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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) B65H
管理番号 1056847
審判番号 無効2001-35378  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-05-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-08-29 
確定日 2002-03-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第2025038号実用新案「テ?プ巻取シャフト」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2025038号の請求項1,2に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯の概要
本件登録第2025038号実用新案は、平成2年3月28日に実用新案登録出願され、平成5年9月27日に実公平5-37977号として出願公告がなされ、平成6年7月6日に実用新案登録がなされたところ、平成13年8月29日付けで請求人ニューロング株式会社より無効審判の請求がなされ、期間を指定して被請求人ニューマチック工業株式会社に無効審判請求書の副本を送付して答弁書の提出を求めたところ、指定期間内に応答がなかったものである。

2.本件登録考案1及び2
本件登録第2025038号実用新案の請求項1及び2に係る考案(以後、「本件登録考案1」、「本件登録考案2」という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】筒状の回転軸表面に、回転軸表面に沿った断面円弧状の板体であるリーフを、回転軸全周を覆うよう円周方向に並べて複数枚配設し、回転軸内の膨張体の拡張によって回転軸の貫通孔を通って回転軸表面から所定の高さまで突出するラグにより、ある一つを除いた残りのリーフをそれぞれ支持することによって、膨張体の拡張・収縮によりリーフを拡張・収縮させるようにし、上記ある一つのリーフを拡張時のリーフと同じ高さとなるよう回転軸表面に固定し、その固定リーフを軸方向に延びた開口で2つに分割し、両分割体間の開口を内側から塞ぐための蓋を設け、膨張体の拡張によって回転軸の貫通孔を通って回転軸表面から所定の高さまで突出するラグにより、上記蓋を支持することによって、膨張体の拡張・収縮により上記蓋で上記開口を塞いだり開いたりするようにし、拡張時の全てのリーフ表面でテープを巻取り、リーフを収縮させることによって巻取テープから取外すようにしたことを特徴とするテープ巻取シャフト。
【請求項2】上記蓋は上記開口に嵌合して上記開口を埋める形状を有し、上記蓋の円周方向両側の接合面は上記蓋の断面形状が表面側から裏面側に向けて拡がるような斜面となっている実用新案登録請求の範囲第1項記載のテープ巻取シャフト。」

3.請求人の主張の概要
請求人ニューロング株式会社は、概略「本件登録実用新案の請求項1の考案及び請求項2の考案は、本件出願前に日本国内で頒布された甲第3号証ないし甲第5号証刊行物記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項に該当し、同法第37条第1項第2号の規定により無効とすべきである。」旨主張している。
〈証拠方法〉
甲第1号証;被請求人の警告書
甲第2号証;実公平5-37977号公報(本件公告公報)
甲第3号証;実公昭56-36822号公報
甲第4号証;実願昭62-86451号(実開昭63-194848号)のマイクロフィルム
甲第5号証;特開昭62-8949号公報

