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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) H01R
管理番号 1067661
審判番号 無効2000-40007  
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2002-12-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-02-10 
確定日 2002-06-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第3049723号実用新案「延長コード」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第3049723号実用新案の明細書の請求項に記載された考案についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 〔1〕手続の経緯
本件実用新案登録第3049723号(以下「本件」という。)及び本件無効審判事件に係る手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
本件実用新案登録の出願日:平成9年12月12日
実用新案権の設定の登録:平成10年4月1日
実用新案登録無効審判の請求:平成12年2月10日
上申書(請求人):平成12年3月28日
答弁書:平成12年6月27日
上申書(請求人):平成12年7月6日
口頭審理:平成12年7月6日

〔2〕当事者の主張
1.請求人は、「第3049723号実用新案登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」(請求の趣旨)ものであって、その理由は、「本件請求項1乃至請求項2に係る登録実用新案は、甲第1号証に記載された考案か、または甲第1乃至6号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当するか、または同法第3条第2項の規定により登録を受けることができないものであって、同法第37条第1項第2号の規定によって無効とすべきである」というにあるものと認める。
そして、請求人は、以下の証拠方法を提出している。
甲第1号証の1:中華民国専利公報第205404号公報(1993年5月1日発行)
甲第1号証の2:中華民国専利公報第205404号の全文明細書
甲第1号証の3:甲第1号証の1の日本語訳
甲第1号証の4:甲第1号証の2の日本語訳
甲第2号証:実公昭62-8140号公報
甲第3号証:特公昭61-41104号公報
甲第4号証:特開平1-255178号公報
甲第5号証:実開昭59-33684号公報
甲第6号証:実公昭58-27511号公報
甲第7号証:1999年(平成11年)9月30日付け「ご通知」書
甲第8号証:1999年(平成11年)12月24日付け「技術評価書郵送の件」
ほかに、以下の参考資料を提出している。
参考資料1:特開平7-220833号公報
参考資料2:特開平8-45617号公報
参考資料3:特公平8-28168号公報

2.一方、被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」(答弁の趣旨)ものであって、請求人の主張は理由がない旨答弁している。

〔3〕本件実用新案登録に係る考案
本件の請求項1乃至請求項2に係る考案は、以下のとおりである。
「請求項1
複数のコンセントと複数のスイッチとを有する上カバー12と、前記上カバー12の下部を覆う下カバー14とからなる延長コードにおいて、
前記コンセントの一方の孔に挿入し、二枚で形成される挿入片21と、前記スイッチの一方の電極端子182に接続される横片22と、前記複数のコンセントにおけるそれぞれの前記挿入片21と前記横片22とを連結する連結条20とが一体に形成される第1電気ピースと、
前記コンセントの他方の孔に挿入し、二枚で形成される挿入片24と、前記スイッチの他方の電極端子184に接続される横片25とが一体に形成される第2電気ピースと、
前記複数のスイッチの第3電極端子186に接続されるそれぞれの横片と、これらの横片をそれぞれ電気的に接続する連結条とからなる第3電気ピース組とを有し、前記スイッチの前記第2電気ピースと前記第3電気ピース組とへの切り換えによってコンセントの電気オンオフを制御することを特徴とした延長コード。
請求項2
前記横片は前記スイッチの電極端子に接続する部位に、前記電極端子を包む包
囲部を有することを特徴とした請求項1に記載の延長コード。」

