• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て   A01N
管理番号 1058338
異議申立番号 異議2000-70175  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2002-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-01-18 
確定日 2002-03-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2597878号「蒸散剤パックおよび蒸散材包装体」の請求項1ないし4に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2597878号の請求項1ないし4に係る実用新案登録を取り消す。
理由 I.手続の経緯
本件実用新案登録第2597878号の請求項1ないし4に係る考案についての出願は、平成5年8月12日(優先権主張 平成5年1月11日 日本)に実用登録出願され、平成11年5月21日にその考案について実用新案権の設定登録がされ、その後、その実用新案登録について、異議申立人佐伯秀行、林栄太郎より実用新案登録異議の申立てがされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成12年12月19日に訂正請求がされたものである。
II.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載について、「吸液素材」とあるのを「吸液素材(無機多孔性物質を除く)」と訂正する。
イ.訂正事項b
実用新案登録請求の範囲の請求項2の記載について、「吸液素材に」とあるのを「吸液素材(無機多孔性物質を除く)に加えて」と訂正する。
ウ.訂正事項c
実用新案登録請求の範囲の請求項3の記載について、「吸液素材」とあるのを「吸液素材(無機多孔性物質を除く)」と訂正する。
エ.訂正事項d
考案の詳細な説明の段落【0011】の記載について、「吸液素材」とあるのを「吸液素材(無機多孔性物質を除く)」と訂正する。
オ.訂正事項e
段落【0012】の記載について、「吸液素材に無機粉を」とあるのを「吸液素材(無機多孔性物質を除く)に加えて無機粉を」と訂正する。
カ.訂正事項f
段落【0012】の記載について、「吸液素材を粒形状に」とあるのを「吸液素材(無機多孔性物質を除く)を粒形状に」と訂正する。
キ.訂正事項g
段落【0012】の記載について、「上記目的を達成することができる。」とあるのを「上記目的を達成することができる。なお、以下では簡略のために「吸液素材(無機多孔性物質を除く)」を単に「吸液素材」という。」と訂正する。
ク.訂正事項h
段落【0021】の記載について、「無機多孔性物質(ケイ酸塩、シリカ、ゼオライト等)、」を削除する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
ア.訂正事項a?cは、実用新案登録の請求の範囲の考案を特定する事項である、「吸液素材」から無機多孔性物質を除いて「吸液素材(無機多孔性物質を除く)」と限定するものであり、訂正前の段落【0021】に無機多孔性物質及びそれ以外の吸液素材が記載されているから、明細書に記載された事項の範囲内の訂正であり、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、かつ、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
イ.訂正事項d?hは、上記訂正事項a?cの実用新案登録請求の範囲の減縮に整合させるための訂正であって、明細書に記載された事項の範囲内の訂正であり、明りょうでない記載の釈明に該当し、かつ、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)に係る実用新案法附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例とされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.実用新案登録異議の申立てについての判断
(1)本件考案
上記II.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1ないし4に係る考案(以下、「本件考案1ないし4」という。)は、上記訂正明細書の実用新案登録請求の範囲1ないし4に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】蒸散剤が、吸液素材(無機多孔性物質を除く)を粒形状に成形した保持体に蒸散液を含浸させた粒形状のものであり、さらに通気性を有しかつフレキシブルな袋体に、蒸散剤全体の表面積を粒径の大きさと個数により制御し、蒸散量をコントロールする多数個の前記粒形状の蒸散剤が収納されており、かつ前記袋体に前記蒸散剤を収納して得られた蒸散剤パックが蒸散剤パック自体の形状が粒形状蒸散剤の流動性と相まって自由に変形するようにフレキシブルであることを特徴とする衣類防虫用蒸散剤パック。
【請求項2】通気性を有しかつフレキシブルな袋体に、蒸散剤全体の表面積を粒径の大きさと個数により制御し、蒸散量をコントロールする多数個の粒形状の蒸散剤が収納されており、前記粒形状の蒸散剤は、吸液素材(無機多孔性物質を除く)に加えて無機粉を添加混合したものを粒形状に成形された保持体に蒸散液を含浸させてなり、かつ前記袋体に前記蒸散剤を収納して得られた蒸散剤パックが蒸散剤パック自体の形状が粒形状蒸散剤の流動性と相まって自由に変形するようにフレキシブルであることを特徴とする衣類防虫用蒸散剤パック。
【請求項3】通気性を有しかつフレキシブルな袋体に、蒸散剤全体の表面積を粒径の大きさと個数により制御し、蒸散量をコントロールする多数個の粒形状の蒸散剤が収納されており、前記粒形状の蒸散剤は吸液素材(無機多孔性物質を除く)を粒形状に成形した保持体に薬効を持つ蒸散液とこの蒸散液の薬効の終点を明示するインジケータを含浸させてなり、かつ前記袋体に前記蒸散剤を収納して得られた蒸散剤パックが蒸散剤パック自体の形状が粒形状蒸散剤の流動性と相まって自由に変形するようにフレキシブルであることを特徴とする衣類防虫用蒸散剤パック。
【請求項4】気密性を有した外側包装袋の中に前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蒸散剤パックを複数個収容してなることを特徴とする衣類防虫用蒸散材包装体。」
(2)引用刊行物に記載された事項
当審が通知した取消しの理由で引用した刊行物には、以下の事項が記載されている。
刊行物1(特開昭60-126202号公報、異議申立人佐伯秀行が提出した甲第1号証)には、
ア.「液状防虫剤(殺虫剤、忌避剤を含む)を保持する厚さ1?10mmの含浸体を、該含浸体表面積が包装袋表面積全体の5?60%の割合となるように包装袋内に収容してなることを特徴とする防虫シート。」(特許請求の範囲)、
イ.「産業上の利用分野 本発明は、洋服ダンス、押入等全ゆる場所で使用できる防虫シートに関するものである。」(第1頁左下欄11?13行)、
ウ.「液状防虫剤は、前記の固形状防虫剤に比べてその防虫力は高く、僅かな量で防虫効果を示す。しかし、その蒸気圧は固形状防虫剤に比べて低く、また揮散量が少ないため、初期の段階で防虫効果が低いという欠点がある。このため、固形状防虫剤のように和紙、不織布等で包装して揮散を抑制する必要はなく、むしろ揮散を増大させる工夫が必要となる。そこで、従来より上記の欠点を解決するため、防虫剤の含浸体の形状を複雑化するなどして揮散面積を広くしたり、また、含浸体の厚みを薄くしたりするなど、揮散量を増し、初期から高い防虫効果を上げるべく努力がなされてきた。しかし、上記のような方法によって揮散面積を広くまた含浸体を薄くして揮散速度を高めた場合、初期から高い防虫効果が期待できる反面、使用経時においては既に設置場所内の薬剤濃度は有効濃度に達しており、その後は薬剤の消失分(分解あるいは設置場所からの漏出による)を供給する程度の揮散量でもよいにも拘わらず、従来の揮散面積を広くしまた含浸体を薄くしただけの防虫剤では、経時におけるこのような状況に対する工夫がなされていないため、常に連続して多量に薬剤が揮散することにより含浸体中の薬剤は短期間に消失してしまい、有効期間が短くなるという欠点があり、また、使用時の環境条件(例えば温度、湿度、風など)の影響を受けて揮散量がバラツクなどの欠点もあり、前記問題の解決には至っていない。(「。」と脱字を補充)一方、有効期間を延長させる目的で含浸体の大きさを制限すると、揮散面積が不足するために、薬剤の揮散速度及び揮散量が遅くまた少なくなり、使用初期において防虫効果が極めて低くなると共に、その後においても揮散量が少なく抑えられるため、満足するだけの効果を上げるに至っていない。上記のような問題は、含浸体が防虫剤の保持体及び供給体であると同時に揮散体でもあるという本質的な問題に由来するものである。すなわち、初期及び経時において充分な効果を得ようとすれば、含浸体材質も揮散し易いように薄く、ポーラスでなくてはならないし、面積も広くしなければならない。ところが、このような条件を選定すると、薬剤保持能は低く、また供給も過剰となってしまい防虫剤は短期間で消失してしまう。一方、長期間にわたって防虫効果を維持しようとすると、含浸体材質も薬剤保持力が強く、薬剤が供給しにくいような密な組成のものとする必要があるし、また、含浸体の揮散面積も小さくする必要がある。以上述べたように、初期から充分な薬剤の揮散量を確保し、かつ長期間にわたって揮散を維持するには、相反する材質、大きさ、形状の含浸体を使用せねばならないという矛盾が生じていた。」(第2頁左上欄7行?同右下欄2行)、
