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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する E02D
管理番号 1067648
審判番号 訂正2002-39095  
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-12-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2002-04-19 
確定日 2002-06-25 
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2099411号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2099411号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由 1.経緯

実用新案登録第2099411号は、平成1年11月22日に出願され、平成7年4月12日に出願公告(実公平7-15882号)され、平成8年1月26日に登録されたものであって、平成12年12月11日に無効審判の請求があり、特許庁において無効2000-35666号事件として審理され、平成13年9月26日付けで「訂正を認める。実用新案登録第2099411号の請求項1に係る考案についての実用新案登録を無効とする」旨の審決がなされ、この審決に対する訴えが東京高等裁判所になされた(平成13年(行ケ)第497号)。
一方、本件訂正審判の請求は平成14年4月17日付けでなされ、その請求の趣旨は、登録第2099411号実用新案の明細書を請求書に添付した明細書のとおり訂正することを求めるものである。

2.訂正の内容

本件訂正審判の請求により訂正しようとする内容は実用新案登録請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書の一部を次のように訂正するものである。
(審判請求書第3頁の「(2)訂正の目的」には、実用新案登録請求の範囲の減縮と記載されているが、明細書の明りょうでない記載の釈明をも目的としていることは明らかである。)
(1)訂正事項1
実用新案登録請求の範囲の
「蓋本体2が蓋受枠6上にその上面が略面一に嵌合され、蓋本体2の下端外周縁に逃げ空所5を形成すべく切り欠き部4が刻設された地表埋設用蓋付枠において、該切り欠き部4の少なくとも一箇所以上には突起体10が外周方向に突設されてなり蓋受枠6の少なくとも一箇所以上には、前記突起体10を係入するための凹部11が形成されてなることを特徴とする地表埋設用蓋付枠。」を、
「蓋本体2が蓋受枠6上にその上面が略面一に嵌合され、蓋本体2の下端外周縁に逃げ空所5を形成すべく切り欠き部4が刻設された地表埋設用蓋付枠において、蓋本体2の上方外周側面には蓋受枠6の上方内周縁に形成されたテーパー面8に合致するテーパー面7が形成されてなり、且つ前記切り欠き部4の少なくとも一箇所以上には突起体10が外周方向に突設されてなり蓋受枠6の少なくとも一箇所以上には、前記突起体10を係入するための凹部11が形成され、しかも前記蓋受枠6には蓋本体2の環状脚部3を載置するための受部9が形成され、且つ前記蓋本体2の環状脚部3の底面と前記凹部11の底部11aとの間にのみ隙間が設けられてなることを特徴とする地表埋設用蓋付枠。」
と訂正する。(以下、実用新案登録請求の範囲に記載された考案を本件訂正考案という。)
(2)訂正事項2
考案の詳細な説明の課題を解決するための手段(実用新案出願公告公報第2頁左欄第38行目)における「付枠において、該切り欠き部4」を、「付枠において、蓋本体2の上方外周側面には蓋受枠6の上方内周縁に形成されたテーパー面8に合致するテーパー面7が形成されてなり、且つ前記切り欠き部4」と訂正する。
(3)訂正事項3