〔4〕当審の判断
1.請求人が提出した甲号各証には、請求人の主張する以下の事項が記載されているものと認める。
(1)甲第1号証
(ア)「「並列式多孔コンセントの改良構造」において、主なものは、コンポージットになる上部と下部のケースと、それの内部に並列に取り付けられた幾つかのコンセント・ユニットと、電力を供給する電源コードにはめ合わされているプロテクター等からなっている。これらのうち、電源コードとプロテクターの一端はつながっており、別の一端はコンセント・ユニットの各コンセントか、スイッチかに取り付けられた導電チップ間をつないで導通している。
コンセント・ユニットの各コンセントとスイッチとの間は、いくつかの電極ピースによってつながれ導通するようになっている。各電極ピース上あるいは取り付けられている支持チップ上で、各コンセント・ユニットの導電チップに向い合って、必要に応じ数個の穿孔が設けられている。各穿孔は直接かつ素速く簡便に、それぞれ向き合った導電チップ上にさし込むことができ、電極ピースと導電チップとの間をぴったりと定位に取り付けられていることを特徴とする並列式多孔コンセントの改良構造。」(申請専利範囲(1)、甲第1号証の3第1頁第10?21行参照)
(イ)「・・・上部ケース(11)の内側部分には電極ピース甲(30)および電極ピース乙(40)が取り付けられ、電極ピース申と乙(30)(40)の2つには、コンセント・ユニット(20)の部分で向き合って、いずれも支持チップ(31)(41)がつくられている。このうち、支持チップ(31)には、横向きのスタンピング方式でチップ上に縦方向につらぬかれた穿孔(311) がつくられ、それに導電チップ(23)がさしこまれる。支持チップ(41)にも同じ方式で2つの穿孔(42)が設けてあり、この2つの穿孔はそれぞれスイッチ(21)の導電チップ(22)およびコンセント(25)の中の導電チップの1つ(251) がさしこまれる。このほか、電極ピース丙(50)の両端部分にもまた同じスタンピング方式でそれぞれに穿孔が設けられている。この2つの穿孔はそれぞれに、スイッチ(21)の導電チップ(24)およびコンセント(25)の別の導電チップ(251) がさしこまれる。これら支持チップ(31)(41)および電極ピース丙(50)に設けられた各穿孔と、スイッチ(21)かあるいはコンセント(25)に取り付けられた各導電チップは、穿孔部分をスタンピングされている側面チップを2つの突起の間において位置づけをしている。このようにして、支持チップ(31)(41)あるいは電極ピース丙(50)と、各導電チップ(22)(23)(24)(251) の間は、緊密にぴったりと固定されている。電源コードの端末やプロテクター(13)、電極ピース甲(30)、電極ピース乙(40)等の間は、いずれもさし込み方式で固定的につながっている。このさし込み固定方式とは第2図で示した通りであって、電極ピース甲(30)とプロテクター(13)のリード・チップ(131) との間に電線(14)をおく。この電線(14)の両端末をさし込み端子(141)に固定し、2つのさし込み端子(141)によって、それぞれにプロテクター(13)のリード・チップ(131) および電極ピース甲(30)と、相互にさし合って導通している。(甲第1号証の2第6頁第23行?第7頁第23行、甲第1号証の3第6頁第21行?第7頁第19行参照)
(ウ)支持チップ(31)(41)に穿孔(311)(42)を形成する包囲部が形成されている点
(第3図参照)。

(2)甲第2号証
2個の刃受ばね(4a,4b)とこれらを直結するリード板5と端子板6が一体構造に形成されたアース付コンセント。

(3)甲第3号証
「一対の刃受けばね片3で中央の刃受部4を形成し」(第2頁左欄第7?8行)、「この刃受ばね体Aは第5図のように平板状板材を打ち抜き形成したものを折り曲げ加工して得られるもの」(同欄第30?32行)で、「しかも刃受けばね体は全体を展開状態に打ち抜き成形してこれを折曲することによって形成できるものであって、従来のように複数個の予め別個に形成された部品を用意してこれをリベット等の固着用部材を用いて組み立てる必要がなく、部品点数を削減して生産性を大巾に向上することができると共に刃受部と基準面部との間の電気伝導性が不安定になるおそれがない」(第3頁左欄第27行?同頁右欄第2行)テーブルタップ。

(4)甲第4号証
コンセント10の受口11が差込プラグの一対の突出端子の各々と各別に接続される各2枚で形成される受け端子A,Bとから成り、各々の受け端子A,Bは電源側配線に接続され、この受け端子Aと電源側配線との電路の途中に、当該電路を開閉するスイッチSW1?SW3、を設けたスイッチ付コンセント(第2頁右上欄第6?16行、第1、2図参照)。

(5)甲第5号証
左右一対のプラグソケットからなる電気接続装置(第2図参照)。

(6)甲第6号証
受刃金具3,4が受刃部5と端子部6と、これを連結する橋渡片7とで形成され、受刃部5は対向するほぼU字状に形成した挟圧片8,9と受け刃10,11を有するタップの受刃金具(第2欄第7?11行、第1、2図参照)。
なお、参考資料1、2は電源ソケット、参考資料3はタイマー付コンセントの刃受部材構造についてそれぞれ記載されている。