4.無効理由に対する当審の判断
(1)甲第3号証?甲第5号証の記載事項
請求人が提出した甲第3号証(実公昭56-36822号公報)には、フープ先端のクランプを全巾にわたって確実に行うことのできる巻取機に関して、下記の事項アが図面とともに記載されている。
ア;「その一例を第1,2図により説明すると、代表符号1で示すマンドレルにおいて、2は固定セグメントであり、3a,3b,3bは拡縮セグメントであって、これら固定セグメント2および拡縮セグメント3a,3b,3cとで巻取りドラムを構成している。そして前記固定セグメント2にはフープ先端を挟持してクランプするグリップ部5が設けられており、該グリップ部5の溝部には噛み込んだフープ6の先端を内側から押圧するクランプ金具7、そして該クランプ金具7を内側から進退させるクランプ用楔部材8が楔部9で係合した状態で内装されている。
また、前記拡縮セグメント3a,3b,3cの内方には各セグメントの楔部13に係合する拡縮用楔部材4a,4b,4cが位置している。
そして、これらクランプ用楔部材8および拡縮用楔部材4a,4b,4cの各端部は連結金具10によって回転主軸11の軸心部に挿通された拡縮用油圧シリンダ(図示せず)のピストンロッド12の先端部に連結されており、該ピストンロッド12を図示左方向に移動させ、その楔部9の係合によってクランプすると同時に、楔部13の係合によって各拡縮セグメント3a,3b,3cを押上げて拡張するようになっている。」(第1頁2欄1行?24行)
同じく提出した甲第4号証(実願昭62-86451号(実開昭63-194848号)のマイクロフィルム)には、エアーシャフトにより紙管のセットを可能とするためのアダプタ装置に関して、下記の事項イが図面とともに記載されている。
イ;「印刷機械等には、ロール紙のようなウェブの送り出し/巻き取りのために該ウェブをセットするシャフトとしてしばしばエアーシャフトが使用されている。
このようなエアーシャフトは、例えば第4図に示すように、円筒形のシャフト1を有し、その壁部2には円周方向に間隔を隔てて複数の軸線方向スロット3が形成されている。これらのスロット3内にはラグ4がそれぞれ挿通されて半径方向に移動可能に配置されている。各ラグ4は常時はそのベース部分4aと壁部2との間に介装されている圧縮ばね(図示せず)によって半径方向の内方へ向けて押圧保持されていて、ラグの尖端とされた先端4bが壁部2の外径面から内側に位置するようになされている。又、ラグ4のベース4aの内側にはゴムチューブ5が配備されており、シャフト1の端部側からこのゴムチューブ5内にエアーを供給して膨らませることにより、ゴムチューブ5がラグ4を外方へ押圧してその先端4bを外径面から突出させるようになっている。」(第2頁19行?第3頁18行)
同じく提出した甲第5号証(特開昭62-8949号公報)には、多条スリット鋼帯等の帯板の巻取り用マンドレルに関して、下記の事項ウが図面とともに記載されている。
ウ;「上記のような帯板の先端を、巻取り用マンドレルに締結させるには、従来は、例えば第2図に示すように、1/4円弧状、をなすセグメント(1)の中の一つの内側(求心側)に、外端が狭い幅で開口するV形溝(2)を設け、このV形溝(2)の中に、遠心方向を向くV形のグリッパー(3)を嵌設し、シャフト(4)に遊嵌した回転筒(5)に嵌設した、軸線方向の傾斜を有する摺動子(6)を介して、グリッパー(3)を内外に移動させることにより、グリッパー(3)の傾斜面とV形溝(2)の間で、帯板の先端を挟ませるようにしていた。」(第1頁右下欄14行?第2頁左上欄4行)

(2)対比・判断
【本件登録考案1について】
甲第3号証に記載された上記記載事項アからみて、甲第3号証に記載された考案の「固定セグメント2」、「拡縮セグメント3a,3b,3c」、「グリップ部5」、「フープ6」、「クランプ金具7」、「回転主軸11」及び「マンドレル1」は、各々本件登録考案1の「回転軸表面に沿った断面円弧状の板体である回転軸表面に固定した一つのリーフ」、「固定した一つのリーフを除いた残りのリーフ」、「固定リーフを軸方向に延びた開口で2つに分割した部分」、「テープ」、「両分割体の開口を内側から塞ぐための蓋」、「回転軸」及び「テープ巻取りシャフト」に相当するから、本件登録考案1の用語を使用して本件登録考案1と甲第3号証に記載された考案とを対比すると、両者は、「筒状の回転軸表面に、回転軸表面に沿った断面円弧状の板体であるリーフを、回転軸全周を覆うよう円周方向に並べて複数枚配設し、ある一つを除いた残りのリーフを拡張・収縮させるようにし、上記ある一つのリーフを拡張時のリーフと同じ高さとなるよう回転軸表面に固定し、その固定リーフを軸方向に延びた開口で2つに分割し、両分割体間の開口を内側から塞ぐための蓋を設け、上記蓋で上記開口を塞いだり開いたりするようにし、拡張時の全てのリーフ表面でテープを巻取り、リーフを収縮させることによって巻取テープから取外すようにしたテープ巻取シャフト。」で一致しており、下記の点で相違している。
相違点;本件登録考案1では、固定した一つのリーフを除いた残りのリーフ及び蓋は、回転軸内の膨張体の拡張によって回転軸の貫通孔を通って回転軸表面から所定の高さまで突出するラグによってそれぞれ支持されており、膨張体の拡張・収縮により固定した一つのリーフを除いた残りのリーフを拡張・収縮させると共に、蓋で開口を塞いだり開いたりするものであるのに対して、甲第3号証に記載された考案では、拡縮セグメント3a,3b,3c及びクランプ用金具7は、回転軸11の表面に拡縮セグメント3a,3b,3cを拡張・収縮させるための拡縮用楔部材4a,4b,4c及びクランプ金具7を進退させる(塞いだり開いたりする)ためのクランプ用楔部材8とそれぞれ楔部13及び楔部9で係合しており、拡縮用楔部材4a,4b,4c及びクランプ用楔部材8を移動させることによって、拡縮セグメント3a,3b,3cを拡張・収縮させると共に、クランプ用金具7を進退させるものである点。
上記相違点について検討するに、テープの巻取シャフトにウェブをセットするための拡張・収縮手段として本件登録考案1のようにエアーシャフトを採用して、回転軸内のゴムチューブ(膨張体)によってシャフト(回転軸)のスロット(貫通孔)を挿通して半径方向に配置されたラグを拡張・収縮させることは、甲第4号証にも記載(記載事項イ参照)されているように本件出願前当業者において既に知られていた事項にすぎないものである。
そして、甲第3号証に記載されたマンドレルと甲第4号証に記載されたエアーシャフトはテープ状物の巻取シャフトとして共通するものであるから、甲第4号証に記載された上記技術事項を甲第3号証に記載されたマンドレルに適用可能であることは当業者であれば自明の事項である。
そうすると、拡縮セグメント3a,3b,3c及びクランプ用金具7の拡張・収縮手段として、甲第3号証に記載された拡縮用楔部材4a,4b,4c及びクランプ用楔部材8にかえて、甲第4号証に記載されたようなシャフト(回転軸)内に設けたゴムチューブ(膨張体)とシャフト(回転軸)のスロット(貫通孔)を挿通して半径方向に配置されたラグを採用して、ゴムチューブ(膨張体)の拡張・収縮により拡縮セグメント3a,3b,3c及びクランプ用金具7を拡張・収縮させることは、当業者が必要に応じてきわめて容易に想到することができる程度の事項と認める。
また、本件登録考案1の効果も、甲第3号証及び甲第4号証に記載された考案から当業者であれば予測することのできる程度のものであって、格別のものとはいえない。