考案の詳細な説明の課題を解決するための手段(実用新案出願公告公報第2頁左欄第41行目)における「の凹部11が形成されてなる」を、「の凹部11が形成され、しかも前記蓋受枠6には蓋本体2の環状脚部3を載置するための受部9が形成され、且つ前記蓋本体2の環状脚部3の底面と前記凹部11の底部11aとの間にのみ隙間が設けられてなる」と訂正する。

3.当審の判断

3-1 本件実用新案登録は、平成1年11月22日の出願で、本件訂正審判の請求は平成13年11月16日であることから、本件訂正審判の請求は、(平成10年法律第51号附則第13条の規定により改正された)平成5年法律第26号附則第4条第2項で読み替えられた平成5年改正前の実用新案法(以下、旧実用新案法という。)第39条の要件、つまり、
(ア)旧実用新案法第39条第1項ただし書きの要件である、
願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内で、かつ、次に掲げる事項を目的とするもの。
一 実用新案登録請求の範囲の減縮、
二 誤記の訂正、
三 明りょうでない記載の釈明。
(イ)同条第2項の要件である、
実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならず、
(ウ)同条第3項の要件である、
実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるもの、
という要件を満たすことを要するので検討する。

3-2 訂正事項1ないし3に記載された事項は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、訂正事項1は実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、訂正事項2、3は、実用新案登録請求の範囲を訂正したことによって生じる明細書の記載の不都合を整える訂正であって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。
さらに、訂正事項1ないし3は、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものとも認められないので、旧実用新案法第39条第1項ただし書きの要件及び同条第2項の要件を満たすものである。

3-3 次に、同条第3項のいわゆる独立実用新案登録要件について検討する。
(1)本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物
本件実用新案登録に対する上記無効審判事件(無効2000-35666号)において請求人が提出した、本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第8号証には、各々次の記載が認められる。
(ア)甲第1号証(実願昭53-58692号(実開昭54-159749号)マイクロフィルム(以下、「引用例1」という。))
「本考案は、ホール壁筒体の上縁に嵌合固定した蓋受枠体に、蓋を密着状態に固定して蓋の旋回や飛び出しを阻止し、もって蓋の旋回に起因する騒音の発生や蓋の飛び出しにより誘発される不測の事故の発生を完全に防止することができるマンホールに係るものである。
従来、下水道、電線埋設管等のマンホールは、ホール壁筒体の上縁に蓋受枠体の蓋嵌合凹段部に蓋を嵌め込むようになっているが、下水管渠の清掃や電線埋設管の検査等を定期的に行なう必要上、重量物である蓋はその開閉を容易にするために蓋の周側壁と該周側壁に対応する壁嵌合凹段部との間に若干の間隙を存した状態で蓋嵌合凹段部に嵌め込こまれている。このため、特に車輌の往来が激しい道路に設置されたものにおいては、車両が通過する際、車輌との摩擦あるいは振動によってマンホールの蓋が旋回作用を受け、蓋が多方向に不規則に移動、揺動して騒音を発したり、あるいは蓋の飛び出しにより大事故を誘発する等の欠点があった。」(1頁16行?2頁15行)
