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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01M
管理番号 1056844
審判番号 不服2000-9862  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-06-30 
確定日 2002-03-14 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 70930号「シャシダイナモメータ上の自動車ハンドル固定装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 6月23日出願公開、実開平 7- 34349]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成5年12月1日の出願であって、平成9年10月4日付け、平成11年10月1日付け、平成12年7月28日付け及び平成13年3月19日付けの各手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その請求項1及び2に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものと認める(以下、「本願考案1」及び「本願考案2」という。)。
「【請求項1】運転者用シート上に固定される自動車運転用のロボット側およびハンドル側にそれぞれ位置する支持材が、それらの各端部に設けられたねじで進退可能に接続され、ハンドル側の支持材の先端側に分岐アームが固着され、この分岐アームの各先端に支承材が取り付けられ、その各支承材の前記ハンドル側の支持材とは反対側の面にハンドルを挿入するための支承溝がそれぞれ形成され、かつ、前記ロボット側の前記支持材の先端に取り付けられた支承材に、ロボットに設けられた保持部材を挿入するための支承溝を設けてあり、前記ハンドルを安定よく固定するとともに、前記ロボットが持ち上げられるようになることを防ぐことを特徴とするシャシダイナモメータ上の自動車ハンドル固定装置。
【請求項2】 前記ロボットが、前記運転者用シート上に載置されている請求項1に記載のシャシダイナモメータ上の自動車ハンドル固定装置。」
2.引用刊行物記載の考案
これに対して、前置審査において通知した拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された「特開昭62-67423号公報」(以下、「引用刊行物1」という。)及び「実願昭54-68876号(実開昭55-168843号)のマイクロフィルム」(以下、「引用刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。
引用刊行物1
(1)第9図にパターン走行試験用ロボットのシステムが示され、シャシダイナモメータ100上には供試自動車120が設置され、その従動輪140がロックされ、駆動輪160にローラ180を介して実際の走行状態と同じ負荷が与えられている(第9図参照)。
(2)運転席近傍の車体フロアに配置された自動車運転用ロボットのアーム軸14に対して2ヶ所で当接される、円弧型の押え部56-1,56-2が設けられた分岐した形状を有する脚50-1,50-2を一端に有し、メネジ58を他端に有するロッド48と、前記メネジ58にかみあうネジ部62を一端に有し、ハンドル44を受け入れるU字型ハンドル受け部54を他端に有するアジャスト部52とからなり、ハンドルとロボットとの間に、両者に所定の押付け荷重を作用させるように配置されるロボットの浮上り防止機構46(第1,3,4図参照)。
引用刊行物2
(1)前輪駆動の実験車をシャシーダイナモ上において走行試験する場合に用いられるべき自動車用ステアリングホイールの固定装置(1頁12行?14行)。
(2)長さ調整の結果、下側ストッパ部材1の当接部2および上側ストッパ部材8の凹所9はそれぞれスポーク部分5およびルーフヘッドライニングフロントトリム11に適切に当接し、ステアリングホイール4の回転は拘束されて直進位置に維持される(3頁7行?12行)。
3.対比
本願考案1と引用刊行物1に記載された考案とを対比すると、
引用刊行物1に記載されたステアリングホイール44、アーム軸14、ロッド48、及びアジャスト部52は、それぞれ本願考案1のハンドル、保持部材、ロボット側に位置する支持材、及びハンドル側に位置する支持材に相当するから、本願考案1と引用刊行物1に記載された考案との一致点及び相違点は、次のとおりである。
〈一致点〉
「車両内に固定される自動車運転用のロボット側およびハンドル側にそれぞれ位置する支持材が、それぞれの一端部に設けられたねじで進退可能に接続され、かつ、それぞれの他端部でハンドル及び保持部材に当接されたシャシダイナモメータ上の自動車ハンドル固定装置」である点。
〈相違点〉
