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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効としない E04H
管理番号 1062940
審判番号 無効2000-35053  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-09-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-01-20 
確定日 2002-07-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第2148586号実用新案「連棟式車庫の屋根端部連結構造」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 経緯

本件実用新案登録第2148586号は、平成2年4月18日に出願され、平成9年6月20日に設定登録され、平成12年1月20日に東洋エクステリア株式会社より無効審判の請求があり、平成12年4月7日付けで請求人より審判請求理由補充書が提出され、平成12年4月28日付けで被請求人より審判事件答弁書が提出され、平成12年8月21日付けで請求人より審判事件弁駁書が提出されたものである。

第2 請求人及び被請求人の主張の概要

請求人は、「登録第2148586号実用新案の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」趣旨で無効審判を請求し、請求の理由として、審判請求書、審判請求理由補充書及び審判事件弁駁書において、甲第1号証の1ないし甲第9号証を提示して、本件実用新案登録の請求項1に記載された考案は、その出願前日本国内において頒布された甲第1号証の1ないし甲第9号証に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案できたものであって、実用新案法第3条第2項に該当し無効とされるべきである旨主張する。
一方、被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」趣旨で答弁し、答弁書において、本件考案は甲第1号証の1ないし甲第9号証に何ら開示されていない構成を具備し、明細書記載の特有の作用効果をそうするものであるから、本件考案は甲第1号証の1ないし甲第9号証に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案できたものではない旨主張する。

第3 本件考案

本件実用新案登録に係る考案は、明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下、請求項1に記載された考案を本件考案という。)。
「支柱1に屋根4を取付けた片流れ屋根を備えた一対の車庫5、5を、その屋根4の端部相互を対向して配設し、その屋根端部を連結して成る連棟式車庫において、
前記屋根4の端部を構成する前枠10の外側面を略半円形状とし、相対向する一対の前枠10、10の外側面上部間に跨って、横片23に締結片24を設けて成る前枠連結カバー22の横片23を載置し、前記一対の前枠10、10の外側面下部に、裏板25における前記前枠10の外側面と同一形状の一側前枠当接部26と他側前枠当接部27をそれぞれ押しつけ、
この裏板25よりビス29を前記締結片24に締付けて前記連結カバー22と裏板25で一対の前枠10、10を挟持したことを特徴とする連棟式車庫の屋根端部連結構造。」