「9は蓋受枠体1の立上がり面2a一側に穿設された凹溝であって、この凹溝9は前記錠体4が設けられた位置と対向する側に設けられており、蓋3の周側に突成された凸部10と嵌合され、該蓋3の旋回および上動を規制できるようになっている。」(5頁3?8行、第3、4図)
(イ)甲第2号証(実願昭55-189780号(実開昭57-114853号)マイクロフィルム(以下、「引用例2」という。))
「第1図は、このマンホールカバーの分解斜視図、第2図は同じく縦断面図である。11は受枠であって、その内周面は、親蓋が嵌着する。テーパ面12とそれに接続したリング上受部13とから構成されている。21は親蓋であって、外周側面は受枠に嵌着するテーパ面22とし・・・ている。」(2頁6?11頁)
「地中に埋設固定してある受枠11に親蓋21をその鉤孔27に工具を掛け持上げ、外周側面22を受枠の内周側面12に挿入し、相互のテーパ面同志を接触せしめて、親蓋21を受枠11に嵌着する。」(3頁4?8行)
上記記載と第2図の記載によれば、親蓋21周面上部のテーパ面と、受枠11の内周側面のテーパ面とが接触していること、親蓋21と受枠11の上面が略面一となっていること、親蓋21の下部は周面が切り欠かれて、受枠11との間に空所が形成されていることが認められる。
(ウ)甲第3号証(実願昭54-66200号(実開昭55-168555号)マイクロフィルム(以下、「引用例3」という。))
「本考案は、汚水ます、浄化槽、マンホール等の地表埋設物の蓋受け構造の改良に関する。
従来上記のような地表埋設物は、排水から出る臭気の発散防止、蓋のガタつきによる騒音防止のため、第1?2図に示すように蓋受け枠1の上面の内側に溝2を周設し、この溝2に蓋3のつば部4を嵌入し、溝2の外壁5の壁面52に蓋3の外周面6を密着させ、且つ溝2の内壁7側の深さを深くして防音と防臭の効果を図っていた。しかしこの場合、溝2内に雨水や泥水が流入して土砂8が堆積すると、蓋3のつば部4が溝2内に嵌入しなくなるため、車が蓋3の上を通過すると、蓋3がハネてガタつく欠点があった。」(1頁9行?2頁2行)
「第3?4図に示すように蓋受け枠11の上面の内側に内壁12と外壁13とよりなる溝14を設け、その内壁12側の深さを、該蓋受け枠11にはめる蓋15の外周面16の厚さより浅く形成する。蓋15には溝14に嵌入するつば部17を突設し、このつば部17の両側に土砂溜り18が出来るように、つば部17の幅を溝14の幅より狭く設定する。
このように構成したので、蓋受け枠11と蓋15との隙間より雨水や泥水が流入して土砂が溝14内に堆積しても内壁12側が浅いため、土砂はここからオーバーフローするので、内壁12より高くは堆積しない。このため溝14内に土砂が堆積しても、はめた蓋15は、その外周面16が外壁13の上縁131よりはずれることがないので、蓋15はズレず、ガタつきによる騒音も少なくすることが出来る。」(2頁14行?3頁10行)
(エ)甲第4号証(実公昭58-51246号公報(以下、「引用例4」という。))
第3、4図には、マンホール蓋7の外周部下面に設けられたリング形突起8が、受枠1の周溝5に嵌まり込む構造が記載され、リング状突起の外周面には切欠き部が設けられている。
(オ)甲第5号証(実公昭58-51248号公報(以下、「引用例5」という。))
マンホールカバーに関し、「蓋11の外周側面14は、受枠の内周側面22に嵌着するよう、下方に従い縮径するテーパ面となっているが、受枠への嵌入を容易にするため、中間において段差部を設け、この段差部より下のテーパ面は、これより上のテーパ面より後退せしめてある。」(2欄15?20行)
「21は受枠であって、使用時には地中に埋設されるが、その内周側面の上部22は下方に従い縮径するテーパ面が形成され、それに続く下側内周はリング状受部23となっている。」(2欄15?20行)
図の特に第3図及び第4図によれば、受枠21のリング状受部23の上面と、蓋11のリング状外周下端18との間には全周にわたり隙間が形成されている。
(カ)甲第6号証(実公昭62-4595号公報(以下、「引用例6」という。))
