• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効としない A47G
管理番号 1064504
審判番号 審判1998-35409  
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-10-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-08-31 
確定日 2000-10-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第2577654号実用新案「被服用ハンガー」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続きの経緯
本件登録第2577654号実用新案(以下、「本件考案」という。)は、平成3年4月9日に実用新案登録出願され、平成10年5月15日にその実用新案登録がなされた。
そして、本件考案は明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認められる。
「【請求項1】中央部にフック5を有するハンガー本体2と、このハンガー本体の水平部3の左右に摺動可能に設けられた1対のピンチ4とから成る合成樹脂製被服用ハンガーに於いて、前記ハンガー本体の側壁3a、3bの少なくとも上縁部に前記ピンチのガイド用断面T字部状突壁7、7を形成し、またこれらの断面T字状突壁7、7よりも下位のハンガー本体の水平部の側壁には、直線状のガイド用突起8を形成し、一方前記ピンチは長さ方向にバネ貫挿用窓11および挟持バネ15の両端部15a、15aが係合するバネ係合用の外壁凹所12、12をそれぞれ有すると共に、内壁面に前記縁部の突起7、7とそれぞれスライド係合する第1係合部13、13並びに前記直線状のガイド用突起8と係合スライドする第2係合部14、14を有する左右一対の挟着片9、10と、前記両端部15a、15aが前記窓11から貫挿され、かつ、前記外壁凹所に弾発的に係合圧接すると共に、非磁性体としての鉄分を有しない材料でU字型状に形成された前記挟持バネ15とから成ることを特徴とする被服用ハンガー。
【請求項2】請求項1に於いて、ハンガー本体2の水平部3は、縦断面がやや漢字の「王」の字に似た形状であることを特徴とする被服用ハンガー。」
2.当事者の主張
(1)請求人は、「登録第2577654号実用新案の明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1,2及び3に係る考案についての登録を無効にする。」との審決を求め、その理由として、本件請求項1,2及び3に係る考案は甲第1号証および甲第2号証乃至甲第4号証記載のものから当業者がきわめて容易に考案できたものであり、実用新案法第3条第2項の規定に該当するから、同法第37条の規定により本件請求項1,2及び3に係る実用新案の登録を無効とすべきである。」と主張し、証拠方法として、次の、甲第1号証乃至甲第4号証を提出している。
甲第1号証:実公昭54-43859号公報
甲第2号証:実公昭64- 230号公報
甲第3号証:実開昭59-37054号公報
甲第4号証:実開平 3-71083号公報
(特開平3-71083号公報の誤り)
なお、請求人は、本件請求項1,2及び3に係る実用新案の登録を無効とする旨請求しているが、本件登録実用新案は、請求項1及び2からなるものである。
しかしながら、当該審判請求は実質的に全請求項に対して無効審判請求がなされたものと認められるのでこのまま審理を進めることとする。
(2)被請求人の答弁
被請求人は結論同旨の審決を求め、請求人が主張する無効事由によって本件実用新案が無効になるものではない旨の答弁をしている。
3.当審の判断
請求人が提出した、甲第1号証(実公昭54-43859号公報)には、ピンチハンガーにおけるピンチ取付構造の改良に関するものとして、「ピンチ4の上方部に形成した窓5の下側裏面に突起6を突設し、突起6の上方に凸部7を形成することにより突起6と凸部7の間に凹部8を形成し、上記ピンチ4を2枚1組とし、凹部8にバー2上縁のリブ3を遊嵌させると共に窓5に逆U字状とした板バネ9を通して外側よりピンチ4を挟着していることを特徴とするピンチハンガー。」(実用新案登録請求の範囲)が、また「この考案は・・・従来例の様な凹溝を全く構成していないため体裁が良いと共に、凹部8にバー2のリブ3を深く遊嵌合させるためピンチ4の装着状態が安定し、ピンチ4の位置ズレの生ずる虞れがなく、さらに凹部8とリブ3を嵌合させると共に板バネ9を挟着させる容易な作業でピンチ4を装着することができる等、この考案のピンチハンガーは実用的効果に優れている。」(公報1頁右欄22?30行)ことが記載されている。
