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審決分類 審判 訂正 特29条の2 訂正する A61H
管理番号 1058315
審判番号 訂正2001-39232  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-06-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2001-12-20 
確定日 2002-03-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2597297号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2597297号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由 1.訂正の要旨
本件審判の請求の要旨は、実用新案登録第2597297号(平成4年4月27日出願、平成11年4月20日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(a)及び(b)のとおり訂正することを求めるものである。
(a)実用新案登録請求の範囲の請求項1中、
「・・・上記噴気ノズル(18)の先端に噴気方向を変更できるように構成したノズルカバー(18c) を設け・・・」を、
「・・・上記噴気ノズル(18)を、噴気配管(13)に連通連結したノズル本体(18a)と、同ノズル本体(18a)に基端部が連通し、先端部が浴槽本体(1)を貫通する噴流形成部(18b)と、同噴流形成部(18b)の鍔部に螺着したノズルカバー(18c)とから構成し、同ノズルカバー(18c)の周縁部に複数個の噴気孔(18d)を円周方向に間隔をあけて設け・・・」
と、訂正する。
(b)明細書の段落【0016】中、
「・・・上記噴気ノズルの先端に噴気方向を変更できるように構成したノズルカバーを設け・・・」を、
「・・・上記噴気ノズルを、噴気配管に連通連結したノズル本体と、同ノズル本体に基端部が連通し、先端部が浴槽本体を貫通する噴流形成部と、同噴流形成部の鍔部に螺着したノズルカバーとから構成し、同ノズルカバーの周縁部に複数個の噴気孔を円周方向に間隔をあけて設け・・・」
と訂正する。

2.当審の判断
(1)上記訂正事項(a)は、訂正前の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る、「噴気ノズル」及び「ノズルカバー」の構成を技術的に限定したものであり、また、上記訂正事項(b)は、実用新案登録請求の範囲に係る訂正事項(a)に対応してされた明細書中の訂正であるので、これらの訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)そして、上記訂正事項は、明細書の段落【0035】「即ち、図5に示すように、噴気ノズル18を、噴気配管13に連通連結したノズル本体18a と、同ノズル本体18a に基端部が連通し、先端部が浴槽本体1の底部1e(若しくはアームレスト部1d)を貫通する噴流形成部18b と、同噴流形成部18bの先端部内壁に嵌合する逆止弁受け20と、同逆止弁受け20の中央部に取付けた逆止弁19と、前記噴流形成部18b の先端に被覆状態に取付け、周縁部に噴気孔18d を開口する噴気方向変更用のノズルカバー18c とから構成している。」、同段落【0038】「即ち、図4及び図5に示すように、ノズルカバー18c は円蓋状に形成されて、噴流形成部18b の鍔部に螺着している。」、同段落【0039】「そして、該ノズルカバー18c の周縁には複数個の噴気孔18d を円周方向に間隔をあけて設けており、浴槽本体1内に噴出する気泡が浴槽本体1の内側壁面に沿って、放射状に噴出するように形成している。」、に記載されているので、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものと認められ、かつ実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)次に、独立実用新案登録要件について検討すると、訂正後における実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により特定される考案は以下のとおりである。