エ.「本発明の目的は、充分な防虫効果を初期から発現すると共に長期間にわたって有効であり、また使用及び製造も簡便な液剤防虫剤使用の防虫シートを提供することにある。」(第2頁右下欄9?12行)、
オ.「液状防虫剤を含浸させた含浸体をこれよりも大きい和紙等で包装した場合、含浸体中の防虫剤がまず和紙等に所定量移行し、その後和紙等から揮散した防虫剤は含浸体から供給されるという機能を発揮し、またこのような機能は、含浸体表面積と和紙等の包装袋の表面積全体との割合が或る範囲内において特に有効に発揮されることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。」(第3頁左上欄20行?同右上欄8行)、
カ.「液状防虫剤の含浸体の材質としては、紙、半合成紙、合成紙、天然繊維、合成繊維、無機繊維、シリカゲル、アルミナなどの無機多孔質材料、プラスチック、包接化合物(「包装化合物」は誤記)、ゲル化剤、マイクロカプセル等の1種又はそれ以上を組み合わせて使用するが、好ましくは紙である。このような含浸体に他の防虫剤、殺虫剤、香料、防黴剤、共力剤、殺菌剤、乾燥剤等を一緒に含有させてもよい・・・」(第3頁左下欄1?11行)、
キ.「一包装袋内に収納する含浸体の数量は特に限定されず、包装袋の表面積全体の60%以下、好ましくは5?40%の範囲の表面積となるように、含浸体を複数個に分けて収納することも可能である。この場合、複数個の含浸体の全表面積が上記範囲内となるように設定することは言うまでもないことであり、個々の含浸体の表面積を上記範囲内とするものではない。また、包装袋の表面積全体とは、包装袋の表裏両表面の面積を意味し、内面の面積を含まないことは言うまでもない。このことは、シール部及び非シール部の如何を問わず、また側辺部にシール部が存在しない場合には該側辺部においてその内面が外気と接することになるが、この場合にも該内面の面積は包装袋の表面積には加算されない。」(第3頁左下欄12行?同右下欄7行)、
ク.「包装袋の材質については、薬剤を含浸し、速やかに揮散させることが可能なものであればよく、例えば前述したような和紙、不織布、布及びクラフト紙等の一般的な紙等が好適な材料として挙げられる。」(第3頁右下欄10?14行)、
ケ.「第1図は本発明に係る防虫シートの一実施態様を示したものであり、まず液状防虫剤等を小型の含浸マット1(含浸体)に含浸させる。この含浸マット1を、通気性のある和紙、不織布等にヒートシールが可能となるように樹脂を処理した包装紙2内に収納し、該包装紙2の周辺部及び含浸マット1の周側部を囲む部分をヒートシール(シール部は符号3で示す)した防虫シートである。なお、図面上はわかり易いように含浸マット1上の包装紙2(包装袋)は一部破断されているが、実際には連続した紙面となっている。この包装防虫シートにおいては、小さな表面積の含浸体である含浸マット1に含有された防虫剤が、含浸マット1と包装紙2とが接触することによって包装紙2に移行する。すなわち、包装紙2は、含浸マット1の包装袋であると同時に第二の含浸体となる。しかしながら、和紙、不織布等の包装紙2は薄いためにその薬液保持能には限界があり、また薬液供給体(含浸マット)中の薬量にも左右されるので、包装紙2中において防虫剤がある所定の濃度に達すると移行は停止乃至抑制される。包装紙2に移行した防虫剤は、包装紙2を防虫剤の揮散媒体としてその表面から揮散する。その揮散に伴い、減量分が含浸マット1から補給され、揮散を継続する。上記防虫剤の移行状態を第2図に示す。すなわち、第2図は含浸マットに含有させた(R,S)-1-エチニル-2-メチルペント-2-エニル(1R)-シス、トランスクリサンテマート(以下、ベーパースリンという)の和紙あるいは不織布への移行の程度を、和紙あるいは不織布中の薬液含有の飽和量を100%として表したものである。第2図から明らかなように、含浸マットに接触した和紙あるいは不織布の薬液含有量は1週間のうちに殆んど飽和量に達し、薬剤の移行はスムーズである。」(第3頁右下欄20行?第4頁右上欄17行、第1?2図参照)、
コ.「発明の作用・効果 以上のように、本発明に係る防虫シートは、液状防虫剤(殺虫剤、忌避剤等を含む)を保持する所定厚さの含浸体を、特定の面積率となるように包装袋内に収納してなるものであるから、・・・。揮散経時においても、環境条件に殆んど影響されることなく一定量で包装袋への薬剤供給が維持され、また薬剤の供給-揮散の過程においては供給(移行)が律速段階であるので、薬剤供給量を適当に調節することによって必要以上の揮散が抑制され、安定した防虫効果が長期間にわたって継続される。この際、薬剤供給量の調節は、含浸体の数量、含浸体一枚当りの薬剤量を変えることによって容易に行うことができる。・・・本発明の防虫シートは含浸体が包装袋内に収納されているため、流通時には折りたたんで小さくすることができ、パッケージに要する費用が安くてすむ等・・・利点がある。」(第6頁左上欄4行?同右下欄6行)と記載されている。
刊行物2(実願昭61-145594号(実開昭63-50802号)のマイクロフィルム、異議申立人佐伯秀行が提出した甲第2号証)には、
サ.「1、殺虫薬を含有させた紙、繊維、合成樹脂や結晶セルロースなどの適宜材料を適宜小形状とした殺虫剤。
2、殺虫薬含有の適宜材料を適宜小形状とした殺虫剤を、紙、繊維、樹脂などの適当材料から成る通気性をもたせた任意形状の袋、箱などの容器に適量収めた、実用新案登録請求の範囲第1項記載の殺虫剤。」(実用新案登録請求の範囲1、2)、
シ.「問題点を解決するための手段 1、殺虫薬を含有した材料から成る殺虫剤を殺虫成分の揮散面を大きくした小形状とする。2、小形状とした殺虫剤を通気性をもたせた容器に収める。」(第3頁1?5行)、
ス.「実施例 以下、図面に基き本考案の実施例を説明する。第1図は、紙、繊維、合成樹脂などから成る、通気性をもたせた袋などの容器(2)に適宜形状の殺虫剤(1)を収めた、一部切欠斜視図。第2図は、紙、繊維、樹脂や結晶セルロースなどの賦形剤に殺虫薬を含有させたものを、殺虫成分が揮散しやすく、また掃除機に吸引させやすい小形状に形成した殺虫剤(1)の各種形状を示した斜視図である。・・・考案の効果 本考案は、・・・また掃除機用殺虫剤として使用を限られたものでは無く、ロッカー、収納庫、引き出しの内部へ(「え」は誤記)入れたり貼着することによって、ゴキブリなどの害虫駆除にも広く使用できるものである。」(第4頁3行?第5頁11行、第1?4図参照)と記載されている。
刊行物3(特開昭63-60901号公報、異議申立人佐伯秀行が提出した甲第4号証)には、
セ.「産業上の利用分野 本発明は、薬効指示性防虫剤に関し、さらに詳しくは色調の変化により視覚的に常温揮散性の液状防虫薬剤の薬効残存状態及び使用のエンドポイント(終点)を容易に確認し得るようにした発色性の薬効指示性防虫剤に関する。」(第1頁右下欄11?16行)と記載されている。
(3)対比・判断
ア.本件考案1について
そこで、本件考案1と刊行物1に記載された考案とを対比する。