第4 請求人主張の無効理由についての検討

1.証拠に記載された事項の認定
請求人は甲第1号証の1ないし甲第9号証を提示するので検討する。
甲第1号証の4は報告書であって、これ自体は出願前の公知文献ではなく、また、甲第1号証の6は出願前の公知文献ではない。
また、甲第1号証の1ないし甲第1号証の3、甲第1号証の5、甲第2号証及び甲第3号証については、被請求人はその成立性及び公知性を争うが、その点はさておき、先に記載された事項を検討する。なお、甲第1号証の1ないし甲第3号証の発行日は、請求人主張の発行日を記載する。
(1)甲第1号証の1(東洋工クステリア株式会社、昭和62年1月1日発行「’87総合カタログ」)
236頁には「フリーポート」として、支柱に片流れ屋根を取付けた車庫が記載されており、
237頁の上段には「・・まさに2台目の時代にふさわしいワイド&ダブルの合掌タイプです。・・」と記載され、ここで「合掌タイプの車庫」とは、図の右側図面上方の「フリポート合掌タイプ27-27(ステンカラー)」との記載、セット価格表の各「合掌」の記載から、片流れ屋根を備えた一対の車庫を、その屋根の端部相互を対向して配設し、その屋根端部を連結してなる連棟式車庫をいい、中段にはこの合掌タイプの車庫の写真が掲載されている。
また233頁ないし235頁には「エルポート」として屋根の両側が支柱により支持された車庫が掲載されている。
(2)甲第1号証の2(東洋エクステリア株式会社、昭和61年9月頃発行「フリーポート取付説明書-基本・合掌・連棟」)
9頁及び10頁には「合掌仕様」の車庫の図面が記載され、
9頁には「1.姿図及び基本寸法」として車庫のパース図及び正面図が、10頁には「2.合掌材の取付」、「3.合掌金具の取付」としてそれぞれ正面図、斜視図が記載され、「2.合掌材の取付」の正面図によれば、連棟式車庫において、前記屋根の端部を構成する前枠の外側面を略段差平板形状とし、相対向する一対の前枠の外側面上部間に跨って、横片に締結片を設けてなる合掌材の横片を載置し、前記一対の前枠の外側面下部に、合掌材取付金具における前記前枠の下端に対接する形状の一側前枠当接部と他側前枠当接部をそれぞれ押しつけ、この合掌材取付金具よりビスを前記締結片に締め付けて前記合掌材と合掌材取付金具で一対の前枠を挟持する連棟式車庫の屋根端部連結構造が記載されている。
(3)甲第1号証の3(東洋エクステリア株式会社、平成元年9月発行「製品マニュアル カーポート・テラス編」)
15頁上段右側の「1.合掌材の取付け」の正面図には、連棟式車庫において、前記屋根の端部を構成する前枠の外側面を略段差平板形状とし、相対向する一対の前枠の外側面上部間に跨って、横片に締結片を設けてなる合掌材の横片を載置し、前記一対の前枠の外側面下部に、合掌材取付金具における前記前枠の下端に対接する形状の一側前枠当接部と他側前枠当接部をそれぞれ押しつけ、この合掌材取付金具よりビスを前記締結片に締付けて前記合掌材と合掌材取付金具で一対の前枠を挟持する連棟式車庫の屋根端部連結構造が記載され、
34頁から37頁には、「アルミカーポートF型」が掲載され、37頁中段左側の「2.合掌材の取付け」の正面図には、15頁に記載されたものと同様の合掌材と合掌材取付金具による連棟式車庫の屋根端部連結構造が示されており、前枠外側面の形状は傾斜平板状となっている。
(4)甲第1号証の5(東洋エクステリア株式会社、平成元年10月1日発行「TOTAL EXTAERIOR '89-'90」)
384頁及び386頁には、支柱に片流れ屋根を取付けた車庫が記載され、
390頁ないし395頁には、屋根の両側が支柱により支持された車庫が記載されている。
(5)甲第2号証(トーヨーサッシ株式会社、1988年8月発行「’87/’88基本図・納まり図集」)
203頁には「カーポートST」としていわゆる合掌タイプの車庫が記載されており、
同頁上段には「合掌」として、片流れ屋根を備えた一対の車庫を、屋根の端部相互を対向して配設し、その屋根端部を連結してなる連棟式車庫が示され、
