• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判    A46B
管理番号 1058325
審判番号 無効2001-40022  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-06-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-09-04 
確定日 2002-04-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第3064130号実用新案「狭窄部内を塗装可能なハケ」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3064130号の請求項2および4に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件考案
(1)実用新案登録第3064130号(以下、「本件実用新案登録」という。)についての出願は、平成11年5月20日に出願され、平成11年12月24日に設定登録され、その後、その請求項2及び請求項4に係る実用新案登録に対して、請求人大塚刷毛製造株式会社より無効審判が請求されたものであり、平成14年2月28日に口頭審理が行われた。

(2)本件実用新案登録の請求項2及び請求項4に係る考案は、それぞれ、願書に添付した明細書(以下、「本件登録明細書」という。)の実用新案登録請求の範囲の請求項2及び請求項4に記載された次のとおりのものである。
「【請求項2】毛部と、該毛部を保持する柄部とからなるハケであって、毛部の幅方向の一側面と該毛部の先端面のなす角度が、30?80°であることを特徴とする狭窄部内を塗装可能なハケ。
【請求項4】毛部と、該毛部を保持する柄部とからなるハケであって、毛部の幅方向の一側面と該毛部の先端面のなす角度が30?80°であるとともに、前記柄部は、毛部の側面後側を囲繞保持する筒状保持部を有し、その筒状保持部の先端側の周縁は、毛部の先端面に対して平行であることを特徴とする狭窄部内を塗装可能なハケ。」

2.請求人の主張の概要
請求人は、
(1)本件の請求項2に係る考案及び請求項4に係る考案は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案であり、
(2)本件の請求項2に係る考案及び請求項4に係る考案は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、
(3)本件の請求項2に係る考案は、甲第3号証の後願に相当し、実用新案法第7条第1項に違反してなされたものであり、
本件の請求項2に係る考案及び請求項4に係る考案についての実用新案登録は無効とされるべき旨主張し、証拠方法として、下記甲第1号証乃至甲第13号証を提出している。
(証拠方法)
甲第1号証:米国特許第4590637号明細書及びその抜粋訳文
甲第1号証の1:米国特許第4590637号明細書のFig.4で、ハケの毛部の角度を示した図
甲第2号証:実公昭18ー12480号公報
甲第3号証:大塚刷毛製造株式会社が昭和42年5月17日に出願した実用新案登録願(B)の出願書類
甲第3号証の1:実願昭42ー40755号の出願番号通知
甲第3号証の2:大塚刷毛製造株式会社の前社長大塚竹之助が昭和42年5月17日に出願した実用新案登録願(B)の出願書類(合議体注:甲第3号証を再提出したもの)
甲第4号証:拒絶理由通知(実願昭42ー40755号)
甲第5号証:拒絶査定の謄本(実願昭42ー40755号)
甲第6号証:昭和53年5月17日発行の特許庁公報(53ー98[2447])特許庁年報第30巻(昭和52年版))(抜粋)
甲第7号証:石塚末豊・中道敏彦編「塗装ハンドブック」(株式会社朝倉書店、1996年11月20日発行、第115頁?第117頁)
甲第8号証:兒玉政雄・板東依彦・兒島修二共著「塗料と塗装(増補版)」(株式会社パワー社、平成6年2月10日発行、第302頁?第307頁)
甲第9号証:米国特許第2674759号明細書及びその抜粋訳文
甲第10号証:米国意匠特許第380615号公報及びその抜粋訳文
甲第11号証:米国特許第2913751号明細書及びその抜粋訳文
甲第12号証:米国特許第2736051号明細書及びその抜粋訳文
甲第13号証:実用新案登録第3064130号公報(合議体注:本件登録公報)

3.被請求人の主張
被請求人は、請求人の主張はいずれも理由がなく、失当であり、本件審判請求は成り立たない旨主張し、証拠方法として、下記乙号証を提出している。