第2図に、マンホールの環状の係止枠2の外周壁3から内方に形成された乗載溝4に、マンホール蓋7の下面外周部に形成された環状周壁8が嵌着している構造が記載され、環状周壁8の下方には切欠き部が形成されている。
(キ)甲第7号証(実公昭62-4596号公報(以下、「引用例7」という。))
第2図に、マンホールの環状の支持枠2の外周壁3から内方に形成された乗載溝4に、マンホール蓋7の下面外周部に形成された環状周壁8を載置する構造が記載され、環状周壁8の下方には切欠き部が形成されている。
(ク)甲第8号証(実公昭62-23885号公報(以下、「引用例8」という。))
「1は入口の内周面に環状の支持枠を設けたマンホールであって、該支持枠2は外周壁3から内方に乗載片4を突設してなる。」(3欄39?41行)
「7は円板状の溝蓋であって、その外径は前記支持枠2の外周壁3の内径と略等しく、その下面周部に形成した環状の周壁8を前記乗載片4上に載置して前記支持枠に支持される。」(4欄1?4行)

(2)本件訂正考案と引用例記載のものとの対比
本件訂正考案と引用例1に記載されたものとを対比すると、両者は、
「蓋本体が蓋受枠上にその上面が略面一に嵌合された地表埋設用蓋付枠において、蓋本体の下端外周縁の少なくとも一箇所以上には突起体が外周方向に突設されてなり蓋受枠の少なくとも一箇所以上には前記突起体を係入するための凹部が形成され、しかも前記蓋受枠6には蓋本体2の環状脚部3を載置するための受部9が形成されてなることを特徴とする地表埋設用蓋付枠。」
で一致し、次の点で相違する。
相違点1:
本件訂正考案の蓋本体の突起部が、蓋本体の下端外周縁に逃げ空所を形成すべく刻設された切り欠き部に突設されているのに対して、引用例1記載の蓋本体には切欠き部を設けることなく、蓋本体の下端外周縁に突起体が突設している点、
相違点2:
本件訂正考案が、蓋本体の上方外周側面には蓋受枠の上方内周縁に形成されたテーパー面に合致するテーパー面が形成されるのに対して、引用例1記載の蓋本体と蓋受枠とには間隙が存在する点
相違点3:
本件訂正考案が、前記蓋本体2の環状脚部3の底面と前記凹部11の底部11aとの間にのみ隙間が設けられているのに対し、引用例1記載の蓋本体の環状脚部と蓋受枠との間には間隙が設けられていない点。

(3)相違点についての判断
(相違点3について)
本件訂正考案は、相違点3に係る構成とした作用効果に関して次の記載が認められる。
「蓋本体2を開放する際には、突起体10の先端が蓋受枠6の凹部11の底部11aに添って移動することとなり、底部11aに溜まった土砂等を削り取りつつ蓋受枠6内へ掻き落とすために、凹部11内に堆積物が生じることがなく、蓋本体2の開閉作業が常に容易に行えるのである。(中略)第2図(イ)至乃至(ハ)に示すように円形でもよい。同図(ロ)においては、蓋受枠6と蓋本体2との隙間から地表水と共に侵入した砂塵等が蓋受枠6の溝12から凹部11の底部11aを経て地表水と共に蓋受枠6内へ排除される状態を示す(二点鎖線)。」(本件審判請求書添付の訂正明細書4頁16行?26行(公告公報5欄1行?15行)の実施例の項)、
「蓋受枠の受部に溝が周設され、且つ凹部の底部には蓋受枠の内周方向へ下る傾斜が付されてなるために、蓋受枠と蓋本体との隙間から地表水と共に砂塵等が侵入しても、該砂塵等を溝から凹部の底部を経て地表水と共に蓋受枠内へ排除し滞留を防止する。しかも、蓋本体を開放する際には、突起体の先端をもって凹部の底部に溜まった土砂等が蓋受枠内に掻き落とされるため、凹部内に堆積物を生じることがなく、蓋本体の開閉が常にスムーズに行えるという優れた効果をも有する。」(同明細書第5頁8行?14行(公告公報5欄35行?6欄8行)の考案の効果の項)。
以上の記載から、本件訂正考案においては、蓋受枠6と蓋本体2との隙間から地表水と共に侵入した砂塵等は、蓋受枠6の溝12から凹部11の底部11aに設けられた上記相違点3に係る「隙間」を経て地表水と共に蓋受枠6内へ排除され、地表水や砂塵等の滞留を防止するというものであって、当該「隙間」は、地表水や砂塵等を蓋受枠内へ排除する作用効果を奏するものといえる。