刊行物1には、「液状防虫剤(蒸散液に相当)を保持する含浸体(保持体に蒸散液を保持した蒸散体に相当)を、該含浸体表面積が包装袋表面積全体の5?60%の割合となるように包装袋内に収容してなること防虫シート(蒸散剤パックに相当)」が(摘示ア参照)、「本発明は、洋服ダンス、押入等全ゆる場所で使用できる防虫シート(蒸散剤パックに相当)に関するものである」(摘示イ参照)との記載から、衣類防虫用蒸散剤パックが、「第1図は本発明に係る防虫シートの一実施態様を示したものであり、まず液状防虫剤等を小型の含浸マット1(保持体に相当)に含浸させる。この含浸マット1(含浸後であるから蒸散剤に相当)を、通気性のある和紙、不織布等に収納し」(摘示ケ参照)と記載されているから、蒸散剤が通気性を有しフレキシブルな袋体に収納することが、「一包装袋(袋体に相当)内に収容する含浸体(蒸散剤に相当)の数量は特に限定されず、包装袋の表面積全体の60%以下、好ましくは5?40%の範囲の表面積となるように、含浸体を複数個に分けて収納することも可能である。この場合、複数個の含浸体の全表面積が上記範囲内となるように設定することは言うまでもないことであり、個々の含浸体の表面積を上記範囲内とするものではない。また、包装袋の表面積全体とは、包装袋の表裏両表面の面積を意味し、内面の面積を含まないことは言うまでもない(摘示キ参照)、本発明に係る防虫シート(蒸散剤パックに相当)は、液状防虫剤(殺虫剤、忌避剤等を含む)を保持する所定厚さの含浸体を、特定の面積率となるように包装袋内に収納してなるものであるから、・・・。揮散経時においても、環境条件に殆んど影響されることなく一定量で包装袋への薬剤供給が維持され、また薬剤の供給-揮散の過程においては供給(移行)が律速段階であるので、薬剤供給量を適当に調節することによって必要以上の揮散が抑制され、安定した防虫効果が長期間にわたって継続される(摘示コ参照)」との記載から、蒸散剤全体(複数のシート)の表面積を制御し、蒸散量を所望にコントロールすることが、「液状防虫剤の含浸体(吸液素材に相当)の材質としては、紙、半合成紙、合成紙、天然繊維、合成繊維、無機繊維、シリカゲル、アルミナなどの無機多孔質材料、プラスチック、包接化合物、ゲル化剤、マイクロカプセル等の1種又はそれ以上を組み合わせて使用するが、好ましくは紙である。」(摘示カ参照)との記載から、吸液素材として、無機多孔性物質も又それ以外のものも、記載されている。
それ故、両者は、「蒸散剤が、吸液素材(無機多孔性物質を除く)を成形した保持体に蒸散液を含浸させたものであり、さらに通気性を有しかつフレキシブルな袋体に、蒸散剤全体の表面積を大きさと個数により制御し、蒸散量をコントロールする多数個の蒸散剤が収納されており、かつ前記袋体に前記蒸散剤を収納して得られた衣類防虫用蒸散剤パック」である点で一致するが、本件考案1では、(a)蒸散剤が粒形状であるのに対し、刊行物1記載の含浸後の含浸マット(蒸散剤に相当)は、シート状である点、及び(b)蒸散剤パックが蒸散剤パック自体の形状が自由に変形するようにフレキシブルであるのに対し、刊行物1記載の防虫シート(蒸散剤パックに相当)は、含浸体(蒸散剤)がシート状であるので、蒸散剤パック自体の形状が自由に変形するものではない点で相違する。
その相違する点(a)、(b)について検討する。
相違点(a)について
刊行物2には、「殺虫薬を含有させた紙、繊維、合成樹脂や結晶セルロースなどの適宜材料を適宜小形状としたもの(蒸散剤に相当)を、紙、繊維、樹脂などの適当材料から成る通気性をもたせた任意形状の袋、箱などの容器に適量収めた殺虫剤。」(摘示サ参照)が記載されており、揮散面を大きくするために小形状にすること(摘示シ参照)、小形状には、粒形状のものも例示されている。また、掃除機用殺虫剤に限らずロッカー、収納庫、引き出し内部への適用も可能であることも明記されている(摘示ス参照)から、蒸散剤の蒸散速度に影響する蒸散剤の表面積を所望の大きさにするために、粒形状を採用するようにすることは、当業者には設計事項にすぎないものと認められる。
相違点(b)について
前述のように、刊行物2には、殺虫薬を含有させた紙、繊維、合成樹脂や結晶セルロースなどの適宜材料を適宜小形状としたもの(蒸散剤に相当)を、紙、繊維、樹脂などの適当材料から成る通気性をもたせた任意形状の袋に収めることが記載されているが、この記載からみて、袋はフレキシブルなものであり、殺虫薬を含有せしめた粒子を適量収めた袋(蒸散剤パックに相当)自体の形状は自由に変形するものと認められる。
ところで、実用新案権者は、蒸散剤が粒形状であるために、蒸散剤全体の表面積を粒径の大きさと個数により制御すること、及び蒸散剤が流動性を有し、蒸散剤パックが所望に変形できることにより、「袋体と蒸散剤との面接触による蒸散の補助の行き過ぎを抑えつつ、その反面で蒸散を適度に進める作用を持たせることができ、さらに、袋体を傾けることによって内部の蒸散剤の重なり状態並びに蒸散剤と袋体との接触状態を変えることができ、これらによって、蒸散量のコントロールをより適正に行うことが可能になり、蒸散性の薬液の効果を使用開始初期から充分に発揮させることが可能になると同時に、蒸散量を適正に制御して長期にわたって薬液の効力を持続させることが可能になる。」(段落番号【0039】参照)と、本件考案1は、格別の作用・効果を有する旨主張している。
その点について検討すると、刊行物1には、目的・効果に関し、「充分な防虫効果を初期から発現すると共に長期間にわたって有効であるもの」(摘示エ参照)との記載があり、本件考案1のものと同旨である。
さらに、刊行物1の摘示ウの記載を参酌すると、含浸体(蒸散剤)の揮散面積を制御することのみでは、蒸散性の薬液の効果を使用開始初期から充分に発揮させることができると同時に、蒸散量を適正に制御して長期にわたって薬液の効力を持続させることができるようにすることは、本質的に困難であるものと思料される。
そこで、刊行物1記載の考案では、初期には、薬液が和紙に飽和状態まで移行した状態で蒸散させることにより、薬液の蒸散効果(殺虫効果)を充分に発揮させ、経時には、含浸体(蒸散剤に相当)と和紙の接触面積が制限(制御)されていることにより、薬液が和紙に移行することが律速段階となり、必要以上の揮散(蒸散)が抑制され、安定した防虫効果が長期間にわたって継続されることが可能になったものと解することができる(摘示オ、ケ、コ参照)。
本件考案1でも、袋体として不織布等を使用し、袋体と蒸散剤との面接触による蒸散の補助の行き過ぎを抑えているから、初期ないし経時の作用についても、両者は共通するものが窺えるにすぎない。
よって、実用新案権者の上記主張は採用できない。
したがって、本件考案1は、本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物1および2記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到することができたものである。
イ.本件考案2について
本件考案2は、実質的に本件考案1の「吸液素材(無機多孔質物質を除く)を粒形状に成形した保持体」を更に限定して、「吸液素材(無機多孔質物質を除く)に加えて無機粉を添加混合したものを粒形状に成形された保持体」を用いるものであるが、刊行物1に記載の考案においても、含浸体(保持体に相当)に他の成分をその添加目的に応じて含有させることができる旨記載されている(摘示カ参照)から、「軽すぎるために商品価値が見劣りすることを防止すると同時に、質感の向上によって取り扱い性を向上させるため」(段落番号【0039】)に、比重が比較的に大きく、殺虫成分に不活性であることが知られる無機粉を添加混合するようにすることは当業者がきわめて容易に想到し得る事項と認められる。
したがって、本件考案2は、本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物1および2記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到することができたものである。
ハ.本件考案3について
本件考案3は、実質的に本件考案1記載の「保持体」として「薬効を持つ蒸散液とこの蒸散液の薬効の終点を明示するインジケータを含浸させ」たものを用いているが、本件考案1に刊行物3に記載された技術(摘示セ参照)を単に付加したにすぎない。
したがって、本件考案3は、本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物1ないし3に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到することができたものである。
ニ.本件考案4について
本件考案4は、本件考案1ないし3記載の蒸散剤パックの複数個を気密性を有した外側包装体に収容するものであるが、刊行物1には、「パッケージ」(摘示コ参照)に関する記載があるように周知慣用手段の付加と認められる。
したがって、本件考案4は、本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物1ないし3記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到することができたものである。