下段には「合掌連結部正面図」として、上記連棟式車庫において、前記屋根の端部を構成する前枠の外側面を略傾斜平板形状とし、相対向する一対の前枠の外側面上部間に跨って、横片に締結片を設けてなる連結カバーの横片を載置し、前記一対の前枠の外側面下部に、裏板における前記前枠の下端に対接する形状の一側前枠当接部と他側前枠当接部をそれぞれ押しつけ、この裏板よりビスを前記締結片に締付けて前記連結カバーと裏板で一対の前枠を挟持した連棟式車庫の屋根端部連結構造が示されている。
(6)甲第3号証(三協アルミニウム工業株式会社、昭和59年6月発行「エクステリア設計施工手引書」)
125頁には支柱に片流れ屋根を取付けた車庫が記載され、該屋根の前枠の外側面を略湾曲形状としており、
127頁の中段左にはいわゆる合掌タイプの車庫が記載されており、同下段には、屋根の端部を構成する前枠の外側面を略湾曲形状とし、相対向する一対の前枠の外側面上部間に跨って、横片に締結片を設けてなる合掌材の横片を載置し、前記一対の前枠の外側面下部に、前枠合掌金具における前記前枠の下端に対接する一側前枠当接部と他側前枠当接部をそれぞれ押しつけ、この前枠合掌金具よりビスを前記締結片に締付けて前記合掌材と前枠合掌金具で一対の前枠を挟持した連棟式車庫の屋根端部連結構造が記載されている。
(7)甲第4号証(実開平1-153022号公報(平成1年10月23日出願公開))
「組立建物の屋根における雨水排出装置」に関する考案が記載されており、特に第2図及び第4図には、垂木14の軒先側端部が略半円形状に形成された状態が図示されている。
(8)甲第5号証(森北出版株式会社、昭和41年6月20日発行「建築工事データブック」)
883頁には「3 アルミニウム合金の骨組みをもつプレハブ工法」、「3・7・3サンドウイッチパネルおよびその他(レイノルズ社資料より)」として各種のパネルの端部連結構造が図示され、特に右側のJには、直交するパネルの端部間を、締結片を有する断面四半円の片と裏板とビスとにより挟持したパネルの端部連結構造が図示されている。ここにおいて、パネルの端部は平面状になっている。
(9)甲第6号証(株式会社建築知識、昭和56年2月20日発行「建築知識資料版NO.2設計カタログ 12 開口部材」)
64頁上段には「サンアール断面図」が図示されており、特にB-B断面図には、湾曲した部材の端部間に跨がって、下側から、横片に締結片を設けてなる連結枠の横片を裏当てし、上側には、湾曲した部材の端部間に跨がってカバーの一側端部当接部と他側端部当接部をそれぞれ押しつけ、このカバーよりビスを締結片に締付けて連結枠とカバーで湾曲した部材の端部を挟持した連結構造が図示されている。
(10)甲第7号証(特許庁公報、昭和62年3月30日発行「周知・慣用技術集(戸・窓等開口部閉鎖部材)」)
22頁には「角度方立」として、「2.技術内容・・・すでに組み立てられた左、右ユニットの竪枠間の隙間より角度方立を差し込み、差し込んだ角度方立に目板をネジ止めしてセットし、目板塞ぎでネジ部を塞ぐ。従って、ある角度範囲を設定した角度方立を用いる事により種々の角度に対応でき・・・る。」と記載され、「3.図面」には、竪枠の端部間に跨がって、湾曲した横片に締結片を設けてなる角度方立の横片を載置し、一対の竪枠の側面内側に、角度方立目板における一側竪枠当接部と他側竪枠当接部をそれぞれ押しつけ、この角度方立目板よりビスを締結片に締付けて角度方立と角度方立目板で一対の竪枠を挟持した竪枠の端部連結構造が図示されている。
また24頁には、「コーナー方立の角度決め方法」が図示されており、2つの円弧状の角度方立アタッチメント間に、これらと対応する形状の角度方立を用いて、円弧状の当接面によって取付け角度を変え得る構造とした方立が図示されている。
(11)甲第8号証(実開昭61-157607号公報(昭和61年9月30日出願公開))
片流れ屋根に関する考案が記載されており、特に第4図には、2つの棟材24の端部を略半円形の凹部とし、これと対応する略半円形状の垂木本体50を2つの棟材24の端部間で当接させることにより、棟材相互を揺動自在に連結する構造が図示されている。
(12)甲第9号証(実開昭55-162602号公報(昭和55年11月21日出願公開))
バルコニー支脚の支持構造に関する考案が記載されており、特に第2図及び第3図には、屋根上面に当接される駒部の背部を凸面となる円弧状とし、駒部に連結される鞍本体を上記凸面となる円弧状と対応する凹面の円弧状とすることにより、両者を摺動自在に連結する構造が図示されている。

