• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H02K
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H02K
管理番号 1067650
審判番号 訂正2002-39166  
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-12-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2002-08-01 
確定日 2002-10-02 
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2561074号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2561074号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由 1.請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、実用新案登録第2561074号考案(平成1年1月31日出願、平成9年10月9日設定登録)の明細書及び図面を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1),(2)のとおり訂正することを求めるものである。
(1)実用新案登録請求の範囲の請求項1中における「前記フランジ面と前記平坦面との間の気密性を保持するための環状ガスケットを受容するべく前記環状ボス部の外周面に隣接して設けられたガスケット取付溝」を「前記環状ボス部の外周面に隣接して設けられたガスケット取付溝と、前記ガスケット取付溝に受容されると共に前記フランジ面と前記ガスケット取付溝との間に挟持され、前記モータケーシング内の気密性を保持する環状ガスケット」と訂正する。
(2)平成6年3月23日付手続補正書によって補正された明細書の考案の詳細な説明中における「前記フランジ面と前記平坦面との間の気密性を保持するための環状ガスケットを受容するべく前記環状ボス部の外周面に隣接して設けられたガスケット取付溝」を「前記環状ボス部の外周面に隣接して設けられたガスケット取付溝と、前記ガスケット取付溝に受容されると共に前記フランジ面と前記ガスケット取付溝との間に挟持され、前記モータケーシング内の気密性を保持する環状ガスケット」と訂正する。

2.当審の判断
そこで、これらの訂正事項について検討すると、上記(1)の訂正は、考案の構成に欠くことのできない事項である環状ガスケットについて、これが、フランジ面とガスケット取付溝との間に挟持されるべく特定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記(2)の訂正は、上記(1)の訂正との整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記各訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
また、訂正後における実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により構成される考案は、明細書の考案の効果の欄に記載された作用効果を奏するものであるから、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案でもない。

3.むすび
したがって、本件審判の請求は、平成5年法附則第4条第2項において読み替えられた平成5年法改正前の実用新案法第39条第1項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、同条第2項乃至第3項の規定に適合する。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
モータ装置の端板取付構造
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 モータ軸の一方の軸受を備える樹脂製端板と、該樹脂製端板に取り付けられるべきフランジを開口端に備えかつ前記モータ軸の他方の軸受を備えるモータケーシングとを有するモータ装置の端板取付構造であって、前記端板が、前記フランジ面に当接するべく周方向に少なくとも3つに区分された突出平坦面と、前記平坦面の内周側に前記モータケーシングの内周面に嵌合可能に設けられた環状ボス部と、前記環状ボス部の外周面に隣接して設けられたガスケット取付溝と、前記ガスケット取付溝に受容されると共に前記フランジ面と前記ガスケット取付溝との間に挟持され、前記モータケーシング内の気密性を保持する環状ガスケットとを有することを特徴とするモータ装置の端板取付構造。
