知技術に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

(3-6)被請求人の主張
(1)被請求人は、「即ち、刊行物3(実願平1-138389号(実開平3-76460号)の願書に添付した明細書及び図面を記載したマイクロフィルム(甲第4号証)、本審決における刊行物2)の図4に示す実施例では、導入路の開口の一方(正確には、入口側端部)に硬質ガイド16が固定されると共に細経パイプからなる釣糸案内用ガイド9が固定されたものが示されているものの、この釣糸案内用ガイド9は導入後の出口側端部に挿入されたものではなく、釣糸案内用ガイド9と硬質ガイド16とは互いに間隙が生じるように内嵌されたものではありません。このように、刊行物3は「出口側端部としての内端部及び入口側部としての外端部のみに、釣糸案内部材を設け」を治癒するものではないのであります。もっとも、この「出口側端部としての内端部及び入口側部としての外端部のみに、釣糸案内部材を設け」という点については、刊行物4?6において開示されており、これら刊行物3?6を一体的にとらえれば本件考案を想到できると指摘されるものかもしれません。しかし、刊行物4(実開昭56-127032号公報)、刊行物5(実公昭63-34525号)、刊行物6(実願昭61-31420)において貴官が指摘される釣糸案内部材は、中通し竿の竿体内部に配置されるものであって釣糸導入路におけるものではなく、かかる刊行物の記載をもって直ちに本件考案への適用を図り得るものではありません。」(平成13年5月15日付け意見書4頁19行?5頁7行)と主張する。
しかし、前述したように、中通し竿の釣竿本体において、内部通路の内径より小径の内径を有する複数の釣糸案内部材を互いに接触することなく両者の間に間隙が生じるように内嵌することは周知(特開昭56-127032号公報(甲第5号証)記載の「ステンレス製の環16、17」、実公昭63-34525号公報(甲第9号証)記載の「糸導環9」、実願昭61-31420号(実開昭62-142271号)の願書に添付した明細書及び図面を記載したマイクロフィルム(甲第10号証)記載の第5図の「金属リング7」参照)であることから、中通し竿という共通の技術分野において、竿体の内部の糸案内経路に対して傾斜する状態で設けた糸導入部(A)に、上記周知技術を適用し、出口側端部としての内端部及び入口側部としての外端部のみに、釣糸案内部材を設けることに、何ら阻害要件はなく、当業者であればきわめて容易に思い付く程度のことである。

(2)被請求人は、「また、訂正後請求項のように、「セラミック製リング」と「金属製パイプ」とを離間して、即ち請求項で限定されていますように、「それぞれ互いに接触することなく両者の間に間隙が生じるように」配置する点については、これら刊行物において示唆されるものとは考えられません。」(同意見書5頁7?12行)と主張する。
しかし、前述したように、釣竿本体において、釣り竿の「糸案内部材」を金属製とすることは周知(特開昭56-127032号公報(甲第5号証)記載の「ステンレス製の環16、17」、実願昭61-31420号(実開昭62-142271号)の願書に添付した明細書及び図面を記載したマイクロフィルム(甲第10号証)記載の第5図の「金属リング7」等参照)であり、釣り竿の「糸案内部材」(リング)をセラミック製にすることも、周知(特開昭54-104889号公報、特開昭55-54839号公報、特開昭55-34095号公報等参照)であり、「糸案内部材」を案内筒(パイプ)とした点も、当業者が適宜なし得る単なる設計計変更にすぎないことから、「糸案内部材」を「セラミック製リング」と「金属製パイプ」とすることは、当業者であればきわめて容易に思い付く程度のことである。また、「それぞれ互いに接触することなく両者の間に間隙が生じるように」配置する点に関しては、上記(1)において述べたとおりである。

(3-7)むすび
以上のとおり、本件考案は、本件出願前に頒布された刊行物及び周知技術に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件実用新案登録は、実用新案登録第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第37条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。
審判に関する費用については、実用新案法第41条の規定において準用する特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
中通し竿
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】竿材(R)に形成した糸導入部(A)を介して該竿体(R)の内部に導入される釣り糸(6)を先部に導く糸案内経路を形成して成る中通し竿であって、
糸導入本体(7)に釣り糸(6)を前記糸案内経路に導く導入路(L)を形成すると共に前記導入路(L)を前記糸案内経路に対して傾斜する状態で設けて前記糸導入部(A)を形成し、