IV.むすび
以上のとおりであるから、本件考案1ないし4は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
したがって、本件考案1ないし4についての実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
蒸散剤パックおよび蒸散材包装体
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 蒸散剤が、吸液素材(無機多孔性物質を除く)を粒形状に成形した保持体に蒸散液を含浸させた粒形状のものであり、さらに通気性を有しかつフレキシブルな袋体に、蒸散剤全体の表面積を粒径の大きさと個数により制御し、蒸散量をコントロールする多数個の前記粒形状の蒸散剤が収納されており、かつ前記袋体に前記蒸散剤を収納して得られた蒸散剤パックが蒸散剤パック自体の形状が粒形状蒸散剤の流動性と相まって自由に変形するようにフレキシブルであることを特徴とする衣類防虫用蒸散剤パック。
【請求項2】 通気性を有しかつフレキシブルな袋体に、蒸散剤全体の表面積を粒径の大きさと個数により制御し、蒸散量をコントロールする多数個の粒形状の蒸散剤が収納されており、前記粒形状の蒸散剤は、吸液素材(無機多孔性物質を除く)に加えて無機粉を添加混合したものを粒形状に成形された保持体に蒸散液を含浸させてなり、かつ前記袋体に前記蒸散剤を収納して得られた蒸散剤パックが蒸散剤パック自体の形状が粒形状蒸散剤の流動性と相まって自由に変形するようにフレキシブルであることを特徴とする衣類防虫用蒸散剤パック。
【請求項3】 通気性を有しかつフレキシブルな袋体に、蒸散剤全体の表面積を粒径の大きさと個数により制御し、蒸散量をコントロールする多数個の粒形状の蒸散剤が収納されており、前記粒形状の蒸散剤は吸液素材(無機多孔性物質を除く)を粒形状に成形した保持体に薬効を持つ蒸散液とこの蒸散液の薬効の終点を明示するインジケータを含浸させてなり、かつ前記袋体に前記蒸散剤を収納して得られた蒸散剤パックが蒸散剤パック自体の形状が粒形状蒸散剤の流動性と相まって自由に変形するようにフレキシブルであることを特徴とする衣類防虫用蒸散剤パック。
【請求項4】 気密性を有した外側包装袋の中に前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蒸散剤パックを複数個収容してなることを特徴とする衣類防虫用蒸散材包装体。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、蒸散する薬液によって防虫剤としての機能を果たす粒形状の蒸散剤を通気性の袋体に収容し、或いはそれにさらに所定の包装を施した構成をなす衣類防虫用蒸散剤パックおよび蒸散材包装体に関するもので、詳しくは、多様な用途に柔軟に対応し得て、使い勝手や取り扱い性にも優れるように改善した衣類防虫用蒸散剤パックおよび蒸散材包装体に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、タンス等に収納した衣類を害虫から保護するため防虫剤が使用されていたが、このような防虫剤の形態は、固形状のものと液状のものとに大別することができる。固形状のものは、所謂昇華性防虫剤と呼ばれているもので、例えば、パラジクロルベンゼン、ナフタレン、樟脳等が該当する。一方、液状のものは、いわゆる蒸散剤と呼ばれている蒸散性(揮発性)の薬液を用いるもので、例えば、ピレスロイド系、有機リン系化合物液などが該当する。
【0003】
前述の固形状の防虫剤の場合は、通常、プラスチック容器に収納したり、更には、例えば、和紙又は不織布などで包装した形態で使用されている。このように適当な包装手段により包装することは、防虫剤の昇華作用を制限して防虫効果の持続性を高めると同時に、衣服との直接の接触を防ぐこともでき、薬剤自身による汚染を少なくできる等の効果を生む。即ち、このような包装は、固形状の防虫剤そのものの欠点、即ち、昇華性による消失が極めて短期間の内に進行するといった欠点や防虫剤との直接接触によって衣料等に汚れが付くといった欠点を補う役割を果たす。
【0004】
このような固形タイプのものに対して前記液状の防虫剤は、固形状防虫剤に比べてその防虫力は高いのが普通である。したがって、液状のタイプは、僅かな量で高い防虫効果を示すことができる。
しかし、液状の防虫剤はその蒸気圧が固形状の防虫剤に比べて低く、また蒸散量が少ないため、使用開始初期の段階では一般的に防虫効果が低いという欠点がある。そのため、使用開始初期の段階における蒸散を活発化させる工夫が種々行われている。例えば、液状の防虫剤は、該当の薬液を適当な吸液性の素材(保持体)に含浸させることにより固体と同様に取り扱えるようにして、取り扱い性の向上を図るのが周知となっているが、その場合に、前記保持体の形状を複雑化するなどにより露呈する蒸散面積を拡大したり、あるいは保持体を薄板状にするなどの工夫を行って単位時間当たりの蒸散量の増大を図る。
【0005】
このような工夫によれば、使用開始初期から蒸散が活発に行われ、高い防虫効果を期待することができる。
ところで、使用開始後一定期間が経過して使用場所雰囲気中における薬剤濃度が有効濃度に達した後は、薬剤の消失分を補給する程度に蒸散量が制限されることが好ましい。しかし、前述した蒸散面積の拡大等により初期の蒸散量を増やす構造を採用した場合では、一定期間経過して使用場所雰囲気中におけるに薬剤濃度が有効濃度に達した後も、初期と同様に活発な蒸散を継続するため、薬剤の過剰供給という欠点を抱えてしまうことになる。
【0006】
このようなことから、使用開始初期および一定期間経過後の双方において共に必要充分な効果を得ようとするために、例えば紙、プラスチック、多孔質物質等による保持体の大きさや形状を、薬剤の特性に合わせた形態として工夫し、薬液を含浸させた保持体をそのまま露呈させた状態で使用に供するタイプのものや、適当な容器に収納した状態で使用に供するタイプのものなどが種々開発されてきた。
【0007】
また、吸液性の保持体に蒸散性の薬液を含浸させてなる防虫剤等は、その使用期間(一般に、保持体の体積に比例する)や使用開始初期及び一定期間経時後の蒸散量を計算し易くする目的から、シート状あるいはマット状のタイプとされることが多い。そして、従来では、保持体をシートタイプとして、該保持体に蒸散性の薬液を含浸させたもの(以下、シートタイプの蒸散剤と呼ぶ)を通気性のある袋体にて包装した形態のものが、その取り扱い性や蒸散量のコントロール性の点で優れると提案されてきた。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、薬液を含浸させた蒸散剤を袋体で包むようにしたものでは、蒸散剤を包んだ袋体と蒸散剤との接触部において蒸散剤に含浸されている薬液が袋体に吸い出される作用が生じ、この作用が薬液の蒸散を助ける場合がある。そして、前述したシートタイプの蒸散剤の場合は、袋体との接触が面接触になるため、袋体の接触による蒸散の助けが過大になり、その結果、蒸散剤に含浸されている薬液の総量に比較して単位時間当たりの蒸散量が大きくなり過ぎて、薬効を長期間にわたって継続させることが難しくなるという問題があった。
さらに、シートタイプの蒸散剤では、そのシート面の大きさにより前記袋体との接触面積が決定されてしまい、その接触面積により蒸散量がほぼ決まってしまうため、蒸散量のコントロールが極めて困難になるという問題もあった。
【0009】
さらに又、シートタイプの蒸散剤の場合は、蒸散効果の持続性を向上させるために薬液の含浸量を増大させようとすれば、その厚みを大きくしなければならず、この厚みを大きくすると、シートタイプの利点でもあったフレキシビリティが損なわれて、例えば流通過程上の搬送作業等で破損し易くなるなど、取り扱い性等の点で不便が生じる等の問題があった。
また、例えば樟脳のような固体の薬剤は、昇華によって実体が消滅してゆくことで薬効の終点を容易に確認することができるが、蒸散性の薬液を適当な保持体に含浸させてなる蒸散剤の場合には、保持体の実体自体は消滅しないため、薬効の終点の確認が難しく、薬効が既に切れているのに交換を忘れるとか、あるいは薬効が残っているのに交換してしまうといった不都合が生じる虞もあった。
【0010】