〈相違点1〉本願考案1においては、自動車運転用ロボットが運転者用シート上に固定されているのに対して、引用刊行物1においては、運転席近傍の車体フロアに固定されている点。
〈相違点2〉本願考案1においては、ハンドル側の支持材の先端側に分岐アームが固着され、この分岐アームの各先端にハンドルを挿入する支承溝が形成された支承材が取り付けられて、ハンドルが二ヶ所で保持されるようにしたのに対して、引用刊行物1においては、アジャスト部52(ハンドル側の支持材)の先端側にU字型ハンドル受け部が取り付けられ、ステアリングホイール(ハンドル)が一つのU字型ハンドル受け部により保持されている点。及び
〈相違点3〉本願考案1においては、ロボット側の支持材の先端側に、ロボットに設けられた保持部材を挿入するための支承溝を設けられた一つの支承材が取り付けられているのに対して、引用刊行物1においては、ロッド(ロボット側の支持材)の先端側に、ロボットに設けられたアーム軸(保持部材)を挿入するための二つの円弧型の押さえ部56-1,56-2が設けられた分岐した形状を有する脚50-1,50-2が取り付けられている点。
4.当審の判断
上記相違点についての検討
〈相違点1〉について
自動車運転用ロボットが運転者用シート上に固定されることは、本願明細書中で提示されている特開平5-118962号公報、あるいは特開平3-146841号公報、実開平3-88140号公報等に示されているように、当該技術分野において周知の技術であるから、引用刊行物1における考案において、自動車運転用ロボットを運転者用シート上に固定して本願考案1のように構成することはきわめて容易に想到できることである。
〈相違点2〉について
当該技術分野において、ステアリングホイール(ハンドル)を二ヶ所で保持する点が引用刊行物2に記載されており、二ヶ所で保持する場合に分岐部材を用いることは慣用されている技術であるから、引用刊行物1における考案において、ハンドル側の支持材の先端側に分岐アームを取り付け、この分岐アームの各先端にハンドルを保持する支承材を取り付けて、本願考案1のように構成することはきわめて容易に想到できることである。
〈相違点3〉について
一般に、何らかの部材を保持するにあたり、一ヶ所で保持するか複数の位置で保持するかは、必要に応じて適宜選択できることであり、また、複数の位置で保持する場合に、分岐部材を用いることは慣用されている技術であるから、引用刊行物1における考案におけるように、ロボット側の支持材の先端側に分岐した形状を有する脚を取り付けて、保持部材を複数の位置で保持するようにする代わりに、ロボット側の支持材の先端側に一つの支承材を取り付けて、保持部材を一ヶ所で保持するようにして、本願考案1のように構成することはきわめて容易に想到できることである。
また、本願考案2は、本願考案1において運転者用シート上に固定される自動車運転用のロボットを、運転者用シート上に載置したものに相当するが、〈相違点1〉についての検討において提示した複数の刊行物に示されているように、自動車運転用のロボットを運転者用シート上に載置することは、当該技術分野において周知の技術であり、引用刊行物1における考案において、自動車運転用ロボットを運転者用シート上に載置して本願考案2のように構成することはきわめて容易に想到できることである。
なお、本願考案1,2のハンドル固定装置は、「ロボットが持ち上げられるようになるのを防ぐことと、ハンドルを安定よく固定することとに兼用されるもの」であるが、その点が引用刊行物1及び2には記載されていない旨請求人は主張しているが、引用刊行物1における浮き上がり防止機構は、ハンドルとロボットとの間に、両者に所定の押付け荷重を作用させるように配置されているものであるから、ロボットを浮き上がらないように押圧保持する機能を有する以上、当然、反作用として、ハンドルに所定の押圧力を作用させて、ハンドルを固定保持する機能をも有するものと見ることができ、したがって、引用刊行物1における浮き上がり防止機構は、本願考案1,2のハンドル固定装置と同様の兼用機能を有するものと認められるから、前記主張は受け入れられない。
5.むすび
したがって、本願考案1及び2は、引用刊行物1及び2に記載された考案及び周知の事項に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-12-12 
結審通知日 2001-12-18 
審決日 2002-01-17 
出願番号 実願平5-70930 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (G01M)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 菊井 広行小山 茂深草 誠  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 阿部 綽勝
関根 洋之
考案の名称 シャシダイナモメータ上の自動車ハンドル固定装置  
代理人 藤本 英夫  

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