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審決分類 |
審判 一部申し立て A61H |
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管理番号 | 1061357 |
異議申立番号 | 異議1999-75012 |
総通号数 | 32 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2002-08-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-12-28 |
確定日 | 2002-06-17 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第2597297号「気泡発生浴槽」の請求項1、2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについてされた平成13年5月7日付けの異議の決定に対し、東京高等裁判所において決定取消しの判決(平成13年(行ケ)第326号、平成14年4月8日判決言渡)があったので、更に審理のうえ、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第2597297号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.特許庁における手続の経緯 (1)登録実用新案第2597297号「気泡発生浴槽」の請求項1?3に係る考案(以下、「本件考案1?3」という。)は、平成4年4月27日に実用新案登録出願され、平成11年4月30日にその実用新案権の設定登録がなされ、その後、平成11年12月28日に、実用新案登録された本件考案1?2につき、異議申立人菊間靖郎より実用新案登録異議の申立てがされ、異議事件として係属し、取消しの理由が通知された後、指定期間内の平成12年6月16日に訂正請求がされ、訂正拒絶の理由が通知された後、平成13年5月7日に、「登録第2597297号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)がされた。 (2)実用新案権者は、本件決定の取消しを求めて、東京高等裁判所に訴え(平成13年(行ケ)第326号)を提起し、その後の平成13年12月20日に、訂正審判の請求(訂正2001-39232号)をし、平成14年2月22日に、上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」といい、本件訂正審決に係る訂正を「本件訂正」という。)がされ確定した。 (3)上記訴えにつき、東京高等裁判所において決定を取消すとの判決(平成14年4月8日判決言渡)がなされ、事件は差戻された。 2. 本件考案 本件訂正後の本件考案1?2は、本件訂正審決により訂正された明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1?2に記載されたとおりの次のものと認める。 【請求項1】噴気ノズル(18)を浴槽本体(1)の内壁面に取付け、同噴気ノズル(18)に噴気配管(13)の一端を連通連結し、同噴気配管(13)の他端をコンプレッサ(C)に連結した気泡発生浴槽(A)において、 上記噴気ノズル(18)を、噴気配管(13)に連通連結したノズル本体(18a)と、同ノズル本体(18a)に基端部が連通し、先端部が浴槽本体(1)を貫通する噴流形成部(18b)と、同噴流形成部(18b)の鍔部に螺着したノズルカバー(18c)とから構成し、同ノズルカバー(18c)の周縁部に複数個の噴気孔(18d)を円周方向に間隔をあけて設け、空気を浴槽本体(1)の内側壁面に沿って放射状に噴出可能としたことを特徴とする気泡発生浴槽。 【請求項2】噴気ノズル(18)の開口部に、浴槽本体(1)内の浴湯が噴 気配管(13)中に逆流することを防ぐための逆止弁(19)を設けたことを特徴とする請求項1記載の気泡発生浴槽。 3. 異議申立理由 本件考案1及び2は、その出願の日前の出願であって、その出願後に公開された実願平3-14725号(実開平4-104838号)の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下「先願明細書」という。)に記載された考案と同一であり、しかも、本件考案1及び2の考案者が、上記先願明細書に記載された考案の考案者と同一であるとも、また、本件考案の出願時に、その出願人が上記先願の出願人とが同一であるとも認められないので、本件考案1及び2は、実用新案法第3条の2の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、本件実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものであるから、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、取り消されるべきものである。 