(なお、突起体10の先端が蓋受枠6の凹部11の底部11aに添って移動することにより、底部11aに溜まった土砂等を削り取りつつ蓋受枠6内へ掻き落とすという作用は、上記相違点3に係る「隙間」の有無に関わりなく奏することができると考えられる。)
そして、本件訂正考案においては、当該「隙間」を設けた位置について、「蓋本体2の環状脚部3の底面と前記凹部11の底部11aとの間にのみ」と規定しており、当該部分に「隙間」を設けることは引用例2ないし引用例8に記載されておらず、また、それを示唆する記載もなく、当該「隙間」を設けることが地表埋設用蓋付枠の技術分野において本件実用新案登録出願前に公知の技術的事項であったとも認められない。
さらに、本件訂正考案は、相違点3に係る構成としたことによって、上記明細書記載の作用効果を奏すると認められる。

(4)よって、本件訂正考案は相違点1、2の検討を待つまでもなく、引用例1?8に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案できたものとすることはでず、実用新案法第3条第2項に該当しない。

(5)また、他に実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないとする理由も見当たらない。

4.まとめ

したがって、本件訂正審判請求は、旧実用新案法第39条の要件を満たすものである。
よって、結論のとおり審決する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
地表埋設用蓋付枠
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】「蓋本体2が蓋受枠6上にその上面が略面一に嵌合され、蓋本体2の下端外周縁に逃げ空所5を形成すべく切り欠き部4が刻設された地表埋設用蓋付枠において、蓋本体2の上方外周側面には蓋受枠6の上方内周縁に形成されたテーパー面8に合致するテーパー面7が形成されてなり、且つ前記切り欠き部4の少なくとも一箇所以上には突起体10が外周方向に突設されてなり蓋受枠6の少なくとも一箇所以上には、前記突起体10を係入するための凹部11が形成され、しかも前記蓋受枠6には蓋本体2の環状脚部3を載置するための受部9が形成され、且つ前記蓋本体2の環状脚部3の底面と前記凹部11の底部11aとの間にのみ隙間が設けられてなることを特徴とする地表埋設用蓋付枠。」
【考案の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本考案は、仕切弁室や消火栓室、マンホール、桝等の埋設枠体の上部に載置されてなる地表埋設用蓋付枠の改良に関する。
(従来の技術)
本件考案の従来技術としては、本件出願人が出願してなる実公昭61-29811号公報記載の考案が存在する。
この考案の趣旨は、第4図(イ)、(ロ)に示すように、地表埋設用蓋付枠21を構成する蓋本体22の外周面の一部に突起24を設け、且つ蓋受枠23の一部に前記突起24が係入する溝25を刻設してなるもので、これにより蓋本体22の不用意な回転を抑制してなるものである。
(考案が解決しようとする課題)
しかるに、この従来の地表埋設用蓋付枠21においては、係合してなる突起24、溝25により蓋本体22の回転は防止されてなるのであるが、突起24、溝25はそれぞれ上下方向の全域に渡って形成されてなるため、浮き上がりによる離脱を防止するものではなかった。
又、従来の地表埋設用蓋付枠21においては、蓋本体22の開閉作業時における掃除不足や、地表埋設用蓋付枠21上を通過する車両等による蓋本体22の振動等により同図(ハ)の状態から(ニ)に示すように、蓋本体22の下端外周縁と蓋受枠23の蓋受部外周縁との間に土砂27が侵入して溜まってしまい、該土砂27によって蓋本体22が押し上げられてしまうのである。