そこで、本考案の目的は上記課題を解消することにあり、蒸散性の薬液の効果を使用開始初期から充分に発揮させることができると同時に、蒸散量を適正に制御して長期にわたって薬液の効力を持続させることができて、防虫剤等としての利用を始めとして多様な用途に便利に使用することができる蒸散剤パックおよび蒸散材包装体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本考案の上記目的は、蒸散剤が、吸液素材(無機多孔性物質を除く)を粒形状に成形した保持体に蒸散液を含浸させた粒形状のものであり、さらに通気性を有しかつフレキシブルな袋体に、蒸散剤全体の表面積を粒径の大きさと個数により制御し、蒸散量をコントロールする多数個の前記粒形状の蒸散剤が収納されており、かつ前記袋体に前記蒸散剤を収納して得られた蒸散剤パックが蒸散剤パック自体の形状が粒形状蒸散剤の流動性と相まって自由に変形するようにフレキシブルであることを特徴とする衣類防虫用蒸散剤パックにより達成される。
また、前記蒸散剤を収納するフレキシブルな袋体が吸液性を有していることを特徴とする衣類防虫用蒸散剤パックによっても上記目的を達成することができる。
【0012】
また、通気性を有しかつフレキシブルな袋体に、蒸散剤全体の表面積を粒径の大きさと個数により制御し、蒸散量をコントロールする多数個の粒形状の蒸散剤が収納されており、前記粒形状の蒸散剤は、吸液素材(無機多孔性物質を除く)に加えて無機粉を添加混合したものを粒形状に成形された保持体に蒸散液を含浸させてなり、かつ前記袋体に前記蒸散剤を収納して得られた蒸散剤パックが蒸散剤パック自体の形状が粒形状蒸散剤の流動性と相まって自由に変形するようにフレキシブルであることを特徴とする衣類防虫用蒸散剤パックによっても上記目的を達成することができる。
また、通気性を有しかつフレキシブルな袋体に、蒸散剤全体の表面積を粒径の大きさと個数により制御し、蒸散量をコントロールする多数個の粒形状の蒸散剤が収納されており、前記粒形状の蒸散剤は吸液素材(無機多孔性物質を除く)を粒形状に成形した保持体に薬効を持つ蒸散液とこの蒸散液の薬効の終点を明示するインジケータを含浸させてなり、かつ前記袋体に前記蒸散剤を収納して得られた蒸散剤パックが蒸散剤パック自体の形状が粒形状蒸散剤の流動性と相まって自由に変形するようにフレキシブルであることを特徴とする衣類防虫用蒸散剤パック、或いは前記袋体にインジケータ機能を持たせたことを特徴とする衣類防虫用蒸散剤パックによっても上記目的を達成することができる。
なお、以下では簡略のために「吸液素材(無機多孔性物質を除く)」を単に「吸液素材」という。
【0013】
また、気密性を有した外側包装袋の中に上記のいずれかの蒸散剤パックを複数個収容してなることを特徴とする蒸散材包装体によっても上記目的を達成することができる。
また、上記の蒸散材包装体の構成に加えて、前記外側包装袋はその外側包装袋の表面には、指定範囲を切除することにより収容されている蒸散剤パックの蒸散成分を袋外に散逸させる蒸散調整口となる切除指定目印が設けられていることを特徴とする蒸散材包装体によっても上記目的を達成することができる。
また、前記外側包装袋に装備される切除指定目印として、蒸散剤の使用条件に応じて前記蒸散調整口の開口面積を選択し得るように、使用条件別に複数の切除指定目印が設けられていることを特徴とする蒸散材包装体によっても上記目的を達成することができる。
また、前記外側包装袋の切除指定目印は、当該外側包装袋上の複数箇所に分散して設けられていることを特徴とした蒸散材包装体によっても上記目的を達成することができる。
更に、前記外側包装袋は少なくとも一部が該外側包装袋内部を目視可能な光透過性の素材により構成されたことを特徴とする上記にいずれかの蒸散材包装体によっても上記目的は達成される。
【0014】
【作用】
本考案の上記構成によれば、蒸散剤は吸液素材によって粒形状に成形された保持体に所定の薬効を有した蒸散液を含浸させた構成であり、蒸散剤パックとして一つの袋体に収納された複数個の蒸散剤全体の表面積のコントロールは、粒形状をなした各保持体の粒径の大きさや個数により柔軟に制御することができ、この表面積コントロールに際しても全体体積が大きく変化することを回避することができる。そして、全体の体積をそれほど変えずに表面積等を調整し得るということは、袋体として薬効の継続期間等の仕様別に種々の大きさのものを用意しておいて使い分けるといったことがなくなり、製品種類を低減させることが可能になると同時に、製造に必要な袋体等の部材の管理が容易になり、生産コストの低下を図ると同時に生産性を向上させることが可能になる。
【0015】
さらに蒸散剤を収納する袋体は通気性を有しかつフレキシブルな構成ものであるので、収納した粒形状の蒸散剤の持つ流動性と合せて、蒸散剤パックはその形状を使用箇所の形状等に合せて自由に変形させることができ、例えば、流通過程等における搬送処理時や消費者の使用時における破損防止および使い勝手の向上を果たし、多様な用途に便利に使用することが可能になる。
また前記蒸散剤が吸液性のあるフレキシブルな袋体中にある場合、蒸散剤が粒形状であることから袋体と蒸散剤との面接触による蒸散の補助の行き過ぎを抑えつつ、その反面で蒸散を適度に進める作用を持たせることができ、さらに、袋体を傾けることによって内部の蒸散剤の重なり状態並びに蒸散剤と袋体との接触状態を変えることができ、これらによって、蒸散量のコントロールをより適正に行うことが可能になり、蒸散性の薬液の効果を使用開始初期から充分に発揮させることが可能になると同時に、蒸散量を適正に制御して長期にわたって薬液の効力を持続させることが可能になる。
【0016】
また、蒸散剤となる粒形状の保持体には予め無機粉を添加する構成としており、前記無機粉として例えば硅石粉等を使用すれば、保持体の重量を増やし、重量感のある蒸散剤を得ることが可能になり、軽過ぎるために商品価値が見劣りすることを防止すると同時に、質感の向上によって取り扱い性を向上させることも期待できる。
また、蒸散剤は吸液素材を粒形状に成形してなる保持体に所定の薬効を持つ蒸散液とこの蒸散液の薬効の継続期間の終点を明示するインジケータとを含浸させた構成で、該蒸散剤の薬効の有無は前記インジケータによる明示によっていつでも容易に確認することが可能になるため、薬効が残っているのにそれを確認できないために交換してしまったり、あるいは薬効が切れているの交換を忘れるといった不都合の発生を防止することができる。
前記袋体にインジケータ機能を持たせることによって蒸散剤が見えない場合でも薬効が残っているか否かを確認できる。
【0017】
また、複数個の蒸散剤パックを気密性を有した外側包装袋に収容した形態で提供する場合、前記外側包装袋を開封して、蒸散剤パック単位で利用する場合には、狭いところ例えば和ダンス内の着物間に入れる場合や洋服ダンス内の衣類のポケット等に蒸散剤パックを入れて用いるのに適し、使用する蒸散剤パックの個数を適宜選択することで、タンス等の使用箇所の容積等に合せて蒸散量をより細かく制御することができる。
また、外側包装袋を破損させずに、該外側包装袋に装備されている切除指定目印に従って外側包装袋の一部を切除した場合には、該外側包装袋自体を、大量の蒸散剤を収容した蒸散剤容器として利用することができ、そして、このような利用をする場合には、使用条件に応じて外側包装袋に装備されている切除指定目印を選択して切除することによって、使用条件に合致した蒸散量を得ることが可能になる。よって、必要となる蒸散量が異なる多様な用途にも、柔軟に対応することが可能になる。
更にまた、外側包装袋の少なくとも一部が該外側包装袋内部を目視可能な光透過性の素材により構成されていることにより、インジケータによる表示を外側包装袋の外部から確認することができる。
【0018】
また、一つの外側包装袋内に複数個の蒸散剤パックを収容したことによって、搬送時や陳列時等には同梱されている蒸散剤パック相互が互いに他の蒸散剤パックに対して緩衝効果を生むため、さらに外側包装袋自体の破損が防止され、また内部の蒸散剤パック同志が互いに保護し合い、外側包装袋自体の破損搬送作業や陳列作業時に衝撃等で蒸散剤が破損するといった不都合の発生を防止する効果が一段と向上し、取り扱いが容易になるといった効果も得られる。
【0019】
【実施例】
図1は、本考案に係る蒸散材包装体の一実施例を示したものである。この一実施例の蒸散材包装体は、防虫剤や芳香剤等として使用される蒸散剤に所定の包装を施した構成をなしたもので、複数個の蒸散剤パック1と、前記複数個の蒸散剤パック1を密封する外側包装袋3とを備えた構成とされている。
以下、これらの各構成要素について順に詳述する。
【0020】
前記蒸散剤パック1は、蒸散剤5を通気性および吸液性を有したフレキシブルな袋体6に収納した構成をなしている。ここに、前記蒸散剤5は、吸油性および吸液性を有した素材に無機粉を添加混合した後に小さな粒形状に成形した保持体に、所定の薬効を有する蒸散液と該蒸散液の薬効の終点を明示するインジケータとを含浸させたものである。
