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審決分類 |
審判 査定不服 特29条の2 取り消して特許、登録 B42D |
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管理番号 | 1061347 |
審判番号 | 不服2000-13456 |
総通号数 | 32 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2002-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-08-24 |
確定日 | 2002-07-09 |
事件の表示 | 平成 5年実用新案登録願第 70476号「分解性を付与した切符」拒絶査定に対する審判事件〔平成 7年 7月18日出願公開、実開平 7- 40172、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の考案は、実用新案登録すべきものとする。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願考案 本願は、平成5年12月28日の出願であって、その請求項1ないし4に係る考案は、平成11年1月21日付け手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたとおりものもと認める。 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特願平5ー348696号(特開平7ー186583号公報)の出願当初の明細書(以下、先願明細書という。)には、以下の事項が記載されている。 「分解性を有する基材の少なくとも一方の面に、分解性を有する分解性プラスチック層を積層し、当該分解性プラスチック層または前記基材上に、分解性を有する分解性磁気記録層を形成して成ることを特徴とする情報記録媒体。」(請求項1) 「【0002】【従来の技術】現在、情報記録媒体の一つであるカードは、例えば身分を証明するIDカード、会員カードや金銭的価値を有するキャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、定期券、通行券をはじめとして、多くの分野で使用されてきている。」 「【0011】しかしながら、カード基材として紙を用いた場合には、耐久性、耐折り曲げ性、耐水性、耐薬品性、防水性、表面平滑性、光沢性、加工性等のカードとしての適性を考慮すると、全ての点で機能が劣る。」 「【0012】このため、紙単独での使用は、通行券や入場券、乗車券等の一時的な利用物のみに限定され、一定期間にわたって使用される上述したようなプリペイドカードには不向きである。」 「【0031】ここで、カード基材2としては、例えば紙等の分解性を有するものを用いることができる。」 「【0032】すなわち、一般的に用いられる統計カード用紙、厚紙等を用いることができ、機械にかけるため、平滑度が高く、腰が強く、反りがなく、厚さが均一で寸法が安定なものを用いる。さらに、上記の条件を見たしていれば、再生紙でも用いることができる。」 「【0044】一方、分解性磁気記録層4は、光または微生物により分解される分解性磁気インキにより形成される。」 「【0045】 この分解性磁気インキは、バインダーが光または微生物により分解されるように分解性を有しており、例えば、キトサン等の天然高分子、ポリ乳酸等のポリグリコリド、ポリビニルアルコール・でんぷん複合体等を溶解させ、磁気記録材料、分散剤等を添加してインキ化し、従来の紙・プラスチックカードの場合と同様に、分解性プラスチック層3に、バーコート、ブレードコート、エアナイフコート、グラビアコート、ロールコート等の公知の塗布方法により塗布し、乾燥して形成する。また、転写シート等に塗布形成した後、転写により分解性磁気記録層4を形成するようにしてもよい。」 「【0061】尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、次のようにしても同様に実施できるものである。」 「【0062】(a)上記実施例では、本発明による情報記録媒体を磁気カードに適用した場合について説明したが、これに限らず、その他の情報記録媒体についても、同様に適用して同様の効果が得られるものである。」 「【0065】【発明の効果】 以上説明したように本発明によれば、分解性を有する基材の少なくとも一方の面に、分解性を有する分解性プラスチック層を積層し、当該分解性プラスチック層または基材上に、分解性を有する分解性磁気記録層を形成して構成したので、耐久性、耐折り曲げ性、耐水性、耐薬品性、防水性、表面平滑性、光沢性、加工性等の特性を有するものとして、耐久性の向上を図ると同時に、磁気記録層も含めて媒体全体が分解性を有するものとして、廃棄後に放置されても自然に分解して廃棄性の向上を図ることが可能な情報記録媒体が提供できる。」 上記記載から、「分解性を有する基材」として「紙」が記載され、「分解性を有する分解性磁気記録層」のバインダーとして、本願明細書で例示されているポリ乳酸等のポリグリコリドが記載されているから、先願明細書には、「紙からなる基体の表面に、自然環境下またはアルカリ条件下で分解する樹脂組成物からなる磁気記録層を積層した情報記録媒体」が記載されているものと認められ、上記上記記録媒体は、一定期間にわたって使用されるようなプリペイドカード等を対象とし、カード基材として、統計カード用紙、厚紙等の平滑度が高く、腰が強く、反りがなく、厚さが均一で寸法が安定なものを用い、その表面に分解性プラスチックを積層して、耐久性、耐折り曲げ性、耐水性、耐薬品性、防水性、表面平滑性、光沢性、加工性等の特性を向上させ、さらに磁気記録層として分解性のものを用いることにより、カード全体の分解性を付与して廃棄性の向上を図るものと認められる。 3.対比・判断 (請求項1に係る考案) 本件請求項1に係る考案と先願明細書に記載の発明を対比すると、切符も情報記録媒体の一種であるから、両者は、「紙からなる基体の表面に、自然環境下またはアルカリ条件下で分解する樹脂組成物からなる磁気記録層を積層した情報記録媒体」である点で一致するが、先願明細書に記載の発明は、本件請求項1に係る考案を特定する事項である「紙からなる基体の表面に、自然環境下またはアルカリ条件下で分解する樹脂組成物からなる感熱記録層を積層」することは具備しておらず、しかも、先願明細書には、情報記録媒体として「切符」としての用途も示唆されていないから、本件請求項1に係る考案は、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできない。 (請求項2ないし4に係る考案) 本件請求項2ないし4に係る考案は、本件請求項1に係る考案を更に限定したものであるから、上記本件請求項1に係る考案についての判断と同様の理由により、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本件請求項1ないし4に係る考案は、実用新案法第3条の2第1項の規定に該当しない。 また、他に本件請求項1ないし4に係る考案を拒絶する理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2002-06-28 |
出願番号 | 実願平5-70476 |
審決分類 |
U
1
8・
16-
WY
(B42D)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 平井 聡子、河本 明彦 |
特許庁審判長 |
藤井 俊二 |
特許庁審判官 |
渡部 葉子 鈴木 寛治 |
考案の名称 | 分解性を付与した切符 |
代理人 | 苗村 新一 |
代理人 | 最上 正太郎 |