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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04B |
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管理番号 | 1062944 |
審判番号 | 審判1999-19871 |
総通号数 | 33 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2002-09-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-12-09 |
確定日 | 2002-08-07 |
事件の表示 | 平成 4年実用新案登録願第 11216号「断熱パネル」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年11月 9日出願公開、実開平 5- 83113]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願考案 本願は、平成4年3月5日の出願であって、その請求項1に係る考案(以下、本願考案という。)は、平成13年1月9日付けの手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。 「【請求項1】 柱間に敷設され、断熱壁を構成する断熱パネルであって、 柱間での構造部材をなし、屋内側に位置する板状部材と、 敷設されたときに、板状部材の屋外側に位置し、前記板状部材に接着剤で取り付けられた合成発泡樹脂の断熱材からなる外側断熱材と、 敷設されたときに、板状部材の屋内側に位置し、前記板状部材に接着剤で取り付けられた合成発泡樹脂の断熱材からなる内側断熱材とを具備することを特徴とする断熱パネル。」 2.引用刊行物 当審の拒絶の理由に引用された特開昭63-130844号公報(昭和63年6月3日発行、以下「刊行物1」という。)には、「木造構造建築における壁構成工法」に関し、次の事項が記載されている。 「柱等の口径とほぼ同じ厚さの断熱性成形板に板材を外方へ張出させ接着固定して複合壁材を構成し、木造構造建築の軸組みをした後、その軸組みの柱、間柱等の縦材と、土台、胴差し等の横材との間の壁用空間部内に上記複合壁材の断熱性成形板を密接嵌合して板材の張出し部を軸組みに当接させ、その張出し部を釘打ちによつて軸組みに固定することを特徴とする木造構造建築における壁構成工法。」(特許請求の範囲) 「この発明は、木造構造建築において、適当に厚い断熱性成形板の剛性を利用して壁を構成する壁構成工法に係るものである。」(公報第1頁左下欄下から第5?3行) 「(1)は木造構造建築物の壁用断熱性成形板で、発泡スチロール等より成り、工場において、軸組み(5)の各壁用空間部(6)に密接接合する大きさで、軸組み(5)の柱(9)等の口径とほぼ同じ厚さに作製する。(2)は石膏ボード、合板、木材等の板材である。そこで、断熱性成形板(1)の一側面に板材(2)を接着剤等によって接着固定すると共に、その板材(2)の外周部を断熱性成形板(1)よりも外方へ張出し(3)させて複合壁材(4)を構成する。(5)は木造構造建築物の軸組みを示し、(8)はその土台、(9)は柱、(10)は胴差し、(11)は間柱である。」(公報第2頁右上欄第12行?左下欄第3行) 上記記載を含めた明細書全体の記載及び第1?8図の記載、そして、発泡スチロールは、合成発泡樹脂の断熱材であるという技術常識からみると、刊行物1には、以下の考案が記載されているものと認める。 「柱間に敷設され、断熱壁を構成する複合壁材(4)であって、 柱間での構造部材をなす板材(2)と、 敷設されたときに、板材の屋内側に位置し、前記板材に接着剤で取り付けられた合成発泡樹脂の断熱材からなる断熱性成形板(1)とを具備する複合壁材。」 また、当審の拒絶の理由に引用された実願昭58-188324号(実開昭60-97814号)のマイクロフィルム(昭和60年7月3日発行、以下「刊行物2」という。)には、「建築用パネル」に関し、次の事項が記載されている。 「板状基板の両面に軽量無機質混合層を形成したことを特徴とする建築用パネル。」(実用新案登録請求の範囲第1項) 「板状基板の両面に軽量無機質混合層を形成し、板状基板に対して対称断面を有して、曲げ応力や断熱性能,耐久性能等の極めて高い、かつ適用性の広い建築用パネルを提供するものである。」(第2頁第16?20行) 上記記載を含めた明細書全体の記載及び第1?4図の記載からみると、刊行物2には、板状部材の両面に断熱層を形成する断熱パネルが記載されているものと認める。 3.対比・判断 本願考案と刊行物1記載の考案とを対比すると、刊行物1記載の考案における「複合壁材(4)」、「板材(2)」、「断熱性成形板(1)」は、それぞれ、本願考案における「断熱パネル」、「板状部材」、「内側断熱材」に相当するから、両者は、 「柱間に敷設され、断熱壁を構成する断熱パネルであって、 柱間での構造部材をなす板状部材と、 敷設されたときに、板状部材の屋内側に位置し、前記板状部材に接着剤で取り付けられた合成発泡樹脂の断熱材からなる内側断熱材とを具備する断熱パネル。」 で一致し、次の点で相違している。 相違点:本願考案が、「敷設されたときに、板状部材の屋外側に位置し、前記板状部材に接着剤で取り付けられた合成発泡樹脂の断熱材からなる外側断熱材」を有するのに対し、刊行物1には、外側断熱材について記載されていないこと、つまり、本願考案が、板状部材の両面に断熱材を設けたものであるのに対し、刊行物1に記載の考案では板状部材の片側である屋内側のみに断熱材を設けたものであって、板状部材の両側に断熱材を設けたものではない点。 上記相違点について検討する。 刊行物2には、板状部材の両側に断熱材を形成する断熱パネルが記載されており、刊行物1、2記載の考案は、いずれも断熱パネルに関するものであるから、刊行物2に記載の考案を刊行物1記載の考案に適用して、本願考案の上記相違点に係る構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到できたことである。 そして、本願考案の構成によってもたらされる効果も、刊行物1、2記載の考案から当業者がきわめて容易に予測しうる程度のものである。 4.むすび したがって、本願考案は、刊行物1及び2に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-05-30 |
結審通知日 | 2002-06-11 |
審決日 | 2002-06-24 |
出願番号 | 実願平4-11216 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(E04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 忠夫、長谷部 善太郎、辻野 安人 |
特許庁審判長 |
田中 弘満 |
特許庁審判官 |
蔵野 いづみ 長島 和子 |
考案の名称 | 断熱パネル |
代理人 | 鈴木 俊一郎 |
代理人 | 鈴木 俊一郎 |