【考案の詳細な説明】
[考案の目的]
〈産業上の利用分野〉
本考案は、モータ装置の端板取付構造に関し、特に、モータ軸の一方の軸受を備える樹脂製端板をモータケーシングのフランジに取り付ける形式のモータ装置の端板取付構造に関する。
〈従来の技術〉
モータを駆動源として他の機構手段を駆動するモータ装置には種々のものがあるが、特に自動車に装着されるモータ装置には小型軽量化が要求されている。このようなモータ装置に於て、モータに接続される動力伝達手段として例えばギヤ装置を用いたものがあり、モータ軸の一方の軸受を備える端板を、ギヤ装置を収容するギヤハウジングと一体化することにより、小型化できる。更に、端板及びギヤハウジングを樹脂材により一体成形することが考えられ、この場合には軽量化できるのみならず、ギヤハウジングなどの加工工数を削減することができる。
上記構造に於て、モータケーシングにフランジを設け、そのフランジと端板とを互いに合わせるようにして両者を組み立てる場合には、樹脂製端板の取付面に成形収縮による歪みが生じていると、端板に設けられた軸受とモータケーシングの軸線とが一致しなくなる。そのため、一度、モータケーシングに端板を取り付け、端板のフランジ面に当接する取付面の歪みを実測して、その歪みに応じて金型を修正する必要がある。
しかしながら、端板の取付面の全体を修正するためには、高度な精密加工を要して、加工工数が増大するばかりでなく、金型の面粗度を上げるためには、仕上作業が複雑化するなどの問題がある。
〈考案が解決しようとする課題〉
このような従来技術の問題点に鑑み、本考案の主な目的は、モータ装置を軽量化するべくモータケーシングに取り付けられる端板を樹脂化した際にその成形時に生じる歪みやひけの影響を受けることのないモータ装置の端板取付構造に関する。
[考案の構成]
〈課題を解決するための手段〉
このような目的は、本考案によれば、モータ軸の一方の軸受を備える樹脂製端板と、該樹脂製端板に取り付けられるべきフランジを開口端に備えかつ前記モータ軸の他方の軸受を備えるモータケーシングとを有するモータ装置の端板取付構造であって、前記端板が、前記フランジ面に当接するべく周方向に少なくとも3つに区分された突出平坦面と、前記平坦面の内周側に前記モータケーシングの内周面に嵌合可能に設けられた環状ボス部と、前記環状ボス部の外周面に隣接して設けられたガスケット取付溝と、前記ガスケット取付溝に受容されると共に前記フランジ面と前記ガスケット取付溝との間に挟持され、前記モータケーシング内の気密性を保持する環状ガスケットとを有することを特徴とするモータ装置の端板取付構造を提供することにより達成される。
〈作用〉
このようにすれば、樹脂製端板の成形収縮による歪みが生じて、端板に対するモータケーシングの倒れが生じるようになっても、周方向に少なくとも3つに区分された平坦面の各区分毎に金型の掘り込み加工を行って上記倒れを修正することができると共に、平坦面にひけが生じて、モータケーシングの内周面と嵌合する環状ボス部が変形する虞が生じても、環状ボス部と平坦面との角部である環状ボス部の外周面に隣接してガスケット取付溝が設けられていることから、環状ボス部がひけの影響を受けて変形することを防止できる。
〈実施例〉
以下の添付の図面を参照して本考案を特定の実施例について詳細に説明する。
第1図は、本考案が適用された自動車用パワーウィンドウ用モータ装置を軸線方向に沿って破断して示している。このモータ装置1は、直流モータ2と、その回転を減速して出力するギヤ装置3とで構成され、自動車のドア内部に配置される。モータ2のケーシングとしての有底筒状をなすヨーク4の軸線方向の開口端には、ギヤ装置3を収容するギヤハウジング5と一体的に形成された端板6がボルト7により固着されている。なお、ギヤハウジング5及び端板6は、モータ装置1を軽量化するために合成樹脂材により一体成形されている。
ヨーク4の図に於ける上部の底板部4aには、モータ2のロータ軸8の一端を回転自在に支持する滑り軸受9が設けられ、端板6にはロータ軸8の中間部を回転自在に支持する滑り軸受10が設けられていると共に、ギヤハウジング5の図に於ける下部には、ロータ軸8の他端を回転自在に支持する滑り軸受11が設けられている。なお、ロータ軸8の両端に穿設された軸線方向孔には、スラスト軸受としての一対のボール12a、12bがそれぞれ同軸的に挿入されており、それぞれ底板部4aとギヤハウジング5との対応する位置に設けられた各スラスト受け板13a、13bに当接するようにされている。