この蓋本体22の浮き上がりによって、該蓋本体22と蓋受枠23との間に僅かな隙間が生じてガタツキ音を発生させたり、該隙間により一層土砂27等を侵入し易くしてしまう恐れがある他、特に長年経過した場合には一端浮き上がった蓋本体22が土砂27を蓋受枠23に押しつけた状態で前記振動を続け、且つ前後左右に摺動することにより蓋受枠23を摩耗させて蓋本体22が落ち込んでしまうという大なる問題点があった。
更に、地表埋設用蓋付枠21は前記突起24を蓋本体22の上下幅全域に突設してなるため、地表埋設用蓋付枠21の上面を略面一として蓋本体22を蓋受枠23に嵌合させるための、該蓋本体22の仕上げ作業時において、その下面は切削できるが、外周側面は前記突起24が邪魔となり切削作業が行えない。
また、蓋受枠23においては、L字形に形成される内壁の全域を仕上げるため切削作業に時間がかかるとともに、蓋受枠23と蓋本体22との嵌合時においては、上記蓋本体22がその外周側面を切削していないものであるために、仕上げ作業を施した蓋受枠23との側面間に不揃いな隙間が生じることとなるから、該仕上げ作業が無駄になり、且つ前記摩耗やガタツキ現象が発生する要因ともなっている。
本考案は上記の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、蓋本体の浮き上がりを防止してガタツキ等が生じず、また開閉容易な地表埋設用蓋付枠を提供するところにある。
(課題を解決するための手段)
本考案は、地表埋設用蓋付枠の蓋本体や蓋受枠に浮き上がり防止手段を具備させることにより、上記の課題を解決せんとしてなされたものである。
すなわち、本考案は、蓋本体2が蓋受枠6上にその上面が略面一に嵌合され、蓋本体2の下端外周縁に逃げ空所5を形成すべく切り欠き部4が刻設された地表埋設用蓋付枠において、蓋本体2の上方外周側面には蓋受枠6の上方内周縁に形成されたテーパー面8に合致するテーパー面7が形成されてなり、且つ前記切り欠き部4の少なくとも一箇所以上には突起体10が外周方向に突設されてなり蓋受枠6の少なくとも一箇所以上には、前記突起体10を係入するための凹部11が形成され、しかも前記蓋受枠6には蓋本体2の環状脚部3を載置するための受部9が形成され、且つ前記蓋本体2の環状脚部3の底面と前記凹部11の底部11aとの間にのみ隙間が設けられてなる地表埋設用蓋付枠である。
(作用)
上記構成からなる地表埋設用蓋付枠においては、切り欠き部4から突設されてなる突起体10と蓋受枠6の凹部11の係合により、いかなる場合においても蓋本体2の離脱、回転防止が図れるとともに、蓋本体2の下端外周縁に刻設されてなる切り欠き部4により、蓋受枠6の蓋受部外周縁との間に逃げ空所5が形成されてなるために、土砂27が蓋本体2と蓋受枠6との間に侵入した際にも、該土砂27は逃げ空所5内に収納されてしまうこととなるため蓋本体2の浮き上がり防止作用が得られ、従来のように蓋受枠6が摩耗損傷することがなく、従って上記双方の作用をもって一層の安全確実な使用が行えるのである。
(実施例)
以下、本考案の一実施例を図面に沿って説明する。
第1図(イ)至乃至(ニ)において、2は略長方形形状の蓋本体を示し、該蓋本体2の上方外周側面にはテーパー面7が形成されてなるとともに、下方方向には環状脚部3が突設形成され、その外周縁には略断面長方形形状の切り欠き部4が形成されてなる。
10は、前記蓋本体2の切り欠き部4から外側方向に向かって突設形成されてなる2個の突起体を示す。
6は、前記蓋本体2を外嵌状態にて載置させる蓋受枠を示し、前記蓋本体2の環状脚部3を載置させるための受部9が形成され、該蓋受枠6の上方の内周縁にはテーパー面7と合致するテーパー面8が形成されるとともに、受部9とテーパー面8との連設部には溝12が周設され、且つテーパー8面の下方には、前記突起体10が係入するための2個の凹部11が形成されてなる。ここで、凹部11の底部11aには、蓋受枠6の内周方向へ下る傾斜が付されてなるものである。