「【請求項1】噴気ノズル(18)を浴槽本体(1) の内壁面に取付け、同噴気ノズル(18)に噴気配管(13)の一端を連通連結し、同噴気配管(13)の他端をコンプレッサ(C) に連結した気泡発生浴槽(A) において、
上記噴気ノズル(18)を、噴気配管(13)に連通連結したノズル本体(18a)と、同ノズル本体(18a)に基端部が連通し、先端部が浴槽本体(1)を貫通する噴流形成部(18b)と、同噴流形成部(18b)の鍔部に螺着したノズルカバー(18c)とから構成し、同ノズルカバー(18c)の周縁部に複数個の噴気孔(18d)を円周方向に間隔をあけて設け、空気を浴槽本体(1)の内側壁面に沿って放射状に噴出可能としたことを特徴とする気泡発生浴槽。
【請求項2】 噴気ノズル(18)の開口部に、浴槽本体(1)内の浴湯が噴気配管(13)中に逆流することを防ぐための逆止弁(19)を設けたことを特徴とする請求項1記載の気泡発生浴槽。
【請求項3】 噴気ノズル(18)を、浴槽本体(1) のアームレスト部(1d)に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の気泡発生浴槽。」

これに対し、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないとする理由を発見できない。

なお、付言するに、本件実用新案登録に対して平成11年12月28日付けでされた実用新案登録異議の申立て(異議平11-75012)に対して、本件実用新案登録の出願の日の前の出願であってその出願後に公開された実願平3-14725号(実開平4-104838号、以下「先願」という。)が引用されて実用新案法第3条の2所定の取消理由が通知されたが、当該先願の願書に最初に添付した明細書及び図面には、少なくとも、本件各考案の「噴気ノズルの噴流形成部の鍔部にノズルカバーを螺着した」構成は開示されておらず、しかもこの構成が、周知技術、慣用技術を単に付加、削除、転換したものに当たるものとは認められず、さらに、課題解決のための具体化手段における微差であるともいえないから、本件実用新案登録の請求項1に係る考案が先願の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された考案と同一であって、実用新案法第3条の2の規定により実用新案登録を受けることができない考案であるとすることはできない。また、本件実用新案登録の請求項2及び3に係る考案は、請求項1に係る考案を技術的に限定した考案であるところ、請求項1に係る考案についての判断が上述のとおりであるから、その余について判断するまでもなく、請求項2及び3に係る考案についても、先願の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された考案と同一であるとすることはできない。

3.結び
したがって、本件審判の請求は、平成5年法律第26号附則第4条第2項において読み替えられた同法による改正前の実用新案法第39条第1項ただし書後段第1号に掲げる事項を目的とし、かつ同条同項ただし書前段並びに同条第2項及び第3項の規定にも適合する。

よって、結論のとおり審決する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
気泡発生浴槽
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】噴気ノズル(18)を浴槽本体(1)の内壁面に取付け、同噴気ノズル(18)に噴気配管(13)の一端を連通連結し、同噴気配管(13)の他端をコンプレッサ(C)に連結した気泡発生浴槽(A)において、