(証拠方法)
乙第1号証:実験成績証明書

4.甲各号証に記載の事項
(1)甲第1号証
甲第1号証には、汎用ペイント用刷毛に関し、図面とともに、
(a)「汎用ペイント用刷毛は、壁、天井、床、モールデイング等の種々のタイプの表面に対して、種々のタイプの塗料あるいは他の流動状の材料を塗布するために使用される。そのような刷毛は、通常、幅の広い帯状に塗料を塗布でき、また必要に応じ幅の狭い帯状に塗料を塗布できるように厚みより大きな幅を有している。」(第1欄15?20行和訳)こと、
(b)「アングル刷毛のようなトリム刷毛は、典型的には、ガラスや塗布すべきでない他の表面に塗料を塗布することなく窓の回りを縁取りするため、壁と天井が出会う所あるいは壁が床、ドア、モールデイング等と出会う所の縁取線を塗布するため及び二つの異なる色が出会う所の縁取線を塗布するために使用される。」(第2欄1?6行和訳)こと、
(c)「刷毛10のペイント保持伝達能力の向上に加えて、作用表面30は、タフトの長い側面25とともに、側面25の平面上に尖鋭で真直ぐなナイフエッジ34を形成しており、このエッジは非常にシャープなトリミングを可能とし、またペイント中にその塗られるエッジをペインタが容易に見ることができるように設けてある。
全体的に、フリーハンドでトリミングを非常に容易に行えるのは、同じサイズの従来型刷毛の有効単繊維の本数の約2倍はある作用表面における露出した単繊維の実質的な本数のために、刷毛の一筆の間により多くの塗料が作用表面30から流れることと連携する尖鋭エッジ34によるものである。
なお、はめ輪11のタフト縁35は共面であり、剛毛17の長さに対して直角に、かつ、両側面24,25に沿ってタフト16の幅全体に渡ってナイフ・エッジ34と平行に延びる。したがって、はめ輪が、作用表面30のエリア内における剛毛の自由な撓みを妨害することはない。
次に、図4?6に、本発明によるペイント用刷毛の他の実施形態を、全体を40で示す。以下に示すことを除き、ペイント用刷毛40の構成は、上述したペイント用刷毛10と実質的に同様であり、柄部41、はめ輪42および剛毛44のタフト43を含む。
以前と同様に、タフト43の平面作用表面46は、タフトの狭い端面47および48の間で横の方に延び、タフトの長い方の広い側面49から他方の短い方の広い側面50までタフトの全厚さまたは狭い方の寸法にわたって、鋭角を成している。さらに、作用表面46にはタフトの狭い端面47から他方の狭い端面48まで、タフトの全幅にわたって角度を付けることにより、作用表面46の長い方の広い面49との交差点に形成した角度の付いたナイフ・エッジ51を設けてある。図4に示すように、作用表面46と短い方の側面50との交差点に形成したライン53は、はめ輪42のタフト端54の平面と同様に、ナイフ・エッジ51と平行である。はめ輪のタフト端54は、タフトの短い力の狭い端面48から長い方の端面47までタフトの幅にわたって下方に傾いている。
より良く理解されるように、上述したように設けられたタフト43の合成角を付けた作用端56は、作用表面46での剛毛の上述したより大きな露出面ばかりでなく、一部のトリミング用途にさらに適した鋭く、真直ぐに角度を付けたナイフ・エッジ51をも提供する。
」(第4欄25行?第5欄4行和訳)こと、
が記載されている。
また、図4(正面図)には、タフト43の狭い端面47からタフトの狭い端面48までの幅方向において、タフト43の狭い端面47とタフトの平面作用表面46のなす角度が、比較的大なる角度の鋭角をなしていることが示されている。

(2)甲第2号証
甲第2号証には、糊刷毛に関し、図面とともに、「・・・毛部を特に一方に傾斜せしめて之を・・・把柄(3)の広き一端部に・・・固定して成れるものなり而して毛部は特に一方に傾斜せしめたるを以て糊付けに便利なる・・・」(第1頁上段左から8行?左から4行、合議体注:甲第2号証は、カタカナ書きで記載されている。)ことが記載されている。

5.当審の判断
5-1 本件実用新案登録の請求項2に係る考案について
(1)対比