又、この蓋本体2の閉塞時には、蓋本体2の切り欠き部4によって蓋本体2の下端外周縁と、蓋受枠6との下方周縁間に逃げ空所5が形成されてなる。
第1図(ホ)、(ヘ)において、▽印は、テーパー面7、8、環状脚部3及び受部9の仕上げ作業に際しての切削位置を示す。
尚、15は、銘柄としての防水性の表示プレートを示し、地表埋設用蓋付枠1の下部に位置してなる埋設機器の仕様や使用状態等の説明等を表示部16に表示して外部から目視可能に構成されてなるもので、該表示プレート15は、片方を蓋受枠6に、もう片方を蓋本体2に接続された鎖体17によって垂下されてなる。
本実施例は、以上の構成からなりその作用について説明すれば、地表埋設用蓋付枠1の蓋本体2の閉塞時において、該蓋本体2に形成されてなる突起体10は、切り欠き部4から突設されて蓋受枠6の凹部11内に係合してなるために、例えば蓋本体2をそのまま上方向に持ち上げても前記係合は解除されることがないのである。
又、蓋本体2の開閉作業や振動等によって、例えば第1図(ハ)に示すように、蓋本体2と蓋受枠6との間に土砂27が侵入したとしても、該土砂27は、蓋本体2に設けた切り欠き部4によって形成されてなる逃げ空所5内に収納されることとなるために、従来の地表埋設用蓋付枠21のように蓋本体22が、該土砂27によって押し上げられて浮き上がるといったことがないのである。
このため、土砂27の侵入が生じた際にも蓋本体2のガタツキや摩耗による落ち込み等の心配がなく、極めて好適な使用が行えるのである。
又、蓋本体2を開放する際には、突起体10の先端が蓋受枠6の凹部11の底部11aに添って移動することとなり、底部11aに溜まった土砂等を削り取りつつ蓋受枠6内へ掻き落とすために、凹部11内に堆積物が生じることがなく、蓋本体2の開閉作業が常に容易に行えるのである。更に、製作面においては、逃げ空所5を設ける構造であるために、切削面積が従来の略半分で済み、この結果仕上げ作業が短時間で行えるのである。
尚、上記実施例においては、地表埋設用蓋付枠1の形状を長方形に形成してなるが、第2図(イ)至乃至(ハ)に示すように円形でもよい。同図(ロ)においては、蓋受枠6と蓋本体2との隙間から地表水と共に侵入した砂塵等が蓋受枠6の溝12から凹部11の底部11aを経て地表水と共に蓋受枠6内へ排除される状態を示す(二点鎖線)。
又、第1図に示す長方形状の地表埋設用蓋付枠1においては、突起体10と凹所11を長方形の長辺側に形成してなるが、決してこれは条件ではなく、第3図(イ)、(ロ)に示すように、長方形の短辺側に形成してもよく、また円形の地表埋設用蓋付枠1にあっても第3図(ハ)至乃至(ホ)に示すように蓋受枠6の具体的な構造も問うものではない。
又、突起体10と凹部11の詳細な形状や、その個数も限定されない。
その他、本考案の細部の詳細は、考案の意図する範囲内において自由に設計変更可能である。
(考案の効果)
叙上のように本考案は、蓋本体の切り欠き部から設けた突起体が、蓋受枠に設けられた凹部に係合されてなる地表埋設用蓋付枠であるために、該蓋本体の浮き上がりによって前記係合が解除されることがなく、いかなる条件においても蓋本体の廻り止めや、離脱防止が確実に行える地表埋設用蓋付枠であるという格別なる効果を有するに至った。
又、蓋受枠の受部に溝が周設され、且つ凹部の底部には蓋受枠の内周方向へ下る傾斜が付されてなるために、蓋受枠と蓋本体との隙間から地表水と共に砂塵等が侵入しても、該砂塵等を溝から凹部の底部を経て地表水と共に蓋受枠内へ排除し滞留を防止する。しかも、蓋本体を開放する際には、突起体の先端をもって凹部の底部に溜まった土砂等が蓋受枠内に掻き落とされるため、凹部内に堆積物を生じることがなく、蓋本体の開閉が常にスムーズに行えるという優れた効果をも有する。
更に、蓋本体の下端外周縁に逃げ空所を形成することにより、蓋本体と蓋受枠間に土砂等の侵入が生じた際にも、該土砂を逃げ空所内に収納して、蓋本体の浮き上がりを生じさせないという有益な効果もある。