上記噴気ノズル(18)を、噴気配管(13)に連通連結したノズル本体(18a)と、同ノズル本体(18a)に基端部が連通し、先端部が浴槽本体(1)を貫通する噴流形成部(18b)と、同噴流形成部(18b)の鍔部に螺着したノズルカバー(18c)とから構成し、同ノズルカバー(18c)の周縁部に複数個の噴気孔(18d)を円周方向に間隔をあけて設け、空気を浴槽本体(1)の内側壁面に沿って放射状に噴出可能としたことを特徴とする気泡発生浴槽。
【請求項2】噴気ノズル(18)の開口部に、浴槽本体(1)内の浴湯が噴気配管(13)中に逆流することを防ぐための逆止弁(19)を設けたことを特徴とする請求項1記載の気泡発生浴槽。
【請求項3】噴気ノズル(18)を、浴槽本体(1)のアームレスト部(1d)に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の気泡発生浴槽。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
また、本考案は、コンプレッサから送気される空気を浴槽内に噴気するための噴気ノズルを浴槽本体の内壁面に取付けた気泡発生浴槽に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、気泡発生浴槽に配設された噴気ノズルの構造において、気泡を噴出する噴気孔は、一般に、以下の3つのタイプに大別される。
【0003】
▲1▼浴槽本体に直接小孔を設けたタイプ。
【0004】
▲2▼平板状に形成した樹脂状のノズルカバーの上面に小孔を複数個設けたタイプ。▲3▼ノズルカバーを多孔質板により形成したタイプ。
【0005】
いずれにしても、浴槽内に噴出される気泡は、直接上方へ向かうものであり、例えば、▲2▼のタイプを示す図9のように、浴槽本体51の底部51eに設けた噴気ノズル58から噴出される気泡は浴槽本体51に対して垂直状に噴出し、入浴者Nの肌に直接当たるものである。
【0006】
また、気泡を噴出するノズルカバー58cの噴気孔58dから、浴湯が逆流して噴気配管内に残水を生じると、気泡発生の運転初期には冷水が噴出されることになり、また、時には異臭を放つ原因ともなるので、かかる残水を排出するために、噴気配管を排水管と接続したものもある。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、上記した噴気ノズル58の構造では、噴気孔58dがいずれも浴槽本体51に対して垂直状に開口しているので、上述したように、噴出する気泡は上方へ直接向かうものであり、入浴者Nの肌に直接当たる。
【0008】
従って、外気の冷たい空気が直接暖まった肌に触れることになるので、入浴者Nに不快感を与えるという問題がある。
【0009】
また、入浴者Nが身体の一部で噴気孔58dを塞ぐ虞れがあり、この場合、空気圧送の負荷が増大して、コンプレッサの過度な温度上昇や騒音を引起こすという問題もある。
【0010】
一方、噴気配管内の残水を排出するために、噴気配管を排水管と接続したものについては、浴槽内の浴湯を排水した後については有効であっても、入浴中に運転中の気泡発生を停止した場合は、どうしても浴湯の逆流は防ぐことができない。
【0011】
従って、再運転した場合は、噴気配管内で冷たくなった浴湯が初めに噴出されて入浴者Nに不快感を与えることになる。
【0012】
さらに、噴気ノズル58を浴槽本体51の底部51eとアームレスト部とに設けた場合、浴湯水圧の違いにより底部51eとアームレスト部とに設けられた噴気ノズル58からの気泡噴出量に差が生じて不均一になったり、気泡噴出量が噴気ノズルの設置個所により著しく異なるという問題もある。
【0013】
また、噴気配管内に浴湯が逆流すると、その湿気により、コンプレッサの故障をまねく虞れもある。
【0014】
しかも、噴気配管と排水管とを接続するためには、手間がかかりコスト高となる。
【0015】
本考案は、これらの課題を解決することのできる気泡発生浴槽を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