また、甲第2号証(実公昭54-230号公報)には、「この考案は、ハンガーの丸棒箇所とか洗濯挟みの軸といった取付軸面の両側から対をなす合成樹脂製クリップ本体を当てがって、両クリップ本体を逆U字状の合成樹脂製バネ体で挟みつけることで一体に構成されるクリップに関するものである。「(公報1頁左欄24行?右欄1行)ことが記載されている。
さらに、甲第3号証(実開昭59-37054号公報)には、「断面U状の挟圧片C」が図面と共に記載されている。
さらに、甲第4号証(特開平3-71083号公報)には、「クリップ4は、アーム部3aを挟んで対向する一対のクリップ片5,5を有し、少なくとも片方のクリップ片5がその中間部においてアーム部3aに対し揺動可能に支持される。」(公報2頁左下欄8?11行)こと、「本願発明においては、上記ハンガ1は、その全部品が非磁性材料で形成される。・・・上記クリップ4は、通常、そのクリップ片5やバネ6が金属で形成されることが多いが、本例においても、これらを樹脂で形成している。なお、バネ6の形成材料には、バネ材として好適な、ポリアセタール樹脂、あるいはガラス繊維強化樹脂や炭素繊維強化樹脂などを用いることが望ましい。」(公報2頁右下欄2?12行)ことが図面とともに記載されている。
(請求項1に対して)
甲第1号証記載の考案は、第1図によれば中央部にフックが、また、第2図によればピンチには板バネ両端部が係合するバネ係合凹所が備わっていることは明らかであり、スカートを挟着するものであるから被服用ハンガーに係るもの認められる。
そこで本件請求項1に係る考案と甲第1号証記載の考案とを対比すると、甲第1号証記載の考案の「本体1」、「バー2」、「リブ3」、「ピンチ4、4」、「窓5」、「凹部8」及び「板バネ9」は、それぞれ本件請求項1に係る考案の「ハンガー本体1」、「水平部3」、「突壁8」、「挟持片9,10」、「貫通窓11」、「第1係止部13」及び「挟持バネ15」に相当するものと認められるから、
両者は、「中央部にフックを有するハンガー本体と、このハンガー本体の水平部の左右に摺動可能に、設けられた1対のピンチとから成る被服用ハンガーに於いて、前記ハンガー本体の側壁の少なくとも上縁部に前記ピンチのガイド用断面T字部状突壁を形成し、一方前記ピンチは長さ方向にバネ貫挿用窓および挟持バネの両端部が係合するバネ係合用の外壁凹所をそれぞれ有する左右一対の挟着片と、前記両端部が前記窓から貫挿され、かつ、前記外壁凹所に弾発的に係合圧接すると共にU字型状形成された前記挟持バネとから成ることを特徴とする被服用ハンガー。」の点で一致し、
(1)被服用ハンガーが、本件請求項1に係る考案では「合成樹脂製」であるのに対し、甲第1号証記載の考案では、材質が不明な点、
(2)本件請求項1に係る考案では、「断面T字部状突壁よりも下位のハンガー本体の水平部の側壁には、直線状のガイド用突起を形成し」たのに対し、甲第1号証記載の考案では、そのような構成を備えていない点。
(3)本件請求項1に係る考案では、「直線状のガイド用突起と係合スライドする第2係合部を有」して備えているのに対し、甲第1号証記載の考案では、そのような構成を備えていない点。
(4)挟持バネを、本件請求項1に係る考案では、「非磁性体としての鉄分を有しない材料」から成るのに対して、甲第1号証記載の考案では、その点が明記されていない点。
で相違しているものと認められる。
そこでこれら相違点について検討する。
甲第2号証には上記(4)の挟持バネを合成樹脂製とすることは記載されているが、上記(2)の「断面T字部状突壁よりも下位のハンガー本体の水平部の側壁には、直線状のガイド用突起を形成し」、上記(3)の「直線状のガイド用突起と係合スライドする第2係合部を有す」る点については何ら記載も示唆するところもない。
また甲第4号証には、上記(1)のハンガー本体を合成樹脂製とする点、および(4)の挟持バネを非磁性体としての鉄分を有しない材料すなわち合成樹脂で形成する点について、また、側壁に突条が設けられたアーム部の記載(第1図)はあるものの、このアーム部の突条がガイドとなるのか否か、また、アーム部の突条と一対の挟持片とがどのような関係なのか何ら明記されておらず不明であるから、甲第4号証は、上記(2)、(3)の「断面T字部状突壁よりも下位のハンガー本体の水平部の側壁には、直線状のガイド用突起を形成し」、「直線状のガイド用突起と係合スライドする第2係合部を有」する点については何ら示唆するところがない。