4. 先願考案 先願明細書には、第1?4図とともに、(イ)「10は気泡浴槽であって、底部20に複数の噴気口金具12が配され、エアポンプ14によりエア通路16内部を圧送されたエアが、それら噴気口金具12の複数の噴気穴より気泡となって浴槽内部に噴出されるようになっている。」(段落【0017】)、(ロ)「この噴気口金具12の裏面側には、計4本の案内通路34が水平方向に且つ放射状に形成されている。これら案内通路34は、噴気口金具12の外周側面で横向きに開口しており、それら開口が噴気金具12における噴気穴36と成されている。」(段落【0022】)、(ハ)「噴気穴36からの気泡は一旦浴槽底部20に沿って水平方向に噴出した後上向きに上がっていく」(段落【0027】)、(ニ)「取付本体18の内部には逆止弁28が配設されている。この逆止弁28はスプリング30によって下向きに付勢され、通常時には下端の頭部が弁座32に着座させられている。」(段落【0020】)、(ホ)「エアポンプ14により送られたエアは、エア通路16内部を圧送された後、取付本体18内部に組み込まれた逆止弁28を押し上げて取付本体18内部入り込み、しかる後噴気口金具12裏面側の案内通路34に導かれて横方向に移動した後、噴気口金具12外周側面の噴気穴36より浴槽内に気泡として噴出する。」(段落【0023】)、(ヘ)「取付本体18内部に入り込んだエアは、一旦案内通路34に導かれて所定距離流通した後にはじめて噴気穴36より浴槽中に噴出されるため、その案内通路34を流れている間に冷たいエアが温められ、従って冷たい状態の気泡が人体に当たるといったこともない。」(段落【0026】)、(ト)「噴気穴36は噴気口金具12の外周側面で横向きを成しているために目詰りし難く、加えて噴気口金具12の上に直接人体の一部が乗った場合にも、噴気穴36が塞がれてしまうこともない。」(段落【0024】)という記載がある。 そして、先願明細書に記載された「取付本体18」、「気泡浴槽10」、「エア通路16」、「エアポンプ14」、及び、「噴気穴36」は、本件考案1及び2における「噴気ノズル」、「浴槽本体」、「噴気配管」、「コンプレッサ」、及び、「噴気孔」にそれぞれ相当するものと認められるから、上記(イ)?(ト)の記載及び第1?4図の記載を総合すると、先願明細書には、次の考案(以下、「先願考案1」という。)が記載されていると認められる。 「噴気ノズルを浴槽本体の内壁面に取付け、同噴気ノズルに噴気配管の一端を連通連結し、同噴気配管の他端をコンプレッサに連結した気泡発生浴槽において、 上記噴気ノズルを、噴気配管に連通連結したノズル本体と、同ノズル本体に基端部が連通し、先端部が浴槽本体を貫通する噴流形成部材(噴気口金具12)とから構成し、同噴流形成部材(噴気口金具12)の周縁部に複数個の噴気孔を円周方向に間隔をあけて設け、空気を浴槽本体の内側壁面に沿って放射状に噴出可能としたことを特徴とする気泡発生浴槽。」 また、先願明細書の「逆止弁28」は本件考案の「逆止弁」に相当するものと認められるから、次の考案(以下、「先願考案2」という。)が記載されているものと認められる。 「噴気ノズルの開口部に、浴槽本体内の浴湯が噴気配管中に逆流することを防ぐための逆止弁を設けたことを特徴とする上記の気泡発生浴槽。」 5. 対比・判断 本件考案1と先願考案1とを対比すると、先願考案1は、少なくとも、上記訂正審決により訂正された、本件考案1における「噴流形成部の鍔部にノズルカバーを螺着したノズルカバー」を備えておらず、しかもこのノズルカバーが、当該技術分野における周知、慣用技術であるとも、課題解決のための設計上の微差であるとも言えないから、本件考案1が先願考案1と同一であるとすることはできない。 また、本件考案2と先願考案2とを対比すると、先願考案2は、本件考案2における上記のノズルカバーを備えておらず、上記した理由により、本件考案1が先願考案1と同一であるとすることはできない。 6. むすび 以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては本件考案1及び2についての実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件考案1及び2についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2001-05-07 |
出願番号 | 実願平4-27616 |
審決分類 |
U
1
652・
16-
Y
(A61H)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 藤井 彰 |
特許庁審判長 |
梅田 幸秀 |
特許庁審判官 |
田中 秀夫 千壽 哲郎 |
登録日 | 1999-04-30 |
登録番号 | 実用新案登録第2597297号(U2597297) |
権利者 |
東陶機器株式会社 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 |
考案の名称 | 気泡発生浴槽 |
代理人 | 松尾 憲一郎 |