2.そこで、まず、甲第1号証に記載された並列式多孔コンセントを本件の請求項1に係る考案と対比すると、甲第1号証記載の並列式多孔コンセントは、複数のコンセント・ユニット(20)と複数のスイッチ(21)とを有する上部のケース(11)、および下部のケース(12)を備えているので、両者は、「複数のコンセントと複数のスイッチとを有する上カバーと、前記上カバーの下部を覆う下カバーとからなる延長コード」である点で、一致する。
また、甲第1号証記載の並列式多孔コンセントは、本件考案の横片22および連結条20に相当する電極ピース乙(40)および支持チップ(41)からなる「第1電気ピース」、電極ピース丙(50)からなる「第2電気ピース」、電極ピース甲(30)と支持チップ(31)からなる「第3電気ピース」組からなり、スイッチの第2電気ピースと第3電気ピース組とへの切り換えによってコンセントの電気オンオフを制御するものであるから、両者は、「第1電気ピースと、第2電気ピースと、第3電気ピース組とを有し、前記スイッチの前記第2電気ピースと前記第3電気ピース組とへの切り換えによってコンセントの電気オンオフを制御する延長コード」である点でも一致している。
さらに、甲第1号証の並列式多孔コンセントの導電チップ(22)、(24)、(23)が、本件考案の電極端子182、184、186にそれぞれ相当し、甲第1号証の電極ピース甲(30)と支持チップ(31)が本件考案の横片32と連結条30に相当するものと認められる。
一方、両者は、以下の点で相違している。

(相違点)
(ア)本件考案では、第1電気ピースが挿入片21と横片22と連絡条20とからなり、三者が一体に形成され、挿入片21がコンセントの孔(図1の符号16)に挿入することにより導通するものであるのに対して、甲第1号証の並列式多孔コンセントでは、第3図を参照すると、本件考案の挿入片21に相当する部材としては導電チップ(符号なし)が第1電気ピース側ではなくコンセントに形成され、導電チップ(251)を支持チップ(41)に形成された穿孔(符号42)に差し込まれることにより導電部材間を導通するものである点。
(イ)本件考案では、第2電気ピースが挿入片24と横片25により一体に形成されるのに対して、甲第1号証の並列式多孔コンセントでは、第2電気ピースは電極ピース丙(符号50)のみからなり、本件考案の挿入片24に相当する部材としては導電チップ(符号251)が第2電気ピース側ではなくコンセント(符号25)側に形成され、導電チップ(251)を電極ピース丙(50)に形成された穿孔(符号なし)に差し込むことにより導電部材間を導通するものである点。
(ウ)本件考案では、挿入片21、24がそれぞれ2枚で形成されているのに対して、甲第1号証にはその点の構成が明らかでない点。