モータ2は、公知形式の直流モータであり、ロータ軸8の両滑り軸受9、10間に一体的に設けられた回転子としてのアーマチュア14が、ヨーク4内に回転自在に受容されており、ヨーク4のアーマチュア14に対応する内周面には、円弧状の永久磁石15が同心的に固着されている。端板6には、ヨーク4内に受容されるブラシホルダ16が固着されており、ブラシホルダー16により支持されたブラシ17が、ロータ軸8に一体的に固設されたコンミテータ18に弾発的に摺接している。
なお、ロータ軸8には、コンミテータ18と滑り軸受10との間にスリップリング19が一体的に設けられており、図示されない信号検出手段からパルス信号として検出したロータ軸8の回転検出信号をスリップリング19を介して取り出すようになっている。また、このスリップリング19及びブラシ17に電気的に接続されたリード線21が、端板6に設けられたリード線引き出し口に装着されたグロメットを介して、外部に引き出されている。
ロータ軸8のギヤハウジング5内に受容された部分である両滑り軸受10、11間にはウォーム22が形成されており、ギヤハウジング5に回転自在に支持されたウォームホイール23とウォーム22とが互いに噛合している。このウォームホイール23と一体をなす出力軸24には、図示されない周知のパワーウィンドウ機構のセクタギヤに噛合する歯車が固着されている。
このようにして構成されたモータ装置1にあっては、端板6とヨーク4との取付部を示す第2図に良く示されているように、ヨーク4のモータ取付端部25には、ヨーク4と端板6とを組付ける際にヨーク4の内周面に嵌合する環状ボス部26が凸設されている。この環状ボス部26内の凹設部26aには前記したスリップリング19が受容され、凹設部26aの底面に同軸的に開口する貫通孔30に前記した滑り軸受10が固着されている。
ヨーク4の開口端には半径方向外向きのフランジ部31が設けられており、このフランジ部31の端板6との合わせ面であるフランジ面31aが、ヨーク4の軸線に直交する面に沿って平坦面をなすように形成されている。モータ取付端部25の環状ボス部26の外周面に隣接して、ヨーク4と端板6とを組付けることによりフランジ面31aと共働して両者間にガスケット27を挟持するために、ガスケット27を受容するべく環状をなすガスケット取付溝28が形成されている。モータ取付端部25のガスケット取付溝28の外周部でありかつ互いに異なる対角位置である四隅には、ウォームギヤ部の負荷によりヨーク4が倒れる方向の荷重を受けるように、ガスケット取付溝28よりも若干高くされた4つに区分された突出平坦面29が凸設されている。従って、ヨーク4と端板6とを組付けた際に、突出平坦面29にフランジ面31aが当接して、突出平坦面29の区分された部分同士の間に隙間が生じるが、フランジ面31aとガスケット取付溝28との間にガスケット27が挾持されるため、ヨーク4内の気密性が十分確保される。そして、成形収縮によるひけなどが突出平坦面29に生じても、突出平坦面29と環状ボス部26との間である環状ボス部26の外周面に隣接してガスケット取付溝28が設けられているため、上記ひけ影響により環状ボス部26が変形することを防止でき、端板6とヨーク4との軸芯の整合性を確保し得る。
ヨーク4と端板6とを組付けた際には、突出平坦面29にヨーク4のフランジ面31aが当接して、端板6に対するヨーク4の倒れが4点支持により規制される。従って、成形収縮により突出平坦面29に歪みが生じて、ヨーク4と端板6との各滑り軸受9、10同士の軸線が互いに一致しない場合には、突出平坦面29の歪み量を区分された部分ごとに実測して、各歪み量に対応した修正を金型の対応部分の掘り込みにより容易に行うことができる。また、ある原点を基準とした各突出平坦面29の高さの修正も容易に行うことができる。このようにして、修正後の金型により成形された端板6により、端板6の滑り軸受10に対するヨーク4内の滑り軸受9の十分な位置精度を確保することができ、端板6に対して何等修正加工する必要がないため、加工工数を削減し得る。
なお、本実施例では、ヨーク4のフランジ面31aが軸線に対して直交する面に沿って形成されていたが、軸線が傾くようにヨーク4と端板6とを組付けるものであっても、上記と同様にして容易に修正可能であり、パワーウィンドウモータ装置に限ることなく、種々のモータ装置に適用可能である。また、突出平坦面29を4つに区分したが、3つ以上に区分されていれば軸線の傾きを修正できることは云うまでもない。
[考案の効果]