尚、製作面においても、逃げ空所を形成し、且つ突起体は切り欠き部から突設されてなるため、該突起体を蓋本体の上下幅全域に渡って突設してなる従来の地表埋設用蓋付枠に比し、仕上げ面積が略半分に減少して遥かに作業性が良好となるのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の実施例を示し、(イ)は斜視図、(ロ)はそのE-E断面図、(ハ)は(ロ)のF部拡大図、(ニ)は(イ)のG部拡大断面図、(ホ)、(ヘ)はその切削位置を示す要部拡大図。
第2図は他実施例を示し、(イ)は斜視図、(ロ)は蓋受枠の要部拡大平面図、(ハ)は蓋本体の要部拡大平面図。
第3図は他実施例を示し(イ)は角物の平面図、(ロ)はそのH-H断面図、(ハ)は円形の蓋本体の平面図、(ニ)、(ホ)はその嵌合状態を示す断面図。
第4図は従来例を示し、(イ)は平面図、(ロ)はそのI-I断面図、(ハ)、(ニ)はその要部断面図。
1……地表埋設用蓋付枠、2……蓋本体、4……切り欠き部、5……逃げ空所、6……蓋受枠、7、8……テーパー面、9……受部、10……突起体、11……凹部、11a……底部、12……溝
訂正の要旨 訂正事項
▲1▼ 実用新案出願公告公報の実用新案登録請求の範囲の記載、「蓋本体2が蓋受枠6上にその上面が略面一に嵌合され、蓋本体2の下端外周縁に逃げ空所5を形成すべく切り欠き部4が刻設された地表埋設用蓋付枠において、該切り欠き部4の少なくとも一箇所以上には突起体10が外周方向に突設されてなり蓋受枠6の少なくとも一箇所以上には、前記突起体10を係入するための凹部11が形成されてなることを特徴とする地表埋設用蓋付枠。」を下記のとおり訂正する。
「蓋本体2が蓋受枠6上にその上面が略面一に嵌合され、蓋本体2の下端外周縁に逃げ空所5を形成すべく切り欠き部4が刻設された地表埋設用蓋付枠において、蓋本体2の上方外周側面には蓋受枠6の上方内周縁に形成されたテーパー面8に合致するテーパー面7が形成されてなり、且つ前記切り欠き部4の少なくとも一箇所以上には突起体10が外周方向に突設されてなり蓋受枠6の少なくとも一箇所以上には、前記突起体10を係入するための凹部11が形成され、しかも前記蓋受枠6には蓋本体2の環状脚部3を載置するための受部9が形成され、且つ前記蓋本体2の環状脚部3の底面と前記凹部11の底部11aとの間にのみ隙間が設けられてなることを特徴とする地表埋設用蓋付枠。」
▲2▼ 実用新案出願公告公報第2頁左欄第38行目「付枠において、該切り欠き部4」を「付枠において、蓋本体2の上方外周側面には蓋受枠6の上方内周縁に形成されたテーパー面8に合致するテーパー面7が形成されてなり、且つ前記切り欠き部4」と訂正する。
▲3▼ 実用新案出願公告公報第2頁左欄第41行目「の凹部11が形成されてなる」を「の凹部11が形成され、しかも前記蓋受枠6には蓋本体2の環状脚部3を載置するための受部9が形成され、且つ前記蓋本体2の環状脚部3の底面と前記凹部11の底部11aとの間にのみ隙間が設けられてなる」と訂正する。
審決日 2002-06-13 
出願番号 実願平1-135861 
審決分類 U 1 41・ 856- Y (E02D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西田 秀彦  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 鈴木 公子
木原 裕
中田 誠
蔵野 いづみ
登録日 1996-01-26 
登録番号 実用新案登録第2099411号(U2099411) 
考案の名称 地表埋設用蓋付枠  
代理人 岩田 徳哉  
代理人 鈴木 活人  
代理人 鈴木 活人  
代理人 大中 実  
代理人 薬丸 誠一  
代理人 中谷 寛昭  
代理人 藤本 昇  
代理人 藤本 昇  
代理人 大中 実  
代理人 薬丸 誠一  
代理人 中谷 寛昭  
代理人 岩田 徳哉  
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