3.次に、その相違点について検討する。
(1)まず、本件考案の挿入片21(第1電気ピース)、挿入片24(第2電気ピース)に相当する部材を電気ピースと一体に設けることは、本件実用新案登録の出願前すでに広く行われていることであり、甲第2号証乃至甲第6号証にもそうしたタイプのコンセント類が記載されている。とくに、甲第4号証には、コンセントを個別にオンオフするスイッチを有するコンセントにおいて「電気ピース」と一体に設けたものが示されている(第2図)。
したがって、甲第1号証の並列式多孔コンセントにおいて、導電チップを電極ピース乙(40)および支持チップ(41)とを一体に形成して第1電気ピースとすること、および、導電チップと電極ピース丙(50)を一体に形成して第2電気ピースとすることは、当業者がきわめて容易になし得る程度のことにすぎない。
なお、被請求人は、本件請求項1において、「一体に形成される」とは「一枚の板から一体に形成される」と解するべきであると主張するが(平成12年7月6日期日の口頭審理において陳述)、甲第3号証には、テーブルタップの刃受ばね体を全体を展開状態に打ち抜き成形してこれを折曲することによって形成すること、すなわち一枚の板から一体に形成することが記載されており、本件考案が「一枚の板から一体に形成される」ものであったとしても、当業者にはきわめて容易になし得ることというべきである。
(2)また、本件考案の挿入片21(第1電気ピース)、挿入片24(第2電気ピース)に相当する部材を2枚で形成することも、本件実用新案登録の出願前すでに広く行われていることであり、甲第2号証乃至甲第6号証にもそうしたタイプのコンセント類が示されている。コンセントを個別にオンオフするスイッチに関する甲第4号証のものもその第2図からみて、挿入片は二枚で構成されているものと認められる。
(3)さらに、本件考案の挿入片21(第1電気ピース)、挿入片24(第2電気ピース)に相当する部材をコンセントの孔に挿入することにより導通するタイプの電源ソケットについても、本件実用新案登録の出願前すでに広く知られたものであり、請求人が提出した参考資料1乃至3にもそうしたタイプの電源コンセントが記載されている。一例として参考資料1・特開平7-220833号公報には、「ケーシング22には、差し込み口、即ち雌コンタクトを形成するように、導電体30が組み込まれる2個のスロット24が形成されている。また、このスロットには、導電体30が下方から係入されるように、スロット24よりも幅広の係入溝31が、スロット24に沿って両側に形成され、上端部で終端している」(第3頁左欄最下行?同右欄第5行)という記載と図示がある(図2、図4)。
(4)そして、本件明細書の「考案の効果」の項によれば、本件考案の効果は、1)「第1電気ピースと第2電気ピースとはそれぞれ一体的に形成される挿入片と横片を連結条とを有するので、部品の点数が少なくなり、取り付けの手数を減少できる。」
2)「第1電気ピースと第2電気ピースとはそれぞれ一体的に形成される挿入片と横片を連結条とを有するので、部品の点数が少なくなり、電気接続のための溶接の手数を減少できる。」
3)「挿入片は二枚で形成されているので、プラグの挿嵌片を引き受けるのは電気的接続の接触幅が広く好ましい接続状況を提供できる。」
ということであるが、いずれも、本件実用新案登録の出願前周知の構成を採用すれば当然に奏される類のことにすぎない。
甲第3号証には、「刃受けばね体は全体を展開状態に打ち抜き成形してこれを折曲することによって形成できるものであって、従来のように複数個の予め別個に形成された部品を用意してこれをリベット等の固着用部材を用いて組み立てる必要がなく、部品点数を削減して生産性を大巾に向上することができると共に刃受部と基準面部との間の電気伝導性が不安定になるおそれがない」(第3頁左欄第27行?同頁右欄第2行)旨、本件考案の効果と同様の効果が記載されている。

4.そうすると、本件の請求項1に係る考案は、甲第1号証に記載された考案であるとすることはできないが、周知技術を考慮すれば、請求人の提示した甲第1号証乃至甲第6号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものというべきであり、実用新案法第3条第2条の規定に違反する。

5.次に、請求項2に係る考案は、請求項1に係る考案の構成に加えて、横片がスイッチの電極端子に接続する部位に電極端子を包む包囲部を有するものであるが、甲第1号証の並列式多孔コンセントにおいても、本件考案の横片22、25に相当する支持チップ41、31は、本件考案の電極端子182、184、186に相当するスイッチ(21)の導電チップ(22?24)に接続する部位に、該導電チップを包む包囲部を有しているものであると認められ、この点の構成において、請求項2に係る考案は甲第1号証の並列式多孔コンセントと一致している。
そうすると、本件の請求項2に係る考案も、上述した理由により、周知技術を考慮すれば、請求人の提示した甲第1号証乃至甲第6号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものというべきであり、実用新案法第3条第2条の規定に違反する。
〔5〕まとめ
以上によれば、本件の請求項1及び請求項2に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第37条第1項第2号の規定により無効とすべきである。また、審判に関する費用については、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2000-07-12 
出願番号 実願平9-11427 
審決分類 U 1 112・ 121- Z (H01R)
最終処分 成立  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 藤本 信男
長崎 洋一
登録日 1998-04-01 
登録番号 実用新案登録第3049723号(U3049723) 
考案の名称 延長コード  
代理人 牛木 護  
代理人 倉内 基弘  
代理人 風間 弘志  
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