(a)甲第1号証に記載された「次に、図4?6に、本発明によるペイント用刷毛の他の実施形態を、全体を40で示す。以下に示すことを除き、ペイント用刷毛40の構成は、上述したペイント用刷毛10と実質的に同様であり、柄部41、はめ輪42および剛毛44のタフト(合議体注:毛の房)43を含む。」(上記4.(1)(c)第4段落参照。)及び「以前と同様に、タフト43の平面作用表面46は、タフトの狭い端面47および48の間で横の方に延び、タフトの長い方の広い側面49から他方の短い方の広い側面50までタフトの全厚さまたは狭い方の寸法にわたって、鋭角を成している。さらに、作用表面46にはタフトの狭い端面47から他方の狭い端面48まで、タフトの全幅にわたって角度を付けることにより、作用表面46の長い方の広い面49との交差点に形成した角度の付いたナイフ・エッジ51を設けてある。図4に示すように、作用表面46と短い方の側面50との交差点に形成したライン53は、はめ輪42のタフト端54の平面と同様に、ナイフ・エッジ51と平行である。」(上記4.(1)(c)第5段落参照。)との事項並びに甲第1号証の図4からみて、甲第1号証には、タフト43と、タフト43を保持する柄部41とからなる汎用ペイント用刷毛であって、タフト43の狭い端面47からタフトの狭い端面48までの幅方向において、端面47とタフトの平面作用表面46のなす角度が、比較的大なる角度の鋭角とされた汎用ペイント用刷毛が記載されている。
(b)そこで、本件実用新案登録の請求項2に係る考案(以下、「本件考案2」という。)と甲第1号証に記載された考案を対比すると、甲第1号証に記載された「タフト43」、「柄部41」、「タフト43の狭い端面47からタフトの狭い端面48までの幅方向」、「タフトの狭い端面47」、「平面作用表面46」は、それぞれ、本件考案2の「毛部」、「柄部」、「毛部の幅方向」、「毛部の幅方向一側面」、「毛部の先端面」に相当し、また、甲第1号証に記載された汎用ペイント用刷毛は、上記構成により、甲第1号証に「上述したように設けられたタフト43の合成角を付けた作用端56は、作用表面46での剛毛の上述したより大きな露出面ばかりでなく、一部のトリミング用途にさらに適した鋭く、真直ぐに角度を付けたナイフ・エッジ51も提供する。」(上記4.(1)(c)第6段落参照。)と記載されているように、トリミングム作業、すなわち、甲第1号証に記載された「アングル刷毛のようなトリム刷毛は、・・・壁と天井が出会う所あるいは壁が床、ドア、モールデイング等と出会う所の縁取線を塗布する・・・」(上記4.(1)(b)参照。)という狭い部分の作業、にも資するものであり、タフト43の狭い端面47からタフトの狭い端面48までの幅方向において、端面47とタフトの平面作用表面46のなす角度が鋭角とされていることからみて、甲第1号証に記載された汎用ペイント用刷毛は、本件考案2同様、狭窄部内を塗装することが可能なものであることは、当業者の技術常識からして、明らかであり、甲第1号証に記載された汎用ペイント用刷毛は狭窄部内を塗装可能なハケといえる。
(c)そして、本件考案2及び甲第1号証に記載された考案は、いずれも、毛部の幅方向の一側面と毛部のなす角度が鋭角にされているという点で共通するから、両者は、
毛部と、該毛部を保持する柄部とからなるハケであって、毛部の幅方向の一側面と該毛部の先端面のなす角度が、鋭角である狭窄部内を塗装可能なハケ
の点で一致し、次の点で相違する。
イ.毛部の幅方向の一側面と該毛部の先端面のなす角度が鋭角である点について、本件考案2では、その角度が30?80°とされているのに対し、甲第1号証に記載された考案では、その角度が比較的大なる角度の鋭角とされている点。

(2)判断
(a)上記相違点について検討する。
(a-1)甲第1号証には、毛部の幅方向の一側面と該毛部の先端面のなす角度を、鋭角としたハケが記載され、狭窄部内を塗装可能であること、また、甲第1号証には、毛部幅方向の一側面と毛部の先端面のなす角度について、その具体的な角度は記載されていないが、第4図には、比較的大なる角度の鋭角が示されていることは上記したとおりである。
(a-2)一方、甲第2号証には、糊刷毛に関し、「毛部を特に一方に傾斜せしめて・・・而して毛部は特に一方に傾斜せしめたるを以て糊付けに便利なる」(上記4.1(2)参照。)と記載され、また、その第1図には、毛部を一方に傾斜せしめることにより、毛部幅方向の一側面と毛部の先端のなす角度が、鋭角とされたことが示されており、甲第2号証に記載された糊刷毛は、上記記載及び第1図に示された形状からして、狭窄部内の糊付けが可能なハケであることは、当業者の技術常識からして、明らかである。また、甲第2号証には、毛部幅方向の一側面と毛部の先端のなす角度について、その具体的な角度は記載されていないが、第1図には、比較的小なる角度の鋭角が示されている。