2.本件考案と証拠に記載されたものとの対比、判断
(1)本件考案と甲第3号証の特に127頁の中段左及び下段に図示されたもの(以下単に、甲第3号証に記載されたものという。)とを対比すると、甲第3号証に記載されたものは、片流れ屋根を備えた一対の車庫を、その屋根の端部相互を対向して配設し、その屋根端部を連結したいわゆる合掌タイプの車庫であって、片流れ屋根の端部を構成する前枠の外側面を略湾曲形状とし、相対向する一対の前枠の外側面上部間に跨って、横片に締結片を設けてなる合掌材(本件考案の前枠連結カバーに相当)の横片を載置し、前記一対の前枠の外側面下部に、前枠合掌金具(同裏板に相当)における前記前枠の下端に対接する一側前枠当接部と他側前枠当接部をそれぞれ押しつけ、この前枠合掌金具よりビスを前記締結片に締付けて前記合掌材と前枠合掌金具で一対の前枠を挟持した連棟式車庫の屋根端部連結構造が記載されていると認められる。ここで甲第3号証に記載されたものの、柱、合掌材、前枠合掌金具はそれぞれ、本件考案の支柱、前枠連結カバー及び裏板に相当するものであるから、本件考案と甲第3号証に記載されたものとは次の点で一致し、相違していると認められる(符号は省略)。
[一致点]
「支柱に屋根を取付けた片流れ屋根を備えた一対の車庫を、その屋根の端部相互を対向して配設し、その屋根端部を連結してなる連棟式車庫において、
前記屋根の端部を構成する前枠の外側面を曲面形状とし、相対向する一対の前枠の外側面上部間に跨って、横片に締結片を設けて成る前枠連結カバーの横片を載置し、前記一対の前枠の下部に、裏板における一側前枠当接部と他側前枠当接部をそれぞれ押しつけ、
この裏板よりビスを前記締結片に締付けて前記連結カバーと裏板で一対の前枠を挟持したことを特徴とする連棟式車庫の屋根端部連結構造。」
[相違点1]
本件考案は、屋根の端部を構成する前枠の外側面を略半円形状としているのに対し、甲第3号証に記載されたものは、湾曲面形状としている点、
[相違点2]
本件考案は、裏板における前記前枠の外側面と同一形状の一側前枠当接部と他側前枠当接部をそれぞれ押しつけて連結カバーと裏板とで前枠を挟持しているのに対し、甲第3号証に記載された裏板はそのようになっていない点。
(2)相違点の検討
まず、相違点2について検討する。
車庫において、「前枠」とは、屋根を片側に設けた柱で支持するいわゆる片側支持式車庫において、柱で支持される側と反対側の屋根の端部の枠をいう(被請求人の提出した乙第1号証(JIS A 6604-1996)参照、なお、職権調査によればJIS A 6604-1989においても同様の記載が認められる。)ものであって、本件考案においてもそのような意味で「前枠」という用語を用いていることは明らかである。
請求人は、本件考案の前枠を片流れ屋根の車庫に関する平成8年のJIS規格である乙第1号証によって規定しなければならない理由はなく、そのような定義が明細書にあるわけでもないから、設置状態で定まる前後左右のうちの前に存する枠が前枠である旨主張する(弁駁書7頁22行ないし8頁4行)が、本件考案は実用新案登録請求の範囲において、片流れ屋根の車庫の端部を構成する前枠であることを明確にしており、その前枠に関しては実施例において、柱で支持される側と反対側の屋根の端部の枠のみを例示しており、さらに、1989年(平成元年)のJIS 規格においても、屋根を片側に設けた柱で支持するいわゆる片側支持式車庫において、柱で支持される側と反対側の屋根の端部の枠を前枠としており、また、請求人の提示した甲第1号証の1、同2、甲第3号証においても、屋根を片側に設けた柱で支持するいわゆる片側支持式車庫において、柱で支持される側と反対側の屋根の端部の枠を前枠としていることと整合するものであるから、請求人のように、設置状態で定まる前後左右のうちの前に存する枠を前枠とすることはできない。
そして、本件考案は、前枠の外側面を略半円形状とするとともに、相違点2に記載したように、「裏板における前記前枠の外側面と同一形状の一側前枠当接部と他側前枠当接部をそれぞれ押しつけ」る構成としたものであって、そのことによって、明細書に記載したように、「前枠連結カバー22と裏板25に対して前枠10が若干上下揺動変位できるから、屋根勾配の異なる片流れ屋根を備えた車庫でも連結できる。屋根4を構成する前枠10相互に跨って前枠連結カバー22と裏板25を配設してビスで締付ければ良いので、屋根端部の連結作業が簡単となる。しかも、裏板25における前枠当接部26、27が、前枠10の略半円形状の外側面と同一形状であるため、前枠10の揺動変位を許容しながらも、前枠10の外側面と密接して屋根端部相互を安定して保持することができ、この裏板25と前記連結カバー22とにより一対の前枠10、10を強固に挟持することができる。」(考案の効果の項)という作用効果を奏するものである。
一方、甲第1号証の1ないし甲第1号証の3、甲第1号証の5並びに甲第2号証、甲第4号証ないし甲第9号証に記載されたものには、前記1において認定したように、外側面を略半円形状とした前枠相互を連結する構成が記載されておらず、ましてや、当該前枠の外側面と同一形状の一側前枠当接部と他側前枠当接部とを有する裏板について記載されていない。