このように本考案によれば、樹脂製端板にモータケーシングのフランジ面に当接する平坦面を周方向に少なくとも3つに区分して設けたことから、成形収縮の歪みにより端板に対するモータケーシングの倒れが生じるようになっても、平坦面の各区分毎に金型の掘り込み加工を行って修正することにより、以後の成型品に於ける上記倒れを防止することができると共に、モータケーシングのフランジ面に対する樹脂製端板の取付用平坦面に成形収縮による歪みとしてひけが生じても、平坦面と環状ボス部との角部である環状ボス部の外周面に隣接してガスケット取付溝を設けたことから、モータケーシング間との十分な気密性を確保しかつひけの影響を防止するための溝を新たに設けることなく、環状ボス部がひけの影響を受けて変形することを防止できる。従って、樹脂製端板とモータケーシングとを組み付けた際のモータ軸に対する芯出しの整合性を確保でき、樹脂製端板を用いることによるモータ装置の軽量化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本考案が適用されたモータ装置を軸線方向に沿って破断して示す断面図である。
第2図は、モータ装置の取付部を示す分解斜視図である。
1‥‥‥モータ装置、2‥‥‥モータ
3‥‥‥ギヤ装置、4‥‥‥ヨーク
4a‥‥‥底板部、5‥‥‥ギヤハウジング
6‥‥‥端板、7‥‥‥ボルト
8‥‥‥ロータ軸、9、10、11‥‥‥滑り軸受
12a、12b‥‥‥ボール
13a、13b‥‥‥スラスト受け板
14‥‥‥アーマチュア、15‥‥‥永久磁石
16‥‥‥ブラシホルダ、17‥‥‥ブラシ
18‥‥‥コンミテータ、19‥‥‥スリップリング
21‥‥‥リード線、22‥‥‥ウォーム
23‥‥‥ウォームホイール
23‥‥‥出力軸、25‥‥‥モータ取付端部
26‥‥‥環状ボス部、26a‥‥‥凹設部
27‥‥‥ガスケット、28‥‥‥ガスケット取付面
29‥‥‥突出平坦面、31‥‥‥フランジ部
31a‥‥‥フランジ面
訂正の要旨 訂正の要旨
1.実用新案登録請求の範囲の記載について
「【請求項1】 モータ軸の一方の軸受を備える樹脂製端板と、該樹脂製端板に取り付けられるべきフランジを開口端に備えかつ前記モータ軸の他方の軸受を備えるモータケーシングとを有するモータ装置の端板取付構造であって、前記端板が、前記フランジ面に当接するべく周方向に少なくとも3つに区分された突出平坦面と、前記平坦面の内周側に前記モータケーシングの内周面に嵌合可能に設けられた環状ボス部と、前記フランジ面と前記平坦面との間の気密性を保持するための環状ガスケットを受容するべく前記環状ボス部の外周面に隣接して設けられたガスケット取付溝とを有することを特徴とするモータ装置の端板取付構造。」
とある記載を、
「【請求項1】 モータ軸の一方の軸受を備える樹脂製端板と、該樹脂製端板に取り付けられるべきフランジを開口端に備えかつ前記モータ軸の他方の軸受を備えるモータケーシングとを有するモータ装置の端板取付構造であって、前記端板が、前記フランジ面に当接するべく周方向に少なくとも3つに区分された突出平坦面と、前記平坦面の内周側に前記モータケーシングの内周面に嵌合可能に設けられた環状ボス部と、前記環状ボス部の外周面に隣接して設けられたガスケット取付溝と、前記ガスケット取付溝に受容されると共に前記フランジ面と前記ガスケット取付溝との間に挟持され、前記モータケーシング内の気密性を保持する環状ガスケットとを有することを特徴とするモータ装置の端板取付構造。」
と訂正する。
(2)出願当初明細書第4頁第3?9行につき、平成6年3月23日付手続補正書によって補正された明細書の考案の詳細な説明において
「前記フランジ面と前記平坦面との間の気密性を保持するための環状ガスケットを受容するべく前記環状ボス部の外周面に隣接して設けられたガスケット取付溝」(実用新案登録第2561074号公報第3欄第32?34行)
とある記載を
「前記環状ボス部の外周面に隣接して設けられたガスケット取付溝と、前記ガスケット取付溝に受容されると共に前記フランジ面と前記ガスケット取付溝との間に挟持され、前記モータケーシング内の気密性を保持する環状ガスケット」
と訂正する。
審理終結日 2002-09-04 
結審通知日 2002-09-09 
審決日 2002-09-20 
出願番号 実願平1-10714 
審決分類 U 1 41・ 853- Y (H02K)
U 1 41・ 851- Y (H02K)
最終処分 成立    
前審関与審査官 武山 吉孝  
特許庁審判長 大野 覚美
特許庁審判官 三友 英二
菅澤 洋二
登録日 1997-10-09 
登録番号 実用新案登録第2561074号(U2561074) 
考案の名称 モータ装置の端板取付構造  
代理人 鷹野 寧  
代理人 鷹野 寧  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