(a-3)そして、甲第1号証及び甲第2号証に記載された刷毛は、その対象とする塗布材料は相違するものの、狭窄部内の作業が可能な毛部の形状の点で共通し、また、甲第1号証には、「汎用ペイント用刷毛は、壁、天井、床、モールデイング等の種々のタイプの表面に対して、種々のタイプの塗料あるいは他の流動状の材料を塗布するために使用される。」(上記4.(1)(a)参照。)と記載されており、甲第1号証に記載された汎用ペイント用刷毛は、塗料以外の種々の流動状の材料にも使用されるものであり、甲第2号証に記載された糊刷毛の毛部の形状を甲第1号証に記載されたハケに転用することは、当業者が適宜なし得る程度のことにすぎない。
(aー4)そうすると、甲第1号証及び甲第2号証に記載された刷毛は、いずれも、毛部の幅方向の一側面と該毛部の先端面のなす角度を鋭角にすることにより、狭窄部内の作業が可能なハケということができ、しかも、甲第1号証には、その角度を比較的大なる角度の鋭角とした点が示され、また、甲第2号証には、その角度を比較的小なる角度の鋭角とした点が示されており、甲第1号証及び甲第2号証の記載からみて、毛部の幅方向の一側面と該毛部の先端面のなす角度は、塗装等の作業性、ハケの製造の容易性等を考慮して、小なる角度の鋭角から大なる角度の鋭角まで、当業者が必要に応じ種々選択し得る事項というのが相当であり、本件考案2のように毛部の幅方向の一側面と毛部の先端面のなす角度を30?80°とすることは、甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項から、当業者であれば、きわめて容易になし得ることである。
(a-5)また、本件考案2の効果は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項から予測できる程度のものであって、格別のものではない。
(a-6)なお、被請求人は、本件考案2の毛部の先端面はその側面視において傾斜するものではなく、毛部の先端が、甲第1号証の図5に示されるように、その側面視において傾斜している甲第1号証に記載された毛部とはその形状が基本的に相違している旨主張している(口頭審理調書参照。)。
しかしながら、本件の請求項2には、毛部の先端について「毛部の先端面」と記載されているだけであり、本件考案2の毛部の先端面の構成を被請求人の主張するように解釈する根拠はないから、上記被請求人の主張は理由がない。
(b)したがって、本件考案2は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

5-2 本件実用新案登録の請求項4に係る考案について
(1)対比
(a)甲第1号証には、上記5-1(1)(a)で指摘した構成に加え、甲第1号証に記載された「図4に示すように、作用表面46と短い方の側面50との交差点に形成したライン53は、はめ輪42のタフト端54の平面と同様に、ナイフ・エッジ51と平行である。」(上記4.(1)(c)第5段参照。)との事項並びに図4及び図5からみて、タフト43の狭い端面47からタフトの狭い端面48までの幅方向におけるはめ輪42のタフト端54は、タフト43の平面作用表面46に対して平行にされた構成が示されており、甲第1号証には、タフト43と、該タフト43を保持する柄部41とからなる汎用ペイント用刷毛であって、タフト43の狭い端面47からタフトの狭い端面48までの幅方向において、端面47とタフトの平面作用表面46のなす角度が、比較的大なる角度の鋭角であるとともに、柄部41は、タフト43の側面後部を囲繞保持するはめ輪42を有し、タフト43の狭い端面47からタフトの狭い端面48までのタフト43の幅方向におけるはめ輪42のタフト端54は、タフト43の平面作用表面46に対して平行である汎用ペイント用刷毛が記載されている。
(b)そこで、本件実用新案登録の請求項4に係る考案(以下、「本件考案4」という。)と甲第1号証に記載されたものを対比すると、甲第1号証に記載された「タフト43」、「柄部41」、「タフト43の狭い端面47からタフトの狭い端面48までの幅方向」、「タフトの狭い端面47」、「平面作用表面46」、「タフト43の側面後部を囲繞保持するはめ輪42」、「はめ輪のタフト端54」は、それぞれ、本件考案4の「毛部」、「柄部」、「毛部の幅方向」、「毛部の幅方向の一側面」、「毛部の先端面」、「毛部の側面後側を囲繞保持する筒状保持部」、「筒状保持部の先端側」に相当し、また、甲第1号証に記載された汎用ペイント用刷毛は、上記5-1(1)(b)で検討したように狭窄部内を塗装可能なハケといえる。
(c)そして、本件考案4及び甲第1号証に記載された考案は、いずれも、毛部の幅方向の一側面と毛部のなす角度が鋭角にされているという点で共通するから、両者は、