【0021】
この一実施例の場合は、吸油性および吸液性を有した素材としては、紙素材を多孔性の粒状に成形したものを使用している。なお、吸油性および吸液性を有した素材としては、上記のものの他に、例えば、紙(水筆用紙も含む)、不織布、布、木材、ベニア、木粉、パルプ、無機高分子物質、有機高分子物質(セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体等)、ゲル化物質(寒天、カラギーナン、澱粉、ゼラチン、アルギン酸等)、昇華性物質(アダマンタン、シクロドデカン、ノルボルナン、トリメチルノルボルナン、エンド-トリメチルノルボルナン、パラジクロロベンゼン、ナフタリン、樟脳等)を利用することも可能である。また、これらの素材の内の一種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0022】
前記蒸散剤5は、この一実施例では、粒径が4?6mm(4mmのふるいを通過せず、6mmのふるいを通過したもの)の粒状としており、蒸散剤パック1の1包当たりには、約2gの蒸散剤5(約63粒?79粒)を充填することとしている。しかし、この蒸散剤5の粒形状は、特に限定するものではなく、例えば、図2の(a)に示す略球形状、図2の(b)に示す円柱錠剤形状、図2の(c)に示す矩形錠剤形状などの他、粉状など任意の剤型で使用することができる。そして、2種以上の剤型を混在させてもかまわない。また、蒸散剤5の粒の形状や大きさは、前述のように多少不均一であってもかまわない。
【0023】
この一実施例の場合、保持体に添加混合した無機粉は、硅石粉である。これは、蒸散剤5に適当な重量を付与するために添加されている。この無機粉は、例えば防虫剤等としての機能を得るために保持体に含浸させる蒸散液と化学反応しない材質のものであれば、一実施例として示した物以外であってもよい。
【0024】
また、前記蒸散液としては、常温状態において蒸散性を有する液状の各種薬剤を使用することができるが、この一実施例では、防虫剤(べーパスリン)を有効量例えば35mgと、ジエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル=減感剤(2-EHDG)を5?60mgと、ロイコ体(ブルー63)を0.1?10mgと、イソパラフィン、流動パラフィン=発色助剤(3435プロセスオイル)を0?35mgと、3-メチル-4-イソプロピルフェノール(防黴剤)を適量mgと、オイルピンク#312(着色剤)を適量とをエタノール適量に溶解させた成分組成のものを蒸散液として使用している。
【0025】
この成分組成において、2-EHDG、ブルー63、3435プロセスオイル等は、蒸散液による効力の終点を色の変化で示すインジケータを構成するもので、蒸散剤5の使用時に蒸散剤5の発色を変化させることによって使用者に防虫剤等としての効力の有無を知らせる。
【0026】
なお、効力の終点を色の変化で通知するインジケータとしては、上記の構成に限定するものではなく、公知の種々の方法を利用することが可能である。公知のインジケータとしては、代表的なものを次の[1]?[8]に示す。
[1]特開昭61-56108号公報および特開昭61-56109号公報に記載のもので、可塑剤又はべーパスリンを発色紙に含浸させる。ここに、前記発色紙は、着色層ならびに、低屈折率顔料を含む耐油性,油透過性を示す地色層からなり、屈折率の変化で発色し、消色で効力の終点を示すもの。
[2]特開昭62-4206号公報に記載のもので、べーパスリンまたはべーパスリンに共力剤(PB又はサイネピリン500)を混合した液を一部に印刷のある発色紙に含浸させ、該発色紙上の消色と印刷の残色で効力の終点を示すもの。使用する発色紙自体は、前記[1]に記載のものと同様である。
[3]特開昭62-163965号公報および特開昭62-179640号公報に記載のもので、揮散性減感性薬剤と電子供与性呈色性有機化合物と顕色剤からなる薬効指示性組成物を用い、前記揮散性減感性薬剤の揮散による呈色反応の色調の変化で効力の終点を示すもの。
[4]特開昭62-235562号公報に記載のもので、揮散薬剤等に付けて使用して該薬剤の終点を示す指示体と、所定の薬剤を含浸・塗布・保持させた保持体とを組合わせてなり、前記保持体に含浸・塗布・保持させる薬剤は、電子供与性呈色性有機化合物、減感剤、顕色剤などから構成したもの。
[5]特開昭62-281802号公報に記載のもので、揮散性顕色薬剤又は該薬剤と同等の揮散性の化合物と、電子供与性呈色性有機化合物と、減感剤とからなる薬効指示性組成物を用いたもの。
[6]特開昭63-60901号公報に記載のもので、常温揮散性の減感性防虫薬剤と電子供与性呈色性有機化合物と顕色剤とを含浸させた含浸体を、前記減感性防虫薬剤に対して透過性を有した透明又は半透明の包装材にて包み、該包装材の発色により効力の終点を示すもの。また、前記減感性防虫薬剤としてエンペンスリンを使用したり、前記包装材に模様を付けたもの。
[7]特開昭63-101301号公報に記載のもので、常温揮散性薬剤を含んだ有色または経時変色する組成物を含浸体に含浸させ、該含浸体を目付け35-70g/m^(2)の合成繊維の不織布で包装したもの。
[8]特開昭64-79284号公報に記載のもので、重合度200?1540のPEG溶液を、液体を含浸する事で呈色する水筆用紙に含浸させたもの。
【0027】
また、蒸散液として使用する薬剤としては、常温状態において蒸散性を有するものであればよく、一実施例として示した前述のものの他に、例えば、(R,S)-1-エチニル-2-メチルペント-2-エニル(IR)-シス、トランスクリサンテマート、1-エチニル-2-メチル-2-ペンテニル-2,2-ジメチル-3-(2’,2’-ジクロルビニル)-シクロプロパン-1-カルボキシレート、1-エチニル-2-メチル-2-ペンテニル-2,2-ジメチル-3-(2’-メチル-1’-プロペニル)-シクロプロパン-1-カルボキシレート、1-エチニル-2-メチル-2-ペンテニル2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、ベンフルスリン、フェンフルスリン等のピレスロイド系の殺虫殺ダニ化合物、DDVP、スミチオン等の有機リン系の殺虫殺ダニ化合物、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フマル酸ジエチル、N,N-ジエチル-m-トルアミド等の防虫・忌避剤、安息香酸エチル、サフロール、インサフロール、オイゲノール、シトロネロール、アネトール、1-カルボン酸等の防虫性香料、シトラール、シトロネラール、ネロール、ゲラニオール、酢酸リナシル、アセトフェノン、テルピネオール、メントン、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸イソアミル、ユーカリプトール等の香料、ケイ皮アルデヒド、ベンズアルデヒド等の防虫・防黴剤、サリチル酸フェニール、メントール等の防虫殺ダニ化合物などを挙げることができる。
上述の各種薬剤は、周知のごとく単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができるものであり、防虫剤、殺虫剤、殺虫殺ダニ剤、防殺虫剤、防虫芳香剤、防虫・防黴剤として使用することができるものである。
【0028】
前記袋体6は、例えば、天然繊維(和紙)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル、ポリプロピレン、セルロースなどの合成繊維を、単独であるいは組み合わせて不織布や織布、あるいは微多孔性フィルムやラミネートフィルムとした蒸散成分が透過するものを袋状に成形したもので、この一実施例の場合は、15?70g/m^(2)の不織布を袋状に成形したものを利用している。そして、一実施例における袋体6は、図3に示すように、粒形状の蒸散剤5を内部に収納した後に、その開口をヒートシールなどにより接着して塞ぐことによって形成される。なお、この一実施例では、生産性を高めることから、袋体6は予め長尺の筒状に成形し、その筒状体内に蒸散剤5を適量装填した後に該長尺の筒状体上を一定ピッチでヒートシールすることにより、図4に示すように、複数個の蒸散剤パック1を連続した形態で得る生産法を採用することができる。
しかし、前記袋体6は、図5に示すように、例えば長方形状の不織布の中央を折り曲げるように形成して、該長方形状の不織布の外周縁部分を接着部7として、その内部に適量の蒸散剤5を収納するようにしてもよい。さらに、この袋体6の形状においても図示の形態に限定するものではない。