以上のように、本件考案は、甲第1号証の1ないし甲第1号証の3、甲第1号証の5並びに甲第2号証ないし甲第9号証に記載されていない構成を有し、そのことによって明細書記載の作用効果を奏するものであるから、仮に甲第1号証の1ないし甲第1号証の3、甲第1号証の5、甲第2号証及び甲第3号証が公知であったとしても、本件考案は甲第1号証の1ないし甲第1号証の3、甲第1号証の5並びに甲第2号証ないし甲第9号証に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案できたとすることはできない。
(3)請求人は、前枠の外側面を略半円形状とした点について、片流れタイプの車庫においてその前枠の外側面を略半円形状としたものは本件考案の出願前に周知であったとして、甲第1号証の1、同3、同5及び甲第4号証を挙げ(審判請求書12頁、弁駁書12頁ないし13頁)、また、前枠の外側面を略半円形状とした場合に、裏板の形状をこの略半円形状と同一の形状とすることは、甲第2号証の170頁、甲第7号証の24頁、甲第8号証、甲第9号証に、物の連結構造において連結対象の被連結材と連結材の形状を相互に円弧面として、これらを嵌合または係合させて連結をおこなうことが本件考案出願前に公知または周知であったから、当然の措置にすぎない旨(審判請求書11、13ないし14頁、弁駁書13頁)主張する。
しかしながら、甲第1号証の1、同3及び甲第4号証に示されたものには、片流れタイプの車庫においてその前枠の外側面を略半円形状とした構成は認められない。
次に、甲第1号証の5の384頁の写真によれば、片流れタイプの車庫において、一見、その前枠の外側面を略半円形状とした構成が認められるものの、仮に甲第1号証の5が本件考案出願前に公知であったとしても、これのみから片流れタイプの車庫において、その前枠の外側面を略半円形状とした構成が周知であったとすることはできない。また、甲第1号証の5には、片流れタイプの車庫が単独で使用されている写真が示されているにすぎず、片流れタイプの車庫の屋根部分を連結するものではない。
次に、甲第2号証の170頁、甲第9号証に記載されたものは、2つの物の連結構造において、連結対象の被連結材と連結材の形状を互いに円弧面として、これらを嵌合または係合させて連結をおこなうものではあるものの、両者に記載されたものはともに支持部の構造に関するものであって、本件考案のように2つの部材(前枠)を連結するための部材の構造に関するものではないから、本件考案の前枠連結カバーと裏板等による連結構造とは基本的に異なる技術と考えられる。
次に、甲第7号証の24頁には、コーナー方立として、2つの円弧状の角度方立アタッチメント間に、これらと対応する形状の角度方立を用いて、円弧状の当接面によって取付け角度を変え得る構造とした方立が図示されているが、角度方立は直接2つの円弧状の角度方立アタッチメントに連結されて設定角度をだせるようになっているのであるから、この角度方立を本件考案の裏板に相当するものとした場合には、本件考案の前枠連結カバーに相当するものを必要とせず、また、甲第8号証の特に第4図には、2つの棟材24の端部を略半円形の凹部とし、これと対応する略半円形状の垂木本体50を2つの棟材24の端部間で当接させることにより、棟材相互を揺動自在に連結する構造が図示されているが、この垂木本体を本件考案の裏板に相当するものとした場合に、本件考案の前枠連結カバーに相当するものを必要としないのであって、いずれのものも本件考案の特に「裏板25と前記連結カバー22とにより一対の前枠10、10を強固に挟持することができる。」という作用効果を全く奏することができないものである。
以上のように、裏板の形状を前枠の略半円形状と同一の形状とすることは、いずれの証拠にも記載されておらず、仮に甲第1号証の5に記載されたものにおいて前枠が略半円形状となっているとしても、前枠、裏板相互の形状を本件考案の相違点2に係る構成としたものがいずれの証拠にも記載されていないことから、請求人の主張は採用することができない。

第5 まとめ

以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件実用新案登録の請求項1に係る考案を無効とすることはできない。
また、審判費用の負担については、実用新案法第41条の規定により準用し、特許法第169条第2項の規定によりさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-10-10 
結審通知日 2000-10-20 
審決日 2000-11-01 
出願番号 実願平2-40600 
審決分類 U 1 112・ 121- Y (E04H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊波 猛  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 鈴木 憲子
宮崎 恭
登録日 1997-06-20 
登録番号 実用新案登録第2148586号(U2148586) 
考案の名称 連棟式車庫の屋根端部連結構造  
代理人 佐藤 嘉明  
代理人 田村 公総  
代理人 高橋 邦彦  
代理人 浜本 忠  
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