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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A24B
管理番号 1061344
審判番号 不服2001-12263  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-07-13 
確定日 2002-06-14 
事件の表示 平成5年実用新案登録願第65352号「葉たばこハンガー装置」拒絶査定に対する審判事件[平成7年6月27日出願公開、実開平7-34695]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案

本願は、平成5年12月7日の出願であって、その請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のものである。

「生葉を串刺し状に吊下せしめる複数本の串刺しピン22、22、…と、該串刺しピン22、22、…を所定間隔を有してほぼ平行に突出固定せしめる固定桿21と、該固定桿21から突設されて前記串刺しピン22、22…が上方を向く状態に前記固定桿21を支持するスタンド部23と、前記固定桿21を支持固定するとともに、その下面に移動案内部51が形成された支持固定部31と、前記串刺しピン22、22、…の延出方向に摺動自在に、かつ該串刺しピン22、22、…の配列方向に平行な軸42を中心にして前記支持固定部31に回動自在に枢着された串刺しピン支持部材24と、該串刺しピン支持部材24の摺動を制止せしめるストッパー部材32と、からなることを特徴とする葉たばこハンガー装置。」

2.引用刊行物記載の考案

(1)これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、平成5年10月に発行された、藤倉秋男「コンパクト乾燥機に対応した吊具(連縄バインダー)の開発」、財団法人日本葉たばこ技術開発協会会報第30号、第7?14頁(以下「引例1」という。)には次の事項が図面と共に記載されている。

(イ)「当センターでは、連縄バインダー(図-1)の開発に当たっては、・・・・。すなわち、連縄バインダーは葉編みした連を折り畳み、そのまま取り付けできることを基本的な設定とし、その際、葉編みした連の取り付け時にホークを垂直にし、かつ、連取り付け後に葉押さえするための軽量丸鋼を用いたスタンド枠と、コンパクト乾燥機の吊枠上で連縄バインダーの移動を容易に行うため、バインダーの両端にキャスターを設置した。」(7頁右欄9?21行)
(ロ)「まず、葉たばこを編み付ける際、連縄を5?6つ折り(58cm程度)にたたむ。編み付けの終わった連縄の編み付け部分を手前にして持ち、ホーク部分が上向きになるように置いたバインダーの端から順次取り付けると3連取り付けることができる(写真-1)。」(9頁左欄4?9行)

3.対比
引例1に記載された考案も葉たばこハンガー装置であり、本願考案と同一の技術分野に属するものである。そして、引例1に示された「ホーク」「丸パイプφ25」「スタンド枠」「キャスター」「ホーク受け」がそれぞれ本願考案の「串刺しピン」「固定桿」「スタンド部」「移動案内部」「串刺しピン支持部材」に相当する。
また、引例1において、本願考案の「支持固定部」に対応する部材に名称が付けられていないが、引例1の図面中においてキャスターの取り付けられている部分が対応することは図面から明らかである。
したがって、本願考案と引例1に記載された考案を対比すると、
「生葉を串刺し状に吊下せしめる複数本の串刺しピンと、該串刺しピンを所定間隔を有してほぼ平行に突出固定せしめる固定桿と、該固定桿から突設されて前記串刺しピンが上方を向く状態に前記固定桿を支持するスタンド部と、前記固定桿を支持固定するとともに、その下面に移動案内部が形成された支持固定部と、串刺しピン支持部材と、からなることを特徴とする葉たばこハンガー装置。」
の点で一致しており、次の点で一応相違している。

相違点1:本願考案において、
串刺しピン支持部材が串刺しピンの延出方向に摺動自在に、かつ串刺しピンの配列方向に平行な軸を中心にして支持固定部に回動自在に枢着されているのに対し、
引例1に記載された考案においては、
串刺しピン支持部材と支持固定部との関係が明記されていない点。

相違点2:本願考案において、
串刺しピン支持部材の摺動を制止せしめるストッパー部材が設けられているのに対し、
引例1に記載された考案においては、
ストッパー部材が示されていない点。