毛部と、該毛部を保持する柄部とからなるハケであって、毛部の幅方向の一側面と該毛部の先端面のなす角度が、鋭角であるとともに、柄部は毛部の側面後側を囲繞保持する筒状保持部を有する狭窄部内を塗装可能なハケ
の点で一致し、次の点で相違する。
イ.毛部の幅方向の一側面と該毛部の先端面のなす角度が鋭角である点について、本件考案4では、その角度が30?80°とされているのに対し、甲第1号証に記載された考案では、その角度が比較的大なる角度の鋭角とされている点。
ロ.本件考案4は、筒状保持部の先端側の周縁が毛部の先端面に対して平行であるのに対して、甲第1号証に記載された考案は毛部の幅方向における筒状保持部の先端側が毛部の先端面に対して平行である点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
(a)上記相違点イであげた本件考案4の構成は、上記5-1(2)で検討したと同様に、甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項から、当業者がきわめて容易になし得ることである。
(b)次に上記相違点ロについて検討する。
(b-1)甲第1号証に記載された汎用ペイント用刷毛は、甲第1号証の図5に示されるように、タフト43(本件考案4の「毛部」に相当する。)の狭い端面47及びタフトの狭い端面48側におけるはめ輪のタフト端54(本件考案の「筒状保持部の先端側」に相当する。)は、平面作用表面46(本件考案4の「毛部の先端面」に相当する。)とは平行になっておらず、甲第1号証に記載された考案は、本件考案4のように筒状保持部の先端側の周縁、すなわち全ての縁が、毛部の先端面に対して平行になっているとはいえない。
(b-2)しかしながら、本件登録明細書の段落【0020】に記載された「毛部の腰の強さを、毛部の幅方向の各箇所において等しくすることができるので、毛部の先端面によって塗装を行う場合に、塗装厚さを均一にすることが容易となる。」という本件考案4の効果は、少なくとも、筒状保持部における毛部の幅方向の先端側が毛部の先端面に対して平行になっていれば達成できるものといえる。
そうすると、甲第1号証に記載された考案も上記相違点ロであげたように筒状保持部における毛部の幅方向の先端側が毛部の先端面に対して平行となっており、甲第1号証に記載された考案は、本件考案4と同様の上記効果を生じるものといえるから、上記相違点ロは構成上の微差にすぎないというべきである。
(b-3)そして、ハケの分野において、筒状保持部の先端側の周縁全体を毛部の先端面に対して平行に構成することも、あるいは筒状保持部の先端側の周縁の一部側面のみを毛部の先端面に対して平行に構成することも普通に行われており、甲第1号証に記載された狭い端面側における筒状保持部の先端側を毛部の先端面に対して平行になるように構成して、上記相違点ロであげた本件考案4の構成のようにすることは当業者であれば適宜なし得る程度のことにすぎない。
(b-3)また、本件考案4の効果は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項から予測できる程度のものであって、格別のものではない。
(c)したがって、本件考案4は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本件考案2及び本件考案4は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、本件考案2及び本件考案4についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反されてなされたものであり、実用新案法第37条第1項第2号に該当する。
審判に関する費用については、実用新案法第41条の規定で準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人の負担とする。
審決日 2002-03-13 
出願番号 実願平11-3485 
審決分類 U 1 121・ 121- Z (A46B)
最終処分 成立  
特許庁審判長 大槻 清寿
特許庁審判官 長浜 義憲
滝本 静雄
登録日 1999-09-08 
登録番号 実用新案登録第3064130号(U3064130) 
考案の名称 狭窄部内を塗装可能なハケ  
代理人 嶋 宣之  
代理人 鈴木 淳也  
代理人 清原 義博  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