そこで、本考案では 噴気ノズルを浴槽本体の内壁面に取付け、同噴気ノズルに噴気配管の一端を連通連結し、同噴気配管の他端をコンプレッサに連結した気泡発生浴槽において、上記噴気ノズルを、噴気配管に連通連結したノズル本体と、同ノズル本体に基端部が連通し、先端部が浴槽本体を貫通する噴流形成部と、同噴流形成部の鍔部に螺着したノズルカバーとから構成し、同ノズルカバーの周縁部に複数個の噴気孔を円周方向に間隔をあけて設け、空気を浴槽本体の内側壁面に沿って放射状に噴出可能としたことを特徴とする気泡発生浴槽に係るものである。
【0017】
また、本考案は、上記噴気ノズルの開口部に、浴槽本体内の浴湯が噴気配管中に逆流することを防ぐための逆止弁を設けたことにも特徴を有する。
【0018】
さらに、本考案は、上記噴気ノズルは、浴槽本体のアームレスト部に設けたことにも特徴を有する。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1?図3は本発明に係る噴気ノズル18を具備した気泡発生浴槽Aの平面図、側面図、背面図であり、先ず、気泡発生浴槽Aの全体構成を説明すると、次の通りである。
【0021】
気泡発生浴槽Aは、コンプレッサCと二段インペラー型の循環ポンプPを具備しており、かかるコンプレッサCと循環ポンプPとは機能部ケーシングB中に収納配設されている。
【0022】
そして、浴槽本体1とコンプレッサCとの間に、それぞれを終端と基端とする噴気配管13を連結管9を介して接続連通し、浴槽本体1内に気泡を噴出可能とするように構成している。
【0023】
さらに、浴槽本体1と循環ポンプPの下段インペラー室31との間に、吸水配管2と送水配管3とを介設して浴湯循環流路4を形成し、送水配管3に空気取入部6aを送気配管6を介して連通連結して、浴槽本体1内に気泡混じりの浴湯を噴出可能としている。
【0024】
また、循還ポンプPの上段インペラー室30には、吐水配管7の基端を連通連結し、同吐水配管7の先端吐出口7aを後述する浴槽本体1に設けた頭掛け部1cの左右側方に開口し、浴湯を先端吐出口7aより吐出可能としている。
【0025】
なお、図中、32は上段インペラー、33は下段インペラー、34はインペラー軸である。
【0026】
次に、噴気ノズル18を具備する浴槽本体1について説明する。
【0027】
浴槽本体1は、図1?図3に示すように、上面開口の箱型に形成すると共に、周縁に一定幅を有する鍔状の縁部1aを形成し、後壁のみを入浴者Nが傾斜した姿勢で入浴できるように傾斜状に形成して背もたれ部1bとし、同背もたれ部1bの上縁部には上方へ膨出させ曲面状の枕形に形成した頭掛け部1cを設け、同頭掛け部1cに入浴者Nの後頭部を掛けることができるようにしており、側壁には入浴者Nの両腕をそれぞれ載せることのできる左右側アームレスト部1d,1dを内方へ膨出状に形成している。
【0028】
そして、底部1eに多数個の噴気ノズル18と浴湯排出口5を設けると共に、左右側アームレスト部1d,1dにもそれぞれ噴気ノズル18,18を設け、かかる噴気ノズル18に噴気配管13を通して空気を送出し、浴槽本体1の底部1e、アームレスト部1dに配設した各噴気ノズル18,18より、浴槽本体1内に気泡を噴出可能としている。
【0029】
また、浴槽本体1の前壁と後壁(背もたれ部1b)に、それぞれ二個づつ足側用の噴出ノズル15,15と背側用の噴出ノズル16,16を取付け、頭掛け部1cの左右側方には肩用の吐出ノズル17,17を取付けている。
【0030】
足側用と背側用の各噴出ノズル15,15、16,16には送水配管3の先端側に形成した分岐配管3a,3bの先端をそれぞれを連通連結すると共に、送気配管6の一端を連通連結し、肩用の吐出ノズル17,17には吐水配管7の先端吐出口7aを連通連結すると共に、送気配管6の一端を連通運結し、噴気ノズル18には噴気配管13を連通連結している。
【0031】
