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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1061351 |
審判番号 | 不服2001-8133 |
総通号数 | 32 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2002-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-05-17 |
確定日 | 2002-06-28 |
事件の表示 | 平成 3年実用新案登録願第 62844号「CT装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 3月 5日出願公開、実開平 5- 17754]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成3年8月8日の出願であって、平成7年6月15日付けで手続補正がされ、平成13年4月9日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成13年5月17日付けで審判請求がされ、平成13年6月12日及び平成14年4月2日付けで手続補正がされたものである。 2.本願考案 本願考案は、明細書及び図面の記載からみて、上記平成14年4月2日付けで手続補正された実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 被検体からのデータを処理して画像を生成するCT装置であって、 前記被検体からの多量のデータを入力し、第1の記憶手段とデータの入出力を行ない、データ処理手段とデータの入出力を行ない、及び、第2の記憶手段とデータの入出力を行なうデータバススイッチ手段と 前記第1の記憶手段は、前記データバススイッチ手段からの多量のデータを入力しそのデータを循環的記憶部に出力し、記憶するデータが記憶容量の最大になった場合には古いデータを消去しながら新しいデータを記憶する循環的記憶部を有し、 前記データ処理手段は、前記データバススイッチ手段から出力されるデータを処理して画像を生成し、 前記第2の記憶手段は、前記データバススイッチ手段から出力されるデータを記憶することを特徴とするCT装置。」 3.引用例 これに対して、当審で拒絶の理由に引用された「特開昭58-177636号公報」(昭和58年10月18日出願公開。以下、「引用例」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「CT装置において、多数の検出器からの投影データを順次取り込み記憶すると共に再構成データも記憶しておくに足りる容量を有するメモリを設け」(第1頁下左欄5行?7行) (イ)「本発明は、CT装置におけるデータ収集から画像再構成までのデータの流れと処理の実行手順に係るデータ処理方式の改良に関するものである。」(第1頁下左欄19行?下右欄1行) (ウ)「各ビューのDASからの入力データはDMA(Direct Memory Access)モードでDASインタフェース41及びフォーマッタ43を介してメインメモリ44に取り込まれるようになっている。」(第2頁下右欄16行?19行) (エ)「メインメモリ44の容量としては、少なくとも1画面分の画像データのほかに生データ格納に必要なサイズが用意されている。(中略)また、1スキャン内の全ビュー相当分のメモリエリアを設けなくとも、途中のビューから最初のビューで使ったアドレスに戻るいわゆる交替バッファ方式を採用することもできる。」(第3頁上左欄2行?12行) (オ)「このようにしてDASデータを取り込んだメインメモリ44は、プログラム制御ブロック45で制御されるレジスタ群47によってアドレス指定され、演算ブロック48に対し直接的に又はレジスタ群47を介してデータの授受を行なう。演算ブロック48は制御ブロック45の制御に基づき各種の処理すなわち前処理、コンボリューション(又はFFT)、逆投影処理を行ない、その結果(画像データ)はメインメモリ44に格納される。全ビューについて演算処理が終了するとDMA制御部49が作動し、メモリ44の出力データをフォーマッタ50で適宜にフォーマット変換し、CPUインターフェース51を介してCPUへDMAモードで転送する。このようにして得られたデータはDISK6に格納されると共にDISP8にて可視像として表示することができる。」(第3頁上左欄13行?上右欄7行) 上記(ア)?(オ)の記載によると、引用例には、 「CT装置におけるデータ収集から画像再構成までのデータの流れと処理の実行手順に係るデータ処理方法に関し、 多数の検出器からの投影データである各ビューのDASからの入力データはDMA(Direct Memory Access)モードでDASインタフェース41及びフォーマッタ43を介してメインメモリ44に取り込まれ、 メインメモリ44は、途中のビューから最初のビューで使ったアドレスに戻るいわゆる交替バッファ方式を採用することもでき、 DASデータを取り込んだメインメモリ44は、演算ブロック48に対してデータの授受を行ない、 演算ブロック48は制御ブロック45の制御に基づき各種の処理すなわち前処理、コンボリューション(又はFFT)、逆投影処理を行ない、その結果(画像データ)はメインメモリ44に格納され、全ビューについて演算処理が終了するとDMA制御部49が作動し、メモリ44の出力データをフォーマッタ50で適宜にフォーマット変換し、CPUインターフェース51を介してCPUへDMAモードで転送して、得られたデータはDISK6に格納されると共にDISP8にて可視像として表示する」考案(以下、「引用例記載の考案」という。)が記載されている。 