【本件登録考案2について】
本件登録考案2は、本件登録考案1の技術事項を引用するとともに、「上記蓋は上記開口に嵌合して上記開口を埋める形状を有し、上記蓋の円周方向両側の接合面は上記蓋の断面形状が表面側から裏面側に向けて拡がるような斜面となっている」と構成を限定したものであるが、甲第5号証にも記載(記載事項ウ参照)されているように、帯板巻取り用マンドレルのグリッパー(本件登録考案2の「蓋」及び甲第3号証に記載された考案の「クランプ金具7」に相当)の接合面の形状をV形の傾斜面(円周方向両側の接合面の断面形状が表面側から裏面側に向けて広がるような傾斜面)として、1/4円弧状をなすセグメントの中の一つの内側に設けた外端が狭い幅で開口するV形溝(本件登録考案2の「開口」及び甲第3号証に記載された考案の「クランプ部5の溝部」に相当)の中にグリッパーを嵌設して、グリッパーの傾斜面とV形溝の間で帯板の先端を挟むようにすることは、本件出願前当業者において既に知られていた事項にすぎないものである。
そして、甲第3号証に記載されたマンドレルと甲第5号証に記載されたマンドレルはテープ状物の巻取シャフトとして共通するものであるから、甲第5号証に記載された上記技術事項を甲第3号証に記載されたマンドレルのクランプ金具7に適用可能であることは当業者であれば自明の事項である。
そうすると、甲第3号証に記載された考案のグリップ部5の溝部とクランプ金具7の接合面の形状を上記甲第5号証に記載されたようなV形溝とV形の傾斜面形状として本件登録考案2のような構成とすることは、当業者が必要に応じてきわめて容易に想到することができる程度の事項と認める。
また、本件登録考案2の効果も、甲第3号証?甲第5号証に記載された考案から当業者であれば予測することのできる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(3)むすび
したがって、本件登録考案1,2は、甲第3号証?甲第5号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

5.まとめ
以上のとおりであって、本件登録考案1,2は、実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録されたものである。
したがって、本件実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当するので、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-01-18 
結審通知日 2002-01-23 
審決日 2002-02-05 
出願番号 実願平2-32338 
審決分類 U 1 112・ 121- Z (B65H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菅野 あつ子  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 市野 要助
鈴木 美知子
登録日 1994-07-06 
登録番号 実用新案登録第2025038号(U2025038) 
考案の名称 テ?プ巻取シャフト  
代理人 竹本 松司  
代理人 手島 直彦  
代理人 杉山 秀雄  
代理人 魚住 高博  
代理人 湯田 浩一  
代理人 塩野入 章夫  
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