そして、足側用と背側用の各噴出ノズル15,15、16,16、及び吐出ノズル17,17内において、送水配管3を通して送出される浴湯中に、送気配管6を通して送出される空気をエジェクタ効果を利用して吸入し、さらには混合して、各噴出ノズル15,15、16,16、及び吐出ノズル17,17より気泡混じりの浴湯を噴出又は吐出可能としている。
【0032】
また、浴槽本体1の底部1eに設けた噴気ノズル18とアームレスト部1d,1dに設けた噴気ノズル18,18は同一構造であり、また、足側用と背側用の各噴出ノズル15,15、16,16はそれぞれ同一構造である。
【0033】
なお、図1中、25はポップアップ排水栓、26はハンドグリップ、27は水吸込口である。
【0034】
本考案の要旨となるのは、上記した気泡発生浴槽Aにおける噴気ノズル18の先端に噴気方向変更用のノズルカバー18cを設け、同ノズルカバー18cの周縁に複数個の噴気孔18dを設けて、同噴気孔18dから気泡を浴槽本体1の内側面に沿って噴出せしめたこと、及び、噴気ノズル18の開口部に浴湯が噴気配管13中に逆流することを防ぐための逆止弁19を設けたことにある。同逆止弁19は、アームレスト部1d及び浴槽本体1の底部1eの気泡量を略一定に保つ機能を有している。
【0035】
即ち、図5に示すように、噴気ノズル18を、噴気配管13に連通連結したノズル本体18aと、同ノズル本体18aに基端部が連通し、先端部が浴槽本体1の底部1e(若しくはアームレスト部1d)を貫通する噴流形成部18bと、同噴流形成部18bの先端部内壁に嵌合する逆止弁受け20と、同逆止弁受け20の中央部に取付けた逆止弁19と、前記噴流形成部18bの先端に被覆状態に取付け、周縁部に噴気孔18dを開口する噴気方向変更用のノズルカバー18cとから構成している。
【0036】
なお、図5中、18eはOリング、18fはスプリングワッシャ、18gはパッキンである。
【0037】
ここで、噴気方向を変更できるように構成したノズルカバー18cと噴気ノズル18の開口部に取付けた逆止弁19とについて、さらに詳しく説明すると以下の通りである。
【0038】
即ち、図4及び図5に示すように、ノズルカバー18cは円蓋状に形成されて、噴流形成部18bの鍔部に螺着している。
【0039】
そして、該ノズルカバー18cの周縁には複数個の噴気孔18dを円周方向に間隔をあけて設けており、浴槽本体1内に噴出する気泡が浴槽本体1の内側壁面に沿って、放射状に噴出するように形成している。
【0040】
また、逆止弁19は、例えば、フッ素ゴム等のゴム質材料よりなり、図5に示すように、薄肉の傘状の弁体部19aと、逆止弁受け20に挿通するための胴体部19bとを形成している。また、該胴体部19bは、中央部に膨出部19cを有し、下方向に先細り状に形成している。
【0041】
そして、かかる逆止弁19の胴体部19bを、逆止弁受け20に設けた後述する取付板20cに挿通することにより、逆止弁19自体を噴気ノズル18に取付けている。
【0042】
逆止弁受け20は、図6及び図7に示すように、位置決めを容易にするためのテーパ状頭部20aと筒状部20bを一体的に連設すると共に、逆止弁19を取付けるための、環状弁座面を有する取付板20cを円形のプレート状に形成し、上記噴流形成部18bの先端部内壁に嵌合している。
【0043】
また、かかる逆止弁受け20の取付板20c中央部には、コンプレッサCからの空気を浴槽本体1内に送るための連通孔20dと、逆止弁19の胴体部19bを挿通するための挿通孔20eとを開口しており、該挿通孔20eに逆止弁19の胴体部19bを挿通し、逆止弁19の胴体部19bの膨出部19cを取付板20cに弾性的に当接させている。
【0044】
従って、弁体部19aの周縁部が取付板20cの環状弁座面と密着し、しかも、逆止弁19自体が抜けることがない。また、挿通孔20eの周りに互いに向い合って開口した湾曲長円状の上記連通孔20dにより、ノズルカバー18cの噴気孔18dを介して浴槽本体1と噴気配管13とが連通している。
【0045】