4.当審の判断

上記相違点について、順次検討すると、

(1)相違点1について
引例1の8頁に示された、図-1には平面図と側面図及び斜視図が示されている。
そして、それぞれ同じ連縄バインダーを示したものであるが、平面図・側面図と斜視図はホーク受けの位置が異なっていることは、技術者であれば当然に認識できるものである。
また、ホーク受けの作用については、記載されていないものの、「ホーク受け」という以上、ホークを受けるものであることは明らかであり、平面図・側面図において「ホーク受け」は「ホーク」を受けている状態、すなわち「ホーク」の下側でホークを支える状態となっていることは当然に認識できることである。
ところで、ホークに葉たばこを取り付ける際に、上記(ロ)で指摘したように、「ホーク部分が上向きになるように置いたバインダーの端から順次取り付ける」のであるが、その時に平面図・側面図の状態では「ホーク受け」が邪魔となって、ホークに葉たばこを取り付けることができないことは明らかであり、葉たばこの取り付けに際しては、ホーク受けが、ホークから離れた状態となり得る必要があることも当然に認識できることである。
そして、当業者であれば、「ホーク」から「ホーク受け」が離れた状態の一形態として斜視図の状態があることも当然に認識できることである。
さてここで、平面図・側面図の状態と斜視図の状態の2位置を取り得るホーク受けの構造がどうなっているかということであるが、一般に特定の部材が2位置の状態を取る得るためには、
a.特定の部材を一度取り外して、別の位置で再度取り付けるか
b.特定の部材が何らかの構造によって、2位置の間で移動可能となっているか
のいずれかである。
そして、「ホーク」に葉たばこを取り付けるために、ホーク受けが着脱可能となっていれば斜視図の状態をとる必要はないことが明らかであり、また、斜視図に記載された「パイプ継ぎ手」の用語は一般にパイプとパイプを連結するものを意味することから、図面を見た当業者であれば、「ホーク受け」は「丸パイプφ25」と何らかの構造によって連結されかつ平面図・側面図の状態から、斜視図の状態へ移動可能となっていることも当然に認識できる程度の事項である。
そして、そのために、ホーク受けがその両端において回動自在に枢着されていることも図面から当然に認識できることである。
ところで、単にホーク受けが回動自在なだけであれば、平面図・側面図の状態から斜視図の状態へは「ホーク」が邪魔となって回動しないことも当然に認識できることであり、ホークを回避するための構造がさらに設けられていることも当然に認識できることである。
そして、「ホーク受け」が「ホーク」を回避しうる状態まで動かすための構造としてホーク受けをホークに沿って移動可能とすることも当業者であれば十分に想到しうる事項である。
したがって、引例1に記載された考案において、串刺しピン支持部材(引例1の「ホーク受け」に相当)が串刺しピン(引例1の「ホーク」に相当)の延出方向に摺動自在に、かつ串刺しピンの配列方向に平行な軸を中心にして支持固定部に回動自在に枢着されているようになすことは十分に想到しうる事項であり、相違点1に困難性は認められない。

(2)相違点2について
可動部がある場合に、それが不用意に移動しないようになすことは、安全上の配慮から設計段階において当然に考慮する事項であり、ストッパー部材を設けること、すなわち相違点2にも困難性があったものとは認められない。

なお、審判請求人は請求の理由5頁5行?6頁5行で、一般的に考えて、ホーク受けの位置の移動の態様としては、種々の手段が考えられるものであり、ホーク受けの移動が回動と摺動に特定できない旨主張しているが、一般的に可動部は、回動と摺動の組み合わせで成り立っているものであり、回動と摺動以外のどのような種々の移動手段を想定しているのか不明であり、審判請求人の主張は認められない。

5.むすび

本願考案は、引例1に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-04-11 
結審通知日 2002-04-17 
審決日 2002-05-02 
出願番号 実願平5-65352 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (A24B)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 水野 治彦  
特許庁審判長 吉国 信雄
特許庁審判官 平岩 正一
山崎 豊
考案の名称 葉たばこハンガー装置  
代理人 関谷 三男  
代理人 平木 祐輔  

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