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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F21M
管理番号 1064501
審判番号 審判1996-6377  
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1996-05-02 
確定日 2002-07-26 
事件の表示 平成 2年実用新案登録願第 23674号「ランプの側方光洩れ防止構造」拒絶査定に対する審判事件[平成 3年12月 3日出願公開、実開平 3-116506]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 手続の経緯、本願考案
本願は、平成2年3月12日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成8年5月31日付け手続補正書により補正された実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、本願考案という。)
「ハウジングと該ハウジングの前面側に組み付けられる後面解放の器状のレンズとからなるランプ本体と、該ランプ本体内に収納される電球と、を含んで構成され、車両のフロントグリルの凹所に設置されてなる車両用ヘッドランプにおいて、前記フロントグリルの凹所から突出するレンズの左と右のうち少なくとも一方の側壁部から左方及び右方の少なくとも一方への光洩れを防止する構造であって、前記ランプ本体内部において前記レンズの側壁部内面と間隙をもって対面し、該側壁部内面を覆って該レンズ前壁内面付近まで延びる遮蔽板部を、前記ハウジングに一体成形したことを特徴とする車両用ヘッドランプの側方光洩れ防止構造。」
第2 引用例
これに対して、当審の拒絶の理由に引用された実願昭59-38333号(実開昭60-150706号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、「ハウジング1と該ハウジングの前面側に組み付けられる後面解放の器状のレンズ2とからなるランプ本体と、該ランプ本体内に収納されるバルブ4と、を含んで構成された自動車用前照灯において、レンズ2の上部側から漏れる光漏れを防止する構造であって、ランプ本体内部において前記レンズの周側部2b内面と間隙をもって対面し、該周側部内面を覆って該レンズ前壁内面付近まで延びる、前記ハウジング1と別体の遮光板6を、前記ハウジングに固定した自動車用前照灯の側方光漏れ防止構造」を構成とする考案(以下「引用考案1」という。)が記載されていると認められる。
第3 対比
本願考案と引用考案1とを対比するに、引用考案1の「バルブ4」、「自動車用前照灯」、「周側部2b」、「遮光板6」は、それぞれ本願考案の「電球」、「車両用ヘッドランプ」、「側壁部」、「遮蔽板部」に相当することは明らかであるから、両者は、「ハウジングと該ハウジングの前面側に組み付けられる後面解放の器状のレンズとからなるランプ本体と、該ランプ本体内に収納される電球と、を含んで構成される車両用ヘッドランプにおいて、光漏れを防止する構造であって、前記ランプ本体内部において前記レンズの側壁部内面と間隙をもって対面し、該側壁部内面を覆って該レンズ前壁内面付近まで延びる遮蔽板部を、前記ハウジングに固定した車両用ヘッドランプの側方光洩れ防止構造。」において一致するが、下記の点で相違するものと認められる。
相違点1:本願考案では、車両用ヘッドランプが、車両のフロントグリルの凹所に設置され、フロントグリルの凹所からレンズが突出する構成を具えたものであるのに対し、引用例1には、この構成についての直接の記載はないこと。
相違点2:本願考案では、レンズの左と右のうち少なくとも一方の側壁部から左方及び右方の少なくとも一方への光洩れを防止する構造であるのに対し、引用考案1では、レンズ2の上部側から漏れる光漏れを防止する構造であること。
相違点3:本願考案では、遮蔽板部をハウジングに一体成形したのに対し、引用考案1では、遮蔽板はハウジングと別体であること。
第4 相違点の判断
1 相違点1について
車両用ヘッドランプが、車両のフロントグリルの凹所に設置され、フロントグリルの凹所からレンズが突出する構成は、例えば、実願昭47-22903号(実開昭48-100089号)のマイクロフィルムの第4図に開示されているラジエーターグリルの埋込部8に取り付けられた補助前照灯1の構成、実願昭55-67904号(実開昭56-168431号)のマイクロフィルムに開示されているラジエータグリル4の開口部4aに装着されたヘッドランプ5の構造を参照すれば、車両に相当する自動車のヘッドランプにおける従来慣用の構造であると認められる。そうすると、相違点1に係る本願考案の構成は、本願考案の出願前の周知技術であったというべきである。そして、この周知技術を引用考案1に適用することは、これらが共通の技術分野に属する以上、当業者であれば格別の困難性はなかったものと認められる。
2 相違点2について
引用例1には、「実施例では上部側にのみ遮光板6を配置した。これは眩惑光が上方に指向する光であることによるが、必要なら下部、側面に設けることも可能である。」(4頁8?11行)と記載され、この記載によれば、必要に応じて遮光板を側面に設けることが示唆されているというべきである。そうすると、相違点2に係る本願考案の構成は、引用考案1における遮光板の位置を必要に応じて設計変更したものにすぎないのであって、当業者であれば格別の困難性なく推考できたものと認められる。
なお、請求人は、平成10年5月18日付けの意見書において、引用例1には、レンズの左と右のうち少なくとも一方の側壁部がフロントグリルの凹所から突出する場合において、突出した部分から光が漏れるのを防止する課題の開示がないと主張するが、引用例1の上記記載に照らせば、かかる課題は当業者には自明であったと認められる。請求人の主張は採用できない。
3 相違点3について
当審の拒絶の理由に引用された実願昭61-120358号(実開昭63-28201号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という。)には、前照灯の光漏れ防止構造において、ランプ本体内部においてレンズの周側部内面と対面し、周側壁内面を覆ってレンズ前壁内面付近まで延びた遮光部(本願考案の「遮蔽板部」に相当する。)を、ハウジングと一体形成した点が記載されていると認められる。そうすると、相違点3に係る本願考案の構成は、引用例2に開示されているというべきである。そして、この技術と引用考案1とは、共に前照灯の光漏れ防止構造に関して共通するものであるから、これらを組み合わせることは、当業者であれば格別の困難性はなかったものと認められる。
そして、本願考案は、その効果についても、当業者が引用例1及び引用例2記載の各考案並びに周知技術から予測できる程度のものであって、これを越えるような格別顕著な効果を奏するものとは認めることができない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願考案は、引用例1及び引用例2記載の各考案並びに周知技術から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであると認められるから、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができない。よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-05-10 
結審通知日 2002-05-24 
審決日 2002-06-07 
出願番号 実願平2-23674 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (F21M)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 槙原 進  
特許庁審判長 橋本 康重
特許庁審判官 長浜 義憲
原 慧
考案の名称 ランプの側方光洩れ防止構造  
代理人 笹島 富二雄  

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