【0029】
前記外側包装袋3は、気密性の高いシート状部材を袋状に加工してなるもので、当該外側包装袋3の表面には、図1にも示しているように、指定範囲を切除することにより収容している蒸散剤パック1の蒸散成分を袋外に散逸させる蒸散調整口となる切除指定目印8a,8bが装備されている。外側包装袋3は、気密性を高めることから、合成樹脂等による気密性シートや、裏面にアルミニウム層を形成したラミネート構造の気密性シートをヒートシールして袋状に成形することによって得る。また、この一実施例の場合は、外側包装袋3の一端側には、ヒートシールした端部より少し内側に、開閉チャック9が装備されている。この開閉チャック9は、ヒートシールされている端部を切除して外側包装袋3の一端を開口させ、必要量の蒸散剤パック1を取り出したら再び外側包装袋3の開口を密封したい場合に用いるものである。
なお、上述の開閉チャック9は特になくてもよい。
【0030】
前記切除指定目印8a,8bは、図6にも示しているように、袋の4隅に分散して装備されている。これらの切除指定目印8a,8bは、袋の隅を三角形状に切除するための輪郭を描いたものであるが、互いに切除する大きさが異なっている。このような切除する大きさの相違は、蒸散剤の使用条件(例えば、使用空間の容積や要求される蒸散成分の薬効の強度など)に応じて蒸散調整口の開口面積を選択し得るように、使用条件別に装備したもので、図1および図6には図示していないが、それぞれの切除指定目印8a,8bは色分けや説明文の印刷等によって使用条件が識別可能にされている。
【0031】
なお、図6は、片隅における切除指定目印8aに沿って、外側包装袋3の一部を切除した状態を示している。符号の8cは、切除指定目印8aに沿った切除によって開口した蒸散調整口を示している。
この切除指定目印は単なる目印でハサミ等によって切除する構成であってもよいが、その他に密閉性を保つことができる構成であればミシン目の構成や適宜切り目を入れた構成として手指にて開口できるようにしてもよい。
【0032】
以上の一実施例の蒸散剤パック1では、蒸散剤5は吸液素材によって粒形状に成形された保持体に所定の薬効を有した蒸散液を含浸させた構成であり、蒸散剤パック1として一つの袋体6に収納された複数個の蒸散剤5全体の表面積のコントロールは、粒形状をなした各保持体の粒径の大きさや個数により柔軟に制御することができ、この表面積コントロールに際しても全体体積が大きく変化することを回避することができる。そして、全体の体積をそれほど変えずに表面積等を調整し得るということは、袋体6として薬効の継続期間等の仕様別に種々の大きさのものを用意しておいて使い分けるといったことがなくなり、製品種類を低減させることが可能になると同時に、製造に必要な袋体6等の部材の管理が容易になり、生産コストの低下を図ると同時に生産性を向上させることが可能になる。
本考案者の試験結果によれば、収容している複数個の蒸散剤5の表面積の総和は袋体6の表面積よりも大きくすることができ、これにより蒸散量を格段に多くできる。一方、効能期間を長くすべく例えば蒸散剤5の粒径を大きくした時などは、袋体6の表面積全体に対して2%程度の場合の使用形態でもその効果を十分に発揮できることが明らかになった。
【0033】
さらに蒸散剤5を収納する袋体6は通気性を有しかつフレキシブルな構成ものであるので、収納した粒形状の蒸散剤5の持つ流動性と合せて、蒸散剤パック1はその形状を使用箇所の形状等に合せて自由に変形させることができ、例えば、流通過程等における搬送処理時や消費者の使用時における破損防止および使い勝手の向上を果たし、多様な用途に便利に使用することが可能になる。
また前記蒸散剤5が吸液性のあるフレキシブルな袋体6中にある場合、蒸散剤5が粒形状であることから袋体6と蒸散剤5との面接触による蒸散の補助の行き過ぎを抑えつつ、その反面で蒸散を適度に進める作用を持たせることができ、さらに、袋体6を傾けることによって内部の蒸散剤5の重なり状態並びに蒸散剤5と袋体6との接触状態を変えることができ、これらによって、蒸散量のコントロールをより適正に行うことが可能になり、蒸散性の薬液の効果を使用開始初期から充分に発揮させることが可能になると同時に、蒸散量を適正に制御して長期にわたって薬液の効力を持続させることが可能になる。
【0034】
また、蒸散剤5となる粒形状の保持体には予め無機粉を添加する構成としており、前記無機粉として例えば硅石粉等を使用すれば、保持体の重量を増やし、重量感のある蒸散剤を得ることが可能になり、軽過ぎるために商品価値が見劣りすることを防止すると同時に、質感の向上によって取り扱い性を向上させることも期待できる。また、中性あるいは酸性に無機粉を混ぜることで、インジケータにおける顕色作用を持たせることができる。
また、蒸散剤5は吸液素材を粒形状に成形してなる保持体に所定の薬効を持つ蒸散液とこの蒸散液の薬効の継続期間の終点を明示するインジケータとを含浸させた構成で、該蒸散剤5の薬効の有無は前記インジケータによる明示によっていつでも容易に確認することが可能になるため、薬効が残っているのにそれを確認できないために交換してしまったり、あるいは薬効が切れているのに交換を忘れるといった不都合の発生を防止することができる。
【0035】
また、複数個の蒸散剤パック1を気密性を有した外側包装袋3に収容した形態で提供するため、前記外側包装袋3を開封して、蒸散剤パック1単位で利用する場合には、狭いところ例えば和ダンス内の着物間に入れる場合に適し、使用する蒸散剤パック1の個数を適宜選択することで、タンス等の使用箇所の容積等に合せて蒸散量をより細かく制御することができる。そして、外側包装袋3を大きく開封せずに、該外側包装袋3に装備されている切除指定目印8a,8bに従って外側包装袋3の一部を切除した場合には、該外側包装袋自体を、大量の蒸散剤5を収容した蒸散剤容器として利用することができ、そして、このような利用をする場合には、使用条件に応じて外側包装袋3に装備されている切除指定目印8a,8bを選択して切除することによって、使用条件に合致した蒸散量を得ることが可能になる。よって、必要となる蒸散量が異なる多様な用途にも、柔軟に対応することが可能になる。
【0036】
また、一つの外側包装袋3内に複数個の蒸散剤パック1を収容したことによって、搬送時や陳列時等には同梱されている蒸散剤パック1相互が互いに他の蒸散剤パック1に対して緩衝効果を生むため、さらに外側包装袋3自体が内部の蒸散剤パック1を保護するため、搬送作業や陳列作業時に衝撃等で蒸散剤が破損するといった不都合の発生を防止する効果が一段と向上し、取り扱いが容易になるといった効果も得られる。
したがって、一実施例の蒸散材包装体によれば、防虫剤等の蒸散剤5を、和ダンスにも洋ダンスにも共通して使用することができるとともに、使用条件に応じて柔軟に蒸散量を調節することができて、消費者側における使い勝手を著しく向上させることができる。そして、さらには、販売者側では、例えば、洋ダンス用と和ダンス用、あるいは小スペース用と大スペース用といった用途別に多種の製品を生産管理する必要がなくなり、販売者側での管理等を単純化することも可能になる。
【0037】
なお、前記袋体6の材質としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル、ポリプロピレン、セルロースなどの単独あるいは組合せの合成繊維で構成された不織布や微多孔性フィルムを使用することができる。そして、その不織布は、例えば15?75g/m^(2)程度の目付のものを使用することができ、このような構造の不織布で包装することによって、蒸散剤5の薬剤が不織布を介して他物質へ移行するのを防止できるだけでなく、不織布は充分な気体透過性を有していることによって、薬剤の蒸散をそれ程犠牲にすることなく接触汚染を防止することが可能である。
上記のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、アクリルなどの合成繊維製不織布は微少空隙を有しているにも拘わらず、保持体から薬液を吸収しにくい性質を有している。
尚、前記袋体6に使用される不織布の目付は、蒸散剤5に含浸させた薬剤や保持体の材質および粒径等により適宜選定できるものであり、例えば15g/m^(2)より小さい場合、不織布は薄くかつ粗い目になることから、蒸散剤5の確実な収納にも影響がでる可能性があるだけでなく、薬液汚染の防止効果が低下してしまう。また、75g/m^(2)より大きくなった場合、袋体2は厚くなり且つ目も細かくなるために通気性がなくなり、薬剤蒸散量が極端に低下してしまうために望ましくないものである。また、袋体6の厚み等によりインジケータに色が見えなくなるような場合には、この袋体自身にインジケータ機能を持たせることにより、インジケータ機能を正確にすることができる。