前記導入路(L)における出口側部としての内端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高い金属製の案内筒(8)と、前記導入路(L)における入口側部としての外端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高いセラミック製のリング(9)とを、それぞれ互いに接触することなく両者の間に間隙が生じるように内嵌し、
前記案内筒(8),リング(9)の開口部における、糸が張力を受けた場合に摺接する面(8A),(9A)を外向きに広がる湾曲面に形成してある中通し竿。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、竿材に形成した糸導入部を介して該竿材の内部に導入される釣り糸を先部に導く糸案内経路を形成して成る中通し竿に関し、詳しくは、糸導入部の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のように構成された中通し竿としては、実公昭45-5027号公報に示されるものが存在し、この従来例においては、竿材の一部を外方に突出させ、この部位に形成した開口部に硬質の釣糸案内パイプを装着しこの案内パイプを介して釣り糸の導入を行うよう構成してある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記構成においては、釣糸案内パイプの先端はパイプ径と同一径の開口に形成してある。したがって、このパイプ内に挿通されて糸案内経路に導びかれる釣糸がパイプの開口縁に接触すると、その接触抵抗が大きくなる欠点があった。特に、パイプが糸案内経路に対して傾斜する状態で設けられている場合には、パイプを出た釣糸はその開口縁部位で大きく曲げられる為に、開口縁に強く圧接して抵抗を大きくすることになる。
【0004】
本考案の目的は、釣り糸を円滑に送ることのできる中通し竿を構成する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本件考案による特徴構成は、糸導入本体(7)に釣り糸(6)を前記糸案内経路に導く導入路(L)を形成すると共に前記導入路(L)を前記糸案内経路に対して傾斜する状態で設けて前記糸導入部(A)を形成し、
前記導入路(L)における出口側部としての内端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高い金属製の案内筒(8)と、前記導入路(L)における入口側部としての外端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高いセラミック製のリング(9)とを、それぞれ互いに接触することなく両者の間に間隙が生じるように内嵌し、
前記案内筒(8),リング(9)の開口部における、糸が張力を受けた場合に摺接する面(8A),(9A)を外向きに広がる湾曲面に形成してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0006】
【作用】
つまり、釣糸は釣糸案内部材内に導入される場合又は導出される場合に、釣糸案内部材の開口縁に直接接触することが少なく、釣糸が開口縁で曲げられる場合には、外広がり湾曲面に沿って曲げられる。したがって、湾曲面への圧接度合いを少なくでき、釣糸への摺動抵抗を小さくできる。
【0007】
【考案の効果】
導入路と糸案内経路とが傾斜状態にあるので、釣糸が曲げられることになる釣糸案内部材の開口部位での摺動抵抗を、糸が張力を受けた状態で摺接する面を外向きに開がる湾曲面に形成する改良によって低減でき、全体としての摺動抵抗を低減できるに至ったのである。
【0008】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。
図5に示すように、高強度繊維のプリプレグにより作られた穂先竿1、中間竿2、元竿3夫々の竿材Rを並継ぎ型に構成すると共に、元竿3のリールシート4に釣り用リール5を装着する中通し竿を構成する。
この中通し竿では、元竿3の中間部に、好ましくは、前半部分に高強度繊維のプリプレグにより竿素材に補強部を設け、その補強部に形成された糸導入部Aから釣り糸6を元竿の内部に導入し、この元竿3、中間竿2、穂先竿1夫々の内部の糸案内経路15を介して、穂先竿1の先端部に案内するよう構成されている。
【0009】
図1乃至図4に示すように、前記糸導入部Aはブロック状に成形された樹脂製の糸導入本体7に貫通孔状に導入路Lを形成し、この導入路Lにおける出口部としての内端部に釣糸案内部材としての金属製の案内筒8を備え、導入路Lにおける入口部としての外端側に釣糸案内部材としてのセラミック製のリング9を嵌め込んである。前記案内筒8の内端開口部、及び、リング9の開口部には外向きに広がる湾曲面状(ラッパ状)の糸が摺接する面8A、9Aを構成してある。、又、この糸導入本体7のうち導入路Lを取り囲む位置の部材を元竿3の側に突出させて嵌合部10を形成すると共に、この導入路Lの前後位置に貫通孔11,11を形成してある。
