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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て成立) E05B
管理番号 1066100
判定請求番号 判定2002-60044  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2002-11-29 
種別 判定 
判定請求日 2002-04-15 
確定日 2002-09-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第3044289号の判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「簡易補助錠」は、登録第3044289号実用新案の技術的範囲に属しない。
理由 一 請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号説明書及びイ号図面に示す「簡易補助錠」は、実用新案登録第3044289号の技術的範囲に属しないとの判定を求めるものである。

二 本件考案
実用新案登録第3044289号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「一端側が略コ字状に折曲されて挟着部が形成され、外側の端部フランジ部から中間の端部フランジ部に跨ってはねじ部材が架設されると共に、ねじ部材には圧着片が軸方向に移動可能に螺挿され、かつ他端には錠杆挿通孔が穿設された取付プレートと、前記取付プレートの他端に嵌合し、前記取付プレートの錠杆挿通孔と連通する錠杆挿通孔を有し、端部にはドア押さえ片を有するU字状をなす係止金具と、前記錠杆挿通孔に挿通する錠杆を備えた錠と、からなることを特徴とする簡易補助錠。」

本件考案を分説すると次のとおりである。

A 一端側が略コ字状に折曲されて挟着部が形成され、外側の端部フランジ部から中間の端部フランジ部に跨ってはねじ部材が架設されると共に、ねじ部材には圧着片が軸方向に移動可能に螺挿され、かつ他端には錠杆挿通孔が穿設された取付プレートと、

B 前記取付プレートの他端に嵌合し、前記取付プレートの錠杆挿通孔と連通する錠杆挿通孔を有し、端部にはドア押さえ片を有するU字状をなす係止金具と、

C 前記錠杆挿通孔に挿通する錠杆を備えた錠と、

D からなることを特徴とする簡易補助錠。

三 イ号物件の特定
判定請求書に添付されたイ号説明書及びイ号図面、並びに判定事件答弁書に添付されたイ号説明書及びイ号図面の記載によると、イ号物件は、次のaないしdからなるものとするのが相当である。なお、符号は判定事件答弁書に添付されたイ号説明書及びイ号図面のものを採用した。

a 一側端が略コ宇状に折曲されて挟着部4が形成され、外側の端部フランジ部12から中間の端部フランジ部13に跨ってねじ部材5が架設されると共に、ねじ部材5には圧着片14が軸方向に移動可能に螺挿され、かつ他端には孔6が穿設された取付プレート1を有する。

b1 取付プレート1の他端が嵌合される係止具2を有する。

b2 係止具2には、取付プレート1に穿設された孔6と連通する孔7が設けられている。

b3 係止具2は、取付プレート1に連結した状態で開き戸11に当接することによって開き戸11の移動を規制するドア押え片8を有する。

c1 係止具2の内部に収納され、係止具2の取付プレート1からの脱離を禁止、許可する錠3を有する。

c2 錠3は金属ボール15’を有する。

c3 金属ボール15’は、取付プレート1側と係止具2側の双方の孔6、7に嵌合した状態でスライド面を閉塞して係止具2の取付プレート1からの脱離を防止し、取付プレート1側の孔6との嵌合が解除された状態でスライド面が開放されて係止具2の脱離が許容される。

d 簡易補助錠3である。

なお、判定事件答弁書に添付されたイ号説明書には、符号15’の部材を「施錠体」、符号6及び7の孔を「錠杆挿通孔」、符号2の部材を「係止金具」と記載しているが、符号15’の部材については、判定請求書に添付されたイ号説明書に記載された「金属ボール」がより明確にその形態を表していると認められ、符号6及び7の孔については、金属ボールを挿通するものであって錠杆を挿通するものではなく、さらに、判定請求書に添付されたイ号説明書には、符号2の部材の材質が記載されていないことから、当該各部材、孔について上記のように特定した。

四 属否の検討
本件考案とイ号物件とを対比すると、イ号物件は本件考案の構成要件A及びDを充足することは明らかである。
次に、イ号物件の技術事項b1ないしc3が本件考案の構成要件B、Cを充足するか否かを検討すると、本件考案において構成要件B、Cである係止金具及び錠は、明細書及び図面の記載からみて、それぞれ別体の部材からなるものと認められるのに対し、イ号物件の係止具及び錠は、係止具内部に錠が収納され一体に構成されるものであるから、イ号物件は本件考案の構成要件B、Cを充足しない。

五 均等の要件
被請求人は、判定事件答弁書において、イ号物件が本件考案の構成要件B、Cを充足しないとしても、イ号物件は本件考案と均等なものである旨主張するので検討する。
最高裁平成6年(オ)第1083号(平成10年2月24日第三小法廷判決、民集52巻1号113頁参照)によれば、特許請求の範囲に記載された構成中に相手方が製造等をする製品(以下「対象製品」という。)と異なる部分が存する場合であっても、

1 右部分が特許発明の本質的部分ではなく、

2 右部分を対象製品におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達す ることができ、同一の作用効果を奏するものであって、

3 右のように置き換えることに、当該発明の属する技術の分野における通 常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が、対象製品の製造等の 時点において容易に想到することができたものであり、

4 対象製品が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者 がこれから右出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、

5 対象製品が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的 に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないとき(以下、上記1な いし5の要件を要件1ないし5という。)

は、右対象製品は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である旨判示されている。
そこで、本件において、上記異なった部分(本件考案の構成要件B、C)の存在にもかかわらず、イ号物件が、上記要件1ないし5を満たすものであって、本件考案と均等なものとして、その技術的範囲に属するということができるかどうか検討する。
まず、上記要件1について検討すると、要件1の特許発明の本質的部分とは、明細書の特許請求の範囲に記載された構成のうち、当該特許発明特有の解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分が特許発明における本質的部分であると解され、本件考案においては、構成要件B、C、すなわち係止金具及び錠が別体の部材からなることは特徴的部分であり、本件考案の本質的部分といえる。
したがって、本件考案とイ号物件とは、本件考案の本質的部分において相違するから、均等に関する他の要件について検討するまでもなく、両者が均等なものであるということはできない。

六 まとめ
以上のように、均等論を考慮しても、イ号物件は本件考案の技術的範囲に属するとすることはできない。
よって、結論のとおり判定する。

なお、本件考案の実用新案登録については、平成14年7月3日付けで無効審判請求(審判2002-35281号)がなされ、平成14年7月25日付けで実用新案技術評価書が作成されている。

判定日 2002-09-11 
出願番号 実願平9-4944 
審決分類 U 1 2・ 1- ZA (E05B)
最終処分 成立  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 鈴木 公子
中田 誠
登録日 1997-10-01 
登録番号 実用新案登録第3044289号(U3044289) 
考案の名称 簡易補助錠  
代理人 山川 雅男  
代理人 林 清明  
代理人 森 治  
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