そして、本件請求項1に係る考案は、上記構成を備えることにより、「ピンチ4に衣服を挟持させた場合に、該品物の挟持によりU字型状の挟持バネ15が外拡変位しも、左右一対の挟着片9、10の第1係合部13、13がハンガー本体2のピンチのガイド用断面T字部状突壁7、7に、前記挟持バネ15のバネ力に抗して2点状態で圧接する。また、取付けた挟持片9(10)の位置を変えるために、例えばハンガー本体2を片手で持ち、一方、挟持片を水平方向に押したり引いたりすれと、中央部の直線状ガイド用突起8と、これよりも上位に位置する断面T字部状突壁7により、ピンチ4は「上下の2点」で支持された状態で水平方向に移動する。」から、「専用車での運搬中に「偏り現象」が生じない。またピンチ4を水平方向に移動させる際に対向する前後の挟着片が上下または左右にずれない。」という明細書記載の効果を奏するものであり、該効果については甲第1号証乃至甲第4号証記載のものからは予期し得ないものである。
そうすると、上記構成を備えていない甲第1号証乃至甲第4号証に記載された考案を総合したところで、本件請求項1に係る考案が、甲第1号証乃至甲第4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到できたものであるとは到底認められない。
なお、請求人は上記相違点(2)、(3)に関し、審判請求書で「ハンガー本体の水平部の側壁に、直線状のガイド用突起8を形成し、また、ガイド用突起8と係合する第2係合部14、14を有するが、甲第1号証では、この機能を「リブ3の下側およびこれに係合する挟着片の突起6」が果たしているのであって、単なる実施の形態上の相違でしかない。」と主張するが、甲第1号証記載のものは、本件請求項1に係る考案の「突壁」に相当するリブを、本件請求項1の係る考案の「第1係止部」に相当する「突起と凸部」とで形成される凹部に遊嵌合するものであり、突壁を第1係合部の上下で単に挟持するものであって、本件請求項1に係る考案の、断面T字部状突壁よりも下位のハンガー本体の水平部の側壁に「直線状のガイド用突起を形成し」、さらに、この「直線状のガイド用突起と係合する第2係合部を有」する構成を備えてもいないし、その点を示唆するところもないから、これら相違点(2)、(3)は単なる形態上の相違である、という請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、(他の証拠の説明)の項において、甲第3号証(実開昭59-37054号公報)には「既に合成樹脂製の板バネ(これは明らかに非磁性体)が採用されていて、・・・」と主張するが、甲第3号証には挟圧片の材質に関しては何ら記載がなくまた示唆するところもない。
(請求項2に対して)
請求項2に係る考案は請求項1に係る考案をさらに限定したものであるから、請求項1に係る考案についての判断と同様の理由により、上記甲号各証に記載の考案から当業者がきわめて容易に想到できたものとすることはできない。
5.むすび
したがって、本件請求項1及び2に係る考案は甲第1号証乃至甲第4号証に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものとすることができない。
以上のとおりであるから、本件実用新案登録は請求人の主張する理由および提出した証拠方法によっては無効とすることはできない。
よって結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-02-26 
結審通知日 1999-03-12 
審決日 1999-03-25 
出願番号 実願平3-31900 
審決分類 U 1 112・ 121- Y (A47G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 阿部 寛  
特許庁審判長 岡田 幸夫
特許庁審判官 岡 千代子
長崎 洋一
登録日 1998-05-15 
登録番号 実用登録第2577654号(U2577654) 
考案の名称 被服用ハンガー  
代理人 三浦 光康  
代理人 伊藤 晴之  
代理人 瀬谷 徹  
代理人 斎藤 栄一  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