【0038】
また、一実施例では、使用条件別に2種類の切除指定目印を外側包装袋3の4隅に設けることとしたが、切除指定目印を設ける位置や、設ける数、および使用条件の種類等は、一実施例に限定するものではない。設置箇所を1ヵ所に集約させたり、あるいは任意の複数箇所とすることもできるし、蒸散調整口の開口面積を調整する切除指定目印の種類も3つ以上に設定して細かく調整可能にすることも考えられる。
また、蒸散調整口の開口面積の調整には、外側包装袋3に複数の孔を開けてこの孔を粘着性のシートにより塞いでおき、このシートを剥がす量により調整することができる。さらに、前述の開閉チャック9の開放度合いを調節することによっても蒸散量を調節することができる。
また、前記蒸散剤5の材料である保持体の製造方法は特に限定するものではなく、例えば粒形状のパルプを製造し、この粒状パルプを乾燥させた状態から、これに所望の後述する薬剤を吸収させることで製造することもできる。このように製造した保持体は、その自重の5倍?30倍程度の吸油性を有している。なお、この乾燥した粒状パルプの製造方法については、例えば特公昭62-60491号公報等に示されている。
【0039】
【考案の効果】
本考案の蒸散材包装体によれば、蒸散剤は吸液素材によって粒形状に成形された保持体に所定の薬効を有した蒸散液を含浸させた構成であり、蒸散剤パックとして一つの袋体に収納された複数個の蒸散剤全体の表面積のコントロールは、粒形状をなした各保持体の粒径の大きさや個数により柔軟に制御することができ、この表面積コントロールに際しても全体体積が大きく変化することを回避することができる。そして、全体の体積をそれほど変えずに表面積等を調整し得るということは、袋体として薬効の継続期間等の仕様別に種々の大きさのものを用意しておいて使い分けるといったことがなくなり、製品種類を低減させることが可能になると同時に、製造に必要な袋体等の部材の管理が容易になり、生産コストの低下を図ると同時に生産性を向上させることが可能になる。
さらに蒸散剤を収納する袋体は通気性を有しかつフレキシブルな構成ものであるので、収納した粒形状の蒸散剤の持つ流動性と合せて、蒸散剤パックはその形状を使用箇所の形状等に合せて自由に変形させることができ、例えば、流通過程等における搬送処理時や消費者の使用時における破損防止および使い勝手の向上を果たし、多様な用途に便利に使用することが可能になる。
また前記蒸散剤が吸液性のあるフレキシブルな袋体中にある場合、蒸散剤が粒形状であることから袋体と蒸散剤との面接触による蒸散の補助の行き過ぎを抑えつつ、その反面で蒸散を適度に進める作用を持たせることができ、さらに、袋体を傾けることによって内部の蒸散剤の重なり状態並びに蒸散剤と袋体との接触状態を変えることができ、これらによって、蒸散量のコントロールをより適正に行うことが可能になり、蒸散性の薬液の効果を使用開始初期から充分に発揮させることが可能になると同時に、蒸散量を適正に制御して長期にわたって薬液の効力を持続させることが可能になる。
また、蒸散剤となる粒形状の保持体には予め無機粉を添加する構成としており、前記無機粉として例えば硅石粉等を使用すれば、保持体の重量を増やし、重量感のある蒸散剤を得ることが可能になり、軽過ぎるために商品価値が見劣りすることを防止すると同時に、質感の向上によって取り扱い性を向上させることも期待できる。
また、蒸散剤は吸液素材を粒形状に成形してなる保持体に所定の薬効を持つ蒸散液とこの蒸散液の薬効の継続期間の終点を明示するインジケータとを含浸させた構成で、該蒸散剤の薬効の有無は前記インジケータによる明示によっていつでも容易に確認することが可能になるため、薬効が残っているのにそれを確認できないために交換してしまったり、あるいは薬効が切れているの交換を忘れるといった不都合の発生を防止することができる。さらに、袋体にインジケータ機能を持たせるようにすることにより、袋体内の蒸散剤が見えない場合にもインジケータ機能を発揮することができる。
また、複数個の蒸散剤パックを気密性を有した外側包装袋に収容した形態で提供する場合、前記外側包装袋を開封して、蒸散剤パック単位で利用する場合には、狭いところ例えば和ダンス内の着物間に入れる場合に適し、使用する蒸散剤パックの個数を適宜選択することで、タンス等の使用箇所の容積等に合せて蒸散量をより細かく制御することができる。
また、外側包装袋を大きく開封せずに、該外側包装袋に装備されている切除指定目印に従って外側包装袋の一部を切除した場合には、該外側包装袋自体を、大量の蒸散剤を収容した蒸散剤容器として利用することができ、そして、このような利用をする場合には、使用条件に応じて外側包装袋に装備されている切除指定目印を選択して切除することによって、使用条件に合致した蒸散量を得ることが可能になる。よって、必要となる蒸散量が異なる多様な用途にも、柔軟に対応することが可能になる。
また、一つの外側包装袋内に複数個の蒸散剤パックを収容したことによって、搬送時や陳列時等には同梱されている蒸散剤パック相互が互いに他の蒸散剤パックに対して緩衝効果を生むため、さらに外側包装袋自体が内部の蒸散剤パックを保護するため、搬送作業や陳列作業時に衝撃等で蒸散剤が破損するといった不都合の発生を防止する効果が一段と向上し、取り扱いが容易になるといった効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の一実施例の概略構成を示す斜視図である。
【図2】
図1に示す蒸散剤の粒形状を説明する斜視図である。
【図3】
図1に示す蒸散剤パックの斜視図である。
【図4】
図1の蒸散剤パックの製造形態の説明図である。
【図5】
本考案に係る蒸散剤パックの他の実施例の説明図である。
【図6】
図1の外側包装袋の説明図である。
【符号の説明】
1 蒸散剤パック
3 外側包装袋
5 蒸散剤
6 袋体
7 接着部
8a,8b 切除指定目印
8c 蒸散調整口
9 開閉チャック
訂正の要旨 訂正の要旨
ア.訂正事項a
実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載について、「吸液素材」とあるのを「吸液素材(無機多孔性物質を除く)」と訂正する。
イ.訂正事項b
実用新案登録請求の範囲の請求項2の記載について、「吸液素材に」とあるのを「吸液素材(無機多孔性物質を除く)に加えて」と訂正する。
ウ.訂正事項c
実用新案登録請求の範囲の請求項3の記載について、「吸液素材」とあるのを「吸液素材(無機多孔性物質を除く)」と訂正する。
エ.訂正事項d
考案の詳細な説明の段落【0011】の記載について、「吸液素材」とあるのを「吸液素材(無機多孔性物質を除く)」と訂正する。
オ.訂正事項e
段落【0012】の記載について、「吸液素材に無機粉を」とあるのを「吸液素材(無機多孔性物質を除く)に加えて無機粉を」と訂正する。
カ.訂正事項f
段落【0012】の記載について、「吸液素材を粒形状に」とあるのを「吸液素材(無機多孔性物質を除く)を粒形状に」と訂正する。
キ.訂正事項g
段落【0012】の記載について、「上記目的を達成することができる。」とあるのを「上記目的を達成することができる。なお、以下では簡略のために「吸液素材(無機多孔性物質を除く)」を単に「吸液素材」という。」と訂正する。
ク.訂正事項h
段落【0021】の記載について、「無機多孔性物質(ケイ酸塩、シリカ、ゼオライト等)、」を削除する。
異議決定日 2002-01-25 
出願番号 実願平5-44262 
審決分類 U 1 651・ 121- ZA (A01N)
最終処分 取消  
前審関与審査官 山田 泰之高堀 栄二  
特許庁審判長 花田 吉秋
特許庁審判官 岩瀬 眞紀子
佐藤 修
登録日 1999-05-21 
登録番号 実用新案登録第2597878号(U2597878) 
権利者 アース製薬株式会社
東京都千代田区神田美土代町9番1号
考案の名称 蒸散剤パックおよび蒸散材包装体  
代理人 鳥居 洋  
代理人 市川 利光  
代理人 本多 弘徳  
代理人 添田 全一  
代理人 市川 利光  
代理人 小栗 昌平  
代理人 添田 全一  
代理人 高松 猛  
代理人 栗宇 百合子  
代理人 高松 猛  
代理人 栗宇 百合子  
代理人 本多 弘徳  
代理人 小栗 昌平  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