又、この糸導入部Aを元竿3に装着する際には、嵌合部10を元竿3に形成した開口12に嵌め込み、貫通孔11に対してビス13を挿入してナット14で固定することになる。
【0010】
そして、この中通し竿では嵌合部10によって、元竿3の前後方向、周方向への移動が阻止され、しかも、ビス13によって剥離方向への変位が阻止されると共に、釣り糸6を導入路Lの長い経路に接触させて円滑に、しかも、元竿3の中心位置(軸芯Xの近傍位置)に釣り糸6を送り込めるものとなっている。
【0011】
糸導入本体7の導入路Lの全長に亘って、耐摩耗性に優れた樹脂、セラミック等を挿入して良く、糸導入本体7全体をセラミック等耐摩耗性に優れた素材を用いることにより、導入路Lを貫通孔のみで形成することも可能である。
尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本考案は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
糸導入部の縦断側面図
【図2】
分離状態の糸導入部の縦断側面図
【図3】
糸導入部の平面図
【図4】
糸導入部の縦断正面図
【図5】
中通し竿の側面図
【符号の説明】
6 釣り糸
7 糸導入本体
8,9 釣糸案内部材
8A,9A 摺接する面
A 糸導入部
L 導入路
R 竿材
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項(1):
【実用新案登録請求の範囲】の【請求項1】を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、次のとおりに訂正する。
「竿材(R)に形成した糸導入部(A)を介して該竿材(R)の内部に導入される釣り糸(6)を先部に導く糸案内経路を形成して成る中通し竿であって、
糸導入本体(7)に釣り糸(6)を前記糸案内経路に導く導入路(L)を形成すると共に前記導入路(L)を前記糸案内経路に対して傾斜する状態で設けて前記糸導入部(A)を形成し、
前記導入路(L)における出口側部としての内端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高い金属製の案内筒(8)と、前記導入路(L)における入口側部としての外端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高いセラミック製のリング(9)とを、それぞれ互いに接触することなく両者の間に間隙が生じるように内嵌し、
前記案内筒(8),リング(9)の開口部における、糸が張力を受けた場合に摺接する面(8A),(9A)を外向きに広がる湾曲面に形成してある中通し竿。」
訂正事項(2):
【0005】の【課題を解決するための手段】を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおりに訂正する。
「本件考案における特徴構成は、糸導入本体(7)に釣り糸(6)を前記糸案内経路に導く導入路(L)を形成すると共に前記導入路(L)を前記糸案内経路に対して傾斜する状態で設けて前記糸導入部(A)を形成し、
前記導入路(L)における出口側部としての内端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高い金属製の案内筒(8)と、前記導入路(L)における入口側部としての外端部に前記糸導入路(L)の内径より小径の内径を有し前記糸導入本体(7)より耐摩耗性の高いセラミック製のリング(9)とを、それぞれ互いに接触することなく両者の間に間隙が生じるように内嵌し、
前記案内筒(8),リング(9)の開口部における、糸が張力を受けた場合に摺接する面(8A),(9A)を外向きに広がる湾曲面に形成してある点にあり、その作用、及び、効果は次のとおりである。」
審理終結日 2001-12-12 
結審通知日 2001-12-17 
審決日 2002-01-07 
出願番号 実願平8-3000 
審決分類 U 1 112・ 121- ZA (A01K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 星野 浩一  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 藤井 俊二
平瀬 博通
登録日 1998-02-20 
登録番号 実用新案登録第2571523号(U2571523) 
考案の名称 中通し竿  
代理人 關 健一  
代理人 円城寺 貞夫  
代理人 富崎 元成  
代理人 峰 隆司  
代理人 野上 邦五郎  
代理人 關 健一  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 円城寺 貞夫  
代理人 杉本 進介  
代理人 杉本 進介  
代理人 富崎 元成  
代理人 野上 邦五郎  
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