逆止弁19は、上記のような構成で逆止弁受け20に取付けられており、逆止弁受け20の連通孔20dから流入する圧送空気は、その噴出空気圧により逆止弁19の薄肉状に形成された傘状の弁体部19aを押上げてノズルカバー18cの噴気孔18dより浴槽本体1内へ噴出される。(図5中矢印)また、かかる弁体部19aは取付板20cの環状弁座面に水密状に当接しており、しかも気泡発生の停止後は浴槽本体1内の浴湯水圧によってより強く当接せられ、浴槽本体1内の湯が逆流して噴気配管13内へ侵入することがなくなり、逆止弁19としての機能を果たす。
【0046】
また、この逆止弁19の弁体部19aの肉厚を変えることにより、気泡の発生量を容易に調節することもできるので、底部1eとアームレスト部1dとの間の水頭圧の差により生じる気泡噴出量の差をなくして、各噴気ノズル18,18から常に均一な気泡の噴出量を得ることもできる。
【0047】
上記してきたように、本考案に係る噴気ノズル18は、簡単でコンパクトな構造からなるものであり、かかる構成による気泡発生浴槽Aの噴気ノズル18を実際に使用している状態について説明すると、次の通りである。
【0048】
ここでは、浴槽本体1の底部1e、アームレスト部1dに配設した噴気ノズル18から同時に気泡を噴出させている場合において説明する。
【0049】
即ち、図8に示すように、噴気ノズル18から噴出される気泡は、浴槽本体1の内側壁に沿って放射状に噴出し、気泡は入浴者Mの肌に直接当たることがなく、従って、外気の冷たい空気が直接暖まった肌に触れて、入浴者Mに不快感を与えることがない。
【0050】
また、入浴者Mの身体の一部が噴気孔18dに接触しても、噴気孔18dはノズルカバー18cの側方周縁部に開口しているので、同噴気孔18dを塞ぐ心配もなく、従って、空気圧送の負荷が増大してコンプレッサの過度な温度上昇や騒音を引起こすこともなくなる。
【0051】
また、気泡発生を入浴中に停止しても、逆止弁19を設けているので、浴湯が逆流して噴気配管13内に残水としてたまることがなく、従って、再度運転を開始する時の運転初期に冷水が噴出されることがない。これは、浴湯を排水して、新たに入浴する場合でも同様である。
【0052】
また、噴気ノズル18を配設した浴槽本体1の底部1eとアームレスト部1dとの間で、残水による圧力差により気泡発生運転開始初期に気泡噴出量の差も生じることがない。
【0053】
さらに、底部1eとアームレスト部1dとの間の水頭圧の差により生じる気泡噴出量の差を、逆止弁19により底部1eからもアームレスト部1dからも常に均一な気泡の噴出量を得ることができ、使用感の向上を図ることができる。
【0054】
このように、噴気ノズル18先端に設けたノズルカバー18cの周縁から放射状に気泡を噴出せしめ、かつ、ノズルカバー18cの内側に浴湯が噴気配管13中に逆流することを防ぐための逆止弁19を設けたことにより、気泡発生浴槽Aを快適に使用することができる。
【0055】
【効果】
本考案によれば、以下のような効果が得られる。
【0056】
▲1▼噴気ノズルの構造において、複数個の噴気孔をノズルカバーの周縁に設けたことにより、噴気孔から噴出する気泡は浴槽本体の内側壁面に沿って放射状に噴出され、入浴者の肌に直接当たることがなく、外気の冷たい空気が直接暖まった肌に触れず、気泡発生の運転初期においても快適である。
【0057】
▲2▼入浴者の身体の一部で、噴気孔を塞ぐ心配もなく、コンプレッサの過度な温度上昇や騒音を引起こすことがない。
【0058】
▲3▼逆止弁を設けたことにより、入浴中に運転中の気泡発生を停止した場合においても浴湯の逆流を防止でき、噴気配管内に水が残ることがない。
【0059】
従って、再運転したとき、常に温かい浴湯が噴出されることになる。
【0060】
▲4▼噴気配管内に水が残ることがないので、噴気ノズルを浴槽本体の底部とアームレスト部とに配設した場合でも、かかる底部とアームレスト部との間で、残水による圧力差のために気泡噴出量の差を生じることがなく、気泡発生の運転初期段階において常に均一な噴出量を得ることができる。
【0061】
▲5▼底部とアームレスト部との水頭圧による気泡噴出量の差を、逆止弁の弁体部の肉厚を変えるだけで、簡単になくすことができる。