4.対比・判断 そこで、本願考案と引用例記載の考案とを対比すると、 (a)引用例記載の考案は、CT装置におけるデータ収集から画像再構成までのデータの流れと処理の実行手順に係るデータ処理方法に関する考案であるから、「被検体からのデータを処理して画像を生成するCT装置であって」の点で、本願考案と相違しない。 (b)引用例記載の考案は、多数の検出器からの投影データである各ビューのDASからの入力データはDMA(Direct Memory Access)モードでDASインタフェース41及びフォーマッタ43を介してメインメモリ44に取り込まれるとともに、メインメモリ44は、途中のビューから最初のビューで使ったアドレスに戻るいわゆる交替バッファ方式を採用することもできるものである。 そして、引用例記載の考案においても、多数の検出器からの投影データである各ビューのDASからの入力データは大量のデータであることは明らかである。 このため、「前記データバススイッチ手段からの」の点を除き、引用例記載の考案のメインメモリは、本願考案の「前記第1の記憶手段は、多量のデータを入力しそのデータを循環的記憶部に出力し、記憶するデータが記憶容量の最大になった場合には古いデータを消去しながら新しいデータを記憶する循環的記憶部を有し」ている点で相違しない。 (c)引用例記載の考案は、演算ブロック48は制御ブロック45の制御に基づいて各種の処理すなわち前処理、コンボリューション(又はFFT)、逆投影処理を行ない、その結果(画像データ)はDISP8にて可視像として表示する から、「前記データバススイッチ手段から」の点を除き、引用例記載の考案の演算ブロックは、「前記データ処理手段は、出力されるデータを処理して画像を生成し」ている点で相違しない。 (d)引用例記載の考案は、全ビューについて演算処理が終了するとDMA制御部49が作動し、メモリ44の出力データをフォーマッタ50で適宜にフォーマット変換し、CPUインターフェース51を介してCPUへDMAモードで転送して、得られたデータはDISK6に格納されるから、「前記データバススイッチ手段から」の点を除き、引用例記載の考案のDISK6は、本願考案の「前記第2の記憶手段は、出力されるデータを記憶する」点で相違しない。 したがって、本願考案と引用例記載の考案とは、 「被検体からのデータを処理して画像を生成するCT装置であって、 第1の記憶手段は、多量のデータを入力しそのデータを循環的記憶部に出力し、記憶するデータが記憶容量の最大になった場合には古いデータを消去しながら新しいデータを記憶する循環的記憶部を有し、 データ処理手段は、出力されるデータを処理して画像を生成し、 第2の記憶手段は、出力されるデータを記憶することを特徴とするCT装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点) 本願考案は、「前記被検体からの多量のデータを入力し、第1の記憶手段とデータの入出力を行ない、データ処理手段とデータの入出力を行ない、及び、第2の記憶手段とデータの入出力を行なうデータバススイッチ手段」を有し、「第1の記憶手段」、「データ処理手段」及び「第2の記憶手段」が入力するデータは「データバススイッチ手段」から出力されたデータであるのに対して、引用例記載の考案は、データバススイッチ手段を有しておらず、「第1の記憶手段」、「データ処理手段」及び「第2の記憶手段」が入力するデータが「データバススイッチ手段」から出力されたデータでない点。 そこで上記相違点を検討すると、 1つのメモリを複数の手段で共有し、1つのメモリと複数の手段との間でデータの入出力を行う構成として、データバススイッチ手段をメモリと複数の手段との間に設け、該データバススイッチ手段がメモリ及び複数の手段とデータの入出力を行うように構成することは周知な構成である(必要ならば、特開昭61-121152号公報などを参照のこと)。 そして、引用例記載の考案では、メインメモリ44が、被検体からの大量のデータであるDASからの入力データをフォーマッタ43を介して入力し、データ処理手段に相当する演算ブロック48との間でデータの入出力を行ない、及び、フォーマッタ50やCPU5等を介して第2の記憶手段に相当するDISK6との間でデータの入出力を行なう構成となっている。 このため、引用例記載の考案において、メインメモリ44と、フォーマッタ43、演算ブロック48及びフォーマッタ50との間にデータバススイッチ手段を設け、被検体からの多量のデータを入力し、第1の記憶手段とデータの入出力を行ない、データ処理手段とデータの入出力を行ない、及び、第2の記憶手段とデータの入出力を行なうデータバススイッチ手段を有するように構成するとともに、「第1の記憶手段」はデータバススイッチ手段からの多量のデータを入力し、「データ処理手段」はデータバススイッチ手段から出力されるデータを処理し、「第2の記憶手段」はデータバススイッチ手段から出力されるデータを記憶するように構成することは、当業者であれば格別の創意を有することなくなし得るものである。 そして、本願考案の構成によりもたらされる効果も、引用例記載の考案及び周知な事項から当業者が容易に予想し得る程度ものであり、格別のものではない。 5.むすび したがって、本願考案は、引用例記載の考案及び周知な事項に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-04-18 |
結審通知日 | 2002-04-23 |
審決日 | 2002-05-08 |
出願番号 | 実願平3-62844 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山下 剛史 |
特許庁審判長 |
東 次男 |
特許庁審判官 |
江頭 信彦 佐藤 聡史 |
考案の名称 | CT装置 |