【0062】
▲6▼噴気配管内において湿気を少なくすることができるので、湿気によるコンプレッサの故障の心配がなくなる。
【0063】
▲7▼噴気ノズルの構造を簡単で、かつ、コンパクトにすることができ、コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る噴気ノズルを具備する気泡発生浴槽の平面図。
【図2】同気泡発生浴槽の側面図。
【図3】同気泡発生浴槽の背面図。
【図4】噴気ノズルの平面図。
【図5】図4のI-I線から見た断面側面図。
【図6】逆止弁受けの平面図。
【図7】同側面図。
【図8】本考案に係る噴気ノズル構造における気泡の発生状態を示す説明図。
【図9】従来の噴気ノズル構造における気泡の発生状態を示す説明図。
【符号の説明】
A 気泡発生浴槽
C コンプレッサー
1 浴槽本体
1d アームレスト部
1e 底部
13 噴気配管
18 噴気ノズル
18cノズルカバー
18d噴気孔
19 逆止弁
19a弁体部
訂正の要旨 (1)実用新案登録請求の範囲の請求項1の、
「噴気ノズル(18)を浴槽本体(1)の内壁面に取付け、同噴気ノズル(18)に噴気配管(13)の一端を連通連結し、同噴気配管(13)の他端をコンプレッサ(C)に連結した気泡発生浴槽(A)において、
上記噴気ノズル(18)の先端に噴気方向を変更できるように構成したノズルカバー(18c)を設け、空気を浴槽本体(1)の内側壁面に沿って放射状に噴出可能としたことを特徴とする気泡発生浴槽。」との記載を、
「噴気ノズル(18)を浴槽本体(1)の内壁面に取付け、同噴気ノズル(18)に噴気配管(13)の一端を連通連結し、同噴気配管(13)の他端をコンプレッサ(C)に連結した気泡発生浴槽(A)において、
上記噴気ノズル(18)を、噴気配管(13)に連通連結したノズル本体(18a)と、同ノズル本体(18a)に基端部が連通し、先端部が浴槽本体(1)を貫通する噴流形成部(18b)と、同噴流形成部(18b)の鍔部に螺着したノズルカバー(18c)とから構成し、同ノズルカバー(18c)の周縁部に複数個の噴気孔(18d)を円周方向に間隔をあけて設け、空気を浴槽本体(1)の内側壁面に沿って放射状に噴出可能としたことを特徴とする気泡発生浴槽。」
と、訂正する。
(2)考案明細書の段落【0016】につき、
「そこで、本考案では 噴気ノズルを浴槽本体の内壁面に取付け、同噴気ノズルに噴気配管の一端を連通連結し、同噴気配管の他端をコンプレッサに連結した気泡発生浴槽において、上記噴気ノズルの先端に噴気方向を変更できるように構成したノズルカバーを設け、空気を浴槽本体の内側壁面に沿って放射状に噴出可能としたことを特徴とする気泡発生浴槽に係るものである。」とあるのを、
「そこで、本考案では 噴気ノズルを浴槽本体の内壁面に取付け、同噴気ノズルに噴気配管の一端を連通連結し、同噴気配管の他端をコンプレッサに連結した気泡発生浴槽において、上記噴気ノズルを、噴気配管に連通連結したノズル本体と、同ノズル本体に基端部が連通し、先端部が浴槽本体を貫通する噴流形成部と、同噴流形成部の鍔部に螺着したノズルカバーとから構成し、同ノズルカバーの周縁部に複数個の噴気孔を円周方向に間隔をあけて設け、空気を浴槽本体の内側壁面に沿って放射状に噴出可能としたことを特徴とする気泡発生浴槽に係るものである。」
と訂正する。
審決日 2002-02-22 
出願番号 実願平4-27616 
審決分類 U 1 41・ 16- Y (A61H)
最終処分 成立    
前審関与審査官 藤井 彰  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 岡田 和加子
岩崎 晋
登録日 1999-04-30 
登録番号 実用新案登録第2597297号(U2597297) 
考案の名称 気泡発生浴槽  
代理人 松尾 憲一郎  
代理人 松尾 憲一郎  
代理人 内野 美洋  
代理